
純文学「コンビニですか」
「コンビニですか」 黶嵩
何買いに行くんですか。
買いに行くもんなんてないでしょ。
馬鹿なんですか。
そんな、高級アイスなんて、あなたには勿体ないわ。
月が見えないからって、雑に扱う理由はないはずじゃないの。
私にもっと塗ってくれれば良いじゃない。
もし、買いに行くなら、もう少しマトモなものがあるから。
もう、こういうやりとりも辞めませんか?
病めたら、良かったじゃないですか。
私たちは。
もう少し、マシな方法があったのに。
あなたの都合に巻き込もうとするなんて、残酷ですよね。
そう言った彼女のため息を、仕方なく酒と飲んだ。
おかしくなるようなプログラムで、僕が耐えるまでに飢えてしまいそうだ。
折り合った身と、絡み合った唾液。
病を含んだ、蛙の体液。
彼女もせっかくガラスを割りに来たんだから。
僕のことなんて元から眼中にないはずだ。
そうやって、決めつければ決めつけるほど気持ちが良かった。
愛してるのに、永遠と満たされないウォーターサーバみたいで。
嫌いにはならないだろうが、きっと本当は要らない。
身勝手に抱き寄せて、暈しただけなのに。
それが楽なんだ。
コンビニを選ぶのも、似たようなものだろ。
百じゃなくたって良い。七十もあれば充分多い。
五十さえ下回らなければ、株は落ちない。違うか?
わかってもらえなくたって良い。
だけど、そうじゃないと気持ちが悪くて仕方ないんだ。
ポカリとした顔で見ても仕方がない。そういうものだ。
肉まん頬張って見上げる空の方が間違いなく黒かった。
別に、コンビニが好きなわけじゃない。
だって、ここのスイーツは甘過ぎる。違うだろうか。
陳腐とまでは行かなくても、百じゃない。
下手に完璧を出したら傾くからな。
それみたいに、ネオンの下に潜ってみるんだ。
それで地下鉄に乗る。
何にも見えないのに、窓に張り付いて景色を見てさ。
彼女が追ってくるのなんて待ってはない。
何か都合の良いものだけを適当に持ち合わせればそれで良くないか。
彼女である必要性はないから、誰も責めてこないよ。
ここまで来たら、何が出来ようか。
無責任な僕が何を編めると思うのか、少なくとも僕自身が分からない。
叶いやしない、何も叶わない。
見てきたもの、全部が中途半端だった。
全部、後悔なく終わってしまった。
投げ出したつもりもない。
せっかく、こんなところまで来たのに。
なんで、誰も、何一つさえ言わないんだ。
この触り心地、舐め合った時に解けきる蕾。
何度だって、私は折り合える。
重ね合わせれば、何も必要じゃない。
僕に、まだ都合が良過ぎるかな。
終