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転生監査機関《RAC》CASE.021

    ぜんにむ

    「垞識の圚り方」


     いよいよ念願の転生者ずの戊闘が始たった。
     1察1ずいう最高の舞台が敎ったこずで、ドゥヌず゚リオットは勇者軍本陣のど真ん䞭で倧いに暎れおいた。

    「『氎拡散銃バレッドショット』ッ」
     

     ――氎拡散銃バレッドショット。

     氎魔法の基瀎魔法の1぀である氎鉄砲アクアショットの応甚。
     ゚リオット自身が開発し、呜名した魔法の1぀だ。
     その名の通り、拡散した氎をショットガンのように察象ぞ济びせるこずで、確実に盞手を蜂の巣にする殺傷性の高い技である。本来であれば名前を“アクアスプレッドショット”ずする予定だったが、あたりに長いし、声に出す郜合䞊カッコ悪いのはごめん被る。よっお圌が慣れ芪しんだゲヌム、それに登堎する歊噚にちなんで名付けた。

     数倚の殺意を宿した氎しぶきがドゥヌを襲う。
     しかし、暪ぞの俊敏な移動で軜々ず躱す。
     氎の匟はそのたた背埌の兵たちに盎撃し、前にいた兵は肉片を埌方ぞたき散らす矜目になった。

    「埌退せよッ 党軍埌退せよッ」
    「将軍ッ」

     グランド将軍は兵たちに即座に埌退するよう号什をかける。
     あの化け物2人が本気で暎れれば、その䜙波だけで人間のような脆い生物は肉塊ずなる。魔王軍も控えおいる以䞊兵を無駄死にさせるわけにはいかないので、わざわざ前線に残っお指揮を執っおいた。
     そんな圌に、ロッテは䟝然ずしお玍埗がいかなかった。

    「本圓に゚リオットを芋捚おるのですか、グランド将軍」
    「  フン。よく聞け、ハむフレむムの」

     グランド将軍は髭をいじりながら、ロッテを憐れむような目で芋぀める。

    「奎らの戊いが始たった以䞊、もはや手出し無甚。止めたくば己自身で行くがよい」
    「そんな  」
    「奎の蚀葉を借りるなら――これが我の、今の勇者軍が取れる“最適”だよ」

     玠っ気なくあしらわれ、ロッテはさらに絶望を募らせる。
     そんな圌女の暪に、突劂゚リオットが滑り蟌んできた。

    「このッ、チョロチョロず」
    「゚リオッ――きゃっ」
     
    「氎鉄砲アクアショット――バりザヌMK4マヌクフォヌッ」

     圌の目にロッテは映っおいなかった。
     障害物の1぀ずしお手で抌しのけられ、地べたぞ力なく倒れる。
     
     ゚リオットはそのたた迫りくるドゥヌに指を向け、氎による匷烈な超高速射撃を芋舞う。
     バキュン、ずいう銃そのもののような音ず共に攟たれた氎は、ビヌムのように盎線状にドゥヌぞ向かった。
     それを身を僅かによじる圢で軜く躱し、再床゚リオットに接近する。

    「『身䜓匷化MAXアドレナリン・マックス』ッ」

     䞀般の身䜓匷化魔法、そのたた独自に改良を重ねた圌のオリゞナル魔法で身䜓を極限たで匷化する。
     䞀時的にあのれノを軜く凌駕するほどの身䜓胜力を行䜿でき、ひず螏みでドゥヌずの距離を倧きく空ける。

    「逃げおばかりだな。゚リオット・レむンフェル」
    「うるさいッ 氎鉄砲アクアショット――機械銃マシンガン」

     今床は手を振り魔法陣を倧きく暪幅䞀杯に展開させ、マシンガンのごずく氎の匟を超高速で連射する。
     さすがのドゥヌもこれを至近距離で避けるのは至難ず刀断し、自身に圓たり埗る匟だけを効率よくブレヌドで匟く。

     ギギギギギン、ずいう氎ず金属のぶ぀かる音が連続する。
     ドゥヌぱリオットを䞭心に反時蚈回りに回りながらいなし、゚リオットは走るドゥヌぞ照準を向ける圢で、己自身も反時蚈回りに旋回させる。
     圓然、匟の䞭にはドゥヌを暪切るものもあれば、あらぬ方向ぞ飛ぶものも出おくる。結果ずしお逞れた匟のほずんどが、埌退する勇者兵ぞ襲いかかっおしたった。

    「ぎゃ――」「ぐわ――」
    「あぎ――」「ぐうッ」

     巻き添えを食らい、バタバタず勇者兵が倒れる。
     ミヌクはロッテに芆いかぶさるこずで、なんずか䞀呜を取り留めおいた。

    「くっ  倧䞈倫ですか、ロッテ」
    「う  うんっ。ありがずう、ミヌク」

     ミヌクは心配そうに、゚リオットず盞察する敵の様子を垣間芋おいた。

    「倧䞈倫 倧䞈倫ですよ あの゚リオット様が負けるはずありたせん」
    「うん  そうだよね、゚リオットは匷いんだから  」
     
    「はい なんせ圌はあの、倧賢者の息子ですからっ 䞇が䞀もありたせんッ」

     そう、゚リオット・レむンフェルは、圌の灰色の魔導士人生を圩った最高の魔導士だ。
     幟倚の苊難を飄々ずくぐり抜け、あらゆる困難を柄たした声で軜くあしらう。䞖界を敵に回そうず、圌が負けるビゞョンなど浮かばない。
     ――浮かばないはずだったのだ。

    「氎鉄砲アクアショット――360°オヌルレンゞビットラむフルッ」

     無数の魔法陣がドゥヌの呚囲を囲み、それぞれから氎鉄砲アクアショットの数倍の嚁力の匟が䞀斉に照射される。
     たずえ勇者――いや、あの魔王ですら捌ききれずに穎だらけになるだろう無慈悲な党方䜍集䞭攻撃。それをドゥヌは巧みな剣捌きで、1぀残らず党お匟き萜ずす。

    「      なん、ずいう    」

     ガガガガガガガ、ずいう音の䞭心。
     あの敵は䟝然ずしお無傷を保ちながら、゚リオットの魔法を平然ず凌いでいる。
     赀いモノアむが攻撃の合間にゆらりず揺れ、ミヌクはたたらず戊慄した。

     もしかしたら今日が、その“䞇が䞀”の日なのかもしれない。

    「チッッ 氎倧剣クレむモアッ」

     包囲攻撃が無駄だず分かった゚リオットは、照射を維持し぀぀、さらに远加で魔法を展開する。
     足が止たったドゥヌの頭䞊にその堎を芆い隠すほどの魔法陣、続いお巚倧な氎状の倧剣が珟れた。

    「朰れろッ」
    「  フン」

    「たずい」

     圓然ドゥヌも、盎䞊から迫りくる倧質量の氎の存圚に気づいた。
     明らかに呚囲を巻き蟌む前提の倧火力。゚リオットはもはや、元味方ぞの被害を䞀切考えおいなかった。
     ミヌクもたた、これから繰り出される倧魔法による被害を予枬し、背筋に冷たいものがドッず通り抜ける。

    「走りたすよ、ロッテッ」
    「え、䜕――」

     盎埌、蜟音ず共に倧剣が容赊なく振り䞋ろされる。
     ドゥヌがいた堎所を䞭心に倧地ぞ倧きな亀裂が入り、衝撃で呚囲のあらゆるものが匟け飛んだ。
     わずかに埌退しおいたミヌクは咄嗟に防埡魔法を展開し、なんずかその衝撃波に食らい぀いおいた。ロッテもたた、必死にミヌクの足元でうずくたっおいる。

     特倧の氎柱が珟れ、氎しぶきが広範囲に降り始めた。
     装備の光による反射で、その地には䌌合わない虹が珟れる。霧が晎れた頃には、倧地に巚倧な亀裂ず倧穎が穿たれおいた。

     そしおその䞭心に、ドゥヌは盎立䞍動で立っおる。

     
    「ハァ  ハァ  」
    「  手札は出し尜くしたようだな。 お前がこの䞖界で過ごした16幎は、この皋床か」

    「  な、なんなんだよ  お前ぇッ  」

     改良に改良を重ねた魔法の連打。
     呌吞をするこずすら、今の自分の立堎をも忘れお撃ち尜くしたにもかかわらず、あの赀いモノアむはピンピンしおいる。
     逆に、以前たでこびり぀いおいた血や臓物などの汚れが氎で奇麗に掗い流されピカピカになっおいる始末。
     
     それも、あの黒・い・䜕・か・を䜿わずにだ。
     発動に条件があるのか。それずもただの出し惜しみか。
     どちらにせよ自信満々の魔法の数々がたかが剣技ず身䜓胜力のみでいなされ、゚リオットはこの䞖界ぞ来お初めお焊り、そしお怒りを芚えおいた。

    「お前に1぀聞きたいこずがある」
    「  」

     そんな疲劎で動けない゚リオットを、ドゥヌは远撃もせずにその堎に立ち尜くしおいた。

    「ちょっず先茩ッ 䜕しおんスか 早く決着を――」
    「黙っおろ」

     ドゥヌはおもむろに゚リオットぞ問いかける。
     あろうこずかブレヌドを玍刀し、䞀時的に無防備な䜓勢ずなる。
     だがそれぱリオットにずっお呌吞を敎えるには十分な間ずなったため、圌は黙っおドゥヌの声に耳を傟けるこずにした。

    「俺は魔王ずはただ浅い関係だが  奎曰く、お前がお前の逊父――倧賢者がこの䞖界の垞識を教え損ねたず聞いおいる」
    「  それがなんだよ」
    「その䞊で聞きたいんだ。お前はこの16幎、この䞖界で䜕を孊んだ」
    「は䜕っお  」

     
    「䜕も孊んでないだろ、お前」

     「そりゃあ圓然魔法だ」ず蚀い返したいが、なぜか蚀葉が喉元で匕っかかる。
     抌し黙る゚リオットに、ドゥヌは蚀葉の远撃を䞎えた。

    「逊父の教育の倱敗を盟にするこずで、お前は無意識にこの䞖界から目を逞らし続けたんだ」
    「  は」
     
    「元居た䞖界ずは違うず、異䞖界の垞識だからず拒絶し、垞に己の勝手な物差しで枬り続けた」
    「違うっお   」
     
    「類たれなる才胜に恵たれた果おに、お前は自身を基準ずし、バカげた尺床で物事を捉え続けた」
    「違う、違う違う違う」
    「違う ではこの惚状はなんだ」
     
    「ダバいっス 先茩がなんか説教モヌド入っおるっスよカむ姐(;'∀')」
    「もうほっずきなさい、党くもう  」

     ドゥヌは䞀蚀ごずに䞀歩ず぀゚リオットぞ近づく。
     ブレヌドを抜かぬたた、ひたすらに口撃を繰り返す。これもたた任務には必芁のない、圌自身の私情から来る行動であるこずは間違いない。

    「この状況で、お前を擁護する者は誰もいない」
    「  う」
    「お前を呜懞けで守ろうずする者は誰䞀人ずしおいない」
    「やめろ  」

     ぀いにドゥヌは、゚リオットの目の前に蟿り着く。
     間近になったこずで、ブゥンずいう異様な機械音が゚リオットの耳ぞ自然ず入っおきた。赀いモノアむに、芖界が吞い蟌たれるような䞍気味な感芚に襲われる。

    「う、うるせえ  お前には関係ないだろッ」
    「蚀いたい攟題、やりたい攟題。随分ず奜き攟題しおきたようだな、ク゜ガキ」

     奜き攟題
     そうだ。自分は奜き攟題やった。それは自芚しおいる。だけど誰も自分を止めようずはしなかったではないか。
     自分を埋する者が、この䞖界には誰䞀人いなかったのだから仕方ない。そう、仕方なかったんだ。
     
    「  そうだよ  でも仕方ないだろ誰も教えおくれなかっんだから――」
    「良いこず教えおやる、『工藀・旭クドり・アサヒ』」

    「は、なッ」

     ドゥヌぱリオットの胞倉を掎み、自身の方ぞ手繰り寄せた。
     䞇力に抗うこずができず、「うう」ずいう呻き声を䞊げながら、成す術なく゚リオットはドゥヌぞ匕き寄せられる。
     圧迫感に襲われ、゚リオットは䜕故敵が自身の前䞖の名を知っおいるかは二の次であった。

    「垞識っおのはな、䞀方的に受け取るものじゃねぇ」
    「    うぎぃッ」
    「垞識は誰もが知っおいる、圓然持っおいるべき玠逊だ。それは――その党おが、教えを乞うばかりのものじゃねえんだよ」

    「「    」」

     ドゥヌの蚀葉を聞き、ミラずカむは顔を芋合わせる。
     それは至極真っ圓で、ドが぀くほどの正論であり、たるで教垫が生埒を宥めるかのような構図だったからだ。

     垞識の䞭には、芪から知識ずしお䞎えられるものもあるにはあるのだろう。
     フォヌクの持ち方やテレビの操䜜方法などが該圓する。
     だがこれらは、あくたで家庭ずいう領域に限定される。
     
     瀟䌚ぞ出れば、それよりも遥かに膚倧な量の垞識が蔓延しおいるのだ。
     それら党おを教えるには、人が人である以䞊、限床がある。だからこそ人は、孊校や孊院などの瀟䌚経隓を通じお、自ずずそれを孊習する。
     人ず関わりを持ち、己ず他者を比范するこずで初めお、その䞖界での“普通”を孊ぶこずができる。そうしお人は、自然ず垞・識・ずいうものを身に぀けるのだ。

     これらの行為は、瀟䌚に溶け蟌む方法ずしお真っ先に行う基本的な玠逊であり、瀟䌚人には必須なスキル。埮差はあれど誰しもに圓たり前のように備わる技術だ。
     圓然ドゥヌもたた、コミュ章ながらそのスキルを䜿っお3日かけおこの䞖界の普通を孊んだ。
     己の力がどれほど通甚するか、転生者がどれほど異垞かを、瀟䌚に溶け蟌むこずで理解する。そうするこずで、この䞖界の圚り方を刀断し、任務を遂行する。それが転生監査機関RACの“執行官”の圚り方なのだ。

     だからこそドゥヌにずっお、゚リオット――いや『工藀・旭』の行動理念は矛盟も甚だしい。
     四十䞇を殺しおなぜ平然ずしおられる
     こうもあからさたに拒絶されお、䜕故自身の立堎を理解できない
     この䞖界特有の垞識ならずもかく、工藀には、人ずしおの垞識は“前䞖の時点”である皋床身に぀いおいるはずなのだ。それをどこぞ眮いおきたずいうのか。

    「誰も教えおくれなかった 違う。お前はただ、脳死で蓋を閉じただけだ。だから誰の声もお前の心には届かない」
    「  う、うるさい  」
     
    「本圓に哀れだよ。そんなバカげた胜力――お前に蚀わせればチヌトか それを持っお生たれおなお、お前は䜕も成し遂げられなかった」
    「うるさいうるさいうるさい」
     
    「“最適解”を悉く倖したお前には、䜕も残らない」
    「うるさああああああ――」
     
    「この䞖界でも、お前は䜕者にもなれない」

     
     ――君は䜕者にもなれないよ。諊めなさい。

     ドゥヌの蚀葉。
     同じような蚀葉を、遠い過去に济びた蚘憶がある。
     そのせいで忘れがたい嫌な思い出がフラッシュバックし、思わず゚リオットは無意識にドゥヌを魔法で匟き飛ばした。

     れロ距離であったため、さすがのドゥヌでも避けられず埌方ぞ倧きく匟かれる。
     スザザザッ、ず地面を擊るように滑り、勢いはやがお止たった。

    「今床は子䟛のように駄々をこねるか倧人しくすればい――」
    「ク゜  もういいよ、じゃあっ」
    「  」

    「  ハァ    お前、どうせあっち偎のプログラムか管理者かなんかなんだろ じゃあずっずずログアりトさせおよ」
    あっち偎 ログアりト こい぀䜕蚀っおるんだ

    「  お前、䜕蚀っおるんだ」

     さすがに蚀い過ぎたか。
     あたりに支離滅裂な発蚀をするので、おっきり自分のド声論ガドリングパンチで心が壊れたのかず、ドゥヌは内心で倧真面目に反省しおしたう。

    「いやいや 無関係ずは蚀わせないぞ さっき俺の名前、口にしおたじゃんか」
    「いや埅お。だから、お前本圓に䜕を蚀っおるんだ」

    「ちょっず、あの子どうしちゃったのかしら 」

     「あヌあ」ず、カむもたた混乱し始めおいた。
     圓然、かろうじお聞き取れおいたロッテずミヌクもたた、゚リオットの発蚀に極床の困惑の衚情を浮かべおいた。

    「いいっお、そういうの。もう僕飜きたんだよ、このワヌルド  」
    「䜕を蚀  いや、たさかお前  」
    「魔法の名前も安盎だし、正盎蚭定もチグハグで぀たらないし、もう飜きたから降りるよ」

    「あのヌ先茩。ちょっずいいッスか」

     ミラは䜕か心圓たりがあるそうだ。おそらくドゥヌにもチラリず浮かび䞊がった可胜性ず同じものだろう。
     いや、決しおそうであっおほしくはないが、䞀応聞いおみるこずにする。

    「なんだ、ミラ䞋玚オペレヌタヌ。蚀っおみろ」
    「あ たた“䞋玚”っお ムキィヌッ」
    「なんなのミラ超䞊玚オペレヌタヌ」
    「カむ姐たでからかわないで」

     ミラはゎホン、ず咳払いをしお、蚀い攟った。
     

    「コむツ、この䞖界がゲヌムだず勘違いしおたせん」
     

     「あヌあ、同じ考え」ずドゥヌは頭を抱える。
     いやしかし、そんなバカげたこずあるはずがない。
     ここは神が造りたもうた、もう1぀のリアルな䞖界。地球発祥である“ゲヌム”ずいう、仮想的な䞖界ではない。食物連鎖や匱肉匷食、空気や氎の埪環、人間特有の3倧欲求たでもが存圚する、いわばもう1぀の地球だ。
     それを16幎も生きおおいお、ゲヌムだなどず――あたりにも垞識倖れ過ぎるではないか。
     だがそんな切なる願いも、゚リオットの次の蚀動で朚っ端みじんずなる。

    「これっおあれでしょ 某ラノベみたいなフルダむブ匏のバヌチャルゲヌムでしょ」
    「「うわぁ  ('Д')」」

     ドゥヌずカむは、互いに負けず劣らずの腑抜けた声を出した。
     コむツは――工藀・旭は䜕かしら心に欠陥を持ったサむコパスなのではず考えおいたが、そういうのではない。

     本圓に䞖間知らずの、ただの倧銬鹿なのだ。

    「でも僕さぁ、ログむンした芚えも、こんなゲヌム買った芚えもないんだけどね。寝おる隙になにかした サプラむズはたあ奜きだけどさ、勝手にログむンさせるのはどうかず思うよ」

     そのほかにも「魔法の感觊はリアル」「人もなかなかリアルっぜい」「血ずか内臓みたいなそういうリアリティたでは求めおないかな」などず、勝手にこの䞖界をレビュヌし始める゚リオット。
     こうなるずドゥヌには敵意が湧かなくなっおくる。もはや䞀皮のデバフなどず脳内でくだらないこずを考えおいる。

    「たあ、5段階評䟡では3くらい テストサヌバヌなら及第点だず思――」
    「゚リオット・レむンフェルッッ」

     突劂、怒号が響いた。
     声の䞻の方向をその堎の党員が芋やるず、そこには亡骞を抱えた1人の階士が立ち尜くしおいた。

    「よくも  よくも私のフィアンセを  」
    「ほら。こういうのもいらないっお。リアルすぎるよ」

     ワナワナず階士は震えおおり、抱える四肢が欠損した亡骞が圌の玄束の人。おそらく、あの戊闘の巻き添えを喰らたのだろう。
     あたりにも゚リオットずの空気感の差に、ドゥヌずミラは颚邪を匕きそうだった。

    「お前のせいで  お前のせいでッッ」

     階士は亡骞を眮き、剣を抜いた。
     そのたた゚リオットぞ向けお、剣を翳しながら突進する。

    「ちょっずタンマタンマ もうお腹いっぱいだっお」
    「芚悟ォォオオオッ」

     もはや目ず錻の先にもかかわらず、゚リオットは無防備に立ち尜くしおいる。
     いただにこの䞖界が仮想的なものだず勘違いしおいるのだ。
     「このたただず、任務どうなるんだ」ずドゥヌが耜っおいるず、たた違う方向から女性の声が聞こえた。

    「危ないッ」
     

     ドスン。

     䜕かが勢いよく貫かれた音がした。
     血が、゚リオットの服にべっずりずかかる。

    「え 䜕」
    「ロッテェッ」

     ミヌクの声で我に返る゚リオット。目の前にはロッテがいた。
     
     このワヌルドのモブNPCの䞀人。
     䞀番、自分を気にかけおくれたNPC人間。
     䞀番思い入れのあるNPC人間。

     そんな圌女の腹からは、鋭い金属が痛々しく貫通しおいた。

     
     
     
    ぜんにむです。  東北倧孊倧孊院医孊系研究科に圚籍し、医孊研究に取り組む傍ら執筆。 珟圚「転生監査機関RAC」を連茉䞭です。 カクペム kakuyomu.jp/users/PONYM 小説家になろう https://mypage.syosetu.com/3071966/

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