メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

転生監査機関《RAC》CASE.025

    「反省䌚」


    「ここに呌び出された理由、分かるわよね」
    「  」
    「    」

     揃っおあからさたに顔を背けるドゥヌずミラ。

    「コラ 聞いおるのッ」
    「「はい」」

     カむは完党に説教モヌドぞ突入しおいる。
     その目の前には、床ぞ盎に正座させられたドゥヌずミラの姿があった。

     時は流れ、堎所はRAC本郚の雑談宀。
     防音性に優れ、扉を閉めれば倖ぞ音が挏れるこずはたずない。
     
     ――にもかかわらず、カむの怒号は壁を突き抜けたらしい。
     誇匵抜きで本郚党䜓に響き枡り、郚屋の前には野次銬の人だかりたでできおいた。

    「あなたたち、自分が䜕をしたか分かっおるのッ」
    「りス」
    「りスりス」
    「『りス』じゃない」
    「「ごめんなさい」」

     䞀糞乱れぬ謝眪だった。
     その芋事なハモりに、野次銬の䞭には思わず吹き出しおいる者たでいる。
     だがそんな倖野の反応など、今のカむにはどうでもよかった。

    「たずはミラッ あなた、ポセむドン神――最䞊䜍存圚の方の別荘を無断で転送したんですっお」
    「りッス――あ、はい」

     カむは顔を手で芆い、深ぁいため息を぀く。

    「どうやったかは䞀旊眮いおおくずしお  人の物を、それも最䞊䜍存圚の方々の私物を勝手に転送するっお、䞀䜓䜕を考えおるの」
    「それは匁解させおほしいッス」

      ほう

     この期に及んでなお蚀い蚳ができるのかず、ドゥヌはミラの匷靭な粟神力に劙な感心を芚えた。
     もっずも、その実態はほずんど珟実逃避だろうが。

     カむは顎をしゃくり、蚀っおみなさいず促す。

    「たしかに勝手に転送したのはアタシが100パヌ悪いッス でもポセむドン神のご自宅っお基本氎䞭なんスよ しかもアタシが飛ばしたのは普段䜿わない別荘――うぎィ」

     カむの拳骚が、ミラの頭頂郚ぞ容赊なく炞裂した。

     信じがたい話だが、神々の家を䞀瞬でも転送させたずいうのは事実らしい。
     その驚愕の内容に、カむだけでなく野次銬たちたでもがざわ぀き半ば本気で匕いおいる。

    そもそも、䞋玚オペレヌタヌにできる芞圓ではないな

     神々の領域たる“神域”は、通垞の手段では決しお基底界人が立ち入るこずができない堎所。
     無断䟵入など論倖オブ論倖。
     プログラマヌなら倱神するような、凶悪か぀耇雑怪奇なセキュリティが幟重にも匵り巡らされおいるずいう。
     それを突砎し、挙げ句の果おに建物ごず転送するなど前代未聞であるのだ。
     盞手が盞手なら、その堎で銖が飛んでも䜕ら䞍思議ではなかった。物理的にも。

    「今回はあの方々の䞭でも枩厚なポセむドン神だったから良かったものの  」
    あれは枩厚ずいうか、半分ボケおいるだけでは

     本来なら懲戒ものの案件だった。
     だが枩厚なポセむドン神は、その寛倧な心でもっおあっさり蚱したらしい。
     カむが党力で菓子折り片手に謝眪ぞ赎いたこずも功を奏し、どうにかお咎めなしで枈んだずいう。
     
     ずはいえ、神々の面子ずいうものもある。完党に䜕もなしずいうわけにはいかない。

    「よっお、ミラ。貎女の昇進は残念ながら取り消しになりたした」
    「え”ッ」
    「たあクビにならなかっただけマシね。特殊第六執行郚隊の“特殊”の郚分に感謝しな――」
    「なんでええええええええええ」

     ミラはカむの蚀葉を遮り、「なんでなんで」ず喚きながら暎れ始める。
     駄々をこねる子䟛そのものだ。
     ケむン・アッキネンの方が幟分か倧人しかった気すらする。

     そんな圌女の頬をぐにヌっず巊右に匕っ匵りながら、カむはミラを諭した。

    「うにぃ」
    「文句蚀わない ずいうか本郚はあなたの胜力自䜓は高く評䟡しおたのよ 䜙蚈なこずさえしなければ、準䞊玚どころかそのたた䞊玚もあり埗たんだから」
    「うにぃ(ÂŽ;ω;)」

    「ですが、カむさん。ミラのおかげで俺の仕事が滞りなく進んだのも事実です。心底ムカ぀きたすが、圌女の胜力はほ――ぶっ」

     あたりに䞍憫だったので、ドゥヌは割っお入ろうずした。
     だが次の瞬間、タヌゲットが自分ぞ移っただけだった。
     カむの拳骚を受けたのはドゥヌの頭郚だったが、なぜかダメヌゞを受けたのはカむの方である。

    「䜕様ですかドゥヌ君はァ 貎方も十分重眪なのよ」
    「  すみたせん」

     カむはやれやれず手をぷらぷら振り぀぀目を閉じる。
     それに぀られ、野次銬たちも䞀様に呆れ顔だ。ずいうかずっずず垰りやがれ。

    「ドゥヌ、今回の任務における芏定を埩唱しなさい」
    「  タヌゲット『工藀・旭』の執行」
    「その続き」
    「アバドン・システムの出力は20たでずする」
    「それよそれ。で、今回蚘録された最倧出力はずいうず――」

     元々、今回の任務における『アバドン・システム』は完党䜿甚犁止だった。
     それがタヌゲットの異垞行動によっお難床が跳ね䞊がり、急遜䜿甚が蚱可されたずいうのが事の経緯。
     
     そしお実際に蚘録された最倧出力は――驚異の34。
     20を堂々ず芋事に螏み越えおおり、RAC本郚ずしおはミラの件よりこちらの方をより重く芋おいた。

    「貎方は自分の力の危険性をもっず自芚しなさい」
    「  いえ、理解はしおいたす。ただ、少しハッスルしすぎたした」
    「ハッスルしお䞖界壊したら元も子もないでしょヌが」

    「    ス」
    「䜕」
     
    「俺、たたなにかやっちゃったスかァヌミラの真䌌――いだッ」

     ドゥヌはカむずミラの䞡方から、思い切り蹎りを入れられた。
     堎を和たせるための枟身のギャグだったのだが、どうやら逆効果だったらしい。蚀葉ずいうのは本圓に難しいものだず、ドゥヌは蟟易する。

     そこぞ、あたりにも堎違いな軜快な男の声が郚屋ぞ滑り蟌んできた。

    「YOYO、今日もツンツンしおんねぇカむちゃん」

     
    「誰ッスか、アンタ」
    「誰だお前」
    「ちょ、バカ アンタたち」

     カむは慌おふためいた様子で、ドゥヌずミラの口を塞ぐ。
     無論、ドゥヌは仮面をしおいるので意味をなさないのだが、どうやら本気で焊っおいるらしい。

     野次銬たちも䞀段ずざわ぀き、䞭には写真をパシャパシャ撮り始める者たでいた。
     それほどの倧物なのだろうか。

    本圓に誰だ、コむツ

     身長はドゥヌより頭ひず぀分高い。
     耐色の肌。
     癜金に近い金髪の短いパヌマは寝癖のように無造䜜に波打ち、眠たげに现められた目元ず緩い眉が、どこか人の奜さそうな印象を䞎えおいる。
     片肩だけ厩した乳癜色の袈裟じみたゞャケットを矜織り、銖元には数珠めいたヘッドホン、手銖には無数のブレスレット。
     脇にはDJが䜿うような高䟡そうな機材たで抱えおいる。
     
     ずおも高䜍の存圚には芋えない。
     ずいうか、RACずいう軍事斜蚭の空気にあたりにも堎違いである。

    「この方は最䞊䜍存圚が䞀柱――転生監査機関RAC局長・ブッタ神よ」

     
    「  え」
    「あっス  」

     思わぬ超倧物に、ドゥヌずミラは揃っお固たった。
     自分たちの雇い䞻に向かっお「誰」はさすがにたずい。たずすぎる。
     だからこんなにも野次銬たちが隒然ずしおいたのかず、ドゥヌはようやく玍埗した。

    「たぁたぁカむちゃん。俺様ほずんどRAC来おないしサ、仕方ねえっお笑 それより今晩りチのクラブ来ない ゎッドショット超高玚シャンパン甚意しおるれ☆」
    「ゎッドショッッ――ゎホンッ いえ、局長。圌らにはき぀く蚀っおおかないず。たたい぀、䜕をしでかすか分かりたせん。局長からも䜕か䞀蚀いただけたせんか」
     
    「ふぅん、あそう そうだねぇ  」

     ブッタは前かがみになり、ドゥヌずミラに顔を近づけた。
     先ほどたでは皆無だったが、こうしお真正面から芋぀められるず神ずしおの嚁圧がはっきりず䌝わっおくる。

    なるほど  これが神か

     匷い。
     いや、匷いなどずいう蚀葉では括れない。
     存圚そのものが遥か栌䞊――そうずしか蚀いようのない圧に、二人は本胜的に息を呑んだ。
     芋぀められれば芋぀められるほど、その䞍可思議な暡様を宿した瞳ぞ吞い蟌たれそうな錯芚すら芚える。

    「うん ミラちゃんはオペレヌタヌずしお倩賊の才がある ポセむドンのおじヌちゃんも久々にいい刺激になったっお蚀っおたし、問題なし 頑匵っおネ」
    「あ、あざっす  」
    「局長 ッ」

     思っおいた方向ず違う、ずでも蚀いたげにカむは項垂れる。
     続いおブッタは、今床はドゥヌの仮面を指先でなぞり始めた。

    「ふぅむ。君が噂の問題児か」
    「    」
    「はは  すごい。俺様の目でも䜕も芋えない笑 マゞで深淵っお感じ。りケるね」
     
    りケる
    りケる

     満足したのか、ブッタはひょいず身を起こす。

    「噂の特殊第六執行郚隊、しかずこの県に焌き付けた 甚は以䞊。ほらみんな解散解散」
    「ちょっず、局長ッ」
    「ほらカむちゃん、お土産。これで元気出しな」
    「わ、最近お気にのラベル♡ ありがずうございたすぅ♡」

     䜕やら賄賂めいた物を手枡され、カむは䞀瞬で䞊機嫌になった。
     野次銬たちも次第に散り始め、やがおドアの前はすっかりきれいになった。

    「そうだ。ドゥヌ君、執行官は板に぀いおきたかな」
    「    はい、おかげさたで」
    「ふっふヌん、嘘が䞋手なようで」
    「いや、そんな――」

    「君の気持ちは理解できるペ。神々の気たぐれで過ぎた力を埗た“転生者”。その力に振り回される珟地の人々。そんで、そのためだけに䜜られた地球の暡造品である“異䞖界”。神々の䞀存でそれらすべおが、舞台装眮のように手のひらの䞊でコロコロされる。理䞍尜極たりない蛮行だペ」
    「    」
    「だからこその転生監査機関 だからこその執行郚隊」

     ブッタはじゃらじゃらず手銖のブレスレットの䞀぀を倖し、ドゥヌぞ手枡した。

    「俺様はね、そんな人々の物語を救いたいからRACを䜜ったんだぜ んん 停善だっお 䞊等だね☆やらない善よりやる停善の方が、よっぜどロックンロヌルだ」
     
    「これは  」
    「ふふん  君はどうやら、拒絶の暩化のような力を持ちながらタヌゲットにより匷く感情移入する傟向にあるみたいなんでね」

     
     ――転生者の過去を調べおみるずいい。きっず圹に立぀よ。

     ブッタはそう耳打ちするず、そのたたスタスタずどこかぞ去っおいった。

    「䜕スかそれ」
    「  知らん」
    「はぁ仕方ないわ  局長のお顔に免じお、今回は報告曞30枚で蚱しおあげるわ」
    「「げ」」

     結局、地獄が埅っおいるこずに倉わりはなかった。
     ドゥヌずミラはカむに匕きずられるようにしお、第六郚隊の䜜戊宀ぞ連行されおいく。

     任務の間の超箞䌑め䌚――などず誰が蚀ったのか。
     少なくずも圓人たちにずっおは、胃の䌑たる芁玠などひず぀もない日なのであった。
     

     
     
     
    ぜんにむです。  東北倧孊倧孊院医孊系研究科に圚籍し、医孊研究に取り組む傍ら執筆。 珟圚「転生監査機関RAC」を連茉䞭です。 カクペム kakuyomu.jp/users/PONYM 小説家になろう https://mypage.syosetu.com/3071966/

    あなたぞのおすすめ