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"䞁寧な暮らし"ができない私が、他人の家を片づけ続けおいる

䞁寧な暮らしができない私が他人の家を片づけおいる

お客様の家の冷蔵庫を開けるたび、その家の「限界」が芋えるようになったのはい぀からだろう。

䜜り眮きが敎列した冷蔵庫。
賞味期限切れの離乳食が抌し蟌たれた冷蔵庫。
猶チュヌハむだけがやけに冷えおいる冷蔵庫。

家事代行の仕事を6幎続けお、私は「片づけられない人」を、少しだけ誀解しなくなった。
今でこそそう思うけれど、最初から悟っおいたわけではない。
むしろ私は、家事代行ずいう仕事を少しナメおいた偎の人間だった。

掃陀でしょ。
料理でしょ。
䞻婊の延長みたいなものでしょ。

そんな気持ちが、れロだったずは蚀えない。
初出勀の日たでは。

最初に䌺った家で、私は犬のトむレの汚れを玠手で拭いおいた。

ご䟝頌のお客様は、私のすぐ埌ろに立っおいた。
「違う違う、先にそっち」
「そこ、もっずしっかり」
少しでも手順を間違えるず、すぐに声が飛んでくる。
「はい」ず返事をしながら、私は心の䞭で思っおいた。


私、䜕しおるんだろう。


その家はずおも綺麗だった。
高そうな゜ファ。
埃ひず぀ない棚。
磚かれた床。
でも、ずっず息がしづらかった。
お客様に悪気があったわけではないず思う。
でも圓時の私には、「家事代行」ずいう仕事そのものが、少し透明人間みたいに感じられた。
いお圓然。
でも、いないもの。

「あ、そこ螏たないでください」

ず蚀われた瞬間、自分が急に巚倧な雑菌になった気がした。
垰りの電車でコンビニのカフェラテを飲みながら、「蟞めようかな」ず本気で思った。
なんのために調理垫になったんだろう。
なんのために理䞍尜な䞋積み時代を過ごしたんだ。あのずきの途方に暮れた垰り道の倕焌けは忘れない。


でも結局、私は6幎続けおいる。
人生、わからない。
家事代行を続けおいるず、「䞁寧な暮らし」ずいうものに䜕床も遭遇する。
朚のプレヌト。
ガラスの保存容噚。
無印良品で統䞀された収玍。
オヌガニック食品。
「きび砂糖はこちらを䜿っおください」ずいうメモ。
冷蔵庫を開けるず、味噌たでおしゃれな容噚に入っおいたりする。
もはや味噌ですら、私よりちゃんずしおいる。
SNSでよく芋る、「䜙癜のある暮らし」そのものだった。
最初の頃は、そういう家に行くたび萜ち蟌んでいた。
それに比べお我が家はどうだ。
床にはアンパンマンのシヌル。
名前のわからないパンくず。
昚日の麊茶。
片方だけの靎䞋。
なぜかリモコンが冷蔵庫に入っおいる日もある。
しかも犯人はたぶん私だ。
お客様の家では、「キッチンリセット完了したした」ず爜やかに報告しおいるのに、自分の家では子ども郚屋たで手が回らない。
ある日、床に転がったたたのパンを発芋した。
「嘘でしょい぀の」
䞀瞬フリヌズした。
倏だったら危なかった。
たぶん数日前のものだ。
毎日芋おいるはずなのに、芋えおいなかった。

子どもがいる暮らしは、ずきどき芖界がバグる。
でも、いろんな家を芋るうちに、「敎っおいる暮らし」が必ずしも幞せそうには芋えないこずにも気づき始めた。

ホテルみたいに綺麗なのに、劙に静かな家。
子どもの声がしない家。
生掻音たで消されおいるような家。
逆に、少し散らかっおいおも、玄関から「おかえりヌ」ず声が聞こえる家もあった。
床にはおもちゃ。
シンクには氎筒。
掗濯物は山。
でも、なんだかあたたかい。
もちろん、どちらが良い悪いではない。
ただ私は、「片づいおいるちゃんずしおいる」ずいう単玔な話ではないのだず、少しず぀思うようになった。
特に忘れられないのは、食物アレルギヌのあるお子さんがいる家庭だ。
調味料ひず぀にも気を遣う。
たな板も分ける。
衚瀺を確認する。
「食べられる」が、そのたた呜に関わる。
䜜り眮きを䜜るだけで、神経を䜿う。
でも、お母さんはい぀も申し蚳なさそうに蚀うのだ。
「すみたせん、散らかっおお」
いや、埅っおほしい。
あなた、生きおるだけで偉業です。
私は心の䞭で毎回そう思っおいる。

悪阻䞭に働いおいた時期もあった。
通勀途䞭、䜕床もホヌムに降りた。
電車の匂いで気持ち悪くなる。
柔軟剀の匂いでもアりト。
駅の立ち食いそば屋のだしの銙りで、ずどめを刺される。
やっず着いた先で、ベランダ掃陀の日だった時の絶望は忘れられない。
しゃがんでブラシをかけるたび、胃がひっくり返る。
「うっ  」
ずなりながら床を磚いおいた。
今思うず、かなり無茶だったず思う。
でも、あの頃の私は、「䌑む」ずいう遞択肢をうたく持おなかった。

家事代行の仕事は、暮らしの裏偎を芋る仕事だ。
冷蔵庫。
掗濯物。
シンク。
子どもの食べ残し。
そこには、その家の「珟圚地」がそのたた出る。
だから私はもう、「片づけられない人」を簡単には責められない。
たぶんみんな、ギリギリなのだ。
時間。
お金。
䜓力。
気力。
䜕かが少しず぀足りない䞭で、それでも毎日を回しおいる。
私も同じだ。
仕事でどれだけ綺麗に片づけおも、自分の暮らしは党然敎わない。
子どもを寝かし぀けながら䞀緒に寝萜ちする。
掗濯物は畳たれない。
倕飯が玍豆ご飯の日もある。
SNSを開けば、「䞁寧な暮らし」が流れおくる。
垞備菜。
知育。
手䜜りおや぀。
すごいな、ず思う。
でも同時に、「今日は生き延びただけで100点」にしたい日もある。
そんなある日、息子がご飯を食べながら蚀った。
「ママのごはんが䞀番おいしい」
たぶん本人は、深い意味なんおない。
でも私は、少し泣きそうになった。
オヌガニックでもない。
映える食卓でもない。
なんならその日は、冷凍逃子だった。
それでも、「ママのごはん」だった。
私はずっず、「ちゃんずした暮らし」をしようずしおいた気がする。
片づいた郚屋。
栄逊バランス。
䜙裕のある母芪。
でも、お客様の家を片づけ続けお、ようやく少しわかった。
暮らしっお、敎えるこずより、「続けるこず」の方が難しい。
シンクに掗い物が溜たる日もある。
掗濯物を畳めない日もある。
冷凍うどんで終わる倜もある。
でも、それでも生掻は続いおいく。
私は今日も、お客様の家を片づける。
そしお垰宅しお、自分の家の掗い物を芋お、䞀回だけ芋なかったこずにする。
それから諊めお、袖をたくる。


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#゚ッセむ郚門

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