イヤーワームと僕:頭の中でループする曲の謎
はじめに
最初に僕の頭の中の半日について話しておきたい。
朝、目が覚めてスマホを手に取る。
ぼんやりと再生ボタンを押しただけなのに、気づけば頭の中で曲が止まらなくなる。
耳の奥で、心の隅で、同じメロディがくるくる回る。
気づけば僕の半日は、いつの間にかその音楽に支配されていた。
最近、ずっと聴いているのは
fhánaというアーティストの「ムーンリバー」。
森見登美彦さん原作のアニメ『有頂天家族2』のED曲で、ボーカルの女性の透き通る高音の声と、美しい日本語の歌詞に惹かれた。
昼ごはんも、その曲のリズムに合わせてかき込む。僕の脳内ではミニコンサートが延々と開かれている。
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イヤーワームという現象
この現象には名前があるらしい。
「イヤーワーム」。
脳科学的には、あるメロディやフレーズが頭の中で無限ループしてしまう状態を指す。
僕は「もうやめたい」と思っても、メロディはお構いなしに流れ続ける。
なぜこの現象が起こるのか。
簡単に言えば、脳が勝手に報酬システムを働かせているからだ。
短くてキャッチーなフレーズが繰り返されると、脳は「また聴くと快楽が得られるかも」と勘違いする。そして僕の頭の中で、同じ曲が永遠に再生される。
脳のせいにするのは簡単だ。
けれど現実は、繰り返しその曲を口ずさんでしまっている自分がいる。
誰かに聞かれたら、「あたおか」と思われること間違いなしだ。
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僕とイヤーワームの才能
イヤーワームは個人差もあるらしい。
創造性の高い人や音楽に敏感な人、精神的に不安定な人などが特にこの現象に悩まされやすいそうだ。僕はどうやら、イヤーワームの才能を持て余しているタイプらしい。
昨日も半日、同じ曲を繰り返して聴き続け、気づけば夕方には完全に曲のリズムに生活が支配されていた。
脳は優秀だが、生活は完全に破壊される。
では、止める方法はあるのか。
もちろんある。別の曲を意図的に聴くことや、手を動かす作業をすることだ。
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イヤーワームにも救いはある
とはいえ、イヤーワームにも良い面があるらしい。脳が情報を整理し、記憶を強化しているサインだというのだ。
つまり、頭の中で曲をリピートするのは、脳が元気で働いている証拠。
半日曲に支配されても、「脳が仕事している」と思えば、少しだけ救われる気がする。
いや、少しだけ。
そして、イヤーワームは感情とも強く結びつく。
特定の曲を聴くと、そのときの思い出や気持ちが再生され、ループに拍車をかける。
僕は昨日、fhánaの「ムーンリバー」を聴きながら半日を過ごした。
曲が流れるたび、ボーカルの透き通る声と歌詞の美しさが、少し切ない感情を巻き戻す。
脳と感情が手を取り合って、僕の半日を支配するのだ。
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逃げられないループ
結局、イヤーワームは逃げられない。
逃げようとしても、脳が勝手に曲を再生し続ける。
けれど、受け入れるしかない。
半日同じ曲を聴いてしまったとしても、「脳が元気に働いている」と思えば少し笑える。
電車の中で口ずさむと、周りの人に変な目で見られるかもしれない。
けれど、頭の中の音楽を止めることはできない。
僕は今日も、半日リピートのメロディと共に微笑むのであった。
「またその曲か、君はしつこいな」と、心の中で呟きながら。
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