ちゃんと嬉しかったことは、ちゃんと覚えていたい
毎日は、
嬉しいことだけでできているわけじゃない。
思い通りにいかないこともあるし、
少し疲れてしまう日もあるし、
気づかないうちに、
気持ちがすり減っている日もある。
そういう日が続くと、
うまくいかなかったことばかりが
心に残りやすくなる。
あの言い方、少し気になったなとか。
あれはうまくできなかったなとか。
もっとこうすればよかったかもしれないとか。
小さなことでも、
引っかかるものは静かに残る。
でも本当は、
その日の中には
ちゃんと嬉しかったこともあったのかもしれないと思う。
たとえば、
思っていたより空がきれいだったこと。
飲んだものがおいしかったこと。
少しだけ気持ちが軽くなる言葉をもらえたこと。
自分でも、ちょっといい顔で笑えていたこと。
帰る場所がちゃんとあること。
そういう小さな嬉しさは、
大きな出来事みたいには残らない。
声をあげるほどでもないし、
誰かに報告するほどでもない。
だから、
気づかないまま通り過ぎてしまうこともある。
でも、
通り過ぎたからといって、
なかったことにしなくていいのだと思う。
嫌だったことばかり覚えていると、
毎日は少しだけ固くなる。
自分に対しても、
世界に対しても、
少し身構えるようになる。
だからこそ、
ちゃんと嬉しかったことも、
ちゃんと覚えていてあげたい。
無理に前向きになるためじゃない。
嫌なことを打ち消すためでもない。
ただ、
今日という一日の中にあった
やわらかいものを、
見落とさないでいたいだけだ。
うまくいかなかったことがある日にも、
少し救われた瞬間はあったかもしれない。
疲れていた日にも、
一度くらいはほっとした時間があったかもしれない。
そういうものは、
小さいけれど、
ちゃんとその日を支えている。
嬉しかったことを覚えておくのは、
楽しかった日だけじゃない。
むしろ、
少ししんどかった日ほど、
思い出してあげたほうがいいのかもしれない。
今日は疲れたな、で終わるより、
でもあの瞬間は少しよかったな、と思えたほうが、
夜の空気は少しだけやわらかくなる。
全部がよかった日にしなくていい。
全部を好きにならなくていい。
でも、
ちゃんと嬉しかったことがあったなら、
それはちゃんと覚えていていい。
忘れやすいものほど、
意識して大事にしてもいいのだと思う。
今日の中にあった
小さな嬉しさ。
小さな安心。
小さな救い。
そういうものを、
あとからでもいいから
そっと拾いなおせる人でいたい。
毎日はたぶん、
嫌だったことだけでも、
嬉しかったことだけでもできていない。
いろんなものが混ざっていて、
その中で少しずつ
自分の気持ちは動いている。
だから今日は、
ちゃんと嬉しかったことは、
ちゃんと覚えていたいと思う。
小さいままでもいい。
言葉にしきれなくてもいい。
それでも、
たしかに今日の中にあった
やわらかいものとして。
