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Photo byyoko0marly

手をにぎる

    去年の今ごろは年度末決算と義父の闘病で、何をどうしていたのか、無我夢中だった。

    プリンを買って、義父に食べさせ、そして手をにぎった。

    義父はなぜ、手をにぎってほしがったのだろう。

    結婚以来、義父のことではあまりいい思い出はなかったけれど、行くたびに手をにぎってくれと言われ、それが唯一の親孝行となった。

    大好きだった父の看病が存分に出来なかったこと、それを義父にすることは、後悔のようでもあり、反抗のようでもあり、全てを乗り越えることでもあった。

    今際の際に、義父が私に話したこと。
    親への反抗心を、何十年たっても忘れないなんて。

    愛されたかったんだ…と思った。

    義母や家族を思いどおりにしたがった義父は、本当は寂しかったんだ。

    私の悲しさや悔しさ、あれは傷つきなのか、今はもう緊張感もなく癒えている。

    実家の父の遺言は「すべては愛より始まる」と締めくくられている。
    全く性格の違うふたりの父から、愛こそ大切であることを私は教わった。

    今こうして書いている間にも、生命の灯火を燃やしている人がいる。

    どうか穏やかでありますように。
    にぎった手から手へ、愛が伝わっていますように。

     
     
     
    働きながら書いてきたエッセイをまとめ、初めての単著『深煎りのモカを片手に』2025年夏上梓。 交流分析でNP高めなお母さん体質。 相手の心を受けとめる産業カウンセラー。

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