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掌線小説『ミスタヌ』ず呌ばれる男

    秀屋重人はかりや・しげず、䞉十二歳。

    持った瞬間、重さがわかる男。
    誀差、±1グラム。

    掟手じゃない。
    空も飛べないし、未来も芋えない。

    ただ、重いか軜いかが、わかる。

    そしお圌は、なぜか“300グラム”だけは倖したこずがなかった。

    だから瀟内ではこう呌ばれおいる。

    「ミスタヌ300」

    本人は、あたり気に入っおいない。


    ◆ 䌚議宀の戊い

    ある日、新商品開発䌚議が開かれた。

    テヌマは
    「女性向け・ぎったり300グラム匁圓」

    ヘルシヌで、眪悪感がなく、でも満足感はある。

    郚長が宣蚀する。

    「誀差は蚱さん。ぎったり300だ」

    開発郚がざわ぀く。

    「秀屋、持お」

    重人は匁圓箱を持぀。

    「  302」

    「䜜り盎し」

    次。

    「  298」

    「惜しい」

    䞉床目。

    「  301」

    沈黙。

    そのずき、新人の山本がぜ぀りず蚀った。

    「  いや、蚈りでよくないっすか」

    䌚議宀、凍る。

    郚長がゆっくり振り向く。

    「山本、うちの䌚瀟の誇りを吊定するのか」

    山本、たじろぐ。

    郚長は机を軜く叩いた。

    「今たで、こい぀——ミスタヌ300に䜕床も䌚瀟は救われたんだ」

    ざわめき。

    「皆、去幎の物流トラブル、芚えおいるな
    出荷予定のサンプルが“300グラム芏栌”を満たしおいなかったあの件だ」

    䜐䌯がうなずく。

    「あのずき秀屋が持っお䞀発で“298グラム”ず芋抜いた。
    あれがそのたた出おいれば、クレヌムは300件は来おいただろう」

    重人、静かに座っおいる。

    郚長はさらに続ける。

    「さらに䞀昚幎、展瀺䌚でサンプルを間違えお入れ替えたずきもそうだ。
    こい぀が“重さが違う”ず気づかなければ、契玄は300䞇円分、ふっ飛んでいた」

    空気が倉わる。

    郚長、胞を匵る。

    「秀屋は、我が瀟の最埌の砊だ」

    沈黙。

    山本が小さく手を挙げる。

    「  それも蚈りでいけたすけど  」

    䞀瞬の静寂。

    䜐䌯、吹き出す。

    皆、机に突っ䌏し肩をゆらしおいる

    郚長、顔が赀い。

    重人、ぜ぀り。

    「ちなみに、今日郚長が持っおきた匁圓、545グラムです。食べすぎです」

    倧爆笑。

    「量るな」

    「誀差±1グラムです」


    その匁圓はヒット商品になった。

    売䞊目暙、300䞇個。

    瀟内衚地、副賞は我瀟のミネラルりォヌタヌ300本

    「語呂合わせやめたせん」

    ず山本。


    ◆ 300本のバラ

    別の日。

    䜐䌯が真剣な顔で蚀った。

    「俺、プロポヌズするわ」

    「おお、それはすばらしい」

    「300本のバラ、甚意した」

    重人は静かに蚀う。

    「重いぞ」

    「ロマンだよ」

    ホテルの䞀宀。

    花束を持たされる重人。

    目を閉じる。

    「  」

    「  」

    「これ、297本分の重さだ」

    「はたじで」

    数え盎す。

    本圓に297本。

    花屋のミス。

    䜐䌯、青ざめる。

    「終わった  」

    そのずき、ドアが開く。

    圌女が入っおくる。

    䜐䌯は震えながら告癜する。

    花束を枡す。

    圌女が䞡手で受け取る。

    その瞬間。

    重人が小さく぀ぶやく。

    「  300」

    䜐䌯が振り向く。

    「䜕が」

    重人は少し笑う。

    「ちょうど300になった」

    圌女は涙ぐみながら答える。

    「はい。よろしくお願いしたす」

    拍手も音楜もない。

    ただ、ふたりの呌吞だけが重なる。

    指茪を枡す。

    重人が䜕気なく持぀。

    「30グラム」

    「空気読め」


    ◆ 垰り道

    垰り道、䜐䌯が蚀う。

    「なあ、本圓に300になったのか」

    「ああ、圌女がもった瞬間な」

    倜颚が冷たい。

    「どういう理屈だよ」

    「圌女自身がバラそのものになっただろ」

    䜐䌯は倧きくうなずいお重人の肩をたたいた。

    「今の300点満点䞭」

    「298」

    「惜しいな」

    二人は笑う。


    秀屋重人は思う。

    䞖界は重さでできおいる。

    スマホも。
    匁圓も。
    花束も。

    でも。

    ちょうど300になる瞬間は、
    だいたい、誰かが觊れたずきだ。

    胜力は地味だ。

    ヒヌロヌにもなれない。

    でも今日も、誰かの䜕かを、少しだけ正確にする。

    それだけで、悪くない。

    人生も。

    だいたい、ちょうどいい重さでできおいる。

    ヌヌヌ
    あずがき

    こちらの短線は、
    #300note祭りに参加するために出したした。
    はじめは、真面目に色々300に関するこずを考えおたんですが、
    ちょっずふざけたほうが面癜いネタになるかもず思っおこれにしたした。
    読んでくれた方が、「ふふっ」おなっおくれるず嬉しいです。


     
     
     

    KAi_ss

     
     
    50代から、新しい䞀歩を。 人生で出䌚った喜びや迷い、別れや垌望を、詩ず音楜にのせお綎っおいたす。 「もう遅すぎる」「いたさら」は、きっず思い蟌み。 いく぀になっおも、新しい物語を始められる。 この堎所が、誰かの心を少しだけ軜くし、 明日ぞ歩き出すきっかけになればず願いをこめお。

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