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どうすれば一緒に生きれたか 9

【あらすじ】
「子どもを産まなければ、私は彼と生きていけないかもしれない。」
33歳の徹子は、長年連れ添った恋人との結婚を望みながらも、子どもを持つ未来だけは受け入れられずにいた。恋人は子どもを望んでいる。徹子もその願いを知っている。それでも、母親になることを考えるたび、自分の人生が少しずつ失われていくような感覚から逃れられない。
年齢への焦り、愛する人を失うかもしれない不安。徹子は「母親になれない自分」を何とか変えようとするが、頑張れば頑張るほどかえって自身の本心を浮かび上がらせていく。
誰も悪くない。それでも、愛だけでは越えられない隔たりがある。
これは、一人の女性が「愛されること」と「自分であること」のあいだで揺れ続けた末に、自らの答えを選び取るまでの物語である。

最終章

休日、花が見事に咲き乱れる庭園にいた。マグカップでオレンジジュースを飲みながらお母さんが庭いじりをしているのを眺めていた。
あっという間に桜は全部散ってしまった。あの春の雪景色のような光景から、今はすっかり新緑の柔らかい緑が揺れている。来年の桜が咲く頃、私は一体どうなっているんだろう。子どもの手を引いて桜を見上げる自分の姿が一瞬思い浮かんだ。急いで打ち消すために、あの花なんだっけ、と指さした。
お母さんは顔を上げて、モッコウバラ。今年も見事でしょ、と言って目を細めた。本当は分かっていた。モッコウバラが庭全体を覆い尽くすこの光景は、昔からお母さんの自慢だった。物心ついた頃から毎年春になると庭中がモッコウバラに包まれていくのは、子どもながらに夢のようだなと思ったのを覚えている。
「全部おばあちゃんが植えてくれたのよ」
毎年私の誕生日にこうやって手のかからないお花を植えに来てくれたの、とお母さんは花たちを抱きしめるように両手を広げた。
「すごい愛だね」

 
 
迷ったり、寂しくなったり、それでも人生をやっていく人へ。 思い通りにならない夜に、壁をコンコンと叩くように「私もここにいるよ」と伝えたくて、 私もどこかで人間やりながら、エッセイと小説を書いています。 https://lit.link/enjoyoshiri

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