眠りを妨げる邪魔者は、わたし自身だった。あと1時間、眠りたい。
あと1時間、眠りたい。ここ最近、毎朝そう思ってる。
気づいたら目が覚めてしまって結果的に睡眠時間が短いというのは悪いことなんだろうか。それがわからないまま、平均睡眠時間4.5時間の状態がこの1年ほど続いていた。
「わたしショートスリーパーなので」と強がっていたら、案の定というか、体と心に不調がきた。
やる気が出ない。頭がピリピリ痛い。
常にだるい、眠い。
いよいよやばいなと気づいたのが5月の半ば。
よし、7時間睡眠確保しよう。と思い立った。
そこから1ヶ月、ようやく平均6時間睡眠できるようになった。
でもあと1時間が足りない。
とはいえ、眠れる時間が6時間まで伸びるようになって、身体の感覚は変わった。だるさが軽減されてきた。
眠れるようになったのは、わたしは無意識に自分を傷つけていたのかもしれないということに気づき、自分を労ることを覚えたからだった。
平均4.5時間睡眠
目が覚めて、スマホを探す。
6:24
0:00すぎにベッドに入ったけれど寝落ちする直前にみた画面は2:00を過ぎていたから、だいたい4時間ちょっとの睡眠。これが日常だった。
毎晩、早く寝よう。たくさん寝よう。と思って0:00には布団に入るのに、眠れない。
目を閉じて、じっとして、眠ればいいのに、ただそれだけなのに、目を開けて仰向けにスマホをかかげて意味のない情報を追ってしまう。なんなら起き上がって仕事を始めちゃう。別に今どうしても読みたいわけでもない本を片っ端から読んでいく。
スマホを閉じようと思うと、仕事の思考を止めようと思うと、本を読むのをやめようと思うと、頭のなにかが邪魔する。そしてまた開いてしまう。
体を動かせば眠れるかと思って、去年の12月31日からジョギングをはじめた。筋肉痛になって心地よい疲れがきた。でも睡魔は訪れない。
休みたい、でもなにかしたい
走るようになってからしばらくして、時間制限のない大会の10kmコースにでることが目標になった。
小中の9年間、毎年冬のマラソン大会が憂鬱で冬嫌いだったのが嘘みたいだ。
前日までなら誰でも申し込める大会は、川べりを自分のペースで走ればいいというゆるいもの。
大会の前日も、4時間睡眠だった。初めての大会は、5月の日差しが暑くて、風のない中走るのがしんどくて、当然ビリで、それでも楽しかった。
この日を境に、私の中で何かが変わった。
大会で走ってみるという目標が達成されたあと、わたしは次の大会を目指すのかと思ってた。
これは私の性格が、最上志向と達成欲が強すぎるプロマネ嗜好なことに起因する。
いつも次の何かに向けて自分を追い込みがち。休みたいけど何かとりかかってるものがないと落ち着かない。
変化に気づいたのは、走る目的が、ただ気持ちいいから、に変わっていたことからだった。
走る時間が、距離が、1時間でも15分でも、10kmでも2kmでも、なんでもよくなった。
もっと早く、もっと長く走れるようになりたいと思って情報を集めるし、それを試すのは楽しいけれど、「走るからにはフルマラソン」みたいな大きな目標をたてがちな私が、日々のささやかなジョギングに楽しさや充実感を感じられるようになった。
その頃から、本腰を入れて体調を立て直そうという気持ちになってきた。
そうなれば無視できないのが、睡眠。
5月の半ばには睡眠不足から来ていると思われる数々の不調を感じるようになってきていて、いよいよどうにかしないとという気持ちになっていた。
そして気づいた。
いや、寝れば良くね?
自分を甘やかすことにしたら、するすると睡眠時間が伸びた
寝ようとしている自分を邪魔しているのは、自分自身だった。そのことに気づいてから、邪魔者である私を排除する方向に全振りすることにした。
わたしは、わたしを傷つけるものからわたしを守る義務がある。
だって明日も走りたいし。
まず、私の視界が眩しくないように、本を手に取ったりできないように、布団に入った瞬間に電気を消す。
タイマーで30分間だけ、マッサージ屋さんで流れてくるような音楽をかけ、自分をリラックスさせてあげる。
邪魔者(私)がスマホを手に取らないように、ロックできるケースにスマホを物理的に仕舞い、遠ざける。
そうしたら、音楽が止まる前にこてんと眠れる日が増えてきた。
あと1時間、眠りたい
目が覚めて、スマホをロックされたケースから取り出す。
6:10
0:00すぎにベッドに入ったから、だいたい6時間ちょっとの睡眠。頭が軽い。
目標の7時間まであと1時間、されど1時間。
あと1時間、長く眠れたら。
きっと、肩や首のだるさがなくなり、こめかみの奥のピリピリと目の下のクマは完全に消え去り、台風は進路を変え、地球温暖化が改善し、世界に平和が訪れる。きっと。
だから私は今日も自分を甘やかす。
