
BANI時代のマーケティング
昨晩、就職活動を始めている
大学3年生の後輩たちに、
ちょっとしたアドバイスをする
機会がありまして、その際、
いわゆる「VUCA」について
触れました。
ご承知の通り、「VUCA」とは
Volatility(変動性)
Uncertainty(不確実性)
Complexity(複雑性)
Ambiguity(曖昧性)
の頭文字を取ったもので、
一言で言えば「正解のない世界」
になったことを指す概念だと
言えるでしょう。
この「VUCA」では、
現実の世界はもはや説明する
ことは難しいとして、
「BANI」という概念が出て来て
いるのはご存知でしょうか。
「BANI」とは、以下の言葉たちの
頭文字をつなげたものです。
Brittle(脆弱性)
Anxious(不安)
Non-linear(非線形性)
Incomprehensible(不可解・理解不能)
それぞれがどのような意味かを
簡単に見ておきましょう。
Brittle(脆弱性)とは、
一見頑丈そうに見えるシステムが、
実は非常に脆く、ある日突然崩壊する
可能性がある状態です。
Anxious(不安)は、
次に何が起こるか分からず、人々が
常に不安や無力感を抱えている状態。
フェイクニュースの拡散や、過剰な
情報もこれを加速させます。
Non-linear(非線形性)は、
原因と結果が直線的に結びつかない
状態で、ほんの小さな出来事が、
予測できないほどの巨大な連鎖反応
(バタフライ効果)を引き起こす
ことがあります。
Incomprehensible(理解不能)は、
データや情報が多すぎる、あるいは
事象が複雑すぎて、人間が論理的に
理解したり、正しい答えを導き出し
たりすることが不可能な状態です。
「VUCA」のときは、
不安定で複雑だけど、洞察力を磨けば
なんとか予測・対応できるかもしれない、
そのような受け止め方が一般的だったと
言えるでしょう。
しかし「BANI」となると、
脆くて予測不能であり、そもそも人間の
理屈では理解できないレベルに達して
いるという、正に現代の
「もう何が起きてもおかしくない」
という空気感を端的に表した用語です。
こんな「BANI」の時代に、
従来通りのマーケティングが
想定通り機能するかと言えば、
なかなか難しいだろうということが
容易に推測できるでしょう。
では、これからのマーケティングが
「どう変わるか」
「どう変えるべきか」を、
少しばかり考えてみましょう。
一つには、計画を完璧につくるという
発想をあきらめて、「予測」よりも
「適応」重視へと舵を切る、という
方針が挙げられます。
数年単位、年度単位の計画を作った
ところで、瞬時に状況が変わって
しまう以上、無駄や手戻りが多く
なってしまうでしょう。
であれば、
いわゆる「アジャイル(機敏)」な
マーケティングへと移行するべき
なのです。
二つ目に、お客様の「不安」を解消
するべく、「共感と信頼」を構築する
ために寄り添う姿勢が、今まで以上に
強く求められるに違いありません。
いわゆる「煽り」広告などは、
今後は今まで以上に敬遠されることに
なるのではないでしょうか。
「ブランドの誠実さ」が重視される
時代と言ってもいいかもしれません。
売り逃げ、焼き畑的マーケティングは
早晩通用しなくなるはずです。
三つ目に、何が当たるか分からない、
分かりにくい状況を踏まえ、
「非線形」なヒットを生むためには、
積極的に小さくテストをする「実験」を
分散的に仕込むことがより重要になると
言えるでしょう。
ヒットやホームランを狙い過ぎず、
フォアボールやデッドボールも含めた
出塁をとにかく増やすために、
打席に立つ回数をひたすら増やす
戦略を取るのです。
以上の「BANI」時代のマーケティングで
大切なのは、
コントロールしようとするのを諦め、変化の波に最も早く乗れる心理的・組織的体制をつくること
だとまとめておきます。