
AI検索の裏で走る検索を20倍速くする技術(2026年9月)
AIモードに1つ質問すると、裏では1回ではなく何回も検索が行われています。
この仕組みはQuery Fan-Outと呼ばれ、AI検索に引用されるかどうかを左右する入り口です。2026年9月15日、Googleの研究チームがこのQuery Fan-Outを最大20倍速くする新しい技術、R4Tを発表しました。あなたのサイトが引用されるかどうかにも関わる話なので、仕組みから順番に説明します。
Google ResearchによるR4Tの発表(2026年9月)

・AIは1つの質問を裏で複数の検索に分けている
・Googleが分ける処理を最大20倍速くする技術を発表
・小さなモデルで大きなモデル並みの質を保つ
Bypassing inference bottlenecks: Accelerating complex AI search with Retrieve-for-Train
まずQuery Fan-Outとは
Query Fan-Outは、ユーザーの1つの質問を、AIが複数の小さな検索に分けて同時に調べる仕組みです。Fan-Outは扇が広がるという意味で、1つの質問から検索が扇状に広がる様子を表しています。Googleは2025年のGoogle I/Oで、AIモードがこの方法で答えを作っていると説明しています。
たとえば「従業員50人の会社に合う勤怠管理システム」と聞いた場合、AIは裏で次のような検索を行います。
・勤怠管理システム 中小企業 おすすめ
・勤怠管理システム 料金 1人あたり
・勤怠管理システム 給与ソフト 連携
・勤怠管理システム 導入期間
それぞれの検索で見つけたページを読み、1つの答えにまとめます。つまりAI検索では、ユーザーが入力した言葉そのものではなく、AIが分けた小さな検索ごとにページが選ばれています。
R4Tは何を解決するのか
Query Fan-Outには2つの課題がありました。1つ目は時間です。従来の方法では、AIが小さな検索を1文字ずつ順番に書き出すため、検索の数が増えるほど時間がかかります。Googleによると、大量の処理をまとめて行う条件では50秒近くかかる場合がありました。
2つ目は中身です。AIに検索を分けさせると、「勤怠管理システム 比較」と「勤怠管理システム 比べる」のように、言い換えただけの検索ばかり作ってしまう傾向がありました。これでは検索を増やしても、集まる情報はほとんど変わりません。
R4Tはこの2つを同時に解決します。まず大きなAIモデルに、良い分け方を強化学習で覚えさせます。評価の基準は3つです。実際に検索して見つかる内容か、切り口が十分に違うか、元の質問からずれていないか、の3点です。次に、その大きなモデルの出力を手本にして、5390万パラメータの小さなモデルに同じ分け方を覚えさせます。
小さなモデルには拡散モデルという方式が使われています。検索を1つずつ順番に作るのではなく、すべての検索を一度に作ります。その結果、従来の方法と比べて12倍から20倍速くなり、50秒近くかかっていた処理が1秒未満から数秒で終わるようになりました。先ほどの勤怠管理システムの例で言えば、言い換えを並べるのではなく、料金、給与ソフトとの連携、打刻の方法といった違う切り口の検索を一度に作るイメージです。
なお、論文は2026年3月に公開されたもので、今回のブログではGoogle検索やAIモードに導入済みかどうかは書かれていません。海外メディアの中には導入の可能性を指摘する声もありますが、現時点では研究段階の発表として受け止めるのが正確です。日本語の検索にいつ、どの程度反映されるかもわかっていません。
言い換えではなく切り口の違う検索が増えていく未来
R4Tが示しているのは、AI検索がこれから「速く」「たくさん」「違う切り口で」検索するようになる方向性です。検索を分ける処理が速くなれば、1つの質問に対して今より多くの小さな検索を使えるようになります。
その時に選ばれるのは、キーワードの言い換えを並べたページではありません。1人あたりの料金はいくらか、今使っている給与ソフトと連携できるか、導入にどれくらいかかるかといった、具体的な切り口に答えているページです。Googleが言い換えだけの検索を減らす方向で研究していることは、同じ内容を言葉だけ変えて量産する対策の価値が下がることを意味します。
一方で、どの切り口で検索するかを決めるのはAIです。サイト側からは見えない検索で選ばれるかどうかが決まる構造は、これまでのキーワード順位の考え方だけでは測れない部分が増えることも意味しています。
AIが分けた検索のどれかで選ばれるページを作る方法
① 1つのテーマを読者が次に知りたい切り口ごとに書き分けます。
主なキーワードだけでなく、料金、手順、比較、注意点、向いている人など、読者が次に気にする切り口を洗い出します。それぞれに見出しを立てて答えることで、AIが分けた小さな検索のどれかに当てはまる確率が上がります。
② 見出しの直後に結論を短く書きます。
AIは小さな検索ごとにページの一部を読みます。見出しで問いを示し、その直後の1から2文で答えを言い切る構成にすると、該当する部分をAIが見つけやすくなります。
③ 自社の重要な質問をAIモードに入れて答えの切り口を確認します。
自社サービスに関わる質問を実際にAIモードで検索し、答えがどんな観点で組み立てられているかを確認します。自社サイトが答えていない観点があれば、それが次に書くべきコンテンツです。
AIがどんな切り口で検索しているかを洗い出し、選ばれるページの設計まで、ピフティーが一緒に進めます。