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ギャグ小説 | 🇮🇹小町がゆく🇮🇹(俳句達人伝・伊太利修業編)

    山根あきら | 哲学者



    前書き的な


    「俳句達人伝」の続編ですが、「俳句達人伝」をお読みにならなくても大丈夫です。

    🔖俳句など
    1つもないのに
    達人伝 チャオ!🔖



    (1)


     芭蕉の影を追いかける国内での旅を終えた小町は、いつしか、俳句による世界征服を企図するようになっていた。

    「私の俳句は国内においては無双だ。けれども世界は広い。俳句の達人はきっとイタリアにいるにちがいない」

     なぜ伊太利なのか?
     明確な理由は、小町にはわからない。しかし、伊太利男性がほんの数秒で女性を口説き落とす技量は、俳句のそれと似ていなくもない。いつしか小町は、真の俳句の達人は伊太利人においてほかにない、と確信するようになっていた。


    「ひゃ~、ここに来ると、伊太利に来たって感じがするわ~」

     トレビの泉を見ながら、いつもツンデレ・キャラを忘れて、小町は、はしゃいだ。すると、1人のイタリア人男性が小町に近寄ってきた。

    🔖お嬢さま
    ここへようこそ!
    トリビアの🔖

     小町は恐れおののいた。
    「いきなり俳句でナンパしてくるなんて!!しかもここ、トリビアじゃねぇし。よーし、こちらも俳句で反論してやるか!」

    🔖パスタ食べ
    ボーノ!ボーノ!と
    ほのぼ~の🔖

     そのイタリア人は大声で笑い出した。

    「あなたは小町さんでしょう? なかなかうまい俳句ですね。あなたの名声は、このローマにも、とどろいているのです」

    「へっ?そうなの?」
     小町は危うく喜びそうになった。しかし、一瞬あとには、ふてくされた。

    「この俳句の達人である私に向かって、『なかなか俳句がうまい』とは。何様のつもりかしら?よし、俳句で反論してやるか!!」

    🔖トリビアと
    トレビの泉
    ちがうわよ! チャオ!🔖

    「ははは'`,、('∀`) '`,、。じゃあ、私も小町さんに反論しましょうかね😊」

    🔖なんやかて
    ぼくに関心
    あるのでしょ?🔖

     小町は愕然とした。こんなに早い俳句のレスポンスがくるなんて!!
     負けてたまるか!!

    🔖バカじゃない?
    負けるな小町
    ここにあり👊 チャオ!🔖

     男は大笑いしていた。この小娘、うわさにたがわず、気の強い女の子だな。では、ここで俺様の秘密兵器の俳句を披露することにするか。。。

    🔖小町さん
    僕はただただ
    ティアーモよ🔖

     小町はキョトンとした。「ティ アーモ」って確か「愛してる」だったような。
     意味がわかってから、嬉しいというよりも、会って間もない私に「愛してる」というのは、軽率すぎるのではないか、と思えてきて、こう言った。

    🔖オッサンが
    みさかいもなく
    一目惚れ       チャオ!🔖

    ついでにもう一句。

    🔖バカじゃない?
    安い女じゃ
    ありません   チャオ!🔖

     小町の俳句を聞いた男は、腹がよじれるほど笑った。

    「小町さん、最高だよ!若い女の子に、ガチで怒られるのが僕の夢だったんだよ。本当にどうもありがとう」

     小町はまたまたキョトンとした。あれ、私、もしかして、敵に塩を送ってしまったのかな、と。
     まぁ、でもいいか。この男は使えそうだから、道案内役でもしてもらおうかしら?

    🔖好きならば
    勝手について
    来なさいよ   チャオ!🔖


    (2)


    🔖ところでさ
    あんたの名前
    なんちゅーの?  チャオ!🔖

     男の名前を聞いていないことに気づいた小町は尋ねた。

    🔖マリオだよ
    アンドレアって
    呼んでよね🔖

     小町はその答えを聞いて、不思議に思った。なんで本名が「マリオ」なのに「アンドレア」と呼ばなければならないのか、さっぱりわからない。ま、名前なんかどうでもいいか。。。

    🔖わかったわ
    アンドレアって
    呼んどくよ  チャオ!🔖

     アンドレアは大笑いした。

    🔖ボクのギャグ
    意外とイケてる
    そうだろう?🔖

     なめるなよ!、と小町。

    🔖バカだけど
    あんたに合わす
    小町かな   チャオ!🔖

     二人は仲の良いバカップルのように、街を歩き始めた。


    (3) 


     ローマの夕暮れは、まるで溶かした杏ジャムを街にぶちまけたみたいにオレンジ色だった。二人はコロッセオの影を踏みながら、肩を並べて歩く。

    🔖コロッセオ
    「殺せよ!」みたい
    残酷ね    チャオ!🔖

     小町がぽつりと言うとと、アンドレアはニヤっと笑って即座に返した。

    🔖でも今は
    僕は小町に 
    ティアーモさ チャオ!🔖

    「はいはい、また『ティアーモ』ね。軽い男は嫌いよ」 
     小町は口ではそう言いながら、なぜか足取りが軽い。自分でも不思議だった。

     こんな調子で歩いてると、本当に俳句で世界征服どころか、アンドレアに心を征服されちゃいそうじゃない?

     二人は広場へ向かった。階段に腰掛けて、ジェラートを舐めながら(小町はピスタチオ、アンドレアは当然ストロベリー)観光客の波を眺めた。

    🔖多すぎる
    人が俳句の
    邪魔なのよ チャオ!🔖

    「小町さん、俳句ってそんなに大事?」

     アンドレアが真顔で聞いた。小町はちょっと驚いた。こいつ、いつもの調子じゃなくて。

    「当たり前でしょ。私、小町だよ! 俳句がなかったらただのツンデレ観光客の女の子じゃない」

    🔖それもまた
    可愛いけどね 
    ティアーモさ チャオ!🔖

    「だから『ティアーモ』って言うなってば!」

     小町は頬を膨らませた。でも、なんだかんだ言って、もう怒ってる演技だって自分でもわかってた。

     すると、アンドレアが急に真剣な顔になって言った。

    「ねえ、小町さん。本当はさ、僕、イタリアで一番の俳句の使い手なんだよ」

     小町の耳がピクリと動いた。

    「……は?」

    「日本の俳句に惚れて、もう15年。伊太利語俳句を詠んでるけど、やっぱり日本語の五七五が最高でね。実はボク、小町さんの句、全部読んでるんだ」

     小町はジェラートを落としそうになった。

    🔖ホントかよ?
    嘘でしょ?あなた 
    ライバルか? チャオ!🔖

    「ライバルっていうか。弟子にしてくださいって感じかな」

     アンドレアは照れくさそうに頭をかいた。その瞬間、小町の中で何かが弾けた。 

    「あ~、もう!俳句で世界征服とか言ってた自分がバカみたい! もうここに来る前から伊太利を征服してたってことじゃん!あ、でも、でもね。アンドレアに征服されるのも、悪くないかもな」

    🔖アンドレア
    小町を落として
    みなさいよ!  チャオ!🔖

     アンドレアの顔が真っ赤になった。

    🔖マジですか!? 
    今すぐここで
    「愛してる?」 チャオ!🔖

    「冗談よ、バカねぇ! でもさぁ…」

     小町は小さく笑って、空を見上げた。ローマの空は、まるで巨大な俳句みたいに広く、優しかった。巨大な俳句って、イミフだけど。

    🔖伊太利も
    そんなに悪く
    ないかもね  チャオ!🔖

     アンドレアは、呆然としながらも、最高の笑顔で答えた。

    🔖小町さん
    それってボクに
    プロポーズ?  ティアーモ🔖

    「何だそれ? アンドレア。ってゆーか、あなたの本名は『マリオ』だったわよね? マリオのくせに、なんでアンドレアなの?」

     でも、小町の手は、もうすでに、アンドレアの手をしっかり握っていたのだった。


    つづく……のか?

    https://note.com/piccolotakamura/m/m2de18be53bd2


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    初投稿2021/08/08。毎日投稿。2023年から個人企画「青ブラ文学部」。英語、ことば、文学、哲学、数学、時々noteのことなどを書いています。 『星空の恋の方程式』で創作大賞2025中間選考通過。『算数の時間 | 分数を理解しよう!』で「今日の注目記事」に選出。

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