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連載小説(38)漂着ちゃん

    山根あきら | 哲学者

     およそ1年振りに収容所の地下室に行くことになった。地下室で待っているのは本当に所長だろうか?それともエヴァだろうか?

     しかし、いずれにしても私には地下室に向かう以外の選択肢はなかった。指定された日時は刻々と迫ってきた。


     地下室へ向かう朝、ナオミは微笑みながら言った。

    「じゃあ、お気をつけて。ご無事に帰っていらっしゃることをお祈りしています」

    「何かあったら、ヨブをよろしく頼む」

     前回地下室へ向かったときと同じように、部屋を出ると無表情の護衛官が二人立っていた。

    「では、参りましょうか」


     地下室へ向かう時にはいつでも緊張感を伴うものだが、慣れるということはない。毎回新しい緊張感を伴う。
     待っているのは、エヴァなのか、それとも所長なのだろうか?

    「着きました。では、我々は部屋の外でお待ちしております。ごゆっくり」

    「ごゆっくりとは余計なお世話だ。お前らAIロボットとは違うのだ」という言葉が喉元まで出かかったが、私は無言で地下室の扉に手をかけた。

     扉の向こうにいるのが、エヴァだろうが所長だろうが、なるようになれ!

     自らを奮い立たせて中に入ってゆくと、予想だにしない人物が待っていた。


    …つづく


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    初投稿2021/08/08。毎日投稿。2023年から個人企画「青ブラ文学部」。英語、ことば、文学、哲学、数学、時々noteのことなどを書いています。 『星空の恋の方程式』で創作大賞2025中間選考通過。『算数の時間 | 分数を理解しよう!』で「今日の注目記事」に選出。

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