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短編 | 親子カップ麺

     数年ぶりに実家に帰った。予告なしで。

    「あら、まぁ」母はひどく驚いていた。
    「前もって一本電話してくれたらよかったのに」

    「あら、どうしよう。何も用意していないわ。ご飯は食べたの?ごめんね、これしかないわ」

     差し出されたのは、カップ麺のそば2つ。

    「ちょっと待っててね」
     母はお勝手に向かって、やかんに水を注ぎ、ガスレンジに載せた。

     ぷゅーっという音が聞こえた。
    「蓋を開けておいて」

     お湯を注いでくれた。つけっぱなしのテレビから歌が聞こえた。

    「最近の紅白は知らない人ばかりね」
    「まぁ、そうだね。紅白を見て初めて知る歌手もいるね」

     一曲終るごとに、ふたりでそばをすする音が響いた。ぼっーとテレビを見ている間に「ゆく年くる年」が始まった。

    ゴ~ン

    「明けましておめでとう」
    小さな声で母が言った。

    「あら、もう帰るの?ゆっくりしていったら?」
     そのまま、実家をあとにした。

     アパートについた。一人でカップ麺のそばを食べた。さっき食べたそばと同じ。腹は満たされたが、今度はあまり美味しいとは思えなかった。




    #短編小説
    #親子カップ麺
    #note書き初め


     

     

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    初投稿2021/08/08。毎日投稿。2023年から個人企画「青ブラ文学部」。英語、ことば、文学、哲学、数学、時々noteのことなどを書いています。 『星空の恋の方程式』で創作大賞2025中間選考通過。『算数の時間 | 分数を理解しよう!』で「今日の注目記事」に選出。

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