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連載小説(22)漂着ちゃん

    山根あきら | 哲学者

    「あなたは責任感が強い。二児の父親になった今、もう自殺を考えることはないでしょう。何か意見はありますか?」

    「意見は特にありません。あなたの仕組んだこととはいえ、おっしゃる通り、今の私には自殺という選択肢はありません。ただ、できることなら、ナオミとヨブ、エヴァとマリアと同じ時代に生きてみたい。わがままかもしれませんが、私にはどちらかを選択することなどできません」

    「私とて、人情はあります。ただ、同じ時代に、同じくらい愛する女と子どもがいたら、女たちはやがていがみ合うことになるでしょう。だから、どちらか一方は、他の時代に生きたほうがいい。それはあなたのためでもある」

    「そうかもしれませんが、必ずしもナオミとエヴァがいがみ合うとは限らないでしょう。ヨブとマリアは仲良くできることでしょう。それに加えて、私が他の時代に移り、生きることを、私の一存で決めていいような問題でもありません。ナオミとエヴァとも話し合う必要かあります」

    「それはそうですね」

    「どちらがどちらの時代へ行くのか?ところで、二人とも他の時代へ行くことを拒んだらどうなりますか?どういう罰則がありますか?」

    「痛いところをつきますねぇ。罰則らしい罰則はありません、ただ…」

    「ただ?」


    …つづく


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    初投稿2021/08/08。毎日投稿。2023年から個人企画「青ブラ文学部」。英語、ことば、文学、哲学、数学、時々noteのことなどを書いています。 『星空の恋の方程式』で創作大賞2025中間選考通過。『算数の時間 | 分数を理解しよう!』で「今日の注目記事」に選出。

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