39㎡の小さな家 第2章 暮らしの工夫 #05|整えた後に残るもの
今朝、目が覚めてもすぐには起きず、
ベッドの中でしばらくゴロゴロしていた。

ふと、思い出したのは
クリストフルや、ニューヨークやパリのアンティークショップで集めてきた
銀のカトラリーのこと。
先月、その多くを手放した。
売るほどあったし、実際に売ってもいたけれど、
それでも手元に残した“厳選の子たち”がいる。
なぜか今朝、急に
「手入れしよう」と思った。
まだ完全に目も
覚めていないまま、
キッチンに立って
大きな鍋にアルミを敷いて、
重曹を入れて火にかける。

静かな朝に、少しだけ理科の実験のような音と匂い。
黒ずんでいた銀が、ゆっくりと元の光を取り戻していく。

手放したものは多いのに、
残したものは、以前よりもずっとはっきりと輪郭を
持ちはじめる。
——と、ここまでは綺麗な話で。
先月、キッチンエイドやクイジナートの大物を手放したとき、
ひとつだけ、妙な理由で残ったものがある。

ワッフルメーカー。
「え、そんなのあったの?」と相方が言い出し、
「作りたい」とまで言うので、
なぜか残すことになった。
——8年も使っていなかったのに。
ベッドの中で、今朝ふと思い出したのはそのことだった。
ワッフルメーカーは、
30年前にロサンゼルスから持ち帰ったもの。
娘のために買ったはずなのに、
気づけば、8年以上も使わずにいた。
今朝、銀のカトラリーを磨くために
鍋を火にかけているあいだ、
ふと思い出して、こちらも電源を入れる。
オイルをかけて、
温めては拭き取り、また温める。
少しずつ、機械が“戻ってくる”感じがする。

長く眠っていたものが、
何事もなかったように仕事復帰してくれるのは、
ちょっとした感激がある。

残した理由は、
こういう瞬間の
ためだったのかもしれない。
理由はいつも、
少しだけ曖昧だ。
39㎡の小さな家で、暮らしを
整え直しています。
続きはまた、書きます。
