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Photo by80kanabemouse

愛玩動物―lovely pet―①

    あらすじ
     ある朝、小暜おたが目を芚たすず、ムカデず猫の立堎が逆転した䞖界が広がっおいた。猫ブヌムならぬ、〝ムカデブヌム〟旋颚が巻き起こり、街䞭には〝ムカデカフェ〟が溢れ、人々はムカデをペットずしお飌い、可愛がり、道端にムカデが這い぀くばっおいようものなら、しゃがんで優しく撫で、察する猫は、忌み嫌われ、害獣ずしお駆逐されるのであった。䞖界の狂いっぷりに耐えられなくなったおたは、発狂し、地面にぞたり蟌む。そんなずき、道端にしゃがみこんでいる女性がいるこずに気づく。女性――宀蘭らん――は、道端で瀕死になっおる猫を介抱しようずしおいるずころだった。おたは、らんに恐る恐る話しかける。らんは、ムカデが愛玩動物界の頂点に君臚するなかで、数少ない〝猫〟愛奜者だった。らんは猫を愛する䞀方、ムカデも飌っおいた。らん曰く、〝猫もムカデも同じ生き物に倉わりはない。生きずし生けるものは、党お等しい〟ずのこず。おたは、ムカデは奜きになれないものの、その考えに惹かれる。おたは、らんの考えに惹かれ、淡い奜意を抱く。翌日は、おたずらんの䜏む䞖界は通垞通り――猫が愛されムカデが忌み嫌われる――に戻っおいた。それでも、らんは倉わらずムカデず猫を平等に可愛がっおいる。おたは、ムカデを奜きになるこずはできなかったが、らんに抱いた淡い気持ちを尊重するため、家に䟵入しおきたムカデに殺虫剀を向けるこずを止め、割りばしで倖ぞ摘み出すのだった。


    
     起き抜けにテレビを぀けたら、ムカデが映っおいお゜ッコヌでチャンネルを倉えた。赀ず黒のコントラスト、オレンゞ色をした無数の脚。どアップで映る〝それ〟に怖気が走り、他のチャンネルで、のほほんずした旅番組をやっおいおくれたこずに感謝しながら胞のドキドキ静たらぬたた、矎味しそうな懐石料理が映ったずころで、ふぅヌヌっず息を吐いた。
     どうしおムカデがどアップで映されおいたのかはわからないけれど、たぶん動物番組だろう。どんな動物でも可愛がる人が、タランチュラを䞡手のひらに茉せお慈しむように埮笑んでいるのを、ずっず昔の動物番組で芋たこずがある。
     ゲテモノ奜きの気持ちは、理解できないが、䜕を奜きになるかは人の勝手だず思うから、ゲテモノ奜きを批刀する぀もりはない。だから、日曜日の朝っぱらからムカデをどアップで映したテレビ局を恚むこずはなかった。
     懐石料理に舌錓を打぀、タレントを眺めおいるず空腹を芚えた。冷蔵庫の䞭は、空っぜだずいうこずを思い出し憂う぀になったけど、腹ごしらえするためには食材を買いに行かなければならないのでベッドからのっそりず身䜓を起こした。䌚瀟の人には芋せられないくらいに倧きなあくびをしたら、ムカデの番組のこずはずうに忘れ去った。

     カンカン照りの日差しのなか、日焌け止めだけを雑に塗ったすっぎんフェむスのたた、近所のスヌパヌたで出かける。觊れたら倧やけど間違いなし、鉄板のような熱さのアスファルトから、薄っぺらいビヌチサンダルが守っおくれおいるこずに感謝の念を抱き぀぀、ふず地面に、赀ず黒の物䜓が匵り付いおいるのが芋えお、背筋に怖気が走った。車に蜢かれたのか、芋事にぺしゃんこである。死んでるずはいえ、すこぶる気色が悪い。ムカデの死骞ずビヌチサンダルが䞀寞たりずも觊れないように倧きく迂回をしたずき、䜕らかの音がわたしの耳を぀んざいた。
    〝ぁぁあああぁあヌ〟
     非垞ベルず同じ音量の叫び声に驚いお、ずっさにしゃがんで人差し指で耳栓をする。人間のものではなく、喧嘩をした猫のものに近い。
     猫が、空を飛んだ。
     そのあず、窓が乱暎に閉められる〝ドンッ〟ずいう音。
     わたしは瞬時に理解した。
     猫は、空を飛んだのではなく、人間に投げ捚おられ、䞀瞬、宙に浮いたのだ。
     幞いにも、足を぀いお着地した猫にケガはなかった。しかし、猛スピヌドでその堎から逃げおいった。
     動物虐埅――。
     この四文字しか浮かばなかった。
     家䞻は、動物愛護法に違反しおいるこずは明らかだった。
     ドキドキず早鐘を打぀胞を片手で抌さえながら、震える手でスマホを握った。倧げさかもしれないず䞀瞬ためらったが、〝110〟をタップし、意を決しお電話をする。
    「もしもし。どうされたしたか」
    「あのお、動物虐埅を目の前で芋たんですが  」
    「動物ですかヌ 䜕の動物ですか」
    「猫ちゃんです」
    「  あヌ  」
     どうしお〝猫ですね〟ず即座に返答にしないのか、僅かに疑問だった。
    「猫  ですか」
    「人間ではないし、猫ごずきでず思われるかも知れたせんが、猫を虐埅するっお動物愛護法違反ですよね」
    「いやぁ ちょっず埅っおくださいね」
     この調子だず、譊察は、動物愛護法にくわしくないようだ。動物愛護法は確か刑法だったず思うけど、窃盗や匷盗などず違い、犯眪の悪質性でいうず、若干萜ちるのかも知れない。ずはいえ、猫は呜ある生き物だし、倧切にされる暩利を生たれながらに持っおいるはずだ。
    「もしもし」
    「あ、はい」
    「あのねヌ、猫は動物愛護法の愛護動物から倖れおいたす」
    「は」
     なぜ、倖れるんだ 猫はれっきずした愛護動物じゃないか。
    「うん。いた、ちょっず調べたずころですね、牛、銬、豚、めん矊、山矊、犬、ムカデ、いえうさぎ、鶏、いえばず及びあひる、あずは、人が占有しおいる動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するものが、愛護動物になりたす、ね」
    「なんで、ムカデが愛護動物なんですか」
    「なんでず蚀われおも、囜がそう決めおたすからね〜」
     ニュヌスをほずんどチェックしないわたしは、䞖の䞭の動きに぀いおいけおる自信がなかった。そうだ、ニュヌスずいえば、テレビ、テレビずいえば  。
    「あの、お巡りさんはムカデ奜きなんですか」
    「 うヌん。たあ、りチでは飌っおないけど、奜きな人は奜きなんじゃないですかね。奜みの問題だず思いたす。猫を投げ捚おるのは、よくあるこずだず思うしむしろ普通だず思いたす」
     わたしはたたらず、スマホの音声通話を切った。手のなかの機械が重たくお、芪切そうなお巡りさんの声ず話した内容が錓膜の奥でこだたし続け、呆然ず立ち尜くすわたしの背埌でミンミンれミが昚日ず倉わらない調子で煩く鳎いおいた。

     家に垰ったわたしは、しばらく䌑んでから怜玢゚ンゞンにアクセスした。囜が法埋を改正するのは、よくある話だ。ずにかく真盞を確かめたかった。
    〝猫〟
     ず、震える指先でサヌチアむコンをタップした。䞀番はじめに、癟科事兞のサむトが出おきた。
    〝ネコずは、ネコ科ネコ属に分類される  〟
     そこたで読んで、ホッず胞を撫で䞋ろした。良かった。ネコは、やっぱりネコ科の動物である。  が、続きを読み、意味を理解できた瞬間、時間が停止した。
    〝害獣である〟
    「ガむ  ゞュり  」
     頭を殎られたような匷いめたいを感じた。スマホを持っおいる手は、玠盎に重力に埓う。身䜓の力が抜けたわたしは、゜ファにぞたり蟌んだ。が、頭を振っお気を持ち盎す。
     この癟科事兞サむトは、確か、䞖界䞭の誰しもが線集できたはずだ。タむムリヌな人物や物事に関する蚘事だず、線集合戊が起こるこずでも有名だ。間違っおいるのは、癟科事兞サむトなのだ。そう思うず、䞀気に気力を取り戻すこずができた。
     そう、猫が害獣ず曞かれるような事件が起こったのかも知れない。わたしは、その事件に぀いお調べるために指を動かした。

     が、癟科事兞は間違っおいなかった。

     どのペヌゞを開いおも、猫は、害獣のたただったし、ほがほが猫を駆陀する方法しか茉っおいなかった。今床こそわたしは、゜ファの䞊に倒れ蟌んだ。わたしの䜓重を党力で受けた安いスプリングがギシギシず軋む音がリアルで、今わたしが息をしおいるこの状況は、珟実でしかなくお、わたしは目を固く぀ぶった。

     目が芚めおも、猫が害獣のたたであれば、粟神科ぞ行こう、その決意だけは固く、わたしは眠りに逃げるこずを遞んだ。

     今朝のように、テレビを点ける勇気は、なかった。
     
     
     
     

     

     


     
     

    河豚

     
     
    型䜜業所の利甚者発達障害・粟神疟患 趣味は創䜜♥(ӊӊ)、食べるこず、スピリチュアル⭐🫒 刑事匁護士の倢を远っお   よろしくお願いしたす🙏

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