
【民訴337条2項】判断基準・審査手順が行政文書として存在しない以上、「所定の事項を含むものとは認められない」決定は理由付記を欠き違法である
1 問題の所在
民事訴訟法337条2項は、抗告許可申立てに対し、 「許可の要否を判断するための審査」を予定している。
しかし、実務上、高裁は抗告許可申立てを却下する際、 ほぼ例外なく次の一文のみを付している。
「民訴337条2項所定の事項を含むものとは認められない。」




この文言からは、
どの主張を検討したのか
どの事実を認定したのか
どの法令をどのように適用したのか
どの判断過程を経て結論に至ったのか
が一切読み取れない。
本稿では、この「判断過程の不存在」が、 最高裁自身の行政処分(不開示通知)によって公式に確定した という点を整理する。
2 最高裁による「判断基準・審査手順不存在」の公式認定
筆者は令和8年4月14日付で、 民訴337条2項に基づく抗告許可・不許可の判断基準および審査手順に関する 司法行政文書の開示を請求した。
請求内容は以下のとおりである。
判断基準
審査手順
内部規程
審査フロー
判断資料
運用基準
統計資料
判断基準が存在しない場合の理由・経緯を示す文書
これに対し、最高裁判所事務総局は 令和8年6月18日付「司法行政文書不開示通知書」(最高裁秘書第2180号)において、 次のとおり回答した。
「当該文書は作成又は取得していない。」



この行政処分により、次の事実が確定した。
抗告許可・不許可の判断基準は行政文書として存在しない
審査手順も行政文書として存在しない
内部規程・運用基準も存在しない
判断資料も存在しない
すなわち、民訴337条2項の審査に関する 基準・手順・資料が制度として存在しない ことが、最高裁自身の判断により公式に確定した。
3 判断基準不存在の確定と理由付記義務(民訴253条)
民訴253条は、決定には理由を付記すべきことを定める。 抗告許可申立て不許可決定について、理由付記を免除する特則は存在しない。
しかし、判断基準・審査手順が行政文書として存在しない以上、 高裁が用いる「所定の事項を含むものとは認められない」という判断は、 次の点で理由付記義務を充足し得ない。
どの基準に照らしたのか説明不能
どの審査手順を経たのか説明不能
判断過程を示す資料が存在しない
判断の根拠となる内部基準も存在しない
したがって、外形上「理由らしき文言」が付されていても、 実質的には理由が存在しないに等しい。
これは、民訴253条の予定する「理由付記」の要請を満たさない。
4 憲法上の問題
判断基準・審査手順が存在せず、 判断過程が示されず、 理由付記も実質的に欠如している運用は、
適正手続(憲法31条)
裁判を受ける権利(憲法32条)
に反する重大な瑕疵を含む。
民訴337条2項は、 「許可の要否を判断するための基準」を前提として構成されている。 基準が存在しない以上、条文の予定する審査構造は成立しない。
5 結論
最高裁の不開示通知により、 民訴337条2項に基づく抗告許可制度には、 判断基準・審査手順が行政文書として存在しないことが確定した。
この事実は、 高裁が用いる「所定の事項を含むものとは認められない」という形式的文言が、 基準なき恣意的判断であり、理由付記義務を充足しない ことを直接裏付ける。
したがって、 民訴337条2項に基づく不許可決定は、 判断過程を欠き、理由付記義務に反し、 憲法上の適正手続にも抵触する疑いが極めて強い。