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【エッセイ】青春

中学1年生の時、一人苦手なクラスメイトがいた。


名前を仮にA君とする。


A君はとにかく俺にちょっかいを出してきた。


靴紐をほどいてきたり。


後ろから突然「わっ!」と叫んでみたり。


消しゴムを隠してみたり。


ただ、少しだけ同情もしていた。


A君の家はあまり裕福ではなく、給食費の支払いが遅れることもあったからだ。


だから、嫌な奴だけど、色々大変なんだろうなと勝手に納得していた。


そんなある冬の日。


教室には石油ストーブが置かれていた。


ストーブの周りには「ここから先は入ってはいけません」という黄色いテープが床に貼ってある。


俺は、そのテープのギリギリまで攻めて暖を取っていた。


すると突然、後ろから首に腕が回された。


A君だった。


ヘッドロック。


なぜか急に始まる男子中学生のプロレスごっこである。


しかも場所が悪い。


目の前はストーブ。


先生がいたら確実に怒鳴られていた。


幸い教室に先生はいなかった。


「やめろって!」


俺は抵抗する。


しかしA君のホールドは意外と強い。


なかなか外れない。


そのまま取っ組み合いになり、俺の左腕がA君の下腹部あたりに当たった。


最初は何も気にしなかった。


しかし数秒後。


左腕に違和感を感じる。


何というか。


存在感がある。


俺は思わず言った。


「あれ?」


A君の動きが止まる。


俺はさらに言った。


「お前……勃ってない?」


A君はヘッドロックを解いた。


何も言わない。


言い訳もしない。


反論もしない。


ただ静かに立ち去った。


その日以降。A君は俺に一切ちょっかいを出さなくなった。


靴紐もほどかない。


「わっ!」もやらない。


消しゴムも隠さない。


完全に平和が訪れた。


あの日、俺とA君は、何かを失ったのだろうか?それとも、何かを得たのだろうか?未だに俺は分かっていない。




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