見つめあって。心地よくて。
付き合い始めた頃なら、こんなに近い距離で見つめ合えば、どちらも照れて目を逸らしていただろう。
けれど今は違う。
彼女が少し笑うと、彼もつられて笑う。
「また何か考えてるでしょ」
「そっちこそ」
「私は何も考えてないよ」
「絶対うそ」
そんな他愛のないやり取りをしながら、二人は何度も目を合わせる。
言葉がなくても気まずくならない。
むしろ、何も話さずに隣にいることが心地よかった。
彼女が枕に顔を埋めながら小さく笑う。
「こういう時間、好きだな」
彼は少しだけ間を置いて、
「俺も」
付き合っているから特別なことをしなければならないわけじゃない。
一緒に笑って、くだらない話をして、時々黙っている。
そんな何気ない時間を自然に共有できることこそ、二人にとっては大切だった。
