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投げやりな恋【アマノ文筆クラブ】

    しらいし

     家の物置に置いてあった、ガラクタっぽいけど、どこか不思議な魅力を放つ槍を、思い切って教室の窓から放課後のグラウンドに向かって投げてみた。その後どうなったかは、翌日以降思い知ることになる。

     やってしまいました。やってしまいました。由佳ちゃんが急に冷たくなってしまった。昨日まで仲良く放課後まで過ごしていたのに、今日からは綾子ちゃんと一緒に過ごすって言うんです。私、何か悪いことしましたか。そうか、家にあったヘンテコな槍を投げたからでしょうか。いやいや、そんなはずはない。ただのガラクタでしょう。

     それとも、私のことが本当に嫌になったんですか。由佳ちゃんは私と高校1年のときからずっと付き合ってて、同性だけど一線を越えるようなこともしてさ、お互いの秘密だって、めっちゃ抱えてるのに。――なんですか、その手のひら返しは。

     なら、ここでひとつ話をしてもいいよね。私が夜中、こっそり家を抜け出して、由佳ちゃんの家に行った夜のこと。正面からは入れないから、屋根に登って窓から入ってさ……あんまり詳細に書くと規制されそうだから書かないけど、お互い抱き合って、「二人の秘密にしようね」って言い合ったのに。どうして。どうして。意味がわかりません。

     世の中に『不条理』って言葉があるなら、きっとこういうことを言うんでしょうね。昨日まで、下校前に必ず誰にも見られない場所に隠れてキスしてから一緒に帰ってたのに。おかしい。おかしい。家のガラクタを窓から投げただけなのに。

     ――多分、あれが当たったんだ。そして由佳ちゃんは、実は本命の綾子ちゃんと、これから私としたような破廉恥な行為を含めて、いろいろやるんだろう。なんとも羨ましい。そして嫉妬する。想像するだけで悪寒が走る。細かく書いたら18禁にされそうだ。

     何が悪かったんだろうか。きっと私の出自だ。一族はキューピッド。私は恋のキューピッド。ああ、こんな穢れた一族郎党、滅んでしまえばいいのに。どこぞの山奥から、都会に出なければ総て良しだったのに。

     下校する二人の姿を見て、私はトイレに一人こもろうと思う。なにをするかは、想像に任せる。そして読者の皆様、こんな私を笑ってください。ではまた、失敬。


    #アマノ文筆クラブ
    アマノ文筆クラブ様の企画に参加させていただきました。太宰治先生風にしてみました。素敵な企画ありがとうございます。よろしくお願いします!

     
     
     
    北海道在住です。小説をメインに色々なことを書いたりする場所です。今は主に、北海道を舞台としたオリジナル小説シリーズ「休憩室にて」を書いてます。その他、各企画に参加しております。

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