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🌙 黄色のガーベラと、りんごの香りがする夏

    月之 おやつ






    いつものお散歩コース。



    どの季節の日でも、
    4本足を弾ませるように前へと進み、
    こちらを見上げるうれしそうな表情。


    もうその姿を見ることはできない。









    庭で白い蝶が飛び、
    ラベンダーにはミツバチが訪れている。

    今年から始めた家庭菜園。
    キュウリやトマト、ししとうの収穫をする。


    夕方には、開いた窓から、
    楽しそうに遊ぶ子どもたちの声が聞こえてくる。







    そんな、なんでもない、穏やかな日に
    我が家の愛犬が虹の橋を渡った。










    犬にとても多いとされる、
    血管肉腫という病気だった。

    とても悪性度の高いガンであり、
    抗がん剤があまり効かないこと、
    そして余命について、獣医師から話があった。






    小型のミックス犬だった。
    パピヨンの特徴があってなのか、
    とても賢く、人懐こくて、ひょうきんで
    みんなから愛された。



    ドッグランへ行くと、
    同じくらいの大きさの仲間たちに囲まれ、
    そうすると必ず、

    「参りました!」

    と仰向けに寝そべり、
    『へそ天ポーズ』をするのが恒例だった。




    臆病かと思いきや、我が家のもう1匹の愛犬が
    他の犬にちょっかいを出されると、
    そこへ勢いよく駆けていき、間に割って入ったり

    妹を守ろうとする
    お兄ちゃんのようなところもあった。






    こだわりが強く、ごはんもおやつも

    「ぼくはこれがいいんだ!」
    というものが、はっきりしていた。


    ベッドに関しても、あるとき店に在庫がなく
    今までのものより、ほんの少しだけ小さいサイズを買ったのだが、それでは全く寝ようとせず、フンフンフンと鼻を鳴らし、トイレ側で眠ったまま夜を明かしたこともあった。





    彼のお気に入りの季節は、冬だ。

    雪が大好きなのだ。

    夫が作る雪玉を、
    すぐそばで、まだかまだかと見上げ、
    投げれば一目散に追いかけて
    小さな口にくわえて持ってくる。




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    愛犬たちの足跡🐾








    斎場の方たちが用意してくださった
    いっぱいのお花に囲まれ、

    真っ白なベットに寝かされたその姿は
    ただ眠っているだけのようだった。



     


    私たちが最後に贈ったものは、

    いつも食べていたごはんとおやつ、
    そして大好きなりんご。




    選んだお花は、

    白いカスミソウ、
    水色のデルフィニウム、
    そして黄色のガーベラ。





    その日は青空がどこまでも広がり、
    やわらかな風が吹いていた。








    お正月に約束した。


    「今年の夏も朝早く起きて、
    みんなで海に行こうね!」


    すると、私を見つめるその瞳が
    夏の水面のようにきらめいた。




    砂浜を走り回る姿を、もう1度見たかった。


    数え切れない思い出と、行き場のない想いが
    小さなさざ波のように押し寄せる。







    会いたいな。

    名前を呼ぶと振り向き、私を見つめる澄んだ瞳。
    180度を描くように揺れるしっぽ。



    届いているかな。
    黄色のガーベラの花言葉。






    いっぱい、いっぱい、がんばったね。

    13年と数ヶ月、本当にありがとう。
    これからもずっと愛しているよ。









     
     
     
    夜に読む、おやつみたいなもの 🌙日・水 🍡21時頃更新 マガジンにまとめています。 お休みするときは、Xでお知らせします。 気持ちが少しでも、ほどけますように。

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