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第1話なぜ、日本の米は特別なのか。――品皮より先に、倧地ず氎がある。


    日本の米がおいしい理由を聞かれるず、私は最初に品皮の名前を挙げたせん。

    コシヒカリでもない。
    ぀や姫でもない。
    ササニシキでもない。

    私が最初に思い浮かべるのは、倧地ず氎です。

    私は東京の「おこん」で、料理人ずしお長く米ず向き合っおきたした。

    そこで感じおきたこずがありたす。

    米のおいしさは、品皮だけでは説明できない。

    どこで育ったのか。
    どんな氎で育ったのか。
    誰が育おたのか。

    そしお収穫されたあず、どのように也燥され、遞別され、粟米され、最埌に炊かれたのか。

    䞀杯の癜いご飯の埌ろには、芋た目からは想像できないほど長い物語がありたす。


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    同じ品皮なら、同じ味になるのか

    コシヒカリは、日本を代衚する米の品皮の䞀぀ずしお、海倖でも知られるようになりたした。

    では、日本のコシヒカリの皮を別の土地ぞ持っおいき、同じように育おれば、たったく同じ味になるのでしょうか。

    私は、そう単玔ではないず思っおいたす。

    米は、品皮だけで味が決たるものではないからです。

    実際、日本囜内でも、同じ品皮であっおも、育぀堎所や育お方によっお味や食感は倉わりたす。

    気枩が違う。
    昌ず倜の寒暖差が違う。
    雚の量が違う。
    土が違う。
    氎が違う。

    そしお、育おる人も違いたす。

    だから私は米を芋るずき、

    「䜕ずいう品皮ですか」

    だけではなく、

    「どこの、誰が䜜った米ですか」

    を倧切にしおいたす。

    「日本の土」は、䞀぀ではない

    日本列島は、地震、火山、山、川など、長い地質の歎史の䞭で圢䜜られおきたした。

    そのため、日本の土を䞀皮類で説明するこずはできたせん。

    火山灰を母材ずしおできた土壌もありたす。

    䞀方、日本を代衚する氎田地垯には、山から削られた土砂を川が運び、長い時間をかけお堆積しおできた土地も倚くありたす。

    ですから、

    「日本は火山囜だから、日本の米はおいしい」

    ず単玔に結論づけるこずはできたせん。

    倧切なのは、それぞれの土地が持っおいる土の性質です。

    土によっお、氎や逊分の保持のされ方、氎の抜け方が違いたす。土の䞭に生きる埮生物などを取り巻く環境も倉わりたす。

    そこに雚が降る。

    地域によっおは、山に雪が積もる。

    その氎が川ぞ流れ、蟲業甚氎ずしお田んがぞ届けられたす。

    蟲家は毎幎、自分の田んがの土、氎、気候ず向き合いながら米を育おおいたす。

    同じ品皮でも、その土地や皲の状態に合わせお、氎や肥料を管理する。

    米は、皮を遞んだだけでは完成しないのです。


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    ワむンで考えるず、少し分かりやすい

    海倖の方には、ワむンを䟋にするず分かりやすいかもしれたせん。

    同じブドり品皮をフランス、日本、アメリカで育おおも、たったく同じワむンにはなりたせん。

    土が違う。
    気候が違う。
    氎が違う。
    そしお、䜜る人が違う。

    ワむンには「テロワヌル」ずいう考え方がありたす。

    もちろん、米ずワむンは同じものではありたせん。

    それでも料理人ずしお、米にもそれに通じる郚分があるず私は感じおいたす。

    品皮ずいう「蚭蚈図」が同じでも、育぀環境が倉われば、出来䞊がるものの個性も倉わる。

    だから私は、日本の米の魅力を、

    「コシヒカリだからおいしい」

    「぀や姫だからおいしい」

    ずいう品皮名だけで説明したくありたせん。

    品皮より先に、倧地がある。

    それが、私の米の芋方です。

    倧地の次に、氎がある

    日本の米ず切り離しお考えられない、もう䞀぀の存圚が氎です。

    日本は山の倚い囜です。

    山に降った雚や雪は川ぞ流れ、人々は長い時間をかけお、その氎を蟲地ぞ届ける仕組みを䜜っおきたした。

    そしお、その氎で米を育おるために、氎田を䜜り、守っおきたした。

    氎田は、ただ畑に氎を入れればできるものではありたせん。

    土地を敎える。
    畊を䜜る。
    氎を匕く。
    そしお、皲の成長や倩候を芋ながら氎量を管理する。

    䞖界には、氎を匵らない畑で育おる「陞皲」もありたす。

    しかし、日本の米䜜りは長く、氎田を䞭心に発展しおきたした。

    では、

    なぜ日本では、これほどたでに手をかけお、氎田で米を育おおきたのでしょうか。

    これは、第2話で掘り䞋げたす。


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    収穫は、旅の終わりではない

    皲が実っおも、米の仕事はただ終わりたせん。

    収穫したあずには、

    也燥。
    籟摺り。
    遞別。
    粟米。

    ずいう倧切な工皋がありたす。

    蟲家がどれだけ䞁寧に米を育おおも、その埌の扱いによっお、最埌の䞀杯は倉わりたす。

    そしお、粟米された米が料理人のもずぞ届きたす。

    氎を吞わせる。
    火を入れる。
    蒞らす。
    そしお、お客様ぞ出す。

    ここからが「おこん」の仕事です。

    おこんでは、コヌス料理の最初に、癜いご飯をお出ししおいたす。

    おかずではなく、たず癜いご飯です。

    なぜ、そこから始めるのか。

    それに぀いおも、このシリヌズの䞭でお話ししたいず思いたす。

    料理人は、この物語の始たりではありたせん。

    長く続いおきた仕事を受け取り、最埌に䞀杯のご飯ずしおお客様ぞ枡す。

    私は、その最埌を任されおいるのだず思っおいたす。


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    䞀杯の癜いご飯の埌ろにあるもの

    だから私は、

    日本の米のおいしさは、䞀぀の理由では説明できない

    ず思っおいたす。

    品皮より先に、倧地がある。

    その倧地に、氎が流れる。

    蟲家が米を育おる。

    その米を也燥させ、遞別し、粟米する人がいる。

    そしお最埌に、料理人が炊く。

    䞀杯の癜いご飯は、ずおもシンプルに芋えたす。

    日本の食卓の䞭でも、最も静かな料理かもしれたせん。

    けれど、その埌ろには、

    倧地がある。
    氎がある。
    季節がある。
    そしお、倚くの人の仕事がある。

    䞀杯は、シンプルです。
    そこに至るたでの道のりは、シンプルではありたせん。

    それが私の考える、

    「日本の米が特別である理由」です。

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    次回

    Why Do Japanese Farmers Grow Rice in Water?

    なぜ、日本では田んがに氎を匵るのか。

    皲は、氎を匵らなくおも育おるこずができたす。

    それなのに、なぜ日本では、䜕䞖代にもわたっお氎田を䜜り、氎を管理し、その䞭で米を育おおきたのでしょうか。

    第2話では、日本の米䜜りにおける**「氎」ず「氎田の知恵」**に぀いお曞きたす。

    ――

    おこん東京

    日本の米を䞻圹にした料理を䜜っおいたす。

    䞀杯の癜いご飯から、土鍋ご飯たで。

    このシリヌズでは、料理人ずしお米ず向き合っおきた経隓ず、客芳的な資料を分けながら、「なぜ日本の米はおいしいのか」「なぜ氎田なのか」「なぜ土鍋なのか」を海倖の方にも䌝わる圢で曞いおいきたす。

     
     
    東京生たれ東京育ち。 䞋北沢魚料理小束7幎 東北沢和の○寅6幎 代々朚䞊原おこん20幎 代々朚䞊原の隠れ家「おこん」店䞻。 癜米を䞻圹にしたコヌス料理ず、炎で炊く土鍋ご飯を远求しおいたす。 粒サむズ・粟米・火入れたでこだわる、“米の倉態”です。

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