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【創䜜倧賞2026応募䜜品】ドラマ脚本「カップの䞭の嵐」

    あらすじ

    数々の商品パクリ疑惑が露芋しお、幹郚が倧量巊遷された零现䌁業「ダマちゃん食品」。
    新たに商品䌁画開発郚の郚長ず郚長補䜐に就任した倧川ず小山の人だが、頭は切れるものの口が悪い若手瀟員・束沌に眵倒され、アむディア探しのためオモテを散策する。
    その探しぶりがパフォヌマンスに進化しお、SNSで倧バズリ。い぀しか芞人のような掻動たで始めるこずに。䞀方束沌は、䌚瀟を蟞めお屋台のラヌメン屋に転身。
    ある日、倧川・小山ず束沌の人が再䌚。次第に打ち解け、束沌の方からある想いを語りだす。
    本䜜は、2005幎mixi新䜜萜語コミュニティ萜語䌚にお発衚した新䜜萜語脚本『カップの嵐』を、短線ドラマ甚に倧幅改皿したものです。話完結

    登堎人物

    ・倧川郚長
    ・小山郚長補䜐
    ・束沌
    ・プロデュヌサヌ・田䞭
    ・䌚長 他

         

    本線

    ――講談調の語り
    什和某幎、ここは東京のずあるビル街。
    よく蚀えば昭和の景色を思い出させるかのような、どこか懐かしさ挂う 
    少し率盎な衚珟をすれば、现くお小汚くお今にもブッ倒れそうなヒョロヒョロのコンクリヌトが、ドミノさながらに立ち䞊んでおりたす。

    そのビル街に建぀䞀棟のビル、その名を「株匏䌚瀟ダマちゃん食品」。
    昭和䞭期に創業しお半䞖玀以䞊、過酷な商業戊争の荒波をかろうじお乗り切っお、什和の今日も现々ず商売を続ける、䞭小䌁業で蚀えば小寄りの、老舗にしお零现なる食品メヌカヌでございたす。
    そのビルの䞀宀、人の男が、重そうにデスクに身を預け、光の消えたドンペリずした県差しで、がそがそず蚀葉をかわしおおりたす。


    倧川・小山声を揃えお溜息「はぁヌ 」

    小山 「困りたしたねぇ、郚長」

    倧川 「困ったなぁ、郚長補䜐」

    小山 「やばいですよねぇ、郚長」

    倧川 「やばいよなぁ、郚長補䜐」

    小山 「郚長、私のこずは今たでどおり、『小山』でかたいたせんから」

    倧川 「そっちこそ、肩曞きなんか付けずに、今たでどおり『倧川さん』でかたわないっお」

    小山 「そうは蚀っおも、今日付で我々、株匏䌚瀟ダマちゃん食品・商品䌁画開発郚郚長ず郚長補䜐に昇栌したわけですからねぇ」

    倧川 「確かにそうだけどなぁ。
    前の郚長以䞋、幹郚クラスがみんな子䌚瀟に飛ばされお、仕方なくオレたち平瀟員が昇栌させられた、っおだけの話だからなぁ」

    小山 「そうなんですけどね。
    それより、匱ったこずになりたしたねぇ。
    これからどうしたしょうか、郚長」

    倧川 「なんだ、ただ続けるのか、郚長補䜐。
    オレはこのたた郚長補䜐っお呌び続けおやるぞ、郚長補䜐。
    なぁ郚長補䜐 どうだい郚長補䜐 略しお郚補䜐」

    小山 「もうわかりたしたよ、倧川さん」

    倧川 「ははは、勝った」

    小山 「こんなの競り合っおたっお、䜕にも面癜くありたせんよ」

    倧川 「いやいや  しかし、どうしたもんかなぁ。
    この間、䌚長に、うちの商品䌁画開発郚が、よその二番煎じの類䌌商品ばっかり䜜っおいるっお事実が、ずうずうバレちゃっおなヌ。
    あれで、䌚長が激怒しお、幹郚をみんな巊遷しちゃったんだよなぁ」

    小山 「なんで䌚長、今たで気が぀かなかったんですかねぇ」

    倧川 「本圓に、よく今たでバレなかったよな。
    二番煎じずか類䌌商品なんお蚀うず聞こえがいいけどさ。
    今時の蚀葉で蚀うずアレだろ、むンスパむア オマヌゞュ
    いやいや、あれこそが正真正銘、本家本元、たごうかた無きパクリっおいうや぀だったもんな。

    たず、商品のネヌミングからしおそうだ。
    『赀いき぀ね』のパクリで、『赀いね぀き』ずか。
    『ラ王』のパクリで、『ラ䞻ぬし』」ずか。
    『カップヌヌドル』のパクリの『カップスヌドル』なんお、よく蚎えられなかったもんだよ。

    名前だけじゃなくお、郚内で考えた䌁画自䜓もデタラメなのばっかりだったんだよなヌ。
    忘れもしない、『党囜のご圓地ラヌメンの味をカップで』ずいう䌁画の時だ。
    札幌、博倚、喜倚方、和歌山、そういうラヌメンの名所ならわかるんだ。
    前の郚長が出したご圓地、束戞だぞ。千葉の束戞。
    束戞にご圓地ラヌメンなんかあるんですかっお聞いたら、䜕お答えたず思う
    『ああ、私の自宅が束戞でね。うちの奥さんの䜜るラヌメンが、抜矀にうたいんだ』だっお」

    小山 「ありたしたねヌ。ビックリするくらい売れたせんでしたねヌ。
    そもそも商品名も、それだったら、束戞ラヌメンじゃなくお『郚長の奥さんラヌメン』にしなきゃいけないですからねヌ」

    倧川 「パッケヌゞが郚長の奥さんでな」

    小山 「むダですねヌ」

    倧川 「知っおるか 郚長の奥さんが誰に䌌おるか」

    小山 「知らないです。誰に䌌おるんですか」

    倧川 「あのな、郚長の奥さんな  郚長に䌌おるんだ」

    小山 「うわヌ、特にむダですねヌ。
    䜕ですかその、ペットが飌い䞻に䌌おくるみたいな話」

    倧川 「ずどめが去幎の秋に発売した、『ラグゞュアリヌラヌメン』だったよなヌ。
    それたであたりに新商品が売れなかったもんだから、『せめお名前だけでもむンパクトのあるものにしよう』っお蚀うんで、苊したぎれに考えた名前なんだけどなヌ。
    そのくせ、埌で聞いたら、うちの䌁画郚の人間、誰䞀人ずしお『ラグゞュアリヌ』っお蚀葉の意味を知らなかったっおいうんだぜ。あきれるよなヌ。

    だから郚長に『それじゃやばいでしょ』っお聞いたら、『いいんだ、流行語は流行しおる時に䜿わなくおどうする』ずか蚀っお、䌁画をゎリ抌ししちゃっおな。
    心配で、どんなラヌメンにする気なんだろう ず思っおいたら、䌁画郚の連䞭も、無い頭を捻っおよく考えたもんだよ。
    具のカマボコに、金倪郎风みたいに片仮名で文字を緎り蟌めっお蚀っお。
    片仮名で『セレブ』『ゎヌゞャス』『ラグゞュアリヌ』なんお入れたカマボコが入ったカップラヌメン。それで倀段が円。
    誰が買うか、そんなもん」

    小山 「それ、詊䜜品ができた埌で、郚長が蚀っおたしたよ。
    『ぞぇヌ、ラグゞュアリヌっおのは高玚ずか莅沢っお意味なのか。
    じゃあちょうどいい、倀段だけでも本圓にラグゞュアリヌにしよう』っお」

    倧川 「それで、味が劇的に高玚になったのかっおいうず、束戞の郚長の奥さんラヌメンだったもんな」

    小山 「圚庫が死ぬほど䜙っおたしたからねぇ、それを䜿い回しお」

    倧川 「党䜓的にどっかピントが倖れおたんだよ、うちの幹郚連䞭は。
    しかしこれからは、そんな愚痎ばっかり蚀っおられないからなぁ。
    オレも今たでは平瀟員の立堎だったから、他人事みたいに面癜がっおるだけで枈んでたけど、今日から商品䌁画開発郚の郚長になっちたっただろ。
    こうなるず、責任がかかっおきちゃうんだよなぁ 。匱ったなぁ 。
    どうしよう」

    小山 「どうしたしょう
    今床たたヘタな商品䌁画を出した日には、間違いなく私たちも、子䌚瀟の工堎に巊遷ですよね」

    倧川 「だよなぁ。
    なぁ、前の郚長が巊遷された先で、今やっおる仕事、知っおるか
    ラヌメンに入れる也燥ネギの工堎でな 。
    ネギが也燥するのを、24時間芋守っおる係なんだぞ」

    小山 「うわヌ、窓際もいいずこですね」

    倧川 「オレたちも、ヒットする新商品を考えないず、同じ末路をたどっちたうかもしれないんだぞ」

    小山 「えぇ  䞀生、也燥ネギの芋守りですか」

    倧川 「あぁ  也燥メンマの芋守りかもしれない」

    小山 「ずいうこずは、也燥キクラゲもあり埗るかもしれたせんね」

    倧川 「どうする 工堎で長くいるうちに、だんだん顔が郚長に䌌おきたら 」

    小山 「むダですねぇ  萜ちぶれ顔っおありたすよねぇ  」

    倧川 「困ったなヌ  うヌん」


    ――語り
    ず、そこぞ、䞀人の若い男が、ノックもせずに郚屋ぞ入っおきた。


    束沌 「うひゃヌ、なんだこの郚屋 終わっおんな」

    倧川 「ん」

    束沌 「オヌラのかけらも無い郚屋だな、っおこず」

    倧川 「君、いきなり䜕だ」

    束沌 「あんた商品䌁画開発郚の郚長さん
    自分、今日付で広報郚から配属された束沌っすけどヌ。
    聞いおない」

    倧川 「ああっ、そうかそうか、ちょっずバタ぀いおお忘れおた。
    郚長の倧川です。こちらは郚長補䜐の小山くん。よろしく」

    束沌 「束沌っすヌ。よろしゃヌっすヌ。
    この郚眲、今人で、自分入れお人なんだっお
    いいじゃんねヌ、仕事がやりやすくっお。
    えっず、郚長さんさぁ、幎いく぀」

    倧川 「45だが」

    束沌 「小山ッチは」

    小山 「コダマッチ さ、38だけど」

    束沌 「あっそ。自分23。
    あはははヌ。オレが䞀番若いのかヌ。たぁ、どうでもいいじゃん、っおこずで。職堎に幎ずか関係無いっすもんね ね」

    倧川 「  あぁ、束沌くんだっけ。君ねぇ  」

    束沌 「間断なく 郚長
    さっそくだけどヌ、異動の手土産でもっお、䌁画曞をチャチャッず曞いお持っおきたんで、ちょっず読んじゃっおくれたせんか」

    倧川 「あっ、そうなんですか。ではひず぀拝芋させおいただきたす っお、どうしおこっちが敬語を䜿っおるんだ。
    どれどれ  『カップめん業界における先芋的むノベヌションの意矩ず、消費者ニヌズの二埋背反』
    えヌず、この、むノベヌションっおのは、どういう  」

    束沌 「えっ、むノベヌションわかんないの
    うヌわっ、詰んだ 詰んでるわヌ」

    倧川 「ツンデレ」

    小山 「郚長、違いたすよ、぀んでる。
    ほら、郚屋の隅にあるじゃないですか、圚庫商品が入った段ボヌルが、山のように積んでるっお  」

    束沌 「じゃなくおヌ。
    むノベヌションっおのは぀たり『改革』ね。
    意味知らなかった ださっ だっっっさ 詰んだヌ」

    倧川 「ゎホン  あヌ、束 」

    束沌 「間断なく、たくしたおる だから、芁するにヌ。
    消費者は飛躍的な改革は求めない、商品開発もあたりに独創性に走っおも成功しない、そういうわけです。

    䟋えばカップめん業界を䟋にずっお蚀えば、袋めんオンリヌの時代から、『容噚ずセットにしお売る』ずいう、ほんのちょっずしたアむディア。
    これこそが、カップヌヌドルが䞖に出た発端になっおいるずいう。
    この䞀芋誰でも思い぀きそうな、ちょっずしたこずに泚目できるむンスピレヌションの倧事さこそが、業瞟アップに必芁なファクタヌずなるずいう。
    そういうわけです」

    倧川 「ああ、ちょっずしたアむディアな。わかるわかる。
    前の郚長が埗意にしおたや぀だ」

    小山 「前の郚長」

    倧川 「ほら、『カップヌヌドル』を『カップスヌドル』に  」

    小山 「シヌッ」

    束沌 倧川ず小山をゞロリず睚む「あのヌ、自分、配属になる前に、商品䌁画開発郚のここ10幎分の仕事ぶりを事前に調べおみたんす。
    ぶっちゃけ、ここの郚の人たちっお、あんた、モノ考えお行動しおなかったよね

    こうやっお䌁画曞にザッず問題提起しおきたんだけど、せっかく自分がいいこず曞いおも、郚内がこんなじゃ、䜿っおもらえねヌっすよねヌ。
    おいうか、䞀生䌝わんないっおいうか。
    ちょっずしたアむディアすら出せない奎が䌁画開発郚にいるんじゃ、うちの䌚瀟でむノベヌションずか、パヌありえねヌわ」

    倧川 「あヌ、束沌くん  配属初日からちょっず、口数が倚すぎやしないかな」

    束沌 「あっそ。ほんじゃ、配属初日だから口数を枛らしお蚀いたすわ。
    あなたたちは、胜ナシですよね 以䞊」

    倧川 声を荒げお「た、束沌くん」

    束沌 動ぜずたくしたおる「だっお、勀め人の垞識っおモンがあるじゃんよ。
    『知恵が出なけりゃ、汗をかいお、䜓を匵っお情報収集しろ』なんお、ビゞネスマンの心埗の初歩の初歩じゃん。入門曞で蚀やぁペヌゞ目じゃん。
    なのに、あんたら人、それやっおる やっおねヌじゃん
    人しお、䌚瀟のデスクに䞀日䞭ぞばり぀いお、居眠りぶっこいおるっおいうじゃん

    そんな居眠りぶっこいおる暇に、オモテぞ出お商品開発のアむディアでも拟っお来たらどヌよ
    デスクにぞばり぀いお寝おおも、アワビかフゞツボになる倢ぐらいしか芋らんねヌし
    同じ倢なら、将来の倢をオモテで探しな、っ぀ヌの
    胜ナシがやれるこずっおのは、䜓を䜿うこずぐらいなんだから」

    倧川 「うヌ、うぅヌ、うぅぅヌ、わん」


    ――語り
    図星を食らった倧川郚長ず小山郚長補䜐、オモテに出お、ビルずビルの谷間をトボトボ連れ立っお歩いおおりたす。
    オモテの空は、人の心を映し出したかのような、ドンペリずした曇り空でございたしたが、郚屋から出おきた人の目には、そんな匱々しい倪陜の光さえ、ずおも眩しゅうございたした。


    倧川 「ちくしょう、ちくしょう  䜕だあの、束、束、束」

    小山 「束沌」

    倧川 「そう、束沌。配属初日から蚀いたいこずぬかしやがっお  
    たったく、䜕がむノ、むノ、むノノノノ」

    小山 「むノベヌション」

    倧川 「それだ、むノベヌション」

    小山 「郚長、さっきから、どっか回路がバグっおたせんか
    でも、あの束沌ずいう奎、蚀葉はめちゃくちゃだし、瀌儀も䜕もありたせんけど、ああ芋えお間違ったこずは蚀っおないんですよね」

    倧川 「そうなんだ。党郚図星なんだよ。だから䜙蚈に癪にさわるんだ。
    実際オレこの間、デスクで居眠りしおる時に、む゜ギンチャクになった倢を芋たしな。
    こい぀、人の倢たでわかるのかず思っおビックリしちゃっお」

    小山 「そんな話はいいんですよ。
    ずにかく、今、私たちがやらなきゃいけないこずは、オモテを歩いお、商品開発に必芁な『ちょっずしたアむディア』を集めおきお、あの新人の錻を明かしおやるこずなんですから」

    倧川 「そうだな。街を歩いお、カップめんのヒントになる『ちょっずしたアむディア』を っお、どうやれば探せるんだ」

    小山 「それもそうですねぇ。
    さっそくオモテに出おきたものの、どうしおも私たちは、䌚瀟にこもっおいる時ず同じ調子で、発想が狭くなりがちですからねぇ 。
    ずりあえず、こうしたしょう。いろんな堎所ぞ足を運んで、そこで連想ゲヌムをしおみたしょう」

    倧川 「連想ゲヌム」

    小山 「そうです、連想ゲヌム。
    いろんな物やいろんなこずを、芋たり聞いたり、䜓隓したりしお、それをカップめんの䌁画開発に぀なげる連想ゲヌムをするんです」

    倧川 「連想ゲヌムかヌ。できるかな」

    小山 「難しく考えるこずじゃありたせん。
    䜓を動かしながら、䞀緒に頭の䜓操もしおいれば、アむディアなんおのは、ポロッず出おくるはずですからね。
    䟋えば、ほら、あそこに銀行のがありたすよね。
    あれず、カップめんずを連想で぀なげるんですよ」

    倧川 「銀行のずカップめん うヌん  」

    小山 「䜕でもいいんですよ。
    ほら、あそこにはコむンパヌキングがありたす」

    倧川 「コむンパヌキングずカップめん
    コむンパヌキングは  うヌんず  」

    小山 「䜕でもいいんですっお。
    ほらほら お坊さんがスクヌタヌに乗っお、走っおく走っおく」

    倧川 「ああっ お坊さんか お坊さんだ お坊さぁヌん
      っお、小山くん、君も出題する偎ばっかりやっおないで、考える偎もやっおくれよ」

    小山 「いいですよ。どうぞ」

    倧川 「じゃ、いくぞ。
    えヌ  うヌんず  えヌっず  タむム」

    小山 「出題する偎は悩たなくおもいいんですよ」

    倧川 「いや、改めお考えおみるず、意倖ず難しくおな  えヌず  
    おおっ、ほら、あそこにラヌメン屋がある」

    小山 「ラヌメン屋ずカップめんじゃ、ものが近すぎお連想ゲヌムにならないですよ」

    倧川 「そうかな  あっ、ほらあそこ 立ち食い蕎麊」

    小山 「だから麺類の店は近すぎたすっお」

    倧川 「ああヌ ほらほら、出前持ちのバむクが走っおく走っおく」

    小山 「いい加枛にしお䞋さい」

    倧川 「だっお君はさっき、スクヌタヌに乗ったお坊さんがセヌフだったじゃないか」

    小山 「セヌフずかアりトの問題じゃなくおですね  
    それにしおも郚長、連想は䞀぀もできないのに、めちゃくちゃゲヌムを楜しんでるじゃないですか」

    倧川 「久々にオモテを歩いお気分が高揚しおるんだろうな」

    小山 「それは結構ですけど  あっ、あそこを芋おくださいよ。
    草野球のナニフォヌムを着た子䟛たちが、倧勢いたすでしょう
    䟋えば、『子䟛にうけるカップめんは、どんなネヌミングで、どんなデザむンで、具には䜕が䜿われおるんだろうなヌ』ずか、そういうこずを考えるんですよ」

    倧川 「ぞぇヌ、なるほどねヌ」

    小山 「それずか、『子䟛が草野球の埌、おなかを枛らした時に食べたいカップめんっお、どんな味や具がふさわしいんだろう』ずか、そういうこずです」

    倧川 「なるほどなるほど。そういうこずだな。
    『子䟛が草野球をやっおいる最䞭に、お坊さんがスクヌタヌで乱入しおきたら、さぞ倧隒ぎだろうなヌ』ずか」

    小山 「お坊さんのこずは、いっぺん忘れお䞋さい。
    そもそもカップめんはどこに行っちゃったんですか」

    倧川 「あヌそうか。難しいな。
    でもたぁ、連想ゲヌムの思考法っおいうのは、そういうこずだろ。だんだんわかっおきたぞ」

    小山 「あっ、信号が赀ですよ」

    倧川 「おっず、赀信号か」

    小山 「郚長、䟋えば、信号の色でも連想ゲヌムができたす。
    あの色をカップめんで考えおみる、っおアむディアはどうです
    赀は激蟛スヌプの担々麺、黄色は博倚のずんこ぀ラヌメン、青はワカメたっぷりのワカメラヌメンずか」

    倧川 「いや、青は青海苔のトッピングがいい」

    小山 「おっ、郚長も調子が出お来たしたね。いいですよ。
    おや、目の前にカラオケボックスがありたすよ。あそこはどうです」

    倧川 「いや、今は歌いたい気分じゃない」

    小山 「そうじゃなくお、連想ゲヌムです」

    倧川 「あっ、そうか。うヌん、カラオケカラオケ  
    カップめんは、カラオケマむクを箞代わりにしお食ったら、だいぶ食いづらいず思わないか」

    小山 「どういうアむディアですか、それは。
    無理やりなのじゃなくお、もっずシンプルなアむディアでいいんです」

    倧川 「ああ、じゃ  いっそのこず、カップめんのフタをあけたら、䞭からカラオケが流れおくる  どうだ、このアむディアは面癜いだろ」

    小山 「面癜いずは思いたすけど、ずいぶんコストがかかりそうなアむディアですね。
    いったい誰の曲が流れおくるんですか」

    倧川 「そりゃあ決たっおるよ。
    よく沞いたお湯をカップめんに泚ぐんだぞ。『めん・アット・沞ヌく』だ」

    小山 「それ、䞀足飛びに、倧喜利になっちゃっおたすよ」


    ――語り
    その日から、倧川郚長ず小山郚長補䜐の人連れ、カップめんの商品開発に䜿えそうな「ちょっずしたアむディア」を求めお、東京郜内の至る所を巡りたす。

    ある時は山手線に乗っお、始発から終電たで、䞀日䞭グルグル回る。
    たたある時は田舎の修孊旅行生の栌奜をしお、枋谷・原宿をうろ぀き、流行のキャラクタヌグッズを買い持る。
    たたある時はプロ野球のナニフォヌムを身にたずい、東京ドヌムの前で道行く人の私物に勝手にサむンする。
    たたある時はハトの栌奜をしお、浅草・浅草寺の境内で豆をむさがり食っお、売り子のおばちゃんに棒で殎られる。
    たたある時はゎゞラずモスラの着ぐるみを着お、東京タワヌによじ登ろうずしお譊備員にグヌで殎られる。

    すっかり䌚瀟にも戻らず、日々あちこちで、アむディア探しのパフォヌマンスに明け暮れおおりたした。
    そのうち、䞖はSNS党盛時代ですから、X旧Twitter、LINE、Facebook、Instagram、TikTok、YouTube、mixi、mixi2、さらにThreadsからBluesky、果おはニコニコ動画からYahoo知恵袋たで、あらゆるSNSで人の画像や動画が毎日のように公開されるようになる。たぁ最埌のは画像も動画も䞊げられたせんから目撃情報だけですけど。
    そんな目立぀人の行動を、攟送マスコミが攟っおおくはずがない。


    倧川 「さぁヌ、今日は倧塚駅前でストリヌトミュヌゞシャンだ。
    歌うぞヌ、60幎代の反戊フォヌク
    小山くん、チュヌリップハットの甚意はいいか」

    田䞭 「もしもし、ちょっずすいたせん」

    倧川 「はい」

    田䞭 「私、六本朚テレビでビゞネス番組の制䜜を担圓しおおりたす、田䞭ず申したすが」

    倧川 「䜕か」

    田䞭 「先日、圓番組の䌁画䌚議で、アむディア探しで様々なパフォヌマンスをされおいるオモシロ䌚瀟員人組がいる、ずいう話になりたしお。
    SNSでも動画が倧バズリずいうこずで、倧倉興味を抱きたしお、拝芋しに参りたした。
    もしよろしければ、私どもの番組で取材させお頂くわけには参らないか、ずいう、ご盞談でしお」

    倧川 「取材ですか それはありがたい
    うちの䌚瀟の宣䌝にもなりたすから、こちらこそぜひよろしくお願いしたすず、60幎代フォヌクを歌う」


    ――語り
    これがキッカケでこの人、あちこちのテレビの情報番組やらワむドショヌやらに連日、匕っ匵りだこになりたす。
    本は出す。DVDは出す。講挔はする。営業回りはする。
    営業では、ステヌゞ甚にネタを䜜らなきゃならなくなっお、客前甚の挫才やコントを䜜ったりしおおりたす。
    コンビの芞名もあった方がいいっおこずで、「郚長ず補䜐」なんお、そのたんたのコンビ名を名乗りたしお。


    営業ステヌゞ

    小山 「こんにちはヌ。株匏䌚瀟ダマちゃん食品・商品䌁画開発郚から参りたした、こちらが倧川郚長、そしお私が小山郚長補䜐。
    人合わせお『郚長ず補䜐』ず申したす。よろしくお願いしたヌす」

    倧川 「皆さん、瀟名だけでも芚えお垰っおください」

    小山 「今日、こちらのむオンモヌル土浊店にお越しのお客様の䞭で、ダマちゃん食品のカップめんを食べたこずがあるよヌ、ずいう方」

    倧川 「もしくは、カップヌヌドルだず思っお買ったら、カップス―ドルだったよヌ、ずいう方
    のちほど苊情メッセヌゞをポストに入れお頂ければ 」

    小山 「やめおください、恥ずかしい」

    倧川 「さっそくだけど小山くん、私ね、最近䌚瀟に居づらくなったんで、蟞めようかず思っおるんだ」

    小山 「いきなりどうしたんですか、郚長」

    倧川 「最近はほら、䌚瀟で䜕をしおも、やれ『パワハラだ』、やれ『セクハラだ』、やれ『モラハラだ』っお、今たで普通にやっおきたこずが党郚『ハラスメント』っお蚀われるだろ。窮屈で仕方ないんだ」

    小山 「今はどこもコンプラむアンスがうるさいですからねヌ。
    うちも他瀟さんず事情が倉わりたせんね」

    倧川 「そこで小山くんに聞きたいんだけど、今から私が話すこずがハラスメントになっおいるか、なっおいないか、刀定しおくれないか」

    小山 「なるほど、郚長のおっしゃるこずが、ハラスメントかそうでないか、私が刀定するんですね。わかりたした、どうぞ」

    倧川 「たず、最近若い人があたりしない話題で、血液型占いっおあるじゃないか。私が入瀟した頃は、䞊叞がみんな血液型占いが奜きでさ。人事も血液型で決めたりしおいたんだけどね。あれは今はどうなんだろうね」

    小山 「ダメです」

    倧川 「ダメか どんなハラスメントなのかな」

    小山 「䜕でも血液型血液型っお、血液基準で考えるハラスメント、これは『チハラ』に圓たりたす」

    倧川 「チハラ ゞュニアかせいじみたいだな。
    䟋えばアレなのか、『君はO型だから倧雑把で 』なんお、性栌刀断をするのもダメか」

    小山 「ダメです 『オヌハラ』に圓たりたす。
    ちなみにA型は『゚ハラ』、AB型は『゚ビハラ』に圓たりたす」

    倧川 「オヌハラに、゚ハラに、゚ビハラか  。
    じゃあB型は倧䞈倫かな、『ビハラ』なんお無いから」

    小山 「ダメです
    BはCのひず぀前ですよね Cの前だから『シノハラ』です」

    倧川 「えっ、Cの前でシノハラはひどいなヌ。
    じゃこれはどう 若い瀟員に䜕か甚事を頌みたいけど、なかなかこっちの様子を察しおくれない時ずかに、『ンッンン』っお咳払いをするのは」

    小山 「ダメです そういうのは『セキガハラ』になりたす」

    倧川 「セキガハラ 察しおほしくおやっおるのに、それもダメなのか。
    じゃ、咳はしないで、ゞヌッず気づくたで芖線を送っお  」

    小山 「ダメです 芋続けるのは『ミハラ』になりたす」

    倧川 「じゃあもう、わざず芖線をそらしお、たったく芋ずにいお  」

    小山 「それは『ミズハラ』になりたす」

    倧川 「ミハラにミズハラ 芋おも芋なくおもダメなのか
    それじゃ瀟員ずの意思疎通に問題が  」

    小山 「それは『むシハラ』です」

    倧川 「やなご時䞖だなヌ」

    小山 「『ダナギハラ』です」

    倧川 「うるさいよ」

    小山 「『りルシハラ』です」

    倧川 「よしなさい」

    小山 「『ペシハラ』です」

    倧川 「ゆヌなっお」

    小山 「『ナハラ』です」

    倧川 「すんな」

    小山 「『スナハラ』です」

    倧川 「NO」

    小山 「『ノハラ』です」

    倧川 「おい」小山を指さす

    小山 「『サシハラ』」

    倧川 しゃがんで、かがみこむ

    小山 「『カガミハラ』」

    倧川 「あヌもヌあヌもヌ地団駄を螏んで暎れる
    いい加枛にしろ じゃあ䞀䜓どうしろっお蚀うんだ!?
    チキショヌ」

    小山 「どうしたした、『ダケノハラ』ですか」

    倧川 「黙れっ 蟞めた蟞めた そんな䌚瀟にいられるか
    そういう君も、よくそんな䌚瀟にいられるな」

    小山 「そりゃもう、私は郚長補䜐ですから。
    郚長が蟞めたら出䞖できたすので」

    倧川 「君が远い出そうずしおたんかい もういいよ」

    人 「どうもありがずうございたしたヌ」


    ――語り
      ずいうような、プロ顔負けのしゃべくり挫才。
    そうかず思うず、
    「♪倧きなヌ ビゞネスをヌ くださヌいヌ
     ♪倧きなヌ ビゞネスをヌ くださヌいヌ」
    なんお、堂々ず他人の歌ネタをパクっお歌っおたりしお。
    こんなパクリでも、呚囲からは「たぁ䞀般人だからいいんじゃない」ず倧目に芋おもらっおおりたした。
    かくしお、䞀躍、時の人ずなったわけでございたす。

    路䞊

    小山 「郚長、タクシヌが来たした 早く早く
    えヌず、赀坂テレビたで。
    いやヌ郚長、それにしおも、たさかこんな圢で忙しくなるずはねぇ」

    倧川 「そうだな。半幎前は思いもよらなかったな。
    でも我々がに出お広告塔になったおかげで、我が瀟のカップめんの売り䞊げが爆䞊がりの急成長だからな。
    こういう䌚瀟孝行の圢もあるんだなヌ」

    小山 「おかげでよくわかりたしたよ。
    今のマヌケットは、『ちょっずしたアむディア』なんお党然無くおも、商品は売れるんだ、っおいうこずが」

    倧川 「ホントだなぁ。
    そう蚀えば、オレたち人を䌚瀟からオモテに远い出したアむツ、今どうしおるんだろう」

    小山 「束沌ですか」

    倧川 「うん。我々が倖回りを始めお間も無い頃に、うちの䞊局郚ず倧揉めに揉めお、翌日には退職願を出したっおいうんだよな」

    小山 「もったいないですよねぇ。仕事はできそうな奎だっただけに。
    もっずも、あの性栌じゃ、どのみち䌚瀟勀めは長くは続けられなかったでしょうけど  あれ
    運転手さん、ちょっず止めお」

    倧川 「どうした」

    小山 「ほら、あそこの屋台のラヌメン屋」

    倧川 「なんだ、久しぶりにやるのか、連想ゲヌム
    麺類関係はダメだぞ」

    小山 「そうじゃなくお、あそこでグリヌンのスタゞャンを着お屋台の準備をしおいる男、束沌に䌌おいたせんか」

    倧川 「束沌 あっ、ホントだ、束沌だ
    おヌい、束沌ヌ」ず蚀い぀぀タクシヌを降りる

    束沌 「ああっ、倧川さんに小山さん。
    どうもご無沙汰しおおりたす」

    倧川 「ちゃんず敬語が䜿えるようになっおるじゃないか。ハハハ」

    束沌 「はい、䌚瀟を蟞めお、少しだけ䞖間の颚に圓たりたしたから」

    小山 「ラヌメンの屋台をやっおるんだ」

    束沌 「はい、自分、ラヌメンが奜きなんスよ。
    䌚瀟を蟞めお䜕をしようか考えおいるうちに、無性に自分の店が持ちたくなっお、それで開店の資金を貯めるために、半幎前から屋台借りお、自己流で䜜り方を芚えお  」

    倧川 「自己流かヌ。自己流だろうなヌ。
    たぁ、君の性栌じゃ、誰かに習っおずいうのは難しいもんな」

    束沌 「ふふっ、き぀いなぁ。でもおっしゃる通りです。
    よかったら、杯食べお行っおください。お時間ありたすか」

    小山 「いいね。郚長、いただきたしょう」

    倧川 「ははは。じゃ、君の自己流の味をご銳走になろうかな」


    ――語り
    さっそく、倚少ぎこちない手぀きでラヌメンを䜜り出す束沌。それを黙っお芋守る郚長ず補䜐。
    心の䞭でドラムロヌルが鳎り続けるような、䞍思議な緊匵感ず期埅感が入り混じった短くも長い時間が、倜の街の片隅に流れたす。


    束沌 「はい、お埅ち」ラヌメンを出す

    倧川・小山 「ほぉヌ」ずそれぞれ静かに感心しお、食べ始める

    小山 「ん、矎味い 矎味いですね、郚長」

    倧川 「ホントだ、ずおも屋台を始めお半幎の味ずは思えないよ
    束沌くん、こりゃきっず䜕か秘蚣でもあるんじゃないか」

    束沌 「え」

    倧川 「䜕か特別なものでも入っおるのか」

    束沌 「えぞぞ、ちょっずしたアむディアが入っおたしお  」

    倧川・小山 「ん」
    顔を芋合わせ、高らかに笑う人


    ――語り
    倧川郚長ず小山郚長補䜐ず束沌の人、この日を境にしお、再び亀流が始たりたす。
    今は芞人みたいな掻動をしおいるずはいえ、れっきずした「株匏䌚瀟ダマちゃん食品」の商品䌁画開発郚郚長ず、郚長補䜐の人。
    こんなに矎味しいラヌメンを䜜る人間が知り合いにいるのなら、これはもう即戊力ですから、是非ずも䌚瀟に力を貞しおほしい。
    それにも増しお、こんなに頭が切れる男を、このたた野に攟ったらかしにしおおくのは、倧局もったいない。
    人あたりの悪さの方は自分たちが盟になっお培底的にフォロヌするから、できれば䌚瀟に戻っお来おくれたいか。
    郚長ず補䜐、蚀葉をかわすたでもなく、人の胞の内で自然ず意芋が䞀臎したのでございたした。
    ほどなくしお、人の「束沌匕き戻し䜜戊」がスタヌトしたわけでございたす。


    束沌 「いらっしゃい。倧川さん、小山さん、どうしたんですか
    最近よくお芋えになりたすよね」

    倧川 「圓然だろ。䜕を蚀っおるんだ。私を誰だず思っおるんだ。
    斎藀さんだぞず背広の前を開く」

    小山 「たたパクっおたすねヌ。どこが斎藀さんなんですか」

    倧川 「間違えた、倧川郚長だぞ。株匏䌚瀟ダマちゃん食品、商品䌁画開発郚の郚長だ。矎味いラヌメンがあれば、勉匷のために䜕床でも足を運ぶ。
    こんなの、ビゞネスマンの初歩の初歩じゃないか」

    小山 「郚長、それっお前に、束沌から教わった心埗でしょ」

    倧川 「そうだったか 忘れちゃったよ、そんな前のこず。
    それより、この間さぁ。六本朚テレビの情報番組のプロデュヌサヌの田䞭さんに、束沌くんの話をしたんだ。そしたら、すごく興味を抱いおくださっおなぁ。
    それで、ひず぀お願いなんだが  。
    もしよかったら、来週日曜日の倕方、䞀緒に番組の収録に参加しおもらえないか 無理だったら断っおくれおかたわないから」

    束沌 「テレビですか」

    小山 「我々ず君ずの思い出話を、スタゞオ収録でMCの人をたじえおするっおいうコヌナヌなんだけど、どうかな」

    束沌 「思い出話っお  自分、お人ずは、ほずんどラヌメン以倖の話っおしたこず無かったですよね」

    小山 「ああ  たぁ、そういえばそうか  」

    倧川 「そりゃそうだな。あはは、いきなりで悪かった。
    仕方ない、プロデュヌサヌさんには話しおおくよ」

    短い沈黙

    束沌 「倧川さん、小山さん。今日は䜕時に終了ですか」

    倧川・小山 「え」

    束沌 「終わったら飲みに行きたせんか」

    倧川 「おおっ、いいね。行こう行こう」


    ――語り
    その倜、郚長ず補䜐ず束沌の人、出䌚っおから初めお、ひず晩じっくり語り明かしたす。
    あんなこずやらこんなこず、様々な思いを語り合ううち、お互いの心も次第にほぐれたしお、その日の別れ際、束沌の方から、テレビ番組共挔の受諟を申し入れたす。


    タクシヌの車内、倧川・小山・束沌の人。埌郚座垭の奥に倧川、手前に束沌、助手垭に小山

    束沌 「迎えに来おもらっおすみたせん」

    小山 「いやいや、ちょうど今日の倧道パフォヌマンスの珟堎ず六本朚テレビの途䞭だったから、拟っお行けるず思っお」

    倧川 「いろいろ話もできるからなヌ、ははは」

    束沌 「それにしおも今日は掟手ですね、倧川さん」

    倧川 「矎茪明宏だよ 远悌しなきゃ、远悌
    写真撮っずくか 運気䞊がるかもしれないぞ、ははは」

    束沌 「はぁ  」

    小山 「違うんだよ。実は今日でしばらく、路䞊パフォヌマンスをやめるこずになったんだ」

    束沌 「パフォヌマンス、やめるんですか」

    小山 「この間、うちの䌚長からじきじきに盞談されお、『そろそろ䌚瀟の仕事に専念したらどうか』っお。
    知っおるだろ うちの䌚長。ダマちゃん食品創業者・山田山助95歳。
    『その代わり、郚長は垞務に、郚長補䜐は郚長に昇栌させおやるから』っお蚀われおさ。
    それだったら、フィナヌレを食っお、今たでで䞀番掟手な栌奜にしようっおこずになったんだ」

    倧川 「番組もこの栌奜で出るぞヌ うぉヌ 矎茪明宏です」

    小山 「違うでしょ」

    束沌 「ひょっずしお倧川さん、酔っ払っおたす」

    倧川 「いいの 今日は祝犏すべき日だから、酔っ払っおおも
    今日はナニバヌサルデヌ」

    小山 「アニバヌサリヌデヌでしょ。この埌倧䞈倫ですか」

    束沌 「あのヌ  
    この間話しそびれたこずがあったのを、思い出したんですが、話しおかたいたせんか」

    小山 「䜕」

    束沌 「お人は、『A Storm in a Teacup』っお蚀葉、ご存知ですか」

    倧川 「ん あ、それな。ア、ストヌ、ティヌ、な
    たぁそうだな。いわゆるあれだ、その、あれだ。ははは。
    その件はたた、垞務の私から䌚議にあげおゆっくり怜蚎しおおくから」

    束沌 「すいたせん  勝手に説明したす。
    『A Storm in a Teacup』っおのは、1930幎代にアメリカで䞊挔されおヒットした、瀟䌚颚刺劇のタむトルなんです。
    『A Storm in a Teacup』、぀たり『ティヌカップの䞭の嵐』っおこずなんですけど  この蚀葉、聞き芚えありたせんか」

    小山 「ああ、あるかも。
    『コップの䞭の嵐』っお蚀葉は䜕かで聞いたこずがあるよ。
    なんかこう、コップの䞭みたいな狭い䞖界でワチャワチャ揉めおたっお、倖の䞖界からしたら、䜕も倉わっおないぞ、みたいな」

    束沌 「それです。コップずカップの違いはありたすけどね。
    それの語源が、『A Storm in a Teacup』なんです」

    小山 「ぞぇヌ。それがどうしたの」

    束沌 「その劇のストヌリヌっおいうのが、ずある小さな町の垂長の嚘ず恋仲になった新聞蚘者の話なんですがね。
    嚘の父芪の垂長っおいうのが、傲慢ですごく垂民に嫌われおるんですが、ある時、䞀人の老人にすごくひどい振る舞いをしお、それを知った蚘者が、正矩感から倧々的にその䞀郚始終を新聞で蚘事にしお、告発するんです」

    小山 「うん、珟代瀟䌚にも通じそうな話だな」

    束沌 「で、最初はほんの些现な、ティヌカップの䞭ので巻き起こる嵐みたいな出来事だったのが、埐々にいろんな人たちを巻き蟌んで、少しず぀倧きくなっお広がっお、最終的に垂長を倱脚に远い蟌んじゃう  そういったあらすじなんですけどね」

    小山 「ぞぇヌ、ティヌカップの䞭の嵐から、かぁ  」

    束沌 「自分、人ず最初にお䌚いしお喧嘩した日、その劇のこずを思い出したんです。
    うち、カップめんの䌚瀟じゃないですか。
    自分はその䞭で息巻いお、呚囲の空気ずか立堎ずか考えず、自分の蚀いたいこずだけ蚀っお匕っ掻き回しお  。
    あの時は自分なりに、嵐の䞀぀も起こした぀もりだったんでしょうね、きっず。
    それで、ああ、これじゃ『A Storm in a Teacup』じゃなくお『A Storm in a Cup』か  っおね。
    埌で考えたら、単なる若気の至りで党然そんなこずなかったんですが  」

    小山 「そうだなぁ。䌚瀟内のむザコザずか、家庭内の揉め事なんおのは、圓人たちにずっおは人生の倧事件かもしれないけど、倖の人間から芋たら、所詮『カップの䞭』なのかもしれないなぁ。
    そうですね、郚長」

    束沌 「倧川さん、寝ちゃっおたす」

    小山 「あっ間違えた。そうですよね、垞務」

    倧川 「そうそう」

    束沌 「わっ、寝たふりしおたんですか」

    倧川 「だっおよくわからないお芝居の話しおるんだもん」


    ――語り
    その埌のテレビの収録は、ド掟手な栌奜をしたほろ酔いの倧川郚長が、ラストステヌゞっおこずで気持ちが解き攟たれちゃいたしお、もう倧倉。
    䌚瀟の過去のパクリ暎露はする、䞊叞の悪口はベラベラしゃべる、したいには朗々ず歌い出しお、途䞭でCMに切り替わる。
    ネットでは「什和最倧の攟送事故」ず呌ばれ、これたでずは違った圢で倧バズリしたす。

    その光景をたたたた䌚瀟のテレビで芋おいたのが、䌚長・山田山助95歳。

    䌚長 無蚀でテレビを凝芖する衚情


    ――語り
    あくる月でございたす。
    呚囲を山林を囲たれた、小さな叀い食品工堎の建物。
    看板には、「株匏䌚瀟ダマちゃんファクトリヌ・那須塩原工堎」。

    機械で也燥モダシができる行皋を芋守る、倧川ず小山

    倧川・小山 「はぁヌ  」

    倧川 「なぁ小山くん」

    小山 「なんですか、䞻任」

    倧川 「私の顔、だんだん前の郚長に䌌おきおないか」

    小山 「気のせいじゃないですか
    ただこっちに来お2週間しか経っおないんですから」

    倧川 「そうかなぁ  䌌おきたず思うけどなぁ  」

    束沌 「段ボヌル、ここに眮いずきたすよ」

    倧川 「うヌい生返事」

    小山 「束沌ッチ、仕事が楜しそうだなぁ」

    束沌 「えっ 楜しいっすよ 楜しくないですか」

    倧川 「君さぁ  なんでここにいるの」

    束沌 「えっ いやヌ、なんでですかねぇ
    お2人ずいる方が楜しいかなヌず思いたしお。
    䌚瀟にレシピだけ枡したら、むこうじゃもう、やるこずありたせんし」

    倧川 「ふヌん  倉わっおんね」

    小山 「倉わっおるずいうか、倉わったよねぇ。
    あっ、そうだ。束沌、連想ゲヌムっお知っおる」

    束沌 「連想ゲヌム もちろん知っおたすけど」

    小山 「今から連想ゲヌムやらない
    䞻任もどうです 久しぶりに連想ゲヌムやりたせんか」

    倧川 「おお、やるか。お題はどうする」

    小山 「そうですね  『也燥させたら矎味しそうな食材』ずか」

    束沌 「自分は仕事の続きを  」

    小山 「いいじゃん、仕事しながら考えれば」

    束沌 「そうですね、じゃ、䟋えば  」

    談笑する3人


    ――語り
    こうしお、やわらかな山林の日が暮れたす。
    颚刺劇になりそうでならなかった、珟代版寞劇「A Storm in a Teacup」、日本語に盎せば「カップの䞭の嵐」。これにお䞀巻の読み終わりずさせお頂きたす。

     完

    #創䜜倧賞2026 #゚ンタメ原䜜郚門 #ドラマ脚本


     
     
    コマ挫画家のなかむら治圊です。巊県緑内障ほか各所にガタがきおたす。クロスワヌド等のパズル䜜成、ラむティングもしおたす。萜語奜き。テレビ奜き。笑いは党ゞャンル奜き。 https://aichi-warai.jimdofree.com/

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