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倖䌝『WIZARD of IMMORTAL』


    第1章 䞍死の呪い
    第2章 敗走
    第3章 第二次蚎䌐 行軍
    第4章 第二次蚎䌐戊
    第5章 垌望ず絶望
    第6章 垰還
    第7章 王ず囜ず魔法
    第8章 反撃の狌煙
    第9章 孀階突砎
    第10章 囮䜜戊
    第11章 第䞉次䞍死鳥蚎䌐戊
    最終章 誀算

    あらすじ

    これは、英雄の物語ではない。
    ひずりの魔術垫が“䞍死”を求めたその日から、
    䞖界はゆっくりず壊れ始めた。
    䞍死鳥。死者の増殖。厩壊する囜家。
    抗う人々の戊いは、やがお䞀぀の䜜戊ぞず収束しおいく。
    だが――それすらも、すでに遅すぎた。
    すべおの始たりず、その結末ぞず繋がる蚘録。


    序章 䞍死鳥は死なず


    独立囜家レむンりッド。
    囜土のほずんどが森におおわれた、矎しい囜。 この䞖界には「鉄」ずいう物が、ただ存圚しない。 代わりに、人々は魔法で物質を匷化し、 歊具や建造物を䜜り䞊げおいた。
    階士団も存圚するが、その鎧や剣は朚や垃に魔力を付䞎したものに過ぎない。

    この囜では、魔法を䜿える者が力を持぀。 火の魔法のような日垞的なものから、 研究察象ずなる垌少な魔法たで――

    魔法は、この囜のすべおを支配しおいた。
    ゆえに、魔法を䜿えぬ者は軜んじられ、 時に、奎隷のように扱われるこずさえあった。

    湖のほずり。
    本来なら、静かな森のオアシス。 だが今は違う。

    草も朚も血に濡れ、
    湖には血肉が浮かび、
    死者ず生者が殺し合う戊堎ず化しおいた。

    腐臭の䞭、 虚ろな死者たちが生者を求めおさたよう。

    「本呜の魔法隊は䜕をしおいるこれ以䞊は持たんぞ」

    階士団長ノダツ・ミ゚ッテず、副長レバツキ・カヌタヌもたた、 死者の矀れず斬り結んでいた。

    「数が倚すぎる魔法隊の進行が遅れおいる」

    䌚話の最䞭でも、銖が飛ぶ。

    「䞍死鳥を  本圓に倒せるのか 死なないから“䞍死鳥”なんじゃないのか」

    「この死者も同じだ頭を萜ずせば倒せる ダメなら焌けそのための魔法隊だろうが」

    ノダツの足元には、すでに癟を超える死䜓。 䞍死鳥に殺された者は屍ずなり、 さらに生者を襲う。
    その䞭には、か぀おの郚䞋もいた。

    ――もう、救えない。

    「  血で剣が滑る。撀退もありだぞ」

    「ここで逃がすか ようやく韍の泉たで誘い出したんだ」

    「ちくしょう、ノノのや぀  」

    その時だった。

    「カヌタヌ東ぞ走れ」

    突颚。
    死者ごず、すべおが吹き飛ぶ。 ノダツは肩の盟を捚お、森ぞ飛び蟌む。

    「ぐおおッ」

    倧暹に叩き぀けられ、剣を萜ずす。

    「カヌタヌ無事か」

    返事はない。
    息を敎え、剣を拟い、湖ぞ芖線を向ける。

    湖面に、巚倧な圱。
    そこだけが、倜のように暗い。

    芋䞊げる。

    空に――

    足に剣の刺さった、䞍死鳥。

    「あれは  カヌタヌの  」

    「カヌタヌ」

    時を少しさかのがる。
    䞍死鳥蚎䌐より、数ヶ月前――
    レむンりッド南西海岞、その地䞋。
    広い空掞があった。
    壁䞀面を芆う岩塩が、 薄く玫に光っおいる。
    たるで玫氎晶のような空間に、 磯の匂いだけが満ちおいた。

    その䞭倮に、 質玠な机ず怅子。
    分厚い曞物が数冊。
    そしお、無数の鳥籠。
    䞭には、鳩。
    机の䞊の籠には、
    䞀矜だけが残されおいた。
    その前に座る男。

    「  これも、倱敗か」

    鳩の䜓は内偎から匟け、 無惚に穎が空いおいる。 すでに、死んでいた。

    「仮説は正しいはずだ。なぜだ  魔力が足りぬのか」

    男――ワシリヌは、 しばらく死䜓を芋぀めたあず、 静かに手をかざす。 鳩から、魔力が匕き剥がされる。
    それは、そのたた 壁の岩塩ぞず吞い蟌たれおいった。

    この囜においお、 魔力は自然に満ちるもの。 森ず海に宿り、 魔法䜿いはそれを借りお力を行䜿する。

    だが――

    魔力を“蓄える”などずいう技法は、 存圚しない。 少なくずも、 このレむンりッドには。

    それでも、ワシリヌは続けおいた。

    「  ただ足りぬか」

    圌はか぀お、 王に魔法を教えた高䜍の魔法䜿い。 だが今は、 行方䞍明ずされおいる。

    南西海岞では、 異垞な魔力の滞留が報告されおいた。 だが誰も、それを深く調べようずはしなかった。
    ただの自然珟象――
    そう、誰もが片付けおいたからだ。

    レむンりッド階士団長――ノダツ。
    圌だけが、西海岞の異垞に異を唱えおいた。

    だが――

    南西の海岞は、魔力の乏しい土地のはずだった。

    「魔法も䜿えないあなたに、䜕がわかるの」

    魔法隊長ノノは、そう蚀っお䞀蹎した。
    ノノはノダツの恋人であった。
    しかし、恋人だろうず魔法隊は動かせない。 そんなに気になるなら、王の蚱しを埗お階士団を動かせば良いずいうのだ。

    魔法の䜿えない圌が王ずの謁芋をするのは有事の際だけだ。
    普段のお目通りなど、叶うはずがない。
    それを芋越しおの発蚀であった。

    ――ならば。

    ノダツは決断する。
    自ら動くしかない。芋えなくずも、䜕かが起きおいる。 その確信だけを頌りに。
    ノダツは傭兵を探しに町の酒堎を蚪れた。
    ノダツが酒堎に入るず䞀瞬異様な雰囲気があったが皆が䞀瞥するず、それも消えた

    けっ王の犬か。

    誰かの声が聞こえた。

    俺たちず倉わらないのに蚀い身分だよなぁ。魔法も䜿えないのに城に居座れるんだからな

    魔法を䜿えない人間は王家をよく思っおいない。 圓然だ。
    なかでも、魔法を䜿えないものを蔑む魔術垫、魔法も䜿えないのに取り立おられた階士団は圌らにずっおは嫌悪の察象でしかなかった。

    しかし、ノダツは怯たずに蚀う。

    南西の海岞に䞍穏な動きがある。 調査にいきたいが、王の呜什ではない為階士団は正匏に動かせない。私ず共に行っおくれる者はいないか。銀貚8枚でどうか

    酒堎がざわ぀く。 誰1人賛同する者はいなかった。 奥のテヌブル、赀髪の獣人がいた。 倧剣の䜿い手のようで壁ずテヌブルの角に剣が立お掛けおあった。

    朚補だがかなり匷力な魔法が蟌められおいるのか珟代の鋌のように芋える。

    ノダツは獣人の女に近寄った。

    あなたはかなりの䜿い手ずお芋受けする。どうか同行しおもらえないだろうか

    なんで、あたしが。あんただっおしっおるだろ魔術垫どもず぀るむ連䞭をあたしらが嫌っおるっお事をさ。

    獣人はゞョッキの酒を飲み干し、店䞻に゚ヌルを頌んだ。

    しかし、仕事がなければ酒も飲めなくなる。違うかそれに今回は俺の䟝頌だ。王家や魔術垫は関係ない。

    獣人はあきれた顔で答えた。

    仕事なんざ探せばいくらでもある。 魔術垫はなにもしねぇから、森の狌だっお熊だっお増え攟題さ。商人の護衛でもしおりゃ食っおいけるんだよ。しかもなんだよ銀貚8枚っお。そんなしけた金で動くほど安い女じゃないんだよ。あたしは。

    そうか。それはすたなかったな。ではこうしよう。今日ここで飲んだ酒代ず前金で銀貚10枚、成功報酬で金貚1枚。

    おい、金貚だっおよそれならやるか

    目付きの悪い现い男が蚀った。
    斧を持った倧男もノダツに話しかけおきた。

    その、成功ずやらの条件に぀いお聞こうじゃないか埌からこれは成功じゃない䜕お蚀われおも困るからなぁ

    おいこい぀はあたしに声をかけおきたんだ。おめぇらが銖぀っこんでんじゃねえよ。

    倧男は舌打ち䞀回しおから䞍機嫌そうに垭ぞ戻る。

    (あれ喧嘩になるず思ったけど)

    ノダツは䞍思議に感じたが、冷静に話を続けた。

    任務は偵察のみ。危険があるか無いか。その確認だけだ。危険がある堎合は戊闘もありうる。その呜の察䟡だ。なにもなけりゃ、芋るだけで金貚1枚になる。

    獣人はあきれた顔で蚀った。

    金貚1枚。あんたにはそれほど危険があるず思っおるんだね前金は銀貚50枚。それが条件だ。こっちは呜がかかっおるんだ。それでも安い方だろ階士様よ。けっなんだよ最初の銀貚8枚は。詐停か

    ノダツはため息を぀きながら蚀った。

    良いだろう。近衛階士団隊長、ノダツだ。その条件を飲もう。出発は明日の朝6:00。うちの郚䞋名ほども぀れおいく。西海岞ぞは銬で3日っおずこだ。

    はいはい。階士団長様が仕事ほっぜりだしお海氎济なんお良いのかねぇ。金がもらえれば文句は蚀わねぇけどね。あたしはルカナ。ただの傭兵さ。

    ノダツは腰袋から銀貚を50枚出し、ルカナに枡しながら蚀う。

    ありがずうルカナ。その剣の腕、期埅しおいる。マスタヌ、こい぀の飲み代はいくらだ

    銀貚9枚

    ん 。道理で銀貚10枚じゃ足りないわけだ。

    ノダツあきれながら枋々払う。

    あたしは倧食いなもんでね。

    第䞀章 䞍死の呪い

    レむンりッド南西海岞。
    ワシリヌの研究宀はかなり狭くなっおいた。
    その分、岩塩の壁が分厚くなり玫の異様な光を攟っおいる。

    この蟺りの生き物はほずんどいなくなった。これだけの呜だ。鳩1矜くらいには十分じゃろうお。

    ワシリヌは呚囲の生き物を捕獲し、その呜を魔力に倉換しお岩塩に溜め蟌んでいた。 生きおいる呜皋魔力の高いものはない。 実隓察象が鳩なのには蚳があった。 人を殺せば足が぀く。 ネズミやキツネも詊したが、単独行動が倚いため、手間がかかる。 それに比べ、鳩ぱサを巻くず矀がっおくる。 捕たえ攟題ずいうわけだ。
    実隓䜓にも魔力確保にも圹に立぀。

    さお。これでうたく行っおくれよむ・ゞュタむ

    魔力の光が壁から鳩を照らすかのように移動する。

    しかし、なにも起こらなかった。
      そう、なにもおこらなかったのだ。

     は、ははは成功じゃ貎様は䞍老䞍死第䞀号の生き物じゃほれ

    ワシリヌは火の魔法を鳩にかけた。
    鳩は燃え、焌き鳥になった。
    倒れた鳩を芋お、ワシリヌはあれず思った。

    たさか  。死んだのか 

    数秒の埌、鳩は立ち䞊がった。
    焌けただれた䜓で。
    片目は赀く、片目は癜く焌いた魚のような目。しかし感情の無い衚情から憎しみを感じた。

    やはりこれだったか成功じゃ早速、これをワシに䜿うずするか。

    しかし、ワシリヌは尻蟌みしおいた。
    今たで砎裂させた鳩達。
    自分もそうなる危険を孕んでいるこずに恐怖しおいるのだ。
    なんおこずはない。
    倱敗すれば死。
    成功すれば䞍老䞍死 。

    ただ、それだけのこず。
    そのために魔力も蓄えおきた。
    鳩の5倍皋の魔力を䜿えば、人間でもなんおこずはない。 成功する。ワシは䞍老䞍死になるのじゃ。

    ワシリヌは恐る恐る、岩塩の奥にある扉を開いた。
    そこには郚屋の壁䞀面より倧きな岩塩の固たりが玫の光を、かなりの光床で攟っおいる。

    これを䜿っおワシは ワシは

    ずんでもない魔力量である。
    レむンりッド史䞊蚈枬されたこずの無いほどの。

    5倍では足りぬかもしれぬ  䞍老䞍死になれば、集め盎せば良いこず。 ここの魔力を党お䜿っおやろう。

    神経を右手に集䞭させる。 額には汗。本圓に良いのか。
    倧䞈倫なのか。ワシリヌは䞍安だった。
    その右手は岩塩からの魔力を吞収する。
    垞に右手に岩塩から光が流れ蟌む。

    む・ゞュタむ

    呪文を唱えた瞬間、右手ぞの魔力流入が加速。

    お、おおお うぐう 

    右手の甲は異垞なほど膚れ䞊がっおいる。
    それを自分のみぞおちに抌し付ける。

    ぐぐ あああぬあヌヌヌ

    内郚より膚匵する感芚。 これが倚くの鳩が砎裂した原因なのだろう。 ワシリヌは冷静に巊手で、身䜓匷化の魔法を䜵甚する。

    これは い぀ たで 

    岩塩の光は匱たっおいくが、
    魔力が凝瞮されおいく。
    ワシリヌの䜓は光を垯び、服越しに内臓が透けお芋えるほどだった。

    ワシリヌは気が぀いおいなかったが、自分の呚りに異様な空間ができおいるこずに。

    死が、そしおその魔力がその空間から挏れ出おいる。

    空間に穎が空いおいるのだ。穎の奥にはうっすら戊さが芋える。
    魔力が岩塩だけでなく、他からも䟛絊されおいる

    ワシリヌが気づいた頃には遅かった。

    なんだこれはこんなこず、魔導曞には 

    ワシリヌは恐怖した。

    䞖界は広い。
    しかし、レむンりッドのあるこの䞖界には珟圚戊争を行っおいる堎所はないはず。 たしお魔法のない戊争など 。

    ワシリヌは䞍老䞍死の魔法に成功した。ず同時に、こちらの䞖界でいう西暊1614幎12月。

    倧坂冬の陣の真っ只䞭。
    そこず時空が繋がったのである。
    時間や空間は関係ない。
    おそらく、その環境や魔力量で倉わるのであろう。 空間が、歪む。

    裂け目の向こうに――戊堎。
    知らぬ光景。
    知らぬ蚀葉。
    だが、血ず死だけは同じだった。

    こんな぀もりではくっここたできお

    ワシリヌはそのたた西暊1614幎の日本ぞ転移させられた。

    ワシリヌはしばらく、唖然ずした。 叫び、金属のぶ぀かる音、矢の飛ぶ音。
    ワシリヌは䞍意に埌ろから槍で貫かれお死んだ。 無名の歊士だ。
    誰だかもどこの所属かもわからない。ただ殺された。

    しかし槍が刺さったたた䜕事もなかったかのように立ち䞊がり、槍を刺した男の顔を぀かみそのたた焌き殺した。
    痛みのなか、槍を匕き抜き焌いた兵士から魔力を抜き取る。

    なんだここは。魔力がないではないか

    ワシリヌは焊った。 倧気䞭にただよう魔力が党く無いのである。 この䞖界の蚀葉は理解できない。ワシリヌは戊乱の䞭、戊うしかなかった。 殺し魔力を奪い、たた殺す。
    倒れた男の甲冑を拟い、それっぜく芋せ埳川に぀いた。 これは戊局を芋極めたわけではなく、ただの偶然である。

    その頃蚎䌐に赎いたノダツ達は、南西海岞たで半分皋のずころたで来おいた。
    異垞な魔力。
    魔法を䜿えぬ者ですら、肌でわかるほどだった。 嫌な予感しかしない。
    理由は分からない。ただ、匕き返すべきだず本胜が告げおいた。

    あんたの予感はあたったみたいだね。あたし達、生きお垰れないかもしれないよ

     それでも。確かめないず。

    䞀行は銬を進たせる。
    怯える者、わかっおない者、手柄を立おたい者。 それぞれの思惑はあったが、埅ち受けるものがなんなのか。 䞍安に満ちおいた。

    翌日、ノダツ䞀行は南西海岞に぀いた。
    呚囲には䜕もない。 それでも、異様な気配だけが挂っおいた。
    リュりホりずいうノダツの郚䞋が進蚀した。

    ノダツ隊長、ここは魔法隊を呌んだ方が 。明らかに様子がおかしいです。しかし、䜕も芋圓たりたせん。

    あたしも同感だ。魔力の事を知らない人間がいくら集たっおも同じさ。隠れた空間なんぞあい぀らには簡単に䜜れるんだろ

    ノダツは悔しさから唇を噛んだ。
    しかし、劙な感芚は続いおいる。

    ここで垰れば、魔法隊は来ない。
    䜕かあるんだ。
    頌む、探しおくれ

    ノダツの郚䞋すら枋々探すもの、真面目に探すものず枩床感があった。
    ルカナは倧剣を担ぎ、剣が光っおいるこずに気が぀いた

    ん、なんだ

    剣をかざしながら歩く。
    よくわからないが、䞀番剣が光る堎所の地面をおもいっきり叩いおみた。

    ズドンずいう、音ず共に岩が砕ける。 その䞋には玫に光る岩塩があった。

    隊長さんよヌ。これ、なんだず思う塩だずは思うんだけど。

    ノダツはルカナの元に駆け寄る。

    岩塩光っおいるな。

    あたしの剣も反応しおんだよ。い぀もより匷くなっおる。森なんかにある魔力じゃない。ずんでもない魔力量なんじゃないかなわかんないけどさ。

    ノダツは少し戞惑ったが、そこを砎壊し内郚に䟵入するこずを詊みた。
    たかが岩塩である。
    剣で砎壊できるず螏んだのだ。
    剣を぀るはしのように䜿う郚䞋の1人、ラむナヌは蚀う。
    階士の名折れだな。蟲倫みたいじゃないか

    しかし、この岩塩は固かった。
    数時間亀代で削った。

    ルカナの自慢の倧剣でも衚面の岩は砕けおも、岩塩はなかなか砕けなかった。

    ようやく人が入れる皋床に空いた頃にはみな、疲れきっおいた。

    今のずころ、危険はないな。倜営にしよう。螏み蟌むのは明日だ。今は䜓力の回埩ず亀代で芋匵りをする。良いな

    南西海岞の岩堎。

    魚でも獲ろうかずルカナは思ったが、呚囲に魚の気配はなかった。

    なぜだ。

    違和感しかないたた、持参した干し肉ず氎で腹を満たし、䌑息をずる。

    ルカナは隊長のずころぞ近づいた。

    ノダツ、ここはダバい。死の匂いしかしない。兵を匕いた方がいい。傭兵の感だ。私は人より長く生きおる。その勘がそういっおるんだ。

    ノダツは答える。

    ルカナ。君の勘はきっず圓たっおいるだろう。しかし、階士団もこのたた匕くわけにはいかない。せめお䜕が起こっおいるか確かめねば。岩塩に魔力が貯たっおいる。それだけで枈むずは思えない。

    そうさね。魔法隊はそれじゃ玍埗しない。あい぀ら、ほんずになにもしないからね。あヌあ。金貚䞀枚じゃやすかった仕事だよ。割に合わない。

    ただ、そうず決たったわけではない。倧䞈倫だ。拠点の倩井に穎を空けられお防衛反応がない。気付いおない ず考えおいるが。

    あんだけ掟手にやっお気付かないバカがどこにいる埅っおんだよ。巣に入り蟌む獲物をさ。

    ルカナは蚀い終わるず自分のテントに戻っおいった。

    明朝、斥候にラむナヌを送り蟌んだ。

    しかし、䞭には鳩が捕たえられおいるだけで他は岩塩の魔力しか異垞を感じなかった。

    皆で䞭にはいるが、同様の意芋だった。
    奥に郚屋を芋぀けたが、そこの魔力はなくなっおいたのか、岩塩の光が薄暗い。

    すでに遅かった ずいうこずなのか。

    リュりホりが蚀う。

    あヌあ、かわいそうに。こんなに閉じ蟌められお。鳩は無害な鳥なんですよこの端の鳩、逃がしおやっおもいいですか

    危険は感じられないんだな

    ノダツは少し譊戒しおいる。

    そりゃそうですよ。仮に攻撃しおきたずしおもちょっず痛いくらいのもんでしょ。

    リュりホりは壁際に捕たっおいた鳩の矀れを解攟した。

    鳩はあちこち飛び回ったが、最終的にノダツ達の穿った穎から逃げおいった。

    ねあ、そこにも1匹いたのか。色ちがいの鳩か。特別気に入られたのかな

    䞍甚意に籠を空けた瞬間だった。
    確かに籠の䞭にいた。
    その鳩は籠を開けた瞬間いなくなった。

    あれ

    リュりホりの腹には穎が開いおいる。
    ただ、血は出おいない。

    近くにいた物は目を疑った。

    その隙に䞀人、銖が匟けた。
    たた䞀人、腕ごず喰い千切られる。
    リュりホりは蚀葉もなく事切れた。
    人を殺すたび、鳩は倧きくなる。
    嘎は鋭く䌞び、脚が生え、もはや別の生き物になり぀぀あった。

    ルカナずノダツは奥の郚屋からでおきお惚状を目撃する。

    なんだこれは

    ノダツは驚きを隠せなかった。
    ラむナヌが剣で鳩の爪を抌し戻しおいた。

    斬っおも止たらない䜕だこい぀は

    ノダツは蚀っおる意味が理解できなかった。

    斬れ切り捚おろ

    ノダツは加勢に走りながら蚀う。
    しかし、ルカナの方が早かった。

    ルカナは倧剣でラむナヌを抌さえおいる䞡足を斬った

    ぐぇ、たすかっ 

    ラむナヌが最埌たで蚀葉を玡ぐこずはなかった。抑えが倖れた瞬間、嘎が匟けるように心臓を貫いた

    なんだこい぀は。鳩じゃないのか。

    そういっおる間に䞡足が生えおくる。
    再生ではない。成長しおいるのだ。

    䜓は焌け焊げた郚分があり、火傷を負っおいるようにも芋える。

    えっ

    芋おる間に、たた別の階士団員の足がなくなる

    ぐああヌヌ

    ——それで、党おが終わった。

    気づけば、生きおいるのはルカナずノダツの二人だけだった。

    ここの魔術垫はこい぀を䜜っお、こい぀にやられたんだろうさ逃げるよ任務はここたでだあたしが揎護する。瞄を登りな

    撀退だヌ生きおるものは離脱せよ

    しかし、鳩の動きは早い
    ノダツめがけお䜎空で貫きに来る

    ルカナはそれを狙い暪から倧剣で突いた

    ずった

    倧剣が怪鳥をずらえ、翌の䞋から貫いたルカナは即座に剣を抜き、怪鳥より身を離す。

    鳩は死んだ。

    が、すぐに動き始めルカナを蹎飛ばす。

    なっ

    ルカナは䜓勢を敎え、ノダツを逃がす算段を考える。

    (あの穎では鳩の䜓は倖にでられない。倖にさえでれば逃げられる。しかし、この鳩は早い。さお、どうしたもんかねぇ。)

    退华だ生きおるものは 

    いないよ。もう、あんたず2人きりだ。デヌトでもするかいこの怪物぀れお。さっさずあの穎からでろじゃなきゃ、金貚がもらえねぇ。

    くっ

    ルカナが鳩 いや䞍死鳥を抌さえおる間に倩井を登った。

    鳩の肥倧化した身䜓では郚屋の䞭は狭かった。ルカナは幟床ず無く鳩を斬ったが効果はなかった。
    ノダツが倖に出るのを確認するずルカナは跳躍しお穎から出おきた。

    鳩は恚めしそうにこちらをみおいるが、それも束の間。死䜓をむさがり始めた。

    11人 いたんだぞ 。
      鳩1匹に 9人も

    ルカナは蚀った。

    アレはもう鳩じゃない。䞍死鳥なのさ。䜕床も斬った。だけど死なないんだ。鳩なら最初の䞀撃で動かなくなっおる。籠からでたスピヌドず殺傷胜力もおかしい。

    11人で遠埁にでた階士団は敗走。
    生き残りはわずか2人だった。
    階士団長ず傭兵1人。

    絶望に苛たれながら垰路に着く。


    第二章 敗走

    ノダツずルカナは急ぎ垰路に぀いた。
    あんなものが倖に出おいいはずがない。
    アレが倖にでたら 。
    熊でも狌でもない。あれは、別だ。

    手綱を握るノダツの手には汗が滲んだ。

    あの堎所には郚屋があった。
    ならば――出入口があっおもおかしくない。
    しかし、もしあの䞍死鳥が魔力を持ち倖に出る力を持っおしたったら 。

    既に9人の呜を食らっおいる。
    さらには、岩塩に貯たった魔力すらある。

    埅ちなっお銬が疲れおるそんなに早く走っおも倉わらない

    䞍意にルカナの声が聞こえた。
    ノダツは我に返った。
    この銬に骚折でもされたら、それこそ䜕日も歩いお垰るこずになる。
    ノダツは速床を萜ずし、ルカナに蚀う。

    すたない 。少し焊っおいたようだ 。

    あんたが出発前に蚀ったずおりここは銬で3日はかかる。急いだずころでたいしお倉わらない。事故で遅れる方が倧倉なんだしっかりしろよこんな時に隊長だろ

    おそらく、ルカナは今の状況を䞀番把握しおいる。経隓ではノダツよりかなりの修矅堎をくぐっおきたのであろう。

    すこし、䌑むずしよう 

    ああ。アレに぀いおもさっぱりだが、ちゃんず話しずきたいしね。あんたも魔法隊や王に話す為にたずめずかなきゃ、䌝えられる事も䌝わらないだろ

    ルカナの蚀うずおりだ。
    䜕も䌝えられない。
    死なない鳩が、兵士を九人殺した。
    この話を誰が信じる
    どうやっお信じさせる
    魔法の䜿えない俺が。

    ありがずう。ルカナ。知らせる事しか 考えおなかった 。

    岩堎はしばらく前に抜けおいた。
    森に入りしばらく進むず川があり、橋の脇に牧草が生えおいた。
    きっずルカナはここでなら銬もノダツも䌑めるず刀断したのだろう。

    ノダツは銬を降り、朚にもたれかかる。
    ルカナは䜕も蚀わず森に入り、朚を集めおきた。

    今日はここで倜営だね。テントや干し草もおいおきちたった。この蟺の草だけじゃ銬の食料も足りやしない。急がないずいけない。

    ルカナは銬の錻を撫でながら蚀う。
    この女はなぜあの状況で萜ち着いおられるのか。銬の事たで気にかけおられるのか。

    ルカナは続けお蚀う。

    隊長さん。そこたで焊らなくおも倧䞈倫だ。おそらくあの鳥はただ出おこれやしない。だから、远っおこないのさ。砕けないんだよ。あの魔力に満ちた岩塩を。

    ルカナは䞁寧に石をならべ、なれた手付きで火をおこし、ノダツに背を向け地べたに寝転んだ。
    ノダツは少し驚きながらもルカナに蚀葉を返す。

    ルカナ、君はなぜそんなにも冷静に刀断できる倱瀌だが 獣人達は野蛮で その 頭が悪いず聞いおいた。すたん、䟮蟱しおるわけではないんだ。だがその掞察力はどうだ。聞いた話ず違いすぎるではないか。

    だから王族は嫌われるんだよ。獣人は人より身䜓胜力が秀でおる。代わりに魔法を䜿える者はほずんどいない。なら、良いずころを䌞ばすべきだろ少なくずもあたしはそうやっお生きおきた。生きるには刀断力っおや぀が䞀番必芁でね。攻めるも逃げるもタむミング1぀で死ぬずきゃ死ぬ。わかるかいあんたもあの堎所に危険を感じたなら、その皋床わかるず思っおたんだが、芋圓違いだったか。

    悔しかった 。
    だが蚀い返す蚀葉がない。
    代わりに刀断を委ねるこずにした。

    ルカナ、すたないがその勘を貞しお欲しい。どうするべきか。

    ルカナの返事は冷たい。

    知らないね。埌は魔術垫様達が決めるこずだろあたしには関係ない。どうせ、たたあんたはあそこに行くこずになるだろうさ。その時は金貚10枚で぀いおっおやるよ。あたしゃ寝るよ。街に戻ったら金貚はちゃんず頂くからね。

    金貚10枚。この䞖界なら家が建぀金額である。䞍死鳥蚎䌐、唯䞀生き残りの傭兵。
    次の蚎䌐には欠かせない。
    結局、ノダツは眠るこずができなかった。

    翌朝、だるさを抱えたたた2人はレむンりッドに向け銬を走らせる。3日かかるずころを2日ず少しの刻で到着させた。
    これもルカナの功瞟だった。

    町に入るなり、ルカナに酒堎で埅おず蚀い残し銬を降り走る。
    日が昇り始める早朝。
    城ではなく、ノノの家に向かった。

    ヒムガシ・ノノ。

    四぀の魔法隊の1぀を束ねる長の1人である。
    火ず雷の魔法の䜿い手。
    しかし、圌女は特筆すべき魔術を持たない。
    策士ずしおの胜力を買われ魔法隊を任されおいる。
    個であれば圌女より秀でた魔術垫はいくらでもいる。

    が、誰1人ずしお圌女に勝おないのだ。

    ノダツが䞀番蚘憶に残っおる出来事がある。

    ノノの䜿った魔法で䞀番怖かったのは、匷力な雷ず氎を扱える魔術垫ず察峙したずきの事だった。

    ノノは静かに䞞い雷の球䜓を䜜りバリアを匵った。

    盞手はそんなもので守れるず思っおいるのかず、笑い飛ばし最倧出力で雷を攟った。
    なす術もなく終わるずみんな予想した。

    しかしノノは球䜓に盞手の雷が觊れた瞬間、盞手の心臓の動きを止めたのだ。

    ノノは盞手を芋おいなかった。
    ただ“脈”を感じおいただけだ。
    雷を通じお心臓を文字通り掎んだのだ。

    もちろん、その埌心臓を動かし死には至っおいない。
    盞手は倧男だったが今でもノノが怖いず蚀う。
    ノダツはそんなノノの家の扉を壊す勢いで開けた。

    ノノ

    その瞬間火の雚が頭䞊より降り泚ぐ

    ぬあっあ぀あ぀

    ノノが奥から出おきお手をかざすず火は消えた。

    ノダツか。朝からそんなにあわおお䜕

    少し嬉しそうなノノずの枩床差に怒りをおさえながらノダツは蚀う。

    䞖界が壊れるかもしれない 。



    レむンりッドの䞖界は倧気に魔力が満ちおいる。その魔力に満ちた空を䞍死鳥が飛ぶ。

    その話をノダツはノノに䌝えた。
    事態は深刻であるず。

    最初はそんなこずがあるわけないず、悪い冗談だず笑い飛ばしおいたノノだったが、

    ラむナヌ、リュりホり、サンド、ゞレット、ミムラ、シノノァ、ルッチ、シャダツ、ロヌラン。

    この9名はもう戻らない。
    そう䌝えた時、衚情が倉わった。

    ラむナヌずゞレットは小さい頃に囜同士の小競り合いで䞡芪を亡くしおいる。

    そこでノノの䞡芪は奎隷ずしお2人を買った。
    もちろん、埅遇は人のそれである。
    ノノが魔法隊に入るのをきっかけに階士団にずりあげおもらうよう蚈らったのである。

    ラむナヌもゞレットも魔法を䜿えたら良かったのに 

    そんな話をしたこずもあったが、2人は家族ずしおここにいられたこずを恩だず蚀った。
    今回の遠埁に぀いおいったのもノノの恋人である、ノダツの頌みだったからだ。

    静かにいう。

    䞍死鳥は、本圓に存圚するのね

    ノダツは恐る恐る返す。

    ああ、酒堎に1人生き残りの傭兵がいる。圌女がいなければ 俺はここにいない。

    王ず話す。知っおる限りではむ・ゞュタむず呌ばれる䞍老䞍死になる魔法がある。成功䟋は無い。ただ、未知の魔法で䜕が起こるかはわからない。本圓に䞍老䞍死なら殺せないでしょうね。

    ノノはただ半信半疑ではあるが、幌なじみであった2人が垰らない。ずいう事実に悲しみず怒りを芚えおいる。

    ノノの考えでは䞍死ではない。
    む・ゞュタむは完成した魔法ではないず想定しおいた。その為、䞍死鳥は倒せる。
    魔法隊第䞉垫団ず階士団数名で勝おるず芋蟌んだ。

    ノダツ、今日は䌑んで。傭兵さんに報酬を枡しお。金貚10枚はちょっず高いけど、少し亀枉しお぀いおきおもらいたしょう。あなたが蚀うなら、物理に関しおはその方に任せた方が良さそうね。

    情けなかった。頌る先は、い぀も自分ではない。しかも今のノダツを支えおいるのは、皮肉にも女たちだった。

    王からの正匏な蚱可が出たら、連絡する。それたでにしっかり準備しずくのよ。今回の教蚓を螏たえおね。

    そんな悠長な事で良いのだろうか。
    ノダツはそう思いながらノノの家を埌にした。
    時間はもう、昌になっおいた。

    疲れた身䜓ず重い足を酒堎ぞ向け、ルカナの座っおるテヌブルの向かいに座った。

    マスタヌ、゚ヌル2぀ず゜ヌセヌゞを4本くれ。

    お。奢りかいありがずね。あんたも倧倉だなぁ。もっず、安くあたしを぀れおこいっお蚀われたんだろハハッあたり前の話さ。いいよ。金貚は5枚。前金も芁らない。その代わりここはあんたの奢りだ。奜きに飲んで食べさせおもらうよ

    ノダツの目には少し涙が滲んだ。

    獣人の女絊がゞョッキず゜ヌセヌゞを乱暎に眮く。

    女絊がすっず螵を返し持ち堎に戻ろうずした時、ノダツは涙を抌さえながら䜎く声でルカナにこう蚀った。

    すたない。その呜、もらうこずになるかもしれない。

    運んできた獣人の女絊がチラッずノダツを芋た。だがすぐに、そしらぬ顔でそのたた持ち堎に戻る。

    ルカナは豪快に笑う。

    あっははははは王囜階士団の隊長っおのはこんなに情けないのかいこれなら、そこいらの傭兵でも入れるね

    呚りの傭兵達もヒ゜ヒ゜笑っおいたが、ルカナに睚たれお黙った。

    ルカナはゞョッキを手に取り少し飲む。しばしの沈黙があり、ノダツが䜕も蚀わない事にタメ息を぀きながら倧きな声で話し始めた。

    あんたは兵を率いる責任を負っおいる。あそこでの出来事を笑っおいいのはあそこにいた者だけだ。あの鳥ずこれから枡り合おうっおんだ。それを怯たずもう䞀床やろうっおんなら倧したものさ。ここいらのや぀らじゃ、2床は無理だろうね。いいよ。でも、あの鳥に呜をやるのはお断りだ。あたしの呜でさらに匷くなるんだろアむツは。魔法隊が来るならなんずかなる。そう信じるよ。

    ありがずう。ルカナ。

    そういっお、ノダツはゞョッキの酒を䞀気に飲み干す。
    昌から倜たで、ルカナず話をした。

    ルカナはレむンりッドの蟺境の村で育ったらしい。
    その村はもう無い。
    か぀おレむンりッド囜境東偎に䜍眮する山脈麓の森。そこにその村は存圚した。
    郜䌚や戊が嫌いな者。
    自然が奜きな者が静かに暮らす村であった。
    芏暡にしお50人皋床の村内に知らない顔はないず蚀う皋床の村。
    しかしながら、森は自然を育み豊かな土地ず魔力を備え持぀環境の良い田舎であったずいう。

    今は存圚しない囜、゚ルりィンずいう囜がこの村を襲っお䞀時的に領土ずした。
    子どもは奎隷にされ、倧人は殺された。
    䟋倖はない。
    逃げ延びた魔術垫がレむンりッドに報告。
    レむンりッドは再びその土地奪還の為に兵を送った。
    この男が魔術垫でなかったなら話すら聞いおもらえなかったかもしれない。
    そう思うずゟッずするずルカナは蚀う。

    奎隷ずなった子ども達は、解攟されたがもう4人しかいなかった。
    この䞭で獣人はルカナ人。
    魔法を䜿えないずわかるず、たた迫害を受けるようになる。
    結局、人のやりたくない仕事をするしかなかった。

    人や動物を殺すず金が貰える。そうやっお手に入れたのが、珟圚の倧剣だそうだ。

    傭兵は歊噚ずタむミング呜が口癖らしい。

    獣人の寿呜は長い。
    ルカナも83歳になるずいうが、人間でみるず30歳前埌に芋える。

    そんな話をしながら、酒ず疲劎で珟実の茪郭ががやけおいく。
    ノダツはルカナを身近に感じるようになる。

    䞡芪共に魔術垫であったがノダツもやはり䞍遇な扱いを受けたこずは倚々あった。
    階士団に入れたのも芪の䞃光りだずも蚀われた。店の暜が空になる皋2人で飲んだ。

    自分ず照らし合わせながら昔話を楜しそうに、時に悲しそうに語る倧きな獣の女性を芋おいた。
    酒は進み、倜はふける。

    気付くずノダツは自宅でルカナず寝おいた。

     え。

    ルカナは先に起きおいたらしく、いやらしく笑う。
    すっず立ち䞊がり、刺し傷の残る背䞭を向けながら服を着た。

    恋人には黙っおおやるよ。぀貞しだ

    そう蚀いながら、さっさず出おいった。
    どの面䞋げおノノに呜を貞せず頌むのか。
    自身の過ちに倱望しかない。
    岩堎の偵察出発からの数日、䜕も出来おいない。酒堎の傭兵女に甘えるこずしかしおいない自分を責める事しかできなかった。

    ノノが王に進蚀し、魔法隊を動かすのはその週間埌ずなった。

    その日、ノダツは王に呌び出された。
    聞き取りのためだずノダツは思っおいた。

    謁芋の際、口を開こうずした瞬間、近衛兵に取り抌さえられた。

    きさたは階士団を私物だず思っおおるのか

    それが王の第䞀声であった。

    

    貎様の郚䞋は貎様の道具なのかず聞いおおる

    王は立ち䞊がり、激昂する。

     いえ、ただ囜の危険を感じた為、偵察だけの぀もりでした。思わぬ事態に遭遇したのは事実ですが、団員の呜。これは私の責任です 。圌らの家族にはお詫びのしようもないず思っおおりたす。

    王の衚情は倉わらない。

    貎様は䜙の財産を奪った。同時にその関係者の財産をもな。その眪は重い。

    王は玉座に座り、続けた。

    しかし、䞍死なる鳥を芋぀け危険を察知した事には功ず蚀わざるを埗たい。

    ノダツはその蚀葉に少し安堵する。

    王は続けお蚀った。

    よっお、ムチ打ち20回の刑、䞊びに䞍死鳥蚎䌐の任をそなたに䞎える䞀週間の埌、魔法隊䞀団ず共に䞍死鳥を蚎䌐しおこい

    ノダツは驚きを隠せなかった。
    囜の為の行いだった。
    仕方ないず。蚱しが出るず考えおいた。
    それは思っおいた事ず違いすぎた。
    階士は死を恐れない。
    それが謳い文句だ。
    戊争では魔法隊の盟ずなり䜿い捚おられる。
    生き残ったから隊長だった。
    ノダツは䞀瞬ノノを芋る。
    ノノは静かに銖を暪に振る。

    承知 いたしたした 

    受け入れるしかなかった。
    鞭打ち20回。

    週間で完治するのか。

    その状態であの䞍死鳥ず戊えるのか。そのたた近衛兵に地䞋の拷問郚屋ぞず連れおいかれた。

    激痛に耐えるノダツの声を、ノノは心配そうに聞いおいた。

    週間。ノダツは回埩に努めるしかなかった。
    痛みで服を着替えるこずも出来ない。
    ノノが時間を芋お介抱に来おくれるが、それも蟛かった。

    ノノぞの眪悪感、そしお䞍死鳥。
    党おが痛みずしお䜓を蝕んでいた。


    第章  第二次蚎䌐 行軍

    出立の日がやっおきた。
    魔法隊十二名ずノノ。
    それにノダツずルカナ。

    蚈 十五名。
    䞉日かけお岩堎を目指す。

    明確な䜜戊は、ただない。
    道䞭でノノずルカナを亀えお詰めるしかなかった。

    週間。この時間で䞍死鳥に倉化が無いこずを祈る。ノノが出立の前に隊に蚀う。

    今回の盞手は人じゃない。どんな事になるか解らない。死を恐れないのは良い。だけど無駄死にはしないで。

    ノノはノダツに蚀葉を譲る。

    鳥は剣で刺しおも斬っおも再生した。俺ずルカナで止める。魔法で鳥を殺しおくれ。

    ノダツの蚀葉をたずもに聞いおいたのは、ノノずルカナだけだった。
    他の魔法隊員たちは、話が終わるか終わらないかのうちに銬を進め始めた。

    感じ悪いな。こんなのに背䞭を任せられんのかよ。

    ルカナはわざず魔法隊に聞こえるように蚀った。

    俺たちだけでも鳥なんぞに遅れはずらんがな。

    魔法も知らんや぀が戊ったりするから、鳩にも負けるんだよ。鳩だぜ

    皆、バカにしお笑う。ルカナがボ゜っずこがす。

    コむツら死ぬな。

    その蚀葉をノノは聞き逃さなかった。

    ルカナっお蚀ったわね䞍死か䞍死じゃないかは正盎わからない。䞍死なら倒せない。だから聞きたいの。本圓に䞍死なのその鳩は。

    ノノは真剣だ。

    ああ、そう芋えたね。足を切っおも生えおくる。䜓䞭火傷のあずもあった。䜜ったや぀が殺そうずしたんじゃないかいなかったっおこずは、逃げたかやられたかだけどね。

    ルカナはノダツに寄っおいく。

    隊長さんよ。この戊は負ける。あんたはあの魔法女の呜ず自分の呜を優先しな。他にも1人か2人残れば埡の字だ。

    ノダツは唇を噛んだ。岩堎から逃げ垰る前にルカナに蚀われた通りだった。誰も信じおない。ノノさえも半信半疑。きっず、䞍死鳥だずは思っおないのだろう。

    1日目の倜営。

    魔法隊が䌑む䞭、ノダツはルカナに剣を教えおくれず蚀った。だが、ルカナは子どものお守りはごめんだず断った。ノダツにはノノを守れる自信がなかった。奪われたくない。その思いで背䞭の痛みを感じながら剣を振った。

    日目。

    移動䞭にいやな魔力の流れを感じる。ノノは魔法隊の前進を止めた。

    止たれ。おかしい。生き物がいない。いや、䜕かいる。この先 既に危険かもしれない。

    魔法隊の1人が蚀う。

    ノノ隊長、岩堎はただ先ですよ普通の鳩ならいるかもしれたせんがね。

    だたれ誰か来る 。

    ノノは譊戒する。向こうから芋芚えのある顔が歩いおくる。遠くお芋えないが階士団の服装だ。たた、魔法隊の1人がちゃかす。

    隊長さん。たた、ムチ打ちになるぜ揎軍なんか呌んでさヌ。

    明らかにおかしい。出立前に出お行った者などいたい。埌ろから远い付くならただしも、岩堎からやっおくる階士団。その足取りは遅い。

    党員譊戒しながら埮速前進ノダツずルカナは前線ぞ

    ノノが呜什する。ノダツは絶句した。芋えおしたったのだ。腹に穎が開いお、蛆がわいたたた歩いおくる人間。おそらくリュりホりだ。心臓も穿たれおいた。

    話せる 状態ではなさそうだ。モヌリンブレむズを軜く撃お

    モヌリンず呌ばれた、魔法隊員が手のひらサむズの炎を飛ばす。

    リュりホりの巊足、脛蟺りに圓たったが党く怯みもせず歩みを止めない。

    ぀、続けたすか

    ノノは様子を芋おいる。
    その隙にルカナは銬を走らせ、ただ足の燃えおいるリュりホりの銖を切ったしばらくは動いおいたが皋なくしお倒れ動かなくなった。

    銖を斬っちたえば死ぬみたいだね。ノノ隊長さんよ、気味悪いから焌いずいおくれないくせぇしな。匔っおやらなきゃ。

    ルカナはそういいながら、隊列に戻っおきた。
    ノノは、倒れたリュりホりを芋぀めた。

    「  これが、䞍死の魔術なの」

    日目、リュりホり以倖に遭遇するこずはなかった。

    日目の倜営は、川沿いの牧草地で行うこずになった。魔法隊も少し雰囲気が倉わった。リュりホりの醜い姿を芋お恐れを抱いたのだろう。ノダツも予想倖の出来事だった。ルカナはノダツに話す。

    䞍死鳥は死者を操れるみたいだね。あんた、自分の郚䞋を斬れるかいやらなきゃ死ぬからね芚悟しずきな。

    ルカナ あれはリュりホりだったのか

    名前なんぞ知らない。だけど、芋芚えはあるよ。最初に鳥かごを開けたや぀だ

    ルカナが銖を萜ずした埌、ノノが骚になるたで焌いた。おかげで郚䞋をしっかりず芋るこずはなかった。そんな話をしおいた頃だった、

    うわっうわっなんだこい぀ぐあぁぁっはなせはなせ

    川の䞊流のテントが燃え出した。䜕事かずみんな起きる。ノダツが駆け぀けるず足に䜕か燃えたものがくっ぀いおいる魔法隊員が芋えた。

    は、はなれろはなれろ

    無心に蹎り、火の魔法を攟぀がなかなか離れない。ノダツは剣をずり斬ろうず構えたが、動きを止める。

    

    魔法隊員の足元に喰らい぀いおいたのは、ラむナヌだった。やはり心臓がない。

    あいっああ魔力が

    魔法隊員が蚀う。

    早く銖を萜ずせ死ぬぞ

    ルカナが叫ぶノダツは剣を振れない。考える間もなく、ラむナヌの頭に雷が萜ちるラむナヌの頭は黒焊げで転がった。

    ノノ

    ノダツ。生者ず死者。どちらが倧事なの

    冷静にノノは蚀う。

    ぐぅいおぇ 。足が俺の足がぁくそっおめぇこの圹立たずその剣は食りか

    ノダツは静かに剣を収めた。

    レナンディ、圌の郚䞋だからね。情けは仕方ない。その足では歩くのは無理ね。あなたは街に戻りなさい。カダン、レナンディを連れお垰っお。

    ノノは巊足を食いちぎられ、片足がなくなったレナンディに蚀った。火の魔法で傷口を焌き、薬草を傷口に圓お垃で巻く。ノダツは静かに立ち去る。

    燃えたテントから離れようず歩く。川の暪にルカナが立っおいた。なにも蚀わず暪を通りすぎようずするノダツに、圌女は蚀う。

    蚀ったろタむミングが呜だっお。ためらえばお前もアむツの仲間入りだ。あヌあ。2人も枛っちたった。肉を再生しお傷を治す魔法でもあればいいのに。アむツらも壊すこずしか出来ない。しょうもない魔法だよな。

    時間は 巻き戻せないんだ。傷を癒すには時間がかかるし 死者は 蘇らない 。

    悔しげにノダツは蚀う。

    だけど、あんたの郚䞋に芋えたけどね。あの焊げ頭。だが、もずに戻らないのは本圓らしい。人食いの化物になるなら生き返らなくおいいよ、あたしは。

    ルカナは冷たく蚀う。

    ああ、確かにあれはラむナヌだった。だから斬れなかった。

    あんた。死ぬよ

    ルカナはそういうず自分のテントに戻った。芋匵りを立お亀代で眠ったが、朝たで襲撃はなかった。


    第4章  第二次蚎䌐戊

    ラむナヌ襲撃の翌朝。
    ノダツ䞀行は、再び岩堎ぞ向かった。
    魔法隊員たちは、目に芋えお匱腰になっおいた。

    火の魔法が効かなかった。

    銖を萜ずせば勝おる が、死者を操る。 岩堎に近づくに぀れ、䞍穏な魔力は匷くなる。

    森を抜け岩塩の掞窟の入り口を開けた堎所よりただ数km離れた地点。

    ずたれ

    ルカナが急に叫んだ。
    隊は止たり、誰かが声をだす前にルカナは蚀う。

    あたしの勘違いだった。䞍死鳥は倖に出おいる 。ここからは銬を降りお行動した方がいい。

    ノノはルカナに問う。

    その根拠は

    あんたにはわかるんじゃないのかい䞀番魔力が匷い堎所。囜の魔法隊が芳枬したんだろ

    それはこの先の 

    今床はノノが叫ぶ

    党員、銬から降りお前方䞊空に最倧玚のブレむズ

    魔法隊員達は、颯爜ず銬を降りブレむズを発動

    䞊空に巚倧な炎の壁が珟れる

    その䞭から、䞍死鳥が突颚ず共に珟れる

    炎の䞭の䞍死鳥はたさにフェニックスのようだった。 ノノの魔法隊は火の魔法に特化しおいる。 消し炭にすれば勝おるず螏んだのが仇ずなった。 巚倧化した䞍死鳥は滑空し、䞀番埌ろにいた魔法隊員を䞞のみにした。

    䞍死鳥の通った埌に炎の軌跡ができる。
    銬は驚いお散り散りに逃げた。
    魔法隊達は二手に分断される。

    䞍死鳥が振り返り、再床゚サに向かい滑空。
    ルカナは党力で走り、䞍死鳥の前に出る
    剣先が䜎空で匧を描き、盞手を切り䞊げる。

    䞍死鳥はわずかに䜓をよじり、魔法隊員を2人薙ぎ払うように爪で䞲刺しにしたたた䞊空に持ち䞊げた

    その足の根元をノダツが䞀閃し、2人の魔法隊員は爪が刺さったたた吹き飛ばされた

    2人ずも即死である。
    䞍死鳥の足が成長する。

    斬られた右足だけ金属のような鈍い光を攟぀足が生えおくる切られた傷口は血を流し続けおいる。

    䞍死鳥が纏っおいた抂ね火も消えおいる。
    䜓は倧やけどをおっおいる状態だが、䜕事もない様に空を飛ぶ。

    ノダツは䞍死鳥ず目があった。
    あの赀い片目ず癜く濁った目だ。

    クカヌヌヌヌ

    䞍死鳥が嘶く。
    衝撃波のような鳎き声。

    再䞍死鳥の3床目の滑空怒りに満ちた赀い目はノダツをずらえおいた。
    ノダツは身䜓を背䞭から倒し、剣を䞊ぞず突き䞊げる

    䞍死鳥の右矜を切り萜ずす
    ズドヌンずいう音ず共に䞍死鳥が萜ちる。
    すぐさた、ルカナが頭を切り萜ずした。

    よしやっ 

    ルカナは蚀いかけお䞍死鳥から飛び退く。
    足がルカナに向け薙ぎ払われた。

    銖から胎䜓が再生する。 身䜓が玫色の鈍い光を攟っおいる。 叀い身䜓は新しい身䜓に取り蟌たれた。どろどろの粘膜が䜓を芆いっおいる。

    ちっだめか

    再生途䞭に、ノノが雷を䞍死鳥に萜ずすが党く止たらなかった

    う、うわっなんだこい぀えっ

    魔法隊の埌ろから声が聞こえる。
    先皋爪が刺さった2人が繋がったたた、こちらに向かっおきおいたのだ。

    1人が気が぀いおブレむズで2人を焌く。 倧きめの炎は身䜓を燃やしきり、骚にした。

    頭は燃やしきれず転がっおいるが、骚だけでは動けず倒れお蠢いおいる。 䞍死鳥は再床空ぞ䞊昇しおいた。

    本圓に 䞍死鳥だった 。

    ノノは悔しそうに呟く。
    残りの魔法隊達も慌おおいた。
    頭を切り萜ずしおも、燃やしおも死なない。
    雷も効果がなかった。 氎や氷の魔法を䜿える者もいたが、その魔法は䜿える皋床の物で戊力ずはいえなかった。

    逃げるしか ないのか。

    ノダツは剣を構えながら蚀う。
    ノノは考えおいるようだが、おそらくここを離脱する事も難しい。
    䞍死鳥がさらに魔法隊員に飛びかかる、䜕ずか身を躱しお足に炎をぶ぀けるがやはり効かない。

    炎を纏う分、剣で斬りにくくなる。
    さらに䞍死鳥はノダツに襲いかかる

    ノダツは暪に飛んで避けようずしたが、䞍死鳥が軌道を倉え背䞭にかする。
    皮1枚斬られた皋床だが、そこに炎が远い蚎ちをかける。 ノダツは痛みで気を倱った。

    ノダツ

    ノノは叫ぶ

    打぀手はないのか 。

    ルカナは考えおいた。
    おそらくルカナの身䜓胜力なら逃げきれる。
    しかし、他の者は党員芋殺しずなるだろう。

    ブレむズは撃぀な生きおるものは森たで走れ

    おい隊長はどうすんだよあんたの恋人だろ

    ルカナは蚀う。
    䞍死鳥がノダツを喰らいにかかる。
    魔法隊は撀退を始めおいた。
    ノノはノダツの前に雷の網を匵る。
    網に匟かれ、䞍死鳥はノダツに觊れる事が出来なかった。

    再床、䞊昇し嘶く

    クカヌヌヌヌ

    衝撃波ず共に階士団3名が森の方から珟れ、撀退䞭の魔法隊員1人に噛み぀いた。

    ぎぁ 

    叫びも途䞭で喉を噛みちぎられ魔法隊員は絶呜する。

    ひっ

    近くにいた魔法隊員がブレむズで2䜓の階士団員を燃やす。ルカナは、䞍死鳥が䞊昇しおる隙にノダツに駆け寄り担ぐ。

    正気

    ただ、生きおる

    巊手でノダツを担ぎながら、右手に倧剣を構える 䞍死鳥を睚みながらゞリゞリず森ぞ䞋がる。

    あの網で鳥の呚りをかこめるかい

    ルカナはノノに蚀う。

    やっおみる

    ノノは䞍死鳥の呚りに球䜓の網を玡いだ。
    その間に、ルカナは森ぞ走り぀いでに階士団1人の銖を薙いだ。

    片手じゃこれが限界か

    ノノも森ぞの方ぞ走る。
    あの網がい぀たでも぀か。
    ルカナはパニックになっおる銬を芋぀け、ノダツを銬に乗せ森ぞず走らせる。

    ノノずルカナは远うように森ぞず走った。
    他の魔法隊員も所圚は確認できないが岩堎には姿はない。

    おそらく逃げきったであろう。

    10人生存か。䞊々だな。

    ルカナは蚀う。

    撀退の刀断ず雷を線む技術がなければ党滅しおいた。
    森に入るず1頭、銬を芋぀けるこずができた。
    この銬は階士団の銬だ。

    前回の遠埁の生き残りだろう。
    少しだけ資材を乗せおいた。
    肋骚が少し浮いお芋えた。
    最初は譊戒しおいたが、ゆっくり手綱を握るず萜ち着いお歩いおくれた。

    あんたに乗るのは無理そうだねぇ。隊長が無事だずいいんだけど。

    ノノは無蚀で暪を歩いおいた。

    ルカナずノノは2人でレむンりッドに歩いお戻らなければならない。

    1週間、いや10日かかるかもしれない。
    食糧も手元にはない。

    この銬を食糧にしなくお良いこずを願おう。


    第5章  垌望ず絶望

    ノダツは草むらで目芚めた。
    自分がなぜここにいるのか解らなかった。

    剣もない。
    銬もいない。
    人もいない。

    自分が䞍死鳥に敗れたのだず気づくたで、
    少し時間がかかった。
    動こうずしたが、背䞭に激痛が走る。
    右手が䞍自然に曲がっおいた。

    このたた、死ぬのか 。
    ノノ ルカナ 。
    アむツらは生きおいるのだろうか。
    この姿をみたら、ルカナはたた笑うんだろうな。情けない隊長だっお。

    少しだけ 。
    もう少しだけ、頑匵っおみよう。
    そう思った。

    足は 動く。
    レむンりッドの方角さえ解れば垰れる。
    少し䌑めば垰れるかもしれない。

    深く息を吐く。

    酷い背䞭の痛みず、右手の鈍痛に耐えながら勢いで立ち䞊がる。
    瞬間の痛みはたた栌別だ。
    しばらく立ったたた、動けなかった。

    蟺りを芋回した。
    剣や荷物は芋圓たらなかった。
    だが芋芚えのある堎所だった。
    䞀埀埩ず片道通った堎所だ。
    䜕ずか垰れるかもしれない。
    いや、垰らなければ死ぬ。

    ずりあえず、川を目指そう。
    あそこなら氎が飲めるし、背䞭を掗える。
    ノダツは歩き始めた。
    ここで狌や死者ず出䌚えば終わるな。
    出䌚わなければ良いが。

    足が無事で良かった。
    歩けなきゃ狌の゚サだったな。
    そう思いながら行軍しおきた道を埒歩で戻る。

    しばらく、倒れおいる銬が芋えた。
    この先には しゃがんでいる人

    声をかけようずするが、気が぀いた。
    ルッチだった。
    背䞭から心臓郚分に穎が空いおいるのが芋えた。倒れおいる足が芋えた。おそらくルッチが死者を喰っおいる。

    やばい。
    今芋぀かるず死ぬ。
    やはり、そううたく行くものじゃない。
    動きは遅いが逃げるのも難しい。

    ノダツは迂回しようずするが、死者が䜕に反応するかわからない。

    ずりあえず、距離を眮く。
    草むらで様子を芋る。
    誰が喰われおいるのか、わからない。
    助かる芋蟌みもない。

    ――ならば、ここで芋぀かるわけにはいかない。

    少し埌退り、草むらぞ忍び蟌む。
    距離が遠くなるのは厳しいがなるべく戊闘は避けたい。
    息を殺し、足音を殺す。
    魔力で関知しおるなら芋぀かるだろう。
    迂回するが、離れるず方角を芋倱う可胜性がある。

    なるべく音を立おないよう、林道を東ぞ入り離れお移動する。
    草が服に圓たる、枝を手で抌し退ける。
    この動きすらかなりの痛みだ。

    ここで寝おた方が楜かもしれない。
    そんな思いもよぎる。

    しかし、戻らねば。

    このたた誰も戻らなければレむンりッドは、それどころかこの䞖界が滅びる可胜性すらある。

    それほどたでに、䞍死鳥の存圚は倧きくなっおいた。
    かなり東ぞ移動し林道ず平行方向ぞず歩く。

    おそらく林道ず平行に歩いおいるはずだが、䞀向に川にたどり着かない。

    方向を芋倱ったか。

    川が蛇行しお遠くなっおいる なんお事もあるかもしれない。
    ノダツはこの蟺りの地圢に詳しくない。
    蟺りも暗くなりだしおいる。

    このたただず、倜になる。
    䌑めるずころを探さないず。
    䞍意に芖界が開けた。
    背の䜎い草原だ。
    奥は厖になっおいた。

    ここなら䌑めそうだ。
    ノダツは厖の方たであるく。

    所々人工物が焌けたような炭を芋぀ける。
    村が あったのか。

    炭を拟い集め、気が぀いた。
    ノダツは火の぀けかたがわからない。
    ルカナはどうやっお魔法なしで火を぀けおいたのか。

    少し肌寒いが暖を取る皋火が必芁なわけではない。怖いのは狌の類いだ。
    死者もいる。

    仕方ない。

    ノダツは厖沿いにレむンりッドがあるず思われるに歩いた。
    少し淀んでいたが沌があった。
    底こそ泥ではあるが、氎面付近は柄んでいた。
    ノダツは少しだけゆっくり手で掬い、飲んでみる。

    問題なさそうだ。
    服を脱ぎ、背䞭を掗う。
    冷たい氎も身䜓にしみるが、このたた腐る方が倧倉なこずになるだろう。

    䞍死鳥ずの戊闘から1日だろうか2日だろうかノダツはどれくらい寝おいたのか。
    沌の向こうに砂利が芋えた。

    川だ。
    ここが川の䞊流になっおいるのか。
    厖の奥から流れおきおいるのかもしれない。

    わからないが、砂利の䞊なら䜕かが近づく気配は音でわかる。
    地面は固いがノダツは砂利の䞊で倜を過ごすこずにした。

    砂利は固い。

    ノノ、ルカナ、魔法隊達が無事なのか。
    王からの眰もあるだろう。

    眠れないが眠るしかなかった。
    今は身䜓を動けるようにしなければ。

    右腕がなるべくたっすぐになるよう、
    無理やり右腕を䞋にしお寝た。
    痛みはあるが、骚がはたっおいる感じがする。
    このたた固定できればいいんだが。

    この川を䞋れば橋たで行けるはず。
    明日は橋を目指そう。

    目を閉じながら考えおいた。
    ノダツが倒れおいた堎所は、行軍した林道そばだった。

    東偎の茂みに入ったのは確かだ。
    そのたた東にそれお北偎ぞ回った぀もりだった。
    しかし、厖があるずいうこずは東偎に出おしたったのだろう。

    ルカナの故郷だったのかもしれない。
    真停はわからない。
    そんなこずを考えながら、ノダツは眠りに萜ちた。

    翌日、起きた頃には日は真䞊に昇っおいた。
    寝過ごしたか。
    怒るものもいないが、食糧の問題がある。
    早く、レむンりッドに戻らなければ。

    やはり、痛みは昚日ず倉わらない。気合いをいれお立ち䞊がり、川沿いを䞋り始める。
    3時間皋歩くず橋がある堎所に出た。

    ようやく銬で岩堎から1日の距離だ。
    氎は飲んだが䜕も食べおいない。
    もうしばらくすれば、日も萜ちおくるだろう。

    ノダツは少し傟いた倪陜をみる。
    ここでもう䞀晩過ごすべきか。
    ルカナやノノは先行しおるのか、埌ろにいるのか。
    無事なのかすらわからない。
    助けが来る可胜性は極めお䜎い。
    レむンりッドから岩堎たでの道は町や村が無いため、
    人もほずんど通らない。
    歩いお垰るしかない。

    巊手だけで採れる果実や草等を探しながら歩いた。
    しかし食べれそうな物はなかった。
    道具もなく、満身創痍の䜓では動物は狩れない。

    火も起こせないノダツには、生肉を焌くこずも出来ない。

    王族か 。

    ノダツは、ルカナの蚀った蚀葉を思い出しおいた。
    魔法を䜿えなくおも䜕䞍自由なく暮らせる。
    魔法䜿いは火を自分で起こし料理もできる。

    だが、自分はどうだ。

    自分の面倒すらみれないじゃないか。
    䜕が隊長だ。

    惚めな気持ちになりながら、暗くなり始めた森を歩く。

    やがお、日が萜ち暗くなった。
    月明かりのおかげでなんずなく林道は芋える。
    安党に倜営できる堎所もない。

    歩くしかない 。

    ノダツはひたすら歩く。
    どれくらい、歩いただろうか。

    銬で通りすぎただけの道の脇、東偎に明かりが灯っおいた。

    ブレむズの火じゃないよな 。

    少し、目を凝らし泚意深く近寄る。
    家があった。

    ログハりスのような朚補の家。

    林道から少し入った堎所にあるため、火がなければ気が぀かないような堎所だ。

    ノダツは銬を借りれないか、聞きに行くこずにした。

    林道から東ぞそれる。
    こんなずころに䜏む人間がいるずは。
    近隣に建物は芋られない。
    家の暪には小さな畑がある。
    暗くお䜕が怍えおあるのかは解らなかった。

    ノダツは巊手でドアをたたく。
    明かりは぀いおいるが返事はない。

    諊めお戻ろうずしたずき、䞍意に扉が開いた。

    䞭から幎老いた女性が顔を芗かせる。
    ノダツは人がいたこずに喜びを隠せず、笑顔で声をかけた。

    あのずおも䞍躟で申し蚳ないのですが、

    あらあなた右手が折れおるじゃないささ、なかにお入りなさい。

    蚀い終わる前に老婆は戞を党郚開け、ノダツを䞭に招いた。
    どちらにせよ、この暗さでは進めない。
    ノダツは老婆の奜意に甘えるこずにした。

    老婆はノダツを䞭に通し怅子に座らせる。

    芋せお。これでも昔は人の怪我を芋おたのよ。

    治せるんですか

    ノダツは驚く。
    怪我は時間をかけお治るもの。
    悪くなるのは呪いだず蚀われおいる。
    そのため、傷を掗う。
    焌いお血を止める。
    骚はたっすぐにする。
    その皋床の認識である。

    治せないわよ。私は魔法を䜿えない。でも、長く生きるず人の圹に立぀こずをなにかしら知っおるものよ。

    老婆はそう蚀うず、ノダツの䞊半身の服を脱がせた。
    肩を䞊げた瞬間に右手ず背䞭に激痛が走る。

    ぐっ

    あら背䞭の方が酷いこれは冷やさないずいけないわ。

    老婆は驚いお、腰が悪そうなのに急いで立ち䞊がり奥から氎を浞した垃を持っおきた。

    我慢しおね。痛いわよ。

    それをノダツの背䞭に二぀折りで背䞭の傷を芆うように貌り付けた。

    ぀っ

    その埌、右手には圓お朚をし叀垃で巻いおくれた。

    いい、そこの寝床はうちの旊那が䜿っおたけど、もういないからそこで寝おいいわ。でも、今日はう぀䌏せで寝るのよ背䞭を擊るずだめだからね

    老婆はそう蚀うず、階に䞊がっおいった。
    安心しお眠れる。

    昚日は砂利の䞊で寝過ごしたが、今日は本圓にゆっくりできる。

    その安堵が眠気を誘うのは早かった。
    早朝、老婆に起こされた。

    起きおおくれ。タオルを取り替えなきゃね。たた痛むよ

    くっ぀いおいた皮膚が剥がれる感じがした。

    いっおお 。

    さらにそこに䜕か塗り蟌んでいる。
    寝藁を぀かんで歯をくいしばった。

    そこに濡れタオルを乗せる。

    もう少し䌑んでおいで。
    ただ、朝早いからね。川たで氎を汲んでくるからね。1人で食べれるなら、そこの棚のパン。食べおいいからね戻ったら暖かいものでも぀くっおあげるよ。

    老婆はそう蚀うず、出おいった。
    早く戻らなければ。

    しかし、この傷では戊えない。
    せめお右手だけでも動けば 。
    そう思いながら再び眠りに぀いた。

    次に気が぀いたのは昌頃だった。
    背䞭の痛みがかなりひいおる気がする。

    ノダツは立ち䞊がり、蟺りを芋回す。
    パン 。

    そういえば昚日からなにも食べおない。
    お婆さんも食べお良いっお蚀っおたしな。

    パンを3぀ほど食べさせおもらった。
    奥に行くず、氎がためおある倧きな瓶があった。氎は底の方しかなかったが、それを飲たせおもらった。

    奥には蟲具らしい朚補の道具が眮いおあった。
    魔法で匷化された鍬や鎌だ。

    あれお婆さんは氎を汲みに行ったんだよな
    あれから、どれくらいたった
    早朝だったはず。

    普段からあの足で橋の所たで行っおいるのか
    バケツ1぀でその時間かかるなら、こんなずころに䜏たないのではないか。

    暖かいものでも぀くっおあげるよ。

    あれは朝ごはんの事ではなかったか。
    幻でも芋おいたのか。

      いや。

    䜕かあったに違いない

    そう思っお扉を開けた目の前 

    老婆が立っおいた。
    ノダツは声をかけようずしお、埌ずさる。

      死んでいる。

    圌女はもう人ではなかった。
    無数の噛られた痕、どうやっお立っおいるのかわからないほど现くなっお血塗れの脚。

    心臓は残っおいる。
    死者は死者を生むのだずノダツは理解した。
    䞀晩ずはいえ、芪切にしおくれた人。

    おそらく䞍遇な人生でこんなずころに䜏むこずになった人だ。

    なぜ、こんな䞍条理ばかり起こる。
    党お䞍死鳥のせいだ。
    ノダツは悲しみず怒りでいっぱいだった。

    奥ぞず駆け蟌み、鎌を持぀。
    死者の動きは遅い。
    巊手でも送っおあげられる。

    戊争では憎いものだけを。敵だけを殺しおきた。しかし今はどうだ。
    芪しい友、戊友、いい人を斬らねばならない。
    涙がこがれる。

    老婆だった物は奥たで歩いおくる。
    ノダツを喰らおうず远っおくる。
    ノダツは喉元めがけお鎌を振る

    バキッ

    えっ

    鎌が折れた。
    蟲具を扱っおいたのはおそらく旊那さんだ。
    䜕幎も老婆は1人で生きおきたのだろう。

    そう、䜕幎も。

    死者は怯たず、喰らいに来る
    折れた鎌の柄を開けた口に突き入れた
    勢いで埌ろによろけた死者に、鍬で薙ぐように远撃する。
    死者がう぀䌏せに倒れる。

    鍬も鈍かった。
    䜕床も䜕床も銖の埌ろを耕すように叩き、ようやく銖を斬った。

    ノダツには眪悪感しかなかった。
    せめお楜に逝かせおやりたかった。

    こんな、こんなものは人間の所業じゃない

    泣きながらパンをいく぀か袋に詰め、服を着るず鍬を持ちその家を埌にした。

    ただ、近くに老婆を殺した死者がいるかもしれない。
    ルッチなのか。

    他の誰かか。
    わからないが、もうこの森はかなり危険な状態ずなっおいる。

    動きこそ鈍いが、怯たない。
    力が匷い。
    銖を萜ずさなければ死なない。
    そんなや぀らがそこらじゅうにいるように思えた。

    林道に戻り、レむンりッドを目指す。
    ただ道のりは半分䜍だろう。
    右腕の添え朚ず背䞭の薬草のおかげで、昚日よりは楜になっおいる。

    急がなければ。䞍死鳥が城を襲えばレむンりッドは終わる。

    ノダツは泣きながら、林道を歩くのだった。


    第6章  垰還

    もう、䜕日歩いたか。
    倜営しない日もあった。
    老婆の家から持っおきたパンは、ずうに尜きた。腹が枛っおいるずいう感芚すら、薄くなっおいた。
    それでも、道だけは芚えおいた。

    レむンりッド南、森が割れお街道が枝分かれする堎所。
    そこたで来れば、もう町は近い。

    近いはずだった。

    颚の向きが倉わった。
    錻に届いたのは、森の湿った匂いでも、川の匂いでもない。

    焊げた脂ず、叀い血。
    それに、腐った甘さ。
    ノダツは足を止めた。

    町の入口が芋える。
    だが、い぀もの音が無い。
    鳥の声がない。
    犬の吠える声もない。
    荷車の軋む音も、子どもの笑い声もない。
    静かすぎる。

    喉が也いお、唟が飲み蟌めなかった。
    心臓が、遅れお匷く打った。
    分岐点の先――街道の端に、人圱がいく぀か立っおいた。

    最初、ノダツは「芋匵り」だず思った。
    だが、立ち方が違う。

    背筋がなく、糞が切れた人圢のように、ただそこにいる。

    その圱のひず぀が、ゆっくりずこちらを向いた。

    間違いない。死者だ。

    圱が䞀歩、地面を擊るように寄っおくる。

    遅い。
    遅いのに、逃げるずいう発想が出おこない。
    その時、背埌から䜎い声が萜ちた。

    「止たれ。芋ない方がいい、っお蚀いたいずころだけど――もう芋おるね」

    振り向くず、ルカナがいた。
    肩に倧剣を担いだたた、疲れを隠すように目だけが冷たい。

    その隣にノノがいる。
    顔色は悪い。頬がこけ、髪は乱れおいた。

    そしお、魔法隊員が䞉人。
    党員、汚れおいた。泥ず煀ず血で。
    ノダツの胞が熱くなっお、蚀葉が出そうになった。

    嬉しい、ずいうより――
    ただ、ここにいる。
    それだけで、胞が壊れそうだった。

    「ノノ  ルカナ  」

    ノダツが䞀歩螏み出した瞬間、ルカナが手を䌞ばし、胞を抌し止めた。

    「感動の再䌚は埌だ。隊長。ここは、もう地獄だよ」

    ノノは、町の方を芋たたた蚀った。

    「  埘埊しおる。町䞭に。
     さっき、䞀人城ぞ走らせたが戻っおこない」

    ノダツは思い出す。
    人が死者に食われるず死者になるこずを。

    「王に  䌚わなければ  」

    その蚀葉は、勇気ずいうより逃げ道の確認だった。
    ルカナは錻で笑った。

    「城 遠い。腹も枛っおる。
       たず酒堎だ。あそこは“ただ”人がいる。
        獣人がいたのを芚えおるかい
        圌女はめっぜう 匷い」

    ノノが小さく息を吐く。

    「  食料も、情報も芁る。行きたしょう」

    埘埊する死者
    町ぞ入った瞬間、䞖界が倉わった。
    音はある。
    だが、それは人の生掻の音ではない。
    靎が地面を擊る音。
    骚が鳎るような音。
    どこかで䜕かが倒れる、鈍い音。

    通りの角、井戞のそば。
    芋芚えのある店の前。
    そこに――人がいる。

    いや、人だったものがいる。
    片腕の先が無い。
    剣が背䞭に刺さったたた。

    喉が裂けお声にならないのに、口だけが開閉しおいる。
    それを芋おノノは蚀う。

    䞍死鳥蚎䌐どころじゃないわね。隣囜に応揎を芁請しないずいけない。これは既に私達だけの問題ではないわ。

    “知っおいる顔”が、混ざっおいる気がしお芖線を逞らした。

    「来る」

    ノノが短く蚀った。
    最初に寄っおきた䞀䜓が、ノダツの前に出る。
    顔の皮膚が垂れ、片目が朰れおいる。
    ルカナが、ためらいなく銖を萜ずした。

    ずるり、ず重たいものが地面に萜ちる。

    銖の無い胎䜓は数歩だけ進み、倒れた。
    ノノが手を䞊げる。

    小さな雷が銖ず胎を焊がす。

    「骚になるたで燃やす。 じゃないず、気持ちが悪い」

    ノノの声は平坊だった。
    平坊すぎお、逆に怖かった。

    酒堎ぞ向かう通りは、塞がれおいた。

    朚補のバリケヌド。
    粗い杭。

    その内偎から、槍が䜕本も突き出おいる。
    だが、突いおも、死者は倒れない。
    槍に貫かれたたた、死者は前ぞ出ようずする。

    抌される。
    抌される。
    槍がしなる。
    人が叫ぶ。

    「やめろ 抌すな 入っおくる」

    その瞬間、バリケヌドの隙間から、死者の指が䌞びた。指が、槍を握る人間の手銖に絡み぀く。
    噛み぀こうずする。
    歯は欠け、血の匂いが飛ぶ。

    「銖だ 銖を切れ」

    ルカナが怒鳎った。
    蚀いながら、手本のように䞀䜓の銖を萜ずす。
    ノダツも剣を抜く。
    死者から奪った剣。
    久しぶりに握った感觊が、劙に軜い。
    鍬を捚おた時に、胞の奥が少し痛んだ。
    あれは生きる為の道具だった。
    これは殺す為の道具だ。
    死者が向かっおくる。

    遅い。
    遅いのに、恐怖は薄れない。

    ノダツは息を吞い、銖ぞ刃を入れた。
    切れない。
    血ず脂で滑る。
    もう䞀床。
    骚の感觊。
    鈍い衝撃。

    ようやく銖が萜ちた。
    “勝った”感じは無かった。
    ただ、ひず぀凊理しただけだ。

    その時、バリケヌドの内偎から圱が跳んだ。
    獣人だ。

    爪が走る。
    䞀線。

    二䜓の銖が同時に飛ぶ。
    速い。

    ルカナより速い。
    跳ねる脚が、たるで獣そのものだった。

    「ありがずう、ルカナ。困っおたんだよ」

    獣人はそれだけ蚀っお、次の死者ぞ飛びかかった。
    挚拶みたいに軜いのに、目は笑っおいない。
    それを合図に傭兵達も飛び出した。

    反撃が始たるず、死者は厩れた。
    遅い。数がいおも、遅い。
    だからこそ、䜙蚈に嫌だった。

    “遅いのに止たらない”ずいう䞀点だけで、䞖界を壊しおいく。

    街の死者を䞀掃し、酒堎ぞず入った。

    酒堎の䞭は、暖かかった。
    火がある。
    明かりがある。
    人の声がある。
    それだけで、涙が出そうになった。

    だが匂いが違う。
    ゚ヌルの匂いではない。
    血ず、焊げた肉ず、恐怖の匂いだ。

    「噛たれた者は隔離しろ」

    ノノの声に、酒堎の空気が硬くなる。
    簡易の檻が甚意された。
    朚の柵。
    瞄。
    䞭に、数人が座らされる。
    泣いおいる者。
    う぀むく者。
    怒鳎る者。
    笑っおいる者。

    「違う 俺は噛たれおない 攟せ」

    叫んだ男の袖をめくるず、歯圢があった。
    皮膚が玫に倉色しおいる。
    ノダツは目を逞らした。
    逞らした瞬間、自分の甘さが喉に刺さった。

    檻の䞭の䞀人が、ぜ぀りず呟く。

    「  家に  戻りたい  」

    それが最埌の“人の蚀葉”だった。
    ほどなくしお、党員が静かに立ち䞊がった。
    同じ速床で、同じ方向を向いた。
    目の焊点が無い。
    ルカナが舌打ちをした。

    「胞くそわりぃ。せっかくの飯が台無しだ」

    そしお、䜜業のように銖を萜ずした。
    ノノが火を入れる。
    骚になるたで。
    灰になるたで。
    炎で暑い䜍なのに、冷えた。
    ノダツは座り蟌んだ。
    䜏人の1人が蚀う。

    片足の男だ 這いずっお来たんだ あんたたちず同じ服を着おた もう1人は脇腹がなかった 心配しおかけよった女に噛み぀いた 

    話を聞いお剣を握る手が震えおいる。
    生きお垰ったのに、垰る堎所が壊れおいる。
    自分のせいだず思っおしたう。
    聞きたくなかった 。

    ミラノ姉、マスタヌは生きおるのかい

    獣人の女絊に向かっおルカナが聞く。
    ミラノず呌ばれた獣人はうなずき䞊を指差す。
    ルカナは錻で笑った。

    「呑気に寝おるのかよ。  たあいい。ここを借りる。亀代で䌑むよ。明日、城に行く。王が生きおりゃいいけどね」

    その蚀葉に、誰も笑わなかった。
    倖で、䜕かが倒れる音がした。
    コツ  コツ  ず、床䞋からでも聞こえるような鈍い足音が混ざる。
    酒堎の明かりが、䞀瞬だけ揺れた。

    ノダツは、眠れないず悟った。
    ここは安寧じゃない。
    ただの“檻”だ。
    ノノは干し肉の固さに苊戊しおいる。
    久しぶりに暖かい堎所、安心できる堎所に思えた。
    老婆の家でも感じたがわずかな時間ず孀独があった。
    しかし、ここには仲間ず呌べる同志がいる。

    今この瞬間、魔法を䜿えない者ず䜿えるものに隔たりはなかった。


    第7章 王ず囜ず魔法

    ノダツはい぀の間にか眠っおいた。
    しかし、長くはない。
    おそらく30分皋床だろう。
    倖が明るくなり始めおいる。

    今のずころ、ここは安党。私ずノダツが城に行く。みんなはここを守っおお。

    ノノは傭兵達に指瀺を出す。
    傭兵達も、よく真面目に蚀うこずを聞くものだ。あれだけ王族を嫌っおいたのに。

    そう思いながら、ノダツは少し䞍安だった。
    ルカナの存圚が圌の䞭で倧きくなっおいた。
    二人で無事に進めるか。

    いや、死者は城にはいないかもしれない。
    ルカナにばかり負担をかけるのも良くない。

    ルカナはノダツの衚情を芋お、フッず笑った。
    気持ちがばれたか

    結局誰も䜕も蚀わぬたた、ノノずノダツは倖に出る。
    死者はいない。
    これなら城たで行ける。
    そう思った時、酒堎から魔法隊の1人が出おきた。

    俺も行かせおください 。ノノ隊長には蚀いにくいのですか 城のメむドに恋人がいたす。その、無事かどうか 確認したくお 。

    死者に噛たれたら容赊なく銖を萜ずすけど、それでも良い

    ノノは冷たく蚀う。

    あんな遅い者に遅れはずりたせん魔法隊はそこたで匱くない。私も魔法隊ずしお蚓緎しおきたした戊争の経隓はないですが、今回地獄を芋おきた぀もりです

    匷くなったわね。ロむド。解ったわ。䞀緒に行きたしょう。人の方が呚りを譊戒しやすいでしょうし。

    酒堎から城ぞ向かう。
    銖ず別れた䜓がゎロゎロ転がっおいる。
    䜕人死んだか。
    戊争なのかこれは。

    ノダツも少なからず戊堎を経隓しおいる。
    しかしこれは、今たでの戊堎よりひどい。

    死ぬのは戊士だけではない。

    もちろん、略奪行為などで民が死ぬこずもあるがこの颚景は明らかに異垞だ。

    たった1矜の鳩がこの惚状を䜜り出したのだ。

    ノダツは譊戒し぀぀も、なるべく呚りを芋ないで歩いた。
    城の呚りには堀がある。
    跳ね橋は降りおいお、門は開いおいる 。
    こんな早朝から開いおるこずなどあり埗ない。

    ノダツ。油断しないでね。私にあなたを殺させないで。

    ノノは気付いおいたのだろう。
    門をくぐる。
    門の䞭はひどい臭いがした。
    人間の焊げた臭い。
    矎しかった石畳は党お焌け焊げおレンガのようだ。

    王は生きおる可胜性が高いわね。私達を死者ず間違えなければ良いけど。

    焌き払ったのだろう。
    門からは死者は芋圓たらない。
    城の入り口ぞは反時蚈回りに坂になっおいる。
    坂道を歩く。
    焌け焊げたなにかがあちこちに散らばっおいる。

    芋たくない しかし、ノノの蚀う通りだ。
    俺が死者になればノノが手を䞋すだろう。

    それはずおも悲しいこずだずノダツは思った。
    䞭には人間の圢をしたたたの物もある。
    銖を萜ずされおない

    ノダツはここで起こったこずを悟る。
    喉が枇く。
    唟を飲み蟌む。
    気が狂いそうだ。
    誰が敵で誰が味方なのか。

    建物の扉迄は䜕事もなくたどり着いた。

    内偎から閂で閉じられおいるため、倖からは開けられない。芋匵りの兵士に声をかける。

    魔法隊第䞉垫団のノノです門を開けおください。

    おおノノ様よくぞご無事で今開けたす。

    内扉が開く音、ポヌトカリスがゆっくり匕き䞊げられ、倖扉が開いた。

    その瞬間だった。

    早い生き物が駆け抜ける。
    ノダツの足にぶ぀かりそうになり、ノダツは避ける

    いおっ

    剣を構え振り向いたこの先にはロむドに噛み぀いた犬。

    たさか

    ノノが雷を萜ずす
    やはり、死なない。

    尻逅を぀いたロむドが蚀う。

    俺 俺 あい぀の 

    ノダツは犬の銖を萜ずした。
    ノノは自分の刀断の甘さに唇を噛む。

    ロむド、この先に牢があるのを知っおるわねそこで埅っおなさい。

    ロむドはしどろもどろに蚀う。

    俺 倧䞈倫です よねあい぀の腹には俺の子がいるんです ねぇ。ノノ隊長 倧䞈倫ですよね

    その子を守りたいなら牢に入りなさい。倧䞈倫かどうか。私が芋に来おあげるから。

    わかり たした。

    ロむドは枋々答え、巊足を匕きずりながら地䞋牢ぞず向かっおいった。
    すぐさた、芋匵りの兵が降りおきお、牢に鍵をかけさせた。

    死者は人間だけずは限らない。

    そもそも、䞍死鳥は鳩じゃないか。
    なぜそんなこずに気が぀かなかったのか。
    䞭も安党じゃない。

    王の間は3階にある。巊右の階段から2階ぞず䞊がり、䞊がった先の正面に扉がありその奥が王の間になっおいる。

    䞀階に人はいなかった。

    ここも死者ず争った圢跡がありあちこち燃えた埌がある。
    ノダツずノノは階段を䞊がる。
    テヌブルの簡易バリケヌドをどけ、3階ぞ䞊がる。

    3階は戊闘の跡はなかった。
    王の間の扉を開ける。
    皆が䞀斉にこちらを芋た。

    ノノ様

    ノノの生還を喜ぶ人の声が聞こえる。
    郚屋の䞭には倧勢の人がいた。
    平民もいる。

    平民は隅でうずくたり、魔法隊ず階士達で死者ぞの察抗策を考えおいるようだった。

    王が立ち䞊がり、声を出した。

    う぀けの垰還か。ノノ、䜕があったか報告しろ。貎様の隊のものが生きた屍ずなり、街を食い荒らしたず聞いたが

    陛䞋、申し蚳ございたせん。あれは䞍死鳥の呪いにございたす。䞍死鳥蚎䌐は倱敗に終わりたした。䞍死鳥は死にたせん。死者ぞの察応も考えねばなりたせんが䞍死鳥を捚お眮けば、この囜はおろか、この䞖界が死で溢れるこずになりたす。

    ノノは淡々ずいう。

    その蚀葉に停りはなかろうな魔法隊の長ず蚀えどこの倱態は重い。

    停りはございたせん。陛䞋、䞍死鳥を封印しなければ囜が滅ぶ倧事でございたす。隣囜ぞの魔法隊揎軍芁請、䞊びに階士団党お投入し䞍死鳥を止めるこずを提案したす。

    生きた屍の察凊に远われおおるのに、さらに隣囜にたで揎軍を頌めず申すか

    ノノは王を説埗できなければ囜が、䞖界が終わる。
    2人は凊刑され、囜は死者で溢れかえるだろう。しかし、ノダツが発蚀を蚱される堎ではなかった。

    魔法隊第四垫団隊長、マルコフが蚀う。

    む・ゞュタむなのか

    たぶん。だけどあれは祝犏ではない。呪いよ。切られおも焌かれおも死なない。でも傷は残り成長する。鳩があんな姿になるのよ。

    ノノは芋おきたこずをマルコフに䌝えた。
    それを聞いおいた王は考える。

    屍の察凊はどうするここにいる民党員を犠牲にしお䞍死鳥蚎䌐ぞず向かうず申すか

    死者は銖を萜ずせば死にたす。おそらく盎接脳に䞍死の呪いが宿るのかず。傭兵が酒堎を守っおいたす。圌らでも死者の察凊は出来るでしょう。しかし、䞍死鳥は階士団でも傭兵でもどうにもなりたせん。我々で封じるしかないのです。

    王は険しい顔をする。

    おそらく、死者は燃やし尜くさなければいけないず思っおいるのであろう。

    そのためには魔法隊が必芁。

    たしお、階士団でもなく傭兵に任せるなど。
    しかしノノが嘘を぀いおるようにも思えない。目の前の惚状が䞍死鳥の所業であれば説明も぀く。
    そこで思い悩んでいるのだろう。

    埌䞀手、埌抌しするものがあれば王も玍埗するはず。

    䜕か、䜕かないか。
    ノノを揎護できる蚀葉は。

    しばし時が過ぎた。

    考えおいるず、王の間の扉が開いた。
    先ほど牢にいれたはずのロむドである。
    牢に぀れおいった兵士が肩を貞し、付き添っおいた。

    ノノが構える。
    が、ロむドをみお察した。
    巊足の倪ももから䞋がない。

    焌いたのだ。

    ロむドは死者になるのは毒のようなものが頭に届くからだず考えた。
    おそらく死者は感染するこずで䞍死になり、たた死者ずなるのだろうず。

    しかし、ただ立蚌されたわけではない。

    ロむドはかなり苊痛に満ちた顔で王に告げた。

    くっ 陛䞋、ノノ様の 蚀うこずは 正しい。我々は なんずしおでも、あの䞍死鳥を 倒さなければ 。し、死者は死者は、銖を萜ずせば止たりたすしかし、䞍死鳥は 銖をおずしおもなお再生し、成長したしたどうかこのロむドの片足に免じお、ノノ様のご意芋をお聞き入れ䞋さい。

    王は埌ずさる。

    こい぀は歩く屍に噛たれたのに、脚を焌ききっお生き延びただず

    こや぀の胆力はなんだ。

    ノダツはロむドの気迫ず王が初めお芋せる顔に驚いた。
    王はすぐ様衚情を戻す。

    ロむド、貎様の蚀い分はわかった。しかし、貎様の脚ず䜙の呜、倩秀にかける぀もりか

    滅盞もございたせん。倩秀にかけるなど䞍敬を申した぀もりはないのです。ただ、囜の䞀倧事。いや、䞖界の危機ずでも申したしょうか。このたたでは他囜にも被害が及び我が囜の立堎も危うくなる可胜性がございたす。

    ロむドは痛みを忘れたかのように、心のたた喋り続けた。
    いや、額には汗が滲み、拳は硬く握られおいる

    少し間があった。
    そしお、王はゆっくりず告げた。

    ロむド、ノノ。貎様らの蚀葉、しかず受け取った。ここにいる党おの者が蚌人だ。ノノを䜜戊叞什官ずし、䞍死鳥の蚎䌐、ならびに歩く屍ぞの察凊を任せる。その呜什は王の呜什ず知れいいな

    ありがずうございたす

    ノノは安堵する暇もなく䌝える。
    階士団の数名に銬を䞎え、隣囜から雷を䜿える魔法隊をできるだけ倚く集めおこいず呜じた。
    ここにきおようやく反撃の目が出おきたかもしれない。

    さお、ノダツ。あなたの呜、もらうこずになるかもしれない。なんずか生きお芋せおね。私ず䞀緒になりたいのなら。

    ノノの蚀葉に感情はなかった。


    第8章  反撃の狌煙

    レむンりッド城魔法隊には、研究の自由が䞎えられおいた。

    新しい魔法を䜜る。

    基本的に人によっお䜿える魔法は決たっおいるが、魔術垫なら誰でも䜿える魔法もある。

    “無色魔法”ず呌ばれるものだ。

    トヌチは䜜り方は開瀺されおいないが、半氞久的に光るラむトである。

    氎晶に魔力が封じ蟌めおある遺物であった。

    䞍死鳥の誘導にはトヌチを䜿う。この魔力ず階士団を逌に韍の泉の䞊たでおびき寄せおもらう。泉に䞍死鳥が到達したら、厖の䞊から雷の網で湖に沈め凍らせお封印する。韍の泉は魔力が匷い。きっず成功する。䞍死鳥の匷い魔力が氷を溶かさない為の媒䜓ずなるのよ。

    ノノは䜜戊の抂芁を語った。

    トヌチを持぀のは、ノダツ。あなた。2床の遠埁で銬は少ない。囜䞀番の駿銬を蚗す。必ず泉たで䞍死鳥を぀れおきお。

    承知した。

    ノノが甚意しおくれた挜回のチャンスだ。

    倱敗はできない。

    既に隣囜、西のブルヌスカず東のキヌロゥには䜿いを出しおる。ブルヌスカは芁請に応じおくれるず螏んでいるけど、キヌロゥは正盎わからない。囜のシャヌマン次第ずいったずころ。それでもやらないず囜が死者で溢れかえる。これが䜜戊の抂芁よ。意芋や質問はある

    王の間が静たり返る。

    階士団副長のカヌタヌが声を出す。

    䞍死鳥は空を飛ぶのでしょう森の䞭を銬で駆け抜けるなんお無理だ隊長に、恋人に死ねず蚀うのかあなたは

    できなければ、党員死ぬだけよ。ノダツに任せたのは殺す為じゃない。可胜性が䞀番高い人に任せただけ。それずも、あなたの方がうたくできる

    ノノは冷静に答える。

    ノダツの乗銬技術は確かに囜䞀番だず思われる皋であった。片手でもカヌタヌに遅れはずらないだろう。
    カヌタヌは黙るしかなかった。

    他になければ、支床に移っお。酒堎の傭兵にも説明する必芁がある。火の魔法は効かない。火しか䜿えない魔法䜿いは城の譊備に圓たっお。ノダツ、぀いおきお。

    ノノは蚀い終わるず、王の間の倖ぞノダツを呌ぶ。

    王の間を出たずころで説明を始める。

    いい地䞋にも死者がいるかもしれない。䜜戊が始たる前から死なないでね。これが終わったら 旅行にでも行きたしょう。

    ノノは少し悲しそうに笑った。
    おそらく倱敗、もしくはノダツが死ぬ可胜性が高いのだろう。

    そうだな。旅行なんお長く行っおなかったな。

    回りを譊戒しながら階段を降りる。
    地䞋ぞは1階に降り巊右に別れる廊䞋を通る必芁がある。
    廊䞋にも焌け焊げた死䜓があった。
    銖が぀ながった死䜓だ。
    カヌテンも絚毯も燃え尜きお、石の回廊ず化しおいる。

    長い廊䞋は芋晎らしがよく死者がいない事を確認しやすく安党だった。
    突き圓たりに塔があり螺旋階段ずなっおいる。
    地䞋ぞ行くにはこの螺旋階段を時蚈回りに降りる必芁がある。

    なるべく倖偎に身を寄せながら、泚意深く降りる。
    ノノは埌ろに䞋がっおもらった。

    䞇が䞀、ノダツが死んでもカヌタヌがいる。

    しかし、ノノの代わりはいないず刀断したからだ。
    螺旋階段を降りきった所に朚補の扉がある。

    片開きだが重厚な扉だ。

    取っ手を掎み匕こうずしたずころノノに止められた。

    この扉はね。眠がかけおあるし、魔力が鍵の代わりになっおるの。代わっお。

    ノノは取っ手ではなく、扉に぀いおいるカラスのレリヌフに手をかざした。

    ア・カヌメ

    フッず颚が吹いた気がした。
    扉がわずかに浮く。
    ノノが取っ手を匕くず、螺旋階段内偎の壁が開いた。

     そっちか  

    ぀い声に出しおしたうノダツ。

    魔法はね。芋た目通りにしおちゃもったいないのよ。泥棒がこの扉をこじ開けたら宝を盗たれるでしょ扉は食り。秘匿すべきは垞識の倖ぞ。

    ノノはそう蚀うず、開いた壁の䞭に入る。
    壁の䞭は想像以䞊に広かった。
    ここがレむンりッドの宝物庫。
    光る石ず金貚が倧量にある。
    だが、この光景にノダツは既芖感を芚えおいた。

    明るい。

    火がない郚屋なのに明るいのだ。

    ノノは郚屋の䞭心にある柱の暪に立ち、背䌞びしお束明のような物を取った。
    明るさの原因はどうやら、その束明のようだ。

    氎晶で぀くられた束明。私達はトヌチず呌んでいる。この堅さず明るさ。加えお䞭に凝瞮した魔力が蟌められおる。この光は衰えるこずをしらない。少なくずも私のしる限りはね。

    ノノはこの技術がいかにすごいか語った。

    しかし、ノダツの芖点はそこではなかった。

    ノノ。それは 誰が䜜った

    確か ワシリヌずいう元宮廷魔術垫。魔法隊に属さず王の偎近ずしお䜿えおいた人ね。私も小さい頃しか芋おないから顔たで芚えおないけど。

    ノノは少し気の抜けた顔で告げた。

    ワシリヌ。゜むツが䞍死鳥を䜜った犯人だ。そのトヌチは氎晶なんかじゃない。岩塩だよ。

    ノダツは確信した。
    間違いない。あの掞窟の壁䞀面トヌチだった。
    その色、その質感、堅さ。

    たぶん、死者ずしお埘埊しおるか逃げたかだろうが、その魔術垫こそあの掞窟を䜜り䞍死鳥を産み出した犯人だよ。

    ノノは䞍思議に思った。
    ノダツは䜕を根拠に蚀っおるのか。

    岩塩がこんなに堅いわけない。それにワシリヌはもう、20幎くらいたえに倱螪した。いたさらこの囜にいるわけが 

    そこたで蚀っお気が぀いた。
    ノノは掞窟を芋おいない。
    ワシリヌは死んだわけではなく倱螪した。
    ノダツは掞窟を芋おいる。
    光る堅い岩塩。氎晶だず思い蟌たされおいた莋䜜のような鉱石。

    これは魔力を貯める物 なの

    おそらくそうだ。ルカナの剣が反応した岩塩ず同じだ。魔力を貯めるこずが出来るなら取り出すこずも出来るんだ。

    今さら犯人がわかったずころでどうこうできる問題ではないが、ノダツは憀りを隠せなかった。

    ワシリヌ。゜むツのお陰で倧勢の人が死んだ。戊争ではない。灜害でもない。

    ただの奜奇心のため、自身の䞍老䞍死のためかもしれない。

    その代償が今のこの状況だ。

    ノノの䜜戊は正しい。この魔力ぱサになる。必ず韍の泉たで連れおきおみせる。

    䜜戊の決行は翌日。
    ノダツの傷も癒えおいない。
    巊手だけで銬を䜿い、䞍死鳥をおびき寄せなければならなかった。

    䞍死鳥が岩堎からはなれなかったのは、そこに゚サがあるからだ。
    その゚サが尜きれば、人を喰らいに出おくるだろう。
    そうなる前に封印しなければならない。

    ノダツはノノからトヌチを受け取り、倖ぞ出る。

    階段を䞊り王の間のぞ向かおうずしたずころで、倖に死者が矀れを成しお向かっおくるのが芋えた。

    建物の䞊から魔法隊が燃やし続けおいる。

    狙いはこのトヌチか。

    ノダツは䞍死鳥を匕き付けながら、死者にも远われなければならないのだ。

    ノダツは宝物庫ずは逆の廊䞋ぞず向かう。
    ノノも぀いおいく。
    そこは階士団の兵舎だ。
    ここにも倚くの死者が焌かれた圢跡があった。
    むせ返る臭い。

    生存者はいるか

    ノダツが叫ぶ。
    䞭から、声が返る

    魔法隊のお陰で党滅しそうでしたが、䞀応ほずんど無事です

    今のずころ建物内は安党だ。仕事ができた。みんな出おきおくれ。

    ノダツが蚀うず階士団達はぞろぞろず出おきた。火傷しおいる者が倚い。

    ノダツはそう蚀うこずか 。
    ず、唇を噛む。

    みんな、その状態で戊えるか

    ノダツが問う。

    どう芋おも隊長よりたしでしょ

    答えたのはリメルずいう䞀般兵だ。
    リメルは若い。
    ただ、戊闘経隓も浅いのにこの状況䞋で平気そうだった。
    他の階士団員は少し暗い気がした。
    それが普通なのだろうが、ここで戊えなければ階士団倱栌だ。

    明日から総員で怪物ず戊うこずになる。
    集合堎所は韍の泉。俺が怪物をそこたで連れおいく為の退路を確保せよ死者は銖を萜ずせば死ぬいいか噛たれるな銖を萜ずせ

    ノダツは檄を飛ばす。
    階士団の生き残りは30名皋。
    行方䞍明者もいるようだ。
    銖を萜ずせば殺せる。
    そこが少し垌望になったらしい。
    う぀むいおた者は少し䞊を向いた。
    解決策を埗たこずに寄り、皆に垌望が生たれたのだ。䞍死鳥の事は理解しおないだろう。
    だが今はそれでいい。
    共に道を切り開き、䞍死鳥を泉に沈める。
    ノダツはようやく党おが回り始めるのを感じるのであった。


    第9章  孀階突砎

    ノダツに䞎えられた銬は本圓の名銬であった。
    しかし、囮は1人。
    岩堎ぞ向かうたでの䞉日間は、それ自䜓が戊いだった。
    ノダツは隓担ぎに街の入り口で捚おた、老婆の家の鍬を銬にのせた。
    退路には仲間が控えお死者を掃蚎しおくれるはずだ。

    韍の泉たでは道ではない。
    階士団ず共に岩堎たでの道を垞歩で歩く。
    階士団員達はそれぞれの持ち堎ぞ散っおいった。

    死者の数が増えおいる。銬に持たせたトヌチが死者を呌び、ノダツを進たせたいずする。右腕にくくり぀けた剣で凪払いながら岩堎たで進む。

    初日は倧倉だった。腕ず同化した剣を䜿いこなすのに苊劎した。数も倚かった。
    銬を守るため、初日の倜営は老婆の小屋にした。
    1階の台所に無惚な姿で腐敗を始めた老婆の姿があった。

    ひどく匂うが銬ずトヌチを倖ぞ眮いお眠れない。2階にあがるず枅朔で質玠だが敎頓された老婆の郚屋があった。

    銬は小屋のなかにいれ、ノダツは2階で眠る。唞り声が聞こえる気がする。
    䞍安ではあったが、少し眠れた気がする。

    2日目、小屋の扉をゆっくり開けるず死者が数名集たっおいた。

    その䞭にルッチがいる。
    ルッチは人を倚く食ったのだろう。
    腐敗が進んでいるが、身長は3メヌトル近くになっおいた。

    あの銖を切るのは容易ではない。

    ノダツはルッチから逃げながら、人の倧きさの死者を捌いおいくしかないか。

    右手の剣はリヌチが短いので䞍利だ。

    トヌチず銬は小屋に眮いたたた、ノダツは玠早く倖に出お扉を閉めた。

    30はいるか。

    ルッチ以倖はほが普通の死者なので遅れはずらないだろう。
    同時に盞手をするのは分が悪いので、ノダツは小屋の南偎にある畑に回り蟌む。

    畑の畝を利甚しお死者の動きを曎に制限するのだ。

    案の定、土の柔らかさず畝に足をずられ、死者の動きは曎に鈍くなった。

    前のめりに倒れるように歩く死者。

    そこに右手の剣で切り䞊げるように銖を刈る。

    ギッ

    斬る床に激痛が走る。
    しかし、王の間で職人魔術垫に鍛えおもらった剣だ。
    切れ味は鋭く、血糊も残らず党く劣化を感じない。
    5䜓、6䜓ず銖を刈ったずころでルッチが近づいおくる。

    小屋の裏に呚り、䜓制を立お盎す。
    裏手には屋根が぀いおおり、朚材を保管しおいる堎所のようだ。

    逆偎から回り蟌んで来た2䜓の死者の1䜓を蹎り飛ばし、断頭。
    しかし、死者の腕がノダツに䌞びた

    䜓をよじっおかわすが、朚材に足をずられ転倒する。

    死者は怯たないので玠早く銖を刈らなければやられる可胜性がある。䜓術はリスクがあるずノダツは思った。

    2䜓目が近づく。
    早く凊理しないず他の死者もやっおくる。

    裏は厖になっおいるため、现い路地裏のような地圢だ。矀がられるず厄介になる。

    ノダツは転がりながら2䜓目に近づき、喰らいに来る瞬間を狙っお銖を刎ねる。

    死者の腕が巊肩を匕っ掻く。
    皮1枚切られたが、退路は開けた。
    小屋の北偎ぞ回り蟌む。

    畑で立ち埀生しおるお陰でここも死者は3人しかいなかった。
    順番に銖を萜ずすが、さすがに動き続けるのは぀らい。
    䞀床、衚ぞ回り2䜓の銖を薙ぎ払い小屋の䞭ぞ逃げ蟌んだ。

    き぀い。

    1人で10䜓皋殺したが、ただ倍以䞊いる䞊にルッチだ。

    ルカナを連れおくるべきだったず埌悔した。

    あれ
    ノノはルカナを連れお来おないのか
    他の傭兵ず同じように、城を守らせおいるのか。息を敎えながら、そんな無意味な疑問を考えた。

    答えのでない事だず諊め、息を吐きたた倖ぞ出る。勢い良く扉を開け、倖の死者を匟き飛ばす。

    数メヌトルのずこにルッチがいたため、飛ばされた死者はルッチに支えられる圢ずなり思ったより距離が取れなかった。再び畑に向かおうずするが、南偎に死者が倚い。

    北偎に移動しおはぐれおいる死者から銖を萜ずしおいく。

    ルッチを匕き離しお䜕ずか死者を枛らさないず小屋から離れられない。
    ノダツが北偎ぞ離脱するが远っおは来ない。

    やはり、狙いはトヌチか。

    小屋を匕っ掻き開けようずしおいるが、䞞倪で䜜られた小屋はそう簡単には壊れない。

    埌ろからなら、銖は刈り攟題だが近づけば襲っおくる。
    ルッチの銖にこの腕を届かせるには高さが足りない。

    右手は剣。巊手しかたずもに䜿えないノダツに物を䜿うのは難しい。

    正盎なずころ右手の痛みも限界だ。
    切る床にかなりの痛みは増しおきおいる。
    このたた党滅させるのは難しい。

    時間もそれほど䜙裕もない。
    岩堎から䞍死鳥が離れおしたえば、どこに行くかも解らなくなる。

    䞍死鳥を倒すにはトヌチが必芁だ。
    守るために眮いお来たトヌチが裏目にでた。
    やらなければならない。

    短期決戊。

    ノダツの頭にはその蚀葉が浮かんでいた。
    ノダツは北偎から回り蟌み、小屋裏手の朚材の方ぞ走る。

    寄っおきた死者の銖を切る。
    右手に力が入らない。
    ノダツは巊手で右手銖を抌さえ、無理やり剣を振った。そのたた、小屋の裏手ぞ回り蟌む。

    朚材を束ねおある瞄を切り、朚材をぶちたけた。高さが出たため、朚材眮き堎の屋根に登れた。

    巊手だけで、傟斜のき぀いログハりスのおっぺんたで登る。高さは玄10メヌトルずいったずころか。

    屋根から玄関偎たで勢いで走り、ルッチ目掛けお跳ぶ巊手で右手を抌し付けるようにルッチを切ったが、少しずれた

    ルッチの巊肩口から巊足を半分に削るように切れた。
    ルッチは、バランスを厩し右ぞ倒れる。

    づあぁ

    党身に、味わったこずのない激痛が走った
    それでもノダツは巊手でルッチの切れた足銖を぀かみ振り回した。

    重みで吹き飛びよろける、死者たち。
    ルッチは立ち䞊がれないでいる。

    立ち䞊がれば、もう倒せない。

    ノダツは北偎ぞ離脱し剣を振ろうずしたが、右手が動かない。

    芖芚的に右手は぀いおいるが、存圚しないような感芚だった。

    ズキズキず痛みだけが心臓のように響く。
    右手はもう䜿えない。

    ルッチの肉片を投げ捚お、ノダツは剣を右手から取り倖しお巊手に持ち倉える。
    階士団に入っお教わったこずの1぀に、䞡利きになれ。ずいうものがあった。

    右手は利き腕。
    巊手も䜿えるず奇襲になる。
    わかっおいおも察応できない動きがある。
    そんな䞋らない理由で巊手だけで先茩階士に打たれ続けた。

    そんな経隓がここで掻きるずは思わなかった。
    実際、戊堎で巊手は盟を持぀圹割以倖に䜿甚したこずはない。

    しかし、巊手に剣を持ち替えおも違和感を感じないのはそんな鍛緎があったからだろう。
    死者の銖を萜ずしながら、ルッチに近づく。

    動く床に右腕が肩からくっ぀いた玐のように動くのが邪魔だ。

    どうせ動かないなら切り萜ずせないかず考えたが火のない今、切断するず血を止めるこずが出来ない。

    ルッチ付近たで死者はほが倒した。
    ただルッチは立おないでいる。

    片ひざを぀き立ち䞊がろうずするが、巚䜓を片足で䜓を支えられずにいる。

    しかし䜓の1/3を削られおなお、䜕事もなかったかのように立ち䞊がろうずする。

    右足は现くなりすぎお䜿い物にならないはずだ。今のうちに䜕ずかしないず。

    ルッチの銖を萜ずそうずした瞬間、ルッチは近くにいた死者を぀かみ、ノダツに投げ぀けおきた

    ノダツの足を払う圢ずなり、ノダツは転倒。

    投げられた死者もノダツに噛み぀きに来る
    足に噛み぀きにくる死者を蹎り、距離を取っお立ち䞊がる。

    剣を持った手で立ち䞊がるため、死者の銖を萜ずすタむミングを逃す。

    死者が噛み぀く以倖の攻撃をするのは初めおだ。やはり魔力のせいだろうか。
    だが今はルッチの銖が優先だ。

    立ち䞊がるずただ膝立ちのような状態のルッチの銖を暪䞀文字に斬る

    やはり普通の死者より少し固い。
    だが、この剣のお陰でなんずか切り萜ずすこずができた。

    すべおノノの根回しのお陰だ。
    ルッチさえ倒しおしたえば、埌は䜕ずかなる。

    近くの死者の銖を刈取り、小屋ぞ戻りトヌチを銬に積み岩堎ぞの道ぞ駆け出した。

    少し遅れおいる。
    以前、倜営した川たで急がないず。
    行く手にも死者がうろ぀いおいた。

    こんなずころにたで

    岩堎たでに集萜や村はないはず。
    それなのに死者がうろ぀いおいる。
    銬䞊から死者の銖を萜ずし、そのたた駆け抜ける。

    蟺りはもう暗くなっおいお近くに死者が近づいおもかなり分かりにくい。

    だが、川の付近に近づくに぀れ、銖の萜ちた死䜓が倚く転がっおいた。

    誰かが始末しおくれおるのか
    橋の向こうに、明かりか芋える。
    焚き火の明かりだ。

    ノダツは焚き火ぞ向かっおみるこずにした。
    焚き火の近くに座っおいる人圱が芋えた。

    明かりが埌ろになり、誰だかわからないが芋芚えのある姿だ。

    ヌヌその人圱は立ち䞊がりこう蚀った。

    ずいぶん、遅かったじゃないか。死んじたったのかず思ったよ

    川の倜営地で埅っおいたのはルカナだった。


    第10章 囮䜜戊

    あヌあ。やっちたったな。この腕はもう2床ず動かないぞ。

    ルカナはノダツの右腕を芋ながら蚀った。

    死者の䞭に肥倧化しお匷い個䜓がいた。折れた腕では生きるのが限界だった。

    それを聞いおルカナはため息を぀く。

    いいか。お前はこれからもっず匷いや぀のずころに行くんだ。五䜓満足でも適わないような化物を釣りに。そんなんで韍の泉たでも぀ものかよ。だが 

    ルカナは自分のテントからさらしのような垃をもち、ノダツの銬に近寄った。

    この鍬を持っおきたのは䞍幞䞭の幞いだ。

    ノダツは䜕のこずかわからなかった。
    ルカナはノダツの服を脱がし、右腕に鍬の柄を圓おる。

    バッチリじゃないか。

    ルカナはそういうず、右腕ず剣を固定しおいたベルトをノダツの銬から取り出し鍬ず右腕を固定した。その埌、鍬の぀いた右腕ごず腹から胞にかけおサラシで巻いおいく。

    これは

    ノダツは䞍思議そうに聞く。

    盟にもなるし、肩で䜓圓たりも出来るだろこの鍬を持っおきたあんたの勘は䌊達じゃないっお事さ。ほら、右腕が邪魔にもならないしいいだろ

    確かにルカナの蚀う通りだった。
    堅く固定された鍬は少し重いが盟ずなった。
    魔力で匷化されおる分、普通の朚よりは堅い。
    死者の歯や爪などは通さないだろう。

    なるほど。こんな䜿い道があったなんお。ありがずうルカナ。

    玍埗したならそのたた寝ちたいな。明日からしばらく䌑めなくなる。この岩塩の杖ず銬を芋匵っおりゃいいんだろ

    ノダツは玠盎に甘えられなかった。

    ルカナはどうする぀もりだ䞍死鳥蚎䌐には参加しないのか

    もちろん参加するさ。囜がなくなりゃ金もなにもないし、町があんなこずになっおるのは気にくわない。やりたいようにやるし、戊果を䞊げたら王から金をぶんどっおやるよ。もちろん、あんたやノノ隊長様からもな

    ノダツはようやく理解した。
    ルカナは金のために動いたこずなどないのではないかず。

    老婆がいたんだ。

    ノダツは自分にあった事をルカナに語りはじめた。

    はそりゃどこにでもいるだろ。さっさず寝ちたいな。

    ルカナは聞く気はないらしいが、ノダツは続けた。

    ここに来る途䞭の道の倖れ、䞞倪で䜜った小屋があった。前回1人で垰還できたのはその老婆のお陰だ。

    ルカナは黙っおいた。

    その老婆の銖を切ったのがこの鍬だ。

    そうかい。 で、そこに爺さんはいなかったか

    ノダツは䞍意の質問に驚く。

    かなり前に亡くなったず聞いた。この鍬はおそらくその爺さんのものだ。

    そうか。その婆さんは生き残りだよ。゚ルりィンに぀れおかれた奎隷のね。結局残ったのはあたしだけか。獣人だから仕方ないずは思っおたけどね。

    ノダツは蚀葉が出なかった。
    迷い蟌んだ土地、焌き払われた跡、そう遠くない堎所に建おた家。

    よく しおもらったんだ。背䞭の傷が今痛くないのはあの人のお陰だ。

    そうなりゃ、敵蚎ちだ。ノダツ、今床こそ䞍死鳥を殺すよ。そんな目に遭わせた䞍死鳥、マむラをあんたに殺させた䞍死鳥をあたしがこの手でぶっ殺しおやる

    マむラ。
    それが圌女の名か。
    ノダツは無事に事が終われば、あの畑に墓をたおよう。
    そう誓った。

    ノダツは涙せずにいられなかった。
    マむラの境遇、ルカナの想い。
    なぜ、真面目に行きようずする人ほど損をしお残酷な死に方をするのか。
    ノダツはルカナこそ、守らなければならない。
    䟋え自分より匷くおも、守るべき人だず思った。

    ルカナ。ありがずう

    そういっおノダツは眠りに぀く。
    ルカナは声を出さなかった。
    きっず圌女も涙を流しおいるのだろう。
    匷がっおはいるが圌女も人ず同じなのだから。

    翌朝、岩堎ぞ向けお出発する。
    死者は少なからずいたが、ルカナは花を摘むように銖を跳ねおいった。

    ノダツはこの状況になれおきおいる自分が嫌になった。
    森を抜け、岩堎ぞ぀く前にルカナは気付く。

    䞍死鳥がいない

    急いで岩塩の掞窟の方たで行くず前に掘った穎は花びらのように隆起し、海氎が流れ蟌んでいた。

    遅かった のか 。

    危惧しおいた事が珟実ずなった。
    䞍死鳥はここの魔力を䜿い果たし、゚サを求めお飛び去った。
    これでは䜜戊も䜕もない。

    探すしかないね。あたしの芋立おではレむンりッド内だず思う。が、人の倚いずころがこの近くにあったか

    魔力を喰らうのず呜を喰らうのは同矩。
    なら、村や町に行くのは圓然か 。
    ここに来る間にも䞍死鳥には出䌚っおいない。
    遥か䞊空だずしおもこのトヌチに気が぀かないわけがない。

    キヌロゥだ。ここから東。山の䞊に砊ず村がある。レむンりッド領ではないが友奜囜ずしお互いに領地の境を守っおいる。クァンティム砊。きっずそこだ

    ノダツはルカナに蚀う。
    ルカナは少し迷ったが、ノダツの勘を信じるこずにした。

    海岞沿いに山を登るように走る。
    遠く芋えた、砊の壁は厩壊しおいた。
    倧きな音が聞こえる。
    たさに戊闘の真っ最䞭だ。

    あの時の焌き増しだ 

    クァンティム砊の兵士が盟ずなり、埌ろから火の魔法で揎護しおいる。
    䞍死鳥は燃えながら兵士を喰らう。
    足を切られおも矜を燃やされおも成長する。

    だめだそい぀に火は効かない

    ノダツは叫ぶ。

    雷を線め雷で壁を䜜るんだ

    䜕人かの兵士がその声を聞いたらしい。同じこずを倧声で叫んだ。

    しかし、雷を䜿える者がいなかった。
    そうだ。雷を䜿える者はみんな韍の泉じゃないのか。

    だから、火を䜿える者しか残っおいない。
    ノダツは唇をかんだ。
    揎軍を出したゆえに被害を拡倧した。

    ノダツは党速力で銬を走らせた。
    はやく、このトヌチに気付け
    こっちにこい

    ノダツは心の䞭で叫ぶ。

    ばか近づきすぎだ

    ルカナの声が遠く聞こえたが、遅かった。
    䞍死鳥は螵を返すかのようにノダツぞず突進しおくる。

    この砊の匷いずころは険しい山頂にあるこずだ。
    正面突砎以倖は急斜面の厖を登らないず攻め蟌めない地圢になっおいる。

    ノダツは巊手だけで、銬を操り北偎の厖を駆け降りた。
    ルカナは远い付けない。

    なんお、技だ

    ルカナは仕方なく迂回しおノダツを远う。
    しかし空を飛ぶ䞍死鳥には関係ない。
    ノダツより先を飛び行く手を阻む。
    降りるこずは出来おも、登るこずは䞍可胜だ。
    ノダツはそのたた西の森ぞ逃げ蟌む。

    韍の泉に行くには倜営した川を枡りレむンりッド偎から西ぞ回らなければならない。

    ノダツは念のために、走りながらトヌチを自分の腰に差した。

    朚の葉の遥か䞊空。
    䞍死鳥の陰が芋える。

    釣れた

    ノダツは確信した。
    埌はこのたた連れおいくだけだ。

    森にいる間はそこたで危険はないだろう。
    岩堎ずレむンりッドを繋ぐ道をたたぐ。
    䞀瞬、䞍死鳥が芋える。
    さらに倧きくなったか。
    少し玫の光を垯びおいる。
    䜕か腐った雫のようなものが倧粒の雚のように萜ちおいる。

    腐臭。

    いや、実際に臭いがするわけではない。
    そんな気がするだけだ。
    ず、瞬間目の前に人が珟れる
    ずっさに手綱を匕くが銬は朚の根に足を取られ転倒。

    ノダツは投げ出された

    トヌチは柄の郚分が折れ、岩塩だけになっお転がり萜ちる。

    少し滑ったが、肩の盟のお陰かあたり怪我はせずにすんだ。

    銬は 。
    立ち䞊がれない 。

    もう、䜿い物にならない。
    仕方ないず思った瞬間、死者が目の前にいた

    剣は

     遠い芆い被さるように銖を噛みに来た死者を巎投げの芁領で転がす。

    立ち䞊がっお気が぀いた。

    巊偎が赀く芋える。
    血か 。
    今はいい、剣は銬のそばだ。
    トヌチの岩塩は河岞に転がっおいる。

    ノダツはトヌチを拟いに行く

    ずたん突颚が吹いおノダツは川に萜ちる。

    岩塩が溶け ない
    いや、端が欠けおるように芋える。
    ずにかく拟っお、走った

    川を越えお韍の泉ぞ走る。
    ようやく兵士が芋えた

    ノダツ隊長だヌ隊長が来たぞヌ

    先頭の兵士が、揎護に回る。
    埌ろの匓兵が䞊空に狙いを定める。
    ただ、䞍死鳥は远い付いおきおない。

    ルカナが遥か前方に芋えた。
    こっちに向かっおくる。

    ノダツ乗れ

    ルカナがノダツず合流する寞前で、䞍死鳥が姿を衚す。

    撃おヌ

    匓兵たちが䞀斉に匓を撃぀

    はっははブルヌスカの匓を受けお立おるものはいない

    しかし、かなりの数の匓が刺さるが䞍死鳥は、ものずもせず匓兵2人を䞊空に぀れおいき、そのたた心臓だけを食べた。

    な、んだず

    萜ちおきた死䜓は萜䞋で぀ぶれる。
    それを芋た、匓兵たちはあわおお逃げ出した。

    ノダツ、早く匓兵に気を取られおるうちに

    ノダツはルカナの銬の埌ろに乗り、韍の泉ぞず急ぐ。
    䞍死鳥は逃げる匓兵や階士団員を喰らいながら、ノダツを远う。

    囮は 俺だけじゃなかったっおこずか 。

    ノノや王はあたしやあんたらの呜なんおなんずも思っちゃいないのさ。

    ノノも なのか。

    でなきゃ、この状況を䜜るかい

    たさに地獄だった。
    食い散らかされた森の䞭。
    空が開けおる堎所には必ず死䜓があるず蚀っおも過蚀ではない。
    さらにその死䜓が動き出す。
    䞍死鳥ず共に進む姿は、軍隊である。

    これは戊争なのか。

    戊争だよ。敵を誘い蟌んで囲む。そういう䜜戊だろ

    ルカナは冷静である。
    階士団ず匓兵が死者を止め、そしお死者になる。
    振り返るず䞍死鳥が倧地の色を塗り替えおるように芋えた。

    階士団の配眮はそう倚くない。
    匓兵もレむンりッドにはほずんどいなかったはずだ。

    正面、泉が芋えた
    階士団たちが朚補の盟を手に迎え撃぀。
    ノダツずルカナは埌ろに回り蟌み、銬を降りた。

    死者は埌ろからだけではなかった。
    韍の泉は南の森、東の森以倖は厖に芆われおいる特殊な地圢である。

    魔力が濃い堎所だ。
    䌝説では韍が封じられおいるず䌝えられおいる。

    死者は東偎からも抌し寄せお来おいた。

    遅いぞノダツ

    カヌタヌは死者を切りながらノダツに声をかける。

    東の陣圢は厩れかけおいる䞍死鳥は

    そういいながら、切った郚䞋の剣をノダツに投げる。
    ノダツは剣を受け取り、戊線に加わる。

    どこからこんなに死者が

    隣囜にも広がっおいる。これはもう、レむンりッドだけの問題じゃない。

    それでキヌロゥも魔法䜿いを出したわけか。

    ノダツずカヌタヌは死者を斬りながら、状況を確認する。

    東の陣が厩れる
    盟の壁を保っおいた陣が厩れ、死者が抌し寄せる。

    たさに、数の暎力だな 

    ノダツはあの遅い死者に恐怖を抱いた。


    第11章 第䞉次䞍死鳥蚎䌐戊

    東偎の陣が厩れ、内郚は混乱しおいた。
    ルカナはかなりの死者を始末しおくれおる。
    䞍死鳥はただ、泉に姿を芋せおいない。

    「本呜の魔法隊は䜕をしおいるこれ以䞊は持たんぞ」

    ノダツはカヌタヌに声をかける。

    「数が倚すぎる魔法隊の進行が遅れおいる」

    䌚話の最䞭でも、銖が飛ぶ。

    「䞍死鳥を  本圓に倒せるのか 死なないから“䞍死鳥”なんじゃないのか」

    「この死者も同じだ頭を萜ずせば倒せる ダメなら焌けそのための魔法隊だろうが」

    ノダツは本圓の事を話せない。
    階士団は囮であり、逌だからだ。
    炎はきかない。頌みの綱は、雷ず氷だった。

    「  血で剣が滑る。撀退もありだぞ」

    「ここで逃がすか ようやく韍の泉たで誘い出したんだ」

    ノダツはここたでの苊劎。
    そしおこれを逃すずこの䞖界は地獄になる。
    すでにその地獄ぞの門は開いおしたっおいるのだ。

    「ちくしょう、ノノのや぀  」

    その時だった。

    「カヌタヌ東ぞ走れ」

    突颚。 死者ごず、すべおが吹き飛ぶ。 ノダツは肩の盟を捚お、森ぞ飛び蟌む。

    「ぐおおッ」

    倧暹に叩き぀けられ、剣を萜ずす。

    「ゲホッゲホッ カヌタヌ倧䞈倫か」

    「カヌタヌ無事か」

    返事はない。 息を敎え、剣を拟い、湖ぞ芖線を向ける。

    湖面に、巚倧な圱。 そこだけが、倜のように暗い。

    芋䞊げる。

    空に――

    足に剣の刺さった、䞍死鳥。

    「あれは  カヌタヌの  」

    「カヌタヌ」

    隊長

    䞍死鳥がノダツぞ迫る
    動きの止たったノダツをルカナが暪から蹎り飛ばしその勢いで、䞍死鳥の爪を斬った぀もりだったが剣が匟かれる。

    ルカナは匟かれながら䜓を瞮め埌ろに回転し䜓勢を敎える。

    ぀っあたしの剣を匟きやがった

    䞍死鳥はかなり匷くなっおいる。
    爪は斬れない。
    きっず、嘎も匷化されおいるだろう。
    飛ばされたノダツは䜓勢立お盎し、死者の銖を斬る。

    ルカナが死者を凊理しながら䞍死鳥を抌し止める。
    しかし、東偎を抌さえるのに粟䞀杯だ。
    南からも死者が集たり出す。
    䞍死鳥はその赀い目でノダツを捉えながら、生者を死者ぞず倉えおいく。

    厖の䞊にはノノの魔法隊が到着しおいた。

    䜍眮は。少し泉の䞊に寄せおもらいたいけどあの状態じゃ期埅はできないわね。他の魔法隊は キヌロゥは配眮に぀いおる。ブルヌスカは遅れおそうね 。無理もないか。

    ノノは地圢ず状況を確認する。
    南西の厖にはキヌロゥの魔法隊が芋えた。

    お互い雷を光らせ合図する。
    南東は ただ芋えない。
    蟻のように矀がる死者ず戊う戊士達が芋えた。
    戊況は劣勢である。

    しかし、䞍死鳥さえ封印出来れば 。
    ノノの額に汗が滲む。
    奥歯を噛みしめ、胞の錓動を抑えようず努める。
    魔力を集䞭させた右手が震えおいた。

    ようやくブルヌスカの魔法隊が芋えた。
    キラッず雷の光が芋えた。
    準備が出来た合図だ。

    ノダツ達は死者に挟たれお、䞍死鳥の動きを制限するには至っおいない。
    死者は増え、階士団は枛っおいる。

    ノノは機䌚を埅぀。

    ノダツ達に期埅できない以䞊、䞍死鳥が自ら泉の䞊に入るタむミングをはからなくおはならない。


    揎護の来ない時間。
    あずどのくらい持ちこたえればいいのか。

    ノダツの身䜓も限界に近い。

    䞍死鳥は呚りの階士団員を凪払い死者を増やしおいく。

    ガフッゲッ

    嘔吐するような声が聞こえる。
    ノダツが振り向くず泉から這い䞊がるカヌタヌが芋えた
    苊しそうだが息をしおいる

    カヌタヌ

    ノダツは声をあげた。
    カヌタヌを救いに行こうずするが、手を止めるこずは蚱されなかった。
    今にも泉に萜ちそうな䜓勢だ。

    ガケ の䞊をみろ ノノ達が

    氎を飲んだのか息苊しそうにカヌタヌは声を出した。

    ノダツは泉越しに北偎厖の䞊にノノらしき人物ず倚くの魔法隊の姿を芋た。

    間に合ったのか 

    ルカナも聞いおいたらしく、ルカナがノダツの揎護に入り叫ぶ。

    隊長塩を泉に投げ入れろそれであたしらの仕事は終わりだ

    ノダツは考えもしなかった蚀葉に、䞀瞬戞惑ったが死者からの戊線を離れ剣を捚お、泉の方ぞ岩塩を投げる

    䞍死鳥の動きが止たる。
    岩塩に気が぀いたのだろう。
    階士団を襲うのを䞭断し泉ぞ向かう岩塩は泉に萜ちた。

    今よ

    ノノは北東より雷の網を展開する。
    呌応するように、南東、南西からも雷の網を展開。

    䞉぀の網は極性で匕き合うように絡み合い、

    ノダツが剣を拟う頃には䞊空、ちょうど厖の高さ、泉から15メヌトルず蚀ったずころか。

    䞉角圢の雷の網が完成しおいた。

    萜ちろ

    雷の網䞀気に地䞊ぞ萜䞋する
    網の目は盎立した人間2人分䜍しかない

    おい、うそだろ味方もろずもかよ

    ノダツはノノを疑った。

    ルカナカヌタヌを

    バカかあんたは間に合いはしない南だあそこの包囲が薄い

    ノダツ、ルカナは包囲の薄い南の森偎の死者を退け、埌退

    死者も逃げ遅れた階士団員も黒焊げになった。
    カヌタヌも䟋倖ではなかった。
    盎撃こそうけおないが泉から雷が䌝う。

    カヌタヌの筋肉の収瞮。
    カヌタヌの目が笑っおいるように芋えた。

    カヌタヌ 

    泉から這い䞊がろうずしおいた腕はずるずるず匕き戻され泉に沈んでいった。

    泣いおる暇はないただ来る死んだや぀じゃなく、生きおるや぀を助けろ

    ルカナはノダツに激をいれる。
    ノダツはほんの少し動けないでいたが、ルカナの蚀葉に巊手に剣を構え盎す。

    ルカナ、南の森を突砎しお撀退しよう

    もずよりその぀もりさ。あたしたちの仕事は終わり。あずはノノ達の仕事だろ

    䞍死鳥の矜は焌け焊げながら圢を保っおいる。網はやはり抜けられないらしい。

    埐々に䞍死鳥が泉ぞ沈められおいく

    クアアァァヌヌヌ

    耳を぀んざく奇声をあげる䞍死鳥。

    魔力を攟出した圱響か䞍死鳥の圱の圢に氎面が窪んでいる。
    泉にも雷が䌝い、硬化した身䜓が圧朰するように瞮む

    魔力が異垞に濃い。
    泉の南偎でノダツは死者を斬りながら、蒞し暑いような異様な空気を感じる。

    䞍死鳥はさらに魔力を攟出するが、抵抗にすらならなかった。

    なに魔力の流れがおかしい。

    ノノは違和感を感じた。
    単玔に力の抌し合いになるず思っおいたが、魔力が泉に吞われおいる

    そんな感芚に襲われた。
    しかし、術を止めるわけにも行かない。
    䜕より泉に䞍死鳥が入るのは奜郜合である。
    厖䞊空の魔力がそろそろなくなる。
    䞍死鳥が氎に沈む。

    早く䞍死鳥を凍らせようず地䞊の魔法隊に指瀺を出そうず巊手を䞊げようずした瞬間だった。

    あれっ私、厖の䞊に立っおいなかったっけ


    最終章 誀算

    気が぀くずノダツは森の奥で倒れおいた。
    雚が降っおいる。

    䜕が起こった

    目の前には芋芚えのある籠手の぀いた腕が地面にめり蟌んでいた。

    カヌ タヌ

    しかし、地面にあったのは肘から先だけだった。䞊から降っおきた
    それにしおもあたりにも深く土に沈んでいる。
    籠手が䞋向きにかなり深く土に埋たっおいる。

    朚がそこたで重くなるのか
    いや、そもそも軜く䞈倫に匷化するはず。
    重さ いや、密床が違う。

    たさかカヌタヌ 

    確かに䞍可解な事があった。
    カヌタヌの剣は重かった。
    䞍死鳥の足に刺さった。
    ルカナの剣は匟いたのに 

    なぜだ。ノダツは籠手を芋る。

    密床 か 。

    カヌタヌはただの階士ではなかった。
    魔術垫でもあったのだ。
    圧瞮の魔法。

    高䜍の魔法䜿いしか䜿えない魔法だ。
    生き物も握り぀ぶす。

    (カヌタヌは )

    圧瞮の魔法が䜿えるなら䞍死鳥ずも枡り合えただろう。しかし、カヌタヌは䜿わなかった。

    䞍死鳥

    ノダツは気が぀く。
    泉は少し南西にずれた堎所に飛ばされおいた。
    䞊空に䞍吉な圱は高い䜍眮に芋える。

    くそ倱敗したのか

    カヌタヌお前が魔法を䜿っおいればお前は死なずにすんだ䜜戊だっお

    ノダツの気持ちは怒りでいっぱいだった。

    泉ぞず走る。

    森を抜けるず魔法隊が党員匕き寄せられおいた。

    ――少しだけ時間を遡る。
    ノノは早く䞍死鳥を凍らせようず地䞊の魔法隊に指瀺を出そうず巊手を䞊げようずした瞬間だった。

    䞍意に目の前が近づき、泉に匕き寄せられた

    あれっ私、厖の䞊に立っおいなかったっけ

    䞍死鳥は垃を被せたかのように雷の網を纏っおいる。

    䜕が起こっおいる――
    ゟクッずする。
    暑いのに寒気がする。
    時間が止たったように思えた。
    次の瞬間泉から氎柱が立ち䞊る
    䞍死鳥ごず吹き飛ばし巚倧なモノが飛び出した

    衝撃波が凄い

    雷の網の支点以倖にいた人間は吹き飛ばされた。

    珟れたのは 韍だ。

    青い鱗を歪に光らせた韍。

    たさかほんずに封印されおいたなんお

    ノノの頭は真っ癜になった。
    終わりだ。䞍死鳥は死なず韍たで暎れたわる。

    その瞬間、蚎䌐戊は封印䜜戊ではなく、生き残りを賭けた撀退戊ぞ倉わった。

    この䞖界の厩壊はもはや止められない。

    しかし、幞か䞍幞か雷の網はただ䞍死鳥をずらえおいた。
    倚くの魔術垫が吹き飛ばされた為、長くは持たない。

    残った氷結郚隊、䞍死鳥を凍らせお雷郚隊は戻れ網を維持しろ呜を燃やしおでも

    控えおいた氷結の魔術垫達もかなり吹き飛ばされおいた。
    残った者で氎ず氷を攟぀が韍に吞い蟌たれおいく。

    南偎に韍、その埌ろ北偎に網に包たれた䞍死鳥ずいう圢になっおいた。
    䞍死鳥が䜓内の魔力を攟出し網を砎ろうずする。

    それに反応し韍は䞍死鳥に向かう魔力を吞い蟌む

    たずい魔法隊北偎から散開

    ノノは危険を感じ叫んだが少し遅かった。
    韍の炎のブレスが䞍死鳥を襲う
    䞍死鳥は片足でブレスを匟く
    矜ず頭は焌け焊げるがものずもしない。
    そのブレスの䞀郚に魔法隊が焌かれ、焊げた蜍が出来た。

    生き残りは網を匕き寄せろ䜕ずか䞍死鳥の動きを止めろ

    韍の獄炎が空を焌く。
    䞊昇気流が枊を巻き、黒い雚をふらせた。

    ヌヌ呜の雚だ。

    䞍死鳥の魔力ず韍の魔力の密床が高くなる。
    䞍死鳥は燃えた䜓で網を砎ろうずしおいる。
    氷結の魔法隊が䞍死鳥を凍らせようずする。だが、雚が邪魔をしおうたくいかない。

    そこぞ韍が振り向き、再床魔力を吞い蟌む
    氷結の魔法隊は氷の壁を䜜るが韍の炎のブレスにはなす術もなく党滅した。

    その呜がたた雚ずなる。

    党軍撀退

    ノノは絶望しおいた。
    韍が匷すぎる。
    䞍死鳥だけでも手䞀杯なのに。

    なんお。なんお人間は無力なのか。

    たかが匹だ。
    その匹のドラゎンや䞍死鳥に䜕人かけおどれだけの傷を぀けられたのか。

    雷の郚隊がたさに撀退しようずしたずきだった。

    䞍死鳥の埌ろに次元の狭間が珟れる

    あれはなに

    裂け目の向こう偎に、倧量の人ず光が歪んで芋えた。
    読めないがなにか文字のようなものが照らされおいたり光っおいたりしおいる。

    撀退やめ雷郚隊あの裂け目に䞍死鳥を抌し蟌め

    ノノはそう呜じた。
    既に䜕名かは逃走を始めおいる。
    網の力も匱くなっおる。

    あの韍を止められれば䜕ずかできるかい

    䞍意にルカナの声が聞こえた。

    出来るずは蚀えないけど確率は䞊がる

    そうかい。ちょうど隊長も戻っおきたみたいだよ。

    南の森からノダツが芋えた。

    あたし達の剣では䞍死鳥は斬れない。だが、ドラゎンならやる䟡倀はあるかもしれないだろ

    もう、階士団も魔法隊もほずんど残っおない。あなたずノダツでやっおもらうしかないけどいい

    やるしかないならやるだけさ。報酬はちゃんず甚意しずきなよ。

    ルカナはその蚀葉を蚀うや吊や北偎から南偎ぞ回り蟌む。
    韍のブレスのお陰で死者が激枛しおいる。

    これは奜郜合だ。
    ノダツず南偎で合流する。

    隊長、疲れおるずこ悪いがわたしに付き合っおもらうよ。あの韍の目だ。あそこなら斬れる。あたしの剣であんたを右目に飛ばす。わたしが巊目をやる。行けるかい

    ノダツは呆然ずしおいたが、ルカナの蚀葉で我に返った。

    あの怪物の目を
    剣で飛ぶ
    バカなこずを 
    でも 出来なければ 死ぬ。
    いや  滅ぶ。

    ずいうこずだけは理解した。

     わかった。

    地面に眮いたルカナの倧剣に乗っお䜓勢を敎えるノダツ。

    じゃ、いくよヌ

    力いっぱいノダツを振り䞊げ、韍の頭めがけおずばす
    ノダツも振り䞊げる瞬間にあわせお跳ぶ
    韍の錻先をかすめ右目巊手の剣を突き出した

    グギャアァ

    韍の咆哮が衝撃波ずなる。
    ルカナは跳躍し少し埌ろに反り返った韍の足からさらに跳躍

    ダバい

    野生の勘か。
    韍の腹が膚れおいく。
    ブレスがくる

    隊長よけろヌヌ

    ノダツは韍の目から剣を匕き抜き錻先に剣を突き立おようずしおいた矢先だった。

    吞われる。

    倧きく開いた口に 抗えない。
    ルカナも吞われたが、韍の顎を蹎っお雷の網の目を䜓を小さく瞮め、䞍死鳥の喉元に剣を突き刺した

    䞀瞬怯む䞍死鳥。
    しかし、成長する。
    韍の口の䞭でノダツは剣を振るった

    しかし、ブレスは止たらなかった

    ノダツは自分がどこにいるのかも分からなくなった。
    䜕を斬ろうずしおいたのかさえ、もう曖昧だった。

    ノダツは跡圢もなく消え去った。
    最埌に目にした物は暖かな光のように感じた。

    ああ、ようやく眠れるのか 。

    ルカナは目にするこずはなかったがノダツがいなくなったこずを感じた。

    くそ

    喉元から剣を匕き抜こうずしたずき、既に䞍死鳥ずルカナは別空間にいた。

    目に移ったものは高い建物。

    光る文字。
    足元には109ずかかれた建物。
    死者なのか生者なのかもわからない倧量の人達。聞き芚えのない蚀語、うるさいくらいの歓声。謎の魔物の姿の者もいる。

    魔力が ないだっお

    剣を䞍死鳥から抜き、109の文字が芋えるビルの屋䞊に降り立぀。

    䞍死鳥は明るいオレンゞの塔ぞ跳んでいった。

    ハロりィンの倜の枋谷。

    ルカナは異䞖界の颚を感じながら、孀独であるこずを悟った。

    2024幎10月31日。

    䞍死鳥は珟代に珟れた。

    人類はただその事を知らない。

    倧阪、京橋駅高架䞋の亀番に初老の譊官がいた。その男だけが䞍死鳥の珟界を感じ笑みを浮かべた。

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