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【報告】『巡礼者と黒い小舟』【まえがき】



    今回は思うところがあって、いつもは【あとがき】として書いているものを、こうして【まえがき】として投稿させていただきます。

    作品について書くと同時に、個人的にお知らせ、ご報告したいこともあったため。

    少し長いですが、読んでいただけると嬉しいです。



    報告


    この2月に僕の身にはいろいろなことが起こり、それらにはまだ心の整理がついていません。

    自分でもわかるくらい、精神状態が不安定です。

    なのでそのへんの事情は、まだちょっと伏せさせていただきます。


    ◇


    ただ、ご報告できることも。

    結局僕は、実家のある石川の地を離れることにしました。

    とはいえ東京には戻るわけではなく、同じ関東である神奈川県の湯河原という場所にリゾートバイトの形で滞在することを決めました。

    期間は、3月から5月のだいたい3ヶ月。

    どんな土地なのか、そこで何の仕事をするのか、行ってみないとわからないという状態です。

    「この黒い袋を、樹海の奥に捨ててこい。絶対に中は見るなよ」といったような仕事以外は、せっせと働こうと思っています。

    あまり不安はありません。

    どちらかというと、楽しみな部分も大きい。

    ただ一点、書くことがどうなるか、という懸念を除いて。

    僕としては、なんとしても執筆の時間を捻出するつもりではいるのですが、今までのように朝目覚めてから午前中はずっと書いている、ということはできなくなります。

    働きながら創作活動をしている方々はとんでもない人たちなのだ、と改めて気づかされることになるかもしれません。



    この作品について


    そういう私生活のごたごたのさなかにあって、絶対に世に出しておかなければ、と思ったのが短編小説『巡礼者と黒い小舟』です。

    この作品はもともと、2月のはじめに締め切りがあった【カクヨムコンテスト】に応募するために書きはじめたものです。

    世界観はファンタジー。

    カクヨムと言えばファンタジーというイメージがあったし、何より『今の僕はそのカテゴリでどんなものが書けるのだろう』という興味もあったからです。

    今回もまた、そんな知的好奇心をもって作品に臨みました。


    しかし書いているうちに、だんだん「あ、これカクヨムで読まれるような作品じゃないな」という側面が強く浮き出てきて、結局はnoteに有料で書き下ろし投稿しよう、という形に。

    それだけ僕にとって、このnoteで積み上げてきたものは大きい、ということなのでしょう。

    初稿は16000字超えになり、それを当初の想定である10000字以下まで圧縮することで物語としての完成度を高めました。

    無駄なことというのは、削ってみるまでわからないものですから。


    そして、この作品の特筆すべき点。

    それは他者の協力が不可欠だった、ということです。

    この作品は公募用のものだったため、初稿を終えてから推敲し、完成させるまでの間に、他者に読んでもらうことを決めていました。

    それも、noteにおられるような読み書きの達人たちにではなく、普段本を読まないような知人たちにしよう、と。

    noteにはnoteの、カクヨムにはカクヨムの、長編小説には長編小説の装い、というものがあります。

    実物の僕、いわゆる部屋着姿の――あるいは裸の――僕を知っている人たちを念頭におくことによって、どのようなものが書けるのか。

    それを読んだとき、彼らと僕の間に何が起きるのか。

    彼らに響かないとしたら僕の創作は、果たして意味があるのか。

    そういうことを知りたかったからです。

    結果として、知人の何人かはこの作品を読んでくれ、なかには何度も目を通して真剣に物語世界を考察してくれた人間までいます。

    正直に「このへんまで読めたけど、先はまだ」と言ってくれる者がいたり、ただ『面白かった』とだけ返信してくる者がいたり。

    彼らの意見をもとに10000字というラインを守りつつ、細かな部分に修正をほどこしました。

    僕自身、顔を知っている相手が読者なのだ、という想定をすると、修正の方向がはっきりしたように思います。

    例えば、自分ひとりでは削るかどうか悩むような部分でも、「まあいいか」という諦めが比較的簡単につく。

    不透明な部分は、あえてボカしているのか、ただ説明不足なのかをより緻密に判断できる。

    仮にnoteの下書きリンクを送った全員に読まれなかったとしても、『誰々に読んでもらうために書く』というその意識が、今回はいい方に働いたのではないかな、と思います。

    作品の投稿予定は明後日、3/7(金)

    価格は100円。

    いつものごとく半分は無料で公開するので、ぜひ覗いてみてください。

    これをもって、僕の創造的空白の一年の締めくくりとしたいと思います。



    今後


    去年の暮れ、僕はある目標設定をしていました。


    『有料記事で、1000円稼ぐ』……


    我ながら何いってんだこいつ、という感じですが、実はこれすでにゴールが見えつつあります。

    今年に入ってから、僕は以下の二本の有料記事を投稿しました。



    お金の話なので具体的な売上は伏せますが、目標額1000円の達成率としては7割。

    元書店員の感覚で言えば、B6コミック一冊分は稼いだことになります。

    「ふん、その程度か……」

    と新章の敵キャラみたいなことを思う人もあるかもしれませんが、これは長いこと無給で書いてきた僕にとっては大変な進歩なのです。

    それに加え、より多額のチップをしてくださる方もいて、僕としてはこれは純粋に自分を奮い立たせる契機になりました。

    やはりこういうものは値段の多寡ではありませんね。


    ◇


    さて僕がこの3月から働きはじめることは、先述しました。

    ゆえに書く時間が減るであろうことも。

    ですので僕としては、この作品を最後に一度筆を置いてもいいかなと考えています。

    もちろん筆を置く、というのは便宜的な言い回しであって、引退とかそういうことを言いたいわけではありません。

    ただ、今の僕は自分の中心にあった『書く理由』を司っていた柱のうち、最も大きなひとつを喪失してしまった。

    柱がなければ、どれだけ複雑な建築も成り立たない。

    「他人を理由にするからそうなる」

    とさっきの新章の敵キャラに言われそうですが、僕にとって創作は対話であり、繋がりであり、愛なのです。

    だからひとつ失えば書けなくもなるし、増えればそれにつれて書くこともできる。

    世界にひとりきりなら、僕は小説なんか書きません。

    この文章だって、そう。

    なので少なくとも働くことが決まっているこの3ヶ月は、自分という表現者としての主体をもう一度認識する期間にしたいのです。

    その結果、あんがいあっさり書けたり、表現したい感情ができたり、失くしてしまったものを、もう一度ひろいあつめたりするのかもしれないにしても。



    まとめ


    はからずも長い記事になってしまいました。

    油断すると文が長くなってしまうのは、なにを経ても変わらない部分な気がします。

    いまいちど宣言しておきますが、筆を置く、というのは引退ということでもnoteから去るということでもありません。

    今回はそれを示すために、改めて目標を考えてみました。

    それは、


    【一ヶ月にひとつは作品を投稿する。】


    というもの。

    新たな地、新たな職、新たな人々との出会いのなかで感じたものを結晶化させたいと思い、このような目標を掲げてみました。

    形式はどんなもので、長さはどのくらいか、有料か無料かなどはまだ決めていません。

    ただ、そのときその場所でしか書けないものを書きたい。

    その一心で臨もうと思います。



    お願い


    最後に、これを読んでいる皆さまへ。

    もしも神奈川県ないし静岡県に何かしら明るいところがある方がおられましたら、ぜひコメントください。

    僕は地理が苦手だったので、富士山と熱海が近いことくらいしか知りません。

    「現地の図書館には行ってみるか……」

    くらいしか決まっていないのです。

    どうか、よろしくお願いします。




     
     
     
    日々にユーモアをひとつまみ。 日常に肩が凝りそうな方へ、知的なユーモアを。 note歴4年、物書き歴10年。 知的変態。元書店員。乙一好き。 はじめての方は、こちらのサイトマップをどうぞ。 https://note.com/otukawa_/n/ncecf2de58b19

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