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ラムネ瓶越しの世界【3つのお題に空想のひらめきを】

昭和ノスタルジーに挑戦しました。
1,400文字ありますので、お時間ある際にお読みいただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。

🎈お題①:「ラムネ瓶の向こうの青空」
🐾お題②:「チャルメラが聞こえる夜」
⏳お題③:「原っぱの土管」

🍊第63回 3つのお題(昭和ノスタルジー)

ある晴れた日の午後のことです。

小学生のケンちゃんと、同い年のこより、そして3つ年上のこよりの姉・さつきは、原っぱの土管のところで遊んでいました。

駄菓子屋で買ってきたラムネを飲んで、こよりは、青空をラムネ瓶越しから眺めます。

こよりは、ラムネを買うと、いつも瓶越しの景色を見て楽しんでいます。

今日は青空と入道雲を瓶越しに眺めていました。

そんなこよりを見て、ケンちゃんはいつも、瓶越しの景色の前に立ちはだかって

「ケンちゃんラムネで~す」

と言って変顔をして邪魔をします。

「もう!!
 ケンちゃん、邪魔せんとってや!!」

「邪魔ちゃう。
 新商品の紹介や!」

姉のさつきは、毎回このやり取りの仲裁をしながら、笑っています。

5時を知らせる音楽が響き渡り、さつきとこよりは帰ろうとしますが、ケンちゃんは土管の中で何かしています。

「ケンちゃん、帰らへんの?
 5時の鐘、鳴ったで?」

さつきが聞くと、ケンちゃんはさつきをジロリとみて言いました。

「……オレは、今日からここを家にすんねん。
 だから、オレに用事があったら、ここに来たらええけど、大人には言うたらあかんで」

そう言ってそっぽを向いてしまいました。

こういう時のケンちゃんは、何を言っても聞かないので、さつきとこよりは原っぱを後にしました。

一人になったケンちゃんは土管の中で思います。

(じいじの部屋の花瓶が割れたのは、俺のせいやない……
 投げたボールが勝手に花瓶の方に向かっただけやからな……)

しばらく、土管の中で過ごしているうちに、ケンちゃんは眠ってしまいました。

風が強く吹き始めて、遠くから黒い雲と雷の音がし始めて目が覚めます。

(寝てもうてた……何時なんやろ……雨、降るんかな……)

ケンちゃんが少し心細く思いはじめた時、ぽつりぽつりと大粒の雨粒が降り始め、あっという間に土砂降りになりました。

雷も、怒り狂ったように鳴り、ケンちゃんは思わず耳を塞いで縮こまり震えます。

普段、家の中では怖くない雷も、土管の中ではいつもより大きな音がしてケンちゃんを怒鳴りつけているように感じました。

少し雨脚が遠のいてきたころ

「おい、ケン。
 帰るぞ」

と、祖父の晴太が傘を持って土管の中を覗き込んだのです。

「うわぁ!!
 じいじ!!
 なんでここにおるん!?」

「……花瓶を割ったネズミが、ここに隠れてるってさつきが教えてくれたからな。
 ……えらい雷と雨やったのう」

その一言で、ケンちゃんは目からポロンと涙が出て、晴太に抱き着いて泣き出しました。

「わ~ん!!
 じいじ、雷怖かったよ~!!
 あと、花瓶もごめんなさい~!!」

晴太はケンちゃんが落ち着くまで背中を優しくさすってくれました。

すっかり雨がやみ、あたりが薄暗くなった頃、遠くからチャルメラの音色が聞こえました。

「ケン、ラーメン食って帰るか」

ケンちゃんはパッと笑顔になって言います。

「ええの!?
 食べる!
 ラーメン食べる!!」

2人は屋台に座ると、ラーメンを2つ頼み、食べ始めます。

早食いのケンちゃんはあっという間に平らげて、ふと晴太の方を見ます。

ラーメンを食べる晴太を、ケンちゃんは持っていたラムネ瓶越しに眺めます。

それに気づいた晴太は

「何やってんねん。
 ええもん見えんのか?」

と言います。

ラムネ瓶越しの晴太はぼんやりと歪んで、ラムネ瓶の中に入っているみたいでした。

ケンちゃんは笑いながら

「新商品のじいじラムネ作ってんねん!」

と言いました。

「なんや、それ。
 まずそうやな」

晴太が呆れたように笑うと

「確かに」

とケンちゃんがすかさず返します。

「お前が言うな」

そして、2人は顔を見合わせて笑い合うのでした。

おしまい。



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