
大会前、ひとりだけバックティーから。「見世物になるからやってよ」
「バックティーからやってよ!その方が俺らも見てて面白いから」
大会を控えた私に、友人Tが言った。
私は大会前の練習ラウンドを、あまりしたくなかった。
いや。
正確には、少し逃げていたのかもしれない。
ホームコースのお試しラウンドの翌日、友人TからLINEが入った。
「N達を今週もホームコースに誘った?」
「確認したら空いてるって伝えただけ。いつものコースは大会前で誰と会うか分からないから行きたくないかな?」
「練習ラウンドしたいとかないの?」
以前、地元のトップアマから、
「中途半端に練習ラウンドしても、その日の調子次第だから、調子を上げる練習をした方が良い」
と言われていた。
それに加えて、指定練習日は平日に限定されるためビジター料金でのラウンドとなる。
それよりは、ホームコースで調子を整える方が良いと思っていた。
練習ラウンドをしない「一発勝負」を売りにしていた。
と言えば格好は良いが、逃げる口実にもしていた。
大会参加者が多く集まっていて、
「あいつ練習ラウンドしたのにこの結果か?」
と言われたくない思いもあった。
そのことを延々と書いたLINEを打ったが、送信前に思いとどまって文章を直した。
「途中いくつかバックティーから回らせてもらうと思うけど行きます。全部バックティーだと迷惑かけそうだから…」
「行くかどうか任せるよ、逆にリゾートゴルファーと一緒にラウンドしてもいいの?」
と返信がきた。