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大会前、ひとりだけバックティーから。「見世物になるからやってよ」 

    「バックティーからやってよ!その方が俺らも見てて面白いから」
    大会を控えた私に、友人Tが言った。

    私は大会前の練習ラウンドを、あまりしたくなかった。

    いや。

    正確には、少し逃げていたのかもしれない。


    ホームコースのお試しラウンドの翌日、友人TからLINEが入った。

    「N達を今週もホームコースに誘った?」

    「確認したら空いてるって伝えただけ。いつものコースは大会前で誰と会うか分からないから行きたくないかな?」

    「練習ラウンドしたいとかないの?」

    以前、地元のトップアマから、
    「中途半端に練習ラウンドしても、その日の調子次第だから、調子を上げる練習をした方が良い」
    と言われていた。
    それに加えて、指定練習日は平日に限定されるためビジター料金でのラウンドとなる。
    それよりは、ホームコースで調子を整える方が良いと思っていた。

    練習ラウンドをしない「一発勝負」を売りにしていた。
    と言えば格好は良いが、逃げる口実にもしていた。

    大会参加者が多く集まっていて、
    「あいつ練習ラウンドしたのにこの結果か?」
    と言われたくない思いもあった。

    そのことを延々と書いたLINEを打ったが、送信前に思いとどまって文章を直した。

    「途中いくつかバックティーから回らせてもらうと思うけど行きます。全部バックティーだと迷惑かけそうだから…」

    「行くかどうか任せるよ、逆にリゾートゴルファーと一緒にラウンドしてもいいの?」
    と返信がきた。

     
     
     
    高専中退、転職5回、吃音。 現在は技術部長と営業を兼任しています。 社会人からゴルフを始め、競技にも20年以上熱中。 吃音との付き合い方。 上がり3ホール。 仕事と家族。 そして、だいたい失敗。 不器用な普通のおじさんの、ゴルフと人生を書いています⛳️