マメな時間は平和の時間
今年、我が家の畑は全体的に豆が不作だった。
スナップエンドウも、そらまめも、うすいえんどうも。
かろうじて少しずつ収穫できた、貴重な豆たち。
うすいえんどうの豆むき(さやから出す)作業は、急いでやれば、多分5分でザル1杯分済ませられる。
我が家はそれに30分もかかる。
ダイニングテーブルに、採ってきたうすいえんどうと、むいたさやを入れる箱、豆を入れるザルを並べて席につく。
「ふぅ~」と息を吐き、やるぞオーラを出してみる。
その音に気付いて、すかさずこっちを向く4歳児。
「あ!まめむき!僕も一緒にやりたーい!」
期待通りに駆けつけてくれた。
一緒にやりたいから、敢えてこの作業をとっておくこともある。
全力のごっこ遊び時間とも、寝んね前にギュッとする時間とも違う。
互いに目を合わせずに、隣に座り、淡々と豆をむく。
他の料理のように火や包丁を使わないから、特別気を張る必要もない。
寝る時以外、常に動くか喋るかしている息子と、静かに共に過ごせる稀少価値の高い時間なのだ。
パシャッ、コロコロ パシャッ、コロコロ…。
さやを開き、豆をとりだして積もらせていく音だけ。
無理に笑って理想のにこにこママを演じることもないし、わざわざ沈黙を破ることもしない。
と思いきや、突然の「ポーーーン!!!」
むいた拍子にはじけて飛んで、床に転がる。
静けさからのギャップで、顔を見合わせて吹き出してしまう。
「豆さんどこ行っちゃったん!?」と、突如発生する宝探しイベントに、息子は意気揚々と動き出す。
落とした豆は「念入りに洗うチーム」として別のボウルに入れるようにした。
そのあとも、わざとやってる!?と疑うくらい、よく飛ばし、よく笑う。
鳩がくらった豆鉄砲っていうのはこれかぁ。
また作業を再開。
無心で進めていくと、ザルにはなぜか空っぽのさやが増え、さや入れの箱の中にはころころと豆が入っていく。
「あっ、逆逆!」
笑いながら言う頃には、ザルの中はさやだらけだった。
空っぽさやの山から豆を見つける宝探しも始まる。
畑の豆たちは、パンパンにぎっしりと豆がはいっていることもあれば、米粒くらいで大きく成れていないのもある。
「あかちゃんお豆みつけた~!」
と喜ぶ息子を見ていると、これも楽しみに変えられるんだな、とほっとする。
綺麗にぎゅうぎゅうに詰まった豆は、詰まりすぎて四角っぽい形になってきている。
息子は「1,2,3,4,…8個もぉ!?」って数えてびっくりしてくれた。
息子の豆むきはどんどんいい手つきになってくる。
何も教えていないけど、端からむいたり、ねじったり、真ん中から割ったり、いろんなむき方を試して、むきやすい自分なりの方法を編み出している。
淡々と作業していると、思考がポンと浮かんでくることもたくさんある。
子:「さっき読んだ絵本のフルーツサンド、お家で作れるんちゃうかなぁ!」
私:「確かに!おいしそうやったしやってみたいな。材料は何が必要かな?」
とか、
子:「前行ったお星さまたくさん動くとこ、また行きたいねん」
私:「…もしかしてプラネタリウム?」
子:「そうそう、それやで、ママ正解!」
私:「行ったのだいぶ前やのに急に思い出したん!?楽しかったんやな〜!来週行こか!?」
と計画を立てたり。
そんなこんなで、出来上がり。
お豆のプールに息子の右手が飛び込んでいく。
コロコロゴロゴロコロコロ…
この音、感触、こんなにたくさんむいたんだ、という達成感に浸りながら。
ママの人差し指も少しだけお邪魔して、一緒にかき混ぜてみる。
他愛のないことが楽しく、嬉しくなるマメな時間。
世の中いろいろ大変やけど、うちの家の中には平和がある。
平和の象徴のような時間をくれるこの手仕事が、来年も、再来年もできることを願う。
いいなと思ったら応援しよう!
チップの応援、ものすごく励みになります。スキやコメントもとっても嬉しいです。もしよかったらお願いします♡