
◆読書日記.《panpanya『足摺り水族館』》
※本稿は某SNSに2020年5月27日に投稿したものを加筆修正のうえで掲載しています。
panpanyaさんのマンガ集!『足摺り水族館』読みましたよ♪
本書はpanpanyaさん最初期の作品集で、「1月と7月」という今まで聞いた事もないような出版社さんから出ているコミックス。いや、自分の事ながら、よく手に入ったもんだなあと思った(笑)。
やはりpanpanyaさんの作風は初期の頃は背景の書込みが強く情報量も多い。
近作に近づくに従って背景の「抜き」が強くなって画面が白っぽくなってくるという傾向のようだ。
そして、その画面の「暗さ」とトーンが同じく、お話の内容も初期のほうがどこか不思議で不気味で時折シュルレアリスティックな光景が広がる。
それに対して近作のほうが軽やかで画面が明るく、お話自体もどこか飄々としてユーモラスだ。
ぼくは近作のpanpanyaさんの作風も好きだが、やはりマイナー臭の強い初期作品は更に好きだ。
panpanyaさんの性格特性として、背景画に強い執着があるという特徴があるが、初期作はそれが「日常世界からいつの間にかどことも知れない不思議な世界に迷い込んでいる」という物語のパターンを生んでいるようだ。
特に作中の一編「新しい世界」なんかはモロにその手の話で、主人公が学校の宿題で博物館に行こうとしたら休館日で、仕方なく近所を歩いていたら見かけた「新物館」に入るというお話。
この「新物館」とは「日々新しく生まれ変わる世界のより新しい姿を展示」しているミュージアムだそうで、「新しい鳥」と呼ばれる巨大な生き物や「新しい風景」と呼ばれるドロドロに歪んだ建築物がシュルレアリスム絵画のように並んでいる景色などが登場する。
panpanyaさんの背景画はペン画や墨絵、点描画、鉛筆、抽象画などなど、一作ごと、もしくは一コマごとにまるで別々の絵画を見せられているかのように良く変わる。
この中で近作も昔の作も変化しないのは、平面的にデフォルメされた鉛筆画のボブカットの主人公の女の子だけだ。
panpanyaさんの漫画の多くはどれも、この女の子がこの不思議で奇妙な世界の案内役を務める。
panpanyaさんのあらゆる表現によって様々に相貌を変えるpanpanyaさん的な世界の中で、彼女だけがその変化の影響を受けず、それぞれの世界に架橋して回ってpanpanyaさん印の証を付けているのだ。




