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第45回たけふレビュー『Blooming!』 京我りくさん 見どころ記

    公演期間:2025年10月10日(金)~11月9日(日)
    公演会場:越前市文化センター大ホール(福井県)
    出演者 :椿りょう(10) 琴海沙羅(9) 京我りく(9)
         知颯かなで(8) 華蓮いろは(5) ほか  全15名
         ※カッコ内は年次、全員敬称略
    観劇日時:10月13日14時公演 10月14日11時・14時公演
         11月8日12時・14時公演 11月9日10時・12時・14時公演(千穐楽)
         計8回
         ZAIKO配信・1公演(10月19日)

     2025年秋、第74回『たけふ菊人形』にて上演された、OSK日本歌劇団の第45回たけふレビュー『Blooming!』。「心に花を!」というテーマで、四季の移り変わりを軸とした45分もののレビューショーである。麗しく華やかな春、熱くパッションに満ち溢れた夏、穏やかだがどこか物悲しさもある秋、厳しく苦難に満ちた冬、そしてまた春…と場面が展開されていく。
     このショーは、全場面がテーマと結びついており、世界観に入り込んで物語を味わえた点と、主演の椿さんと琴海さんのお二人を中心としつつ、出演者の皆さんの総力戦スタイルで、それぞれの方の魅力や持ち味が引き立つ構成となっていた点とが非常に良かった。作・演出は麻咲梨乃先生。
     本作において、京我さんはたけふレビューにおける2番手、およびご入団以来初のロケットボーイを務められた。(おめでとうございました!)

     以下は、私が本公演の京我さんの好きなポイント・見どころを個人的な観劇記録としてまとめたものである。(※かなりマニアック)
     ご贔屓バイアスのかかった主観的記録に過ぎないが、Blooming!のDVD類が比較的最近リリースされもしたので、どなたかがそれをご覧になる際の多少の参考にでもなれば嬉しい限りである。ただし、お読みになる方がおられたら、以下の点にご留意いただきたい。
     ■残念ながら音楽・ダンス・演劇に関する専門知識は一切ない。
     ■記憶違い・見まちがいを含む可能性がある。
     ■日によって時期によって、パフォーマンス内容が異なる可能性がある。

    序:千穐楽のロケットが熱狂的で凄かった話

     京我さんファンとしては、やはりまずはロケットボーイについて語らずにはいられない!
     冒頭に記載のとおり、私が生で観たのは公演期間の序盤と最終盤だが、ラスト2日間で観た5公演がいずれも素晴らしかったなかでも、千穐楽は格別だった。単純に観劇者数の差や贔屓目の影響も当然あるとは思うが、私自身の体感としては、舞台から飛んでくるエネルギーも客席の熱量も、千穐楽は桁違いに大きかった。それを最も感じたのが、第3章『Hot summer』、とりわけそのクライマックスの、京我さんを中心としたロケットだったのだ。

    (なお千穐楽に私が座ったのは、この章の客席降りで京我さんがいらっしゃるゾーンで、目の前が通路になっている後方ブロックの上手側最前列、座席表でいうと『し列32番~42番』の辺りである。)

     章の冒頭のマンボから、華蓮さんを筆頭に娘役さんたちの掛け声の威勢の良さやスカート振りの激しさもいつも以上で、マンボの曲調がまったり→アップテンポと変化してからの京我さんや華蓮さんのオラオラ度合いも一段と増していた。
     続く『ラテンやんしき』の客席降りは、客席も大盛り上がりで、舞台上の椿さんによるレクチャーを受けながらの「やんしきやん!やんしきやんやん!」に合わせた右手を上げる拍手や、レクチャーの繋ぎで曲に合わせて自然発生する手拍子もいつもより大きく、客席全体がワクワクしている感じがした。
     劇団員さんたちが舞台に戻られてからの大サビの総踊りも、客席降りを経てのエネルギーがまた舞台からグワーッとこちらへ還流してくる感じがして、客席の盛り上がりもそれに呼応して一段と大きくなっていった。客席参加タイムはもう終わっているのに、多くの方が客席降りの際と同様に、「やんしきやん!」で一緒に声を出し、右手を上げて拍手をしていたのが印象的だった。
     曲の締めにアドリブで「千穐楽!」と椿さんが叫ぶと、客席からは割れんばかりの拍手に歓声も交じり、会場中のボルテージが最高潮になったのを肌で感じた。

     そんななか、いよいよロケットが始まる。この場面には“Summer power at full throttle”というエネルギーが爆発せんばかりの、この章のクライマックスに相応しい名前が冠されている。
     出だしのビートの1拍目からドンピシャで始まる、曲よりちょっと速く感じるテンポで客席から起こる大きな手拍子。お客さんたちもはやる気持ちを抑えられなくなっていたのだと思う。私も内心「きょがさん!やったれ!」と念を送りつつ、手拍子しながらエキサイトしていた。
     イントロ中のフォーメーション移動で背を向けながらセンターに集まり、客席へパッと振り向いたときから、京我さんは会場中の熱気を受け止めて、まさしく”ラテンの男“な物凄く良い顔つきをしておられた。サンバステップやサンバ棒を投げるお姿は毎回楽しげだったが、加えて、それまでの公演以上に、この場の主役としてのオーラと誇りに溢れていらっしゃる感じがした。

     Aメロになり京我さんのソロダンスが始まると、私の大好きな、両腕を広げて背中で回る感じのターンがあるのだが(このときの京我さんの表情が伏し目でさり気ない色気があって素敵)、京我さんのターンと一緒に周りの空気までぐわんぐわん動いているように見えた。その辺りから京我さんの輝きがどんどん増していったように思う。
     娘役さんたちもこれまで以上に気合が漲っていらして、会場の熱気に呼応するかのように掛け声はいつもより多く、ダンスも一層エネルギッシュだった。
     京我さんが上手の方でソロで踊られるときや娘役さんに向けて掛け声をかけられる際の動きも、いつも以上にシャープで美しく、オーラを放っていた。

     そこからのクライマックス、京我さんセンターのロケットは皆さん本当にキレッキレで、圧巻だった。
     客席全体から「来るぞ!!」という一段と高まった熱量と舞台に向けての集中が感じられて、客側が言うことでは無いのかもしれないが、まさに舞台と客席が一体となって熱狂的な空間が生まれていた。私も「きょがさん、どこまででもいけ!!」というような高揚感とともに夢中で手拍子をしていた。
     後から思うと舞台上にたった10人とは思えないエネルギーで、その真ん中で、京我さんは見るからに幸せオーラに満ち溢れて、大袈裟かもしれないが私の目には宇宙一レベルで輝いて見えた。
     それまでも、観る度に「この作品のロケットボーイは本当に京我さんにぴったりで最高!」と思ってはいたが、千穐楽のロケットボーイは、『Blooming!』以外の作品も含めて、私がそれまで生で拝見した京我さんの中で、断トツで一番、文字通り“輝いて”おられた。
     前日夕方のトークイベント『ファン感謝のつどい』で、マツケンサンバへの思い入れの深さや、今回“金のサンバ棒”が手にできたことの喜びがいかに大きかったかを語ってくださっていたので、そんなエピソードも相俟って、勝手ながら、このロケットボーイは京我さんの天職だったのかもしれないとすら感じた。
     大好きな京我さんがあんなにも幸せそうでキラキラしている姿を目にすることができて、私は一ファンとして心から幸せだった…

     余談だが、その『つどい』の最後に、劇団員さんたちがお一人ずつ千穐楽に向けての意気込みを語られたとき、京我さんは「明日も私たちと一緒に作品を創りましょう」の旨を仰った。
     私はこれを耳にしたとき、実は正直なところ、ちょっと拍子抜けしたようなところがあった。「あれ?ご自分のパフォーマンスのことじゃないんだ」と。(下級生から順に喋っていったので、他の皆さんの意気込みを聞かれた上で、ちょっと趣向を凝らして当初考えていらしたのとは違うことを敢えて仰ったのかもしれないが。)
     だが、舞台と客席がひとつになったこの素晴らしい千穐楽を終えたときにふと、「あぁ、京我さんが仰っていたのはこのことだったのか」と気が付いた。
     それまでも私は何度か、舞台人たちが似たようなことを言うのを聞いたことがあった。その度に「まぁ何となく解る気もするけど、実際我々には作品そのものへの影響力なんてほとんどあるわけないでしょう」と思っていたが、この実体験を経て、ほんの少しだが、観るために座っているだけではない、我々が客席に存在する意味を実感できたように思う。


     …さて、思い入れの強さゆえに序章が非常に長くなったが、ここからは順を追って記載していく。

    1章 Spring is in full bloom

    プロローグ~Rhythm in Bloom~

     淡いピンクの花柄刺繍入りベストに、首元と腰左半分だけの同柄スカーフというスタイルが珍しくかつ春らしく、とても素敵だった。ウェービーでやや伸ばしたヘアスタイルも相俟って、首にスカーフのもふもふが着いた京我さんはまるで長毛種の猫のようでとても可愛かった(笑)

     羽根扇を持って最初に登場されたときから、京我さんはにこやかに微笑んでいらして、いかにも春という穏やかな感じがして良かった。
     羽根扇を沢山動かす振付で、空気抵抗もありそうだし、持ち方も独特なので握力を消耗しそうだし大変だったでは…?と思いながら観ていた。それについては真偽不明だが、千穐楽の半月ほど後に心斎橋のBPで行われた『たけふレビュートークショー』(配信公演のダイジェスト映像を観ながら劇団員さんたちが振り返りトークをしてくださった)で聞いた話によると、この場面は皆さん出捌けが多いので体力的にかなりハードだったそうで(京我さんが「シャトルラン」と仰っていたような…)、曲終盤の総踊りしながらの歌が、稽古場段階では息も絶え絶えで大変だったとのこと。
     羽根扇を置いてきてからの男役さんだけの短い場面は、先程までとちょっと違うノリノリで楽しげな感じが表情から伺えた。キメのポーズで両手を叩くのと同時に顎を上げる京我さんが好きだった。
     最後の総踊りは表情も踊り方も優雅で、春を寿ぐ様子が感じられ、一瞬一瞬の手の形の美しさが素敵だった。

    Season in motion ~Blooms in Spring~

     この曲は、パンフレットに稽古場写真も載っていたが、出だしに4人でジャンプする場面転換が好きだった。男役さん4人でハモるときに京我さんの低音が聴けるのも嬉しいところ。
     まさにこのたけふレビューを表すかのような歌詞(“皆さんの歌い踊られる姿に、客席が思わず幸せで笑顔になる”、といった内容)も良い。
     このあと、季節ごとのパートで京我さん(春担当)のソロ歌がガッツリ聴けたのもとても嬉しかった。
     千穐楽前日に、配信(10月19日公演)以来久々にこの歌を聴いた際、段違いに声の太さ(?)というのか声量も歌い出しからの安定感もupしていらして、それが非常に印象的だった。
     歌い終わりの「胸ときめく」も凄く綺麗な声で。X(twitter)の稽古場投稿でこのシーンの写真を見た時から、「なんて素敵な手の差し出し方…(そして上腕二頭筋が格好良い!)」と思っていたが(笑)、実際このワンシーンはうっとりするひとときだった。(ちなみに、客席降りの『京我さんゾーン』に座っていると、差し出された手と共に目線が飛んできて大ボーナスだった。)
     珠凜さんとの美男美女のデュエットダンスは、お二人の温かい眼差しの交わし合いと随所での距離の近さが良かった。このデュエダンは最後に、娘役さんを男役さんの右ももに乗せて、腰骨のあたりを使ってポンと高く飛ばす感じのリフトがある。公演期間初期や配信で観た際には、京我さんペアは滞空時間が短くて隣の知颯さん・璃音さんペアなどと比べると正直見劣りする感が否めなかったが、最後の土日に見た際は、以前より高く軽やかに進化していた。

    2章 Rainy season

     章全体が大好き。
     京我さんが出る『雷雨』の場面の前段、『紫陽花』の場面は、雨がしとしと降り続くような、少しアンニュイで妖艶な感じがとても魅力的。ひよりさん・珠凜さん・奏叶さんのスキャットの歌声とともに、琴海さんはじめ娘役さんが紫陽花として踊る。皆さんが素晴らしかったが、なかでも琴海さんの大人な艶っぽさと、桃白さんのダンスのキレとしなやかさが非常に目を引いた。
     そこから暗転に合わせた雷鳴&稲光の演出で一転して、曲もダンスもシャープな『雷雨』の場面に。椿さんを筆頭に男役さん4名が登場する。

     雷雨をイメージしたシルバー・黒基調の衣裳が格好良い。とりわけ京我さんのベスト・ロングブーツスタイルはどんぴしゃにお似合いで最高だった。 
     左耳に付けられた、降りしきる雨のような縦ラインのシルバーピアスも素敵で、踊りながら揺れるのがなんともセクシー。
     京我さんのダンスがどの瞬間も格好良くて大好きなので、この場面は配信でも一番多く観返した記憶がある。
     特に好きなのは、序盤に皆さんが斜め1列になり、京我さんが椿さんとアイコンタクトして真ん中に戻ってからの一連。(このアイコンタクトのときのお二人の、ほとんど表情には出さないけれど目で通じ合っている感じも堪らない。)
     その一連の、最初のドゥドゥッで膝から頭までしならせるときの波のようなしなやかさ、次のドゥドゥッで椿さんと踊るところの一つひとつの動きのメリハリ…このドゥドゥッ×4の部分は、一瞬停まったり振付の動/静がはっきりしているので、ダンスに合わせて無造作に揺れるウェービーヘアの破壊力の高さも感じた(笑)
     続く、ターンしながら下手側に移動するところも良い。ここは京我さんの伏し目づかいや顔の向きのつけ方のセンスの良さが光っていたと思う。右腕を差し出すのに合わせて顔の向きをつけて、同時に伏せていた目を上げるところや、ターン後も京我さんだけ顔が横(上手)向きでまた伏し目になっているところがとても色っぽくて素敵(DVDにも映っているので皆さんも是非チェックしてください)。2度目のターン後に天を仰ぐときの何とも言えない表情も最高(この瞬間左耳のピアスが見えるのが“計算し尽くされた色気”すぎて悶絶)。
     最後に4人が再びセンターに集まってからの振付も格好良くて、スクーバーホップ(?)とのけ反るところの京我さんが特に好き。

    3章 Hot Summer

    (※ここでは序章で触れられなかった点について記載する。)

     章全体がとても陽気で終始ノリノリなのが楽しい。
     波の音がするなか、娘役さんたちが客席の中央通路の両サイドから登場して「マンボ!」の掛け声とともに威勢よくスタート。舞台に上がって夏のギラギラした感じの歌詞を歌いながら踊る華蓮さんが、歌もスカート振りもとても上手くて印象に残った。
     男役さんたちの登場時、舞台後方の段上の京我さんのしなやかな動きが目を惹く。段から降りた男役さん4人が歌いながら華蓮さんと次々絡んでいくシーン、他のお三方が歌い継いでいる間もずっと華蓮さんを狙っている感じの京我さんの表情が良い。「この胸を焦がすテキーラのように…oh!」は全部良いが、特にoh!のときの表情(口の開け方など(笑))が好き。
     このあと曲がアップテンポになった際の京我さんのオラついた表情や動きのニュアンスも好き。(途中で両腕を上げるときに薬指だけ曲がった手の形が特徴的で好き。)
     『ラテンやんしき』は曲調も掛け声も楽しくて、京我さんも毎公演終始とっても楽しそうにされていたのが印象的だった。客席降りから舞台に戻ったあとの総踊りの、「やんしきやん!」で左足を上げる振付の可愛さも見逃せない。

    Summer power at full throttle~ロケット~

     初めて観たときから、とても溌剌として素敵なロケットボーイだったという印象は変わらなかった。観れば観るほどこの場面がお似合いで、京我さん用に作曲したのかな?と思うほど。これ以上ない適材適所な起用だと感じた。
     イントロの部分での背中を向けた状態のフォーメーション移動が終わり、客席に向き直った瞬間から、京我さんは気合が漲った物凄く良い表情をされていて、やっぱりセンターの京我さんって良いなぁと観る度に思った。
     サンバ棒を投げてクルクル回す楽しげなお姿には、「五右衛門」の倭一座を彷彿とさせるものがあった。京我さんはマツケンサンバの大ファンだそうなので、サンバ棒やアヤ棒もきっとお好きなのだろう…。
    (余談だが、BPでの『トークショー』で京我さんが語られたところによると、今回の金のサンバ棒は、当初松竹から借りようとしたものの松平健さんの公演と重なっており貸せないと断られ、劇団側が用意した物とのこと。京我さんが「私は松平健さんとサンバ棒を取り合った仲です」と仰っていて面白かった。)
     掛け声を沢山、色々な種類かけてくださるのでそれも楽しい。特に、やんしきが終わって曲が始まった直後の「Oh!」と、上手から娘役さんたちに向かっての「Whoooo yeah!」が好き。ソロで踊られる部分も見どころ満載で、イキイキしたお姿を観ていると胸がいっぱいになる。
     衣裳ご担当の由萌ななほさんの公演当時のインスタによると、男役さんの短靴での脚上げは娘役さん以上に大変とのことだったが、脚上げを含めて京我さんのロケットボーイが生で観られて、心から嬉しかった。
     脚上げが終わってからも表情が楽しそうにクルクル変わって、このときの京我さんはとても可愛い。
     皆さんが一列でサンバ棒を端のかたからバーッと動かしていく最後、サンバ棒をクロスしたとき、京我さんが毎回眉毛をハの字気味に上げて目を細めながらニカッと笑っていらして、その笑顔には観る度にキュン死にさせられた(笑)(これもDVDに映っているので要チェック!)

    4章 The arrival of autumn

     『秋』はこの一曲のみでとても短い。椿さんと琴海さんによる、シンプルだがとても魅力的なデュエットダンスの場面。
     春→夏→秋→冬とショーの中で季節が移り替わっていくなかでも、特に秋→冬は物語上の結びつきが強く、この『秋』の場面がキーになっている。

     椿さんと琴海さんは、2人で一緒に居られるささやかな幸せを大切に過ごす、ごく普通の恋人たち。そんな無辜の人々にじわじわと忍び寄り、遂には襲い掛かって幸せを奪い去るもの…それを、次章の『冬』が表している。
     『冬』とは具体的に何か?それが歌詞などで示されることは無いが、パンフレットの麻咲先生・椿さん・琴海さんたちの言葉を参照すると、『戦争、環境破壊、現代社会の様々な問題、およびそれらが引き起こす人間の苦しみや悲しみ』といったことであろうと思われる。
     デュエットダンスの終盤、少し寒くなってきて、雪がちらつき始める。鐘の音が鳴り、恋人たちは揃って祈りを捧げるが(BPでの『トークショー』によると、ここはクリスマスをイメージしていたそう)、冬の訪れを感じさせるこのワンシーンがまさか不幸の始まりを示していようとは、初めて観た際は衝撃的だった。

    5章 Winter has arrived

     全ての中で最も重くメッセージ性が強いので、最初の遠征で観たときから印象深い場面だった。音楽も素晴らしい。
     この章はコンテンポラリーダンスなので、私の個人的な解釈を多分に含めながら記述する。

     劇団員さんたち(役名『祈りのダンサー』)が舞台上を右へ左へ走り回る動きは、災禍が襲いかかったことやそれにより混乱し逃げ惑う人々の姿を、その後の一連のダンスはもがき苦しんだり、怒りややるせなさを抱えながら救いを求める様子を描いているのかなと思いながら観ていた。
     疲れ果て倒れ込む人々(全員どこかしらグレーの入った衣裳)の元へ、ある種の救世主的に、真っ白な椿さんが登場。椿さんはどんな困難な状況でも諦めずに立ち向かおうとする人を、華蓮さん演じるInnocent flowerは人々の心の中にある愛や希望を象徴しているのかなと思った。
    (ひょっとして、椿さんを除く祈りのダンサーが“12人”というのにも意味があるのかも…?)
     椿さんのソロダンスは力強い振付と全身全霊を傾けた踊りぶりが見事で、みなを奮い立たせ、再び立ち上がらせるに相応しい説得力があった。
     その姿に感化されて、祈りのダンサーたちは再び踊り始めるが、苦闘の様子を表すために前半部分と似た振付が敢えて織り交ぜられているのかしらと思いながら観ていた。
     京我さんのコンテンポラリーダンスはどの瞬間も大好きで、どこと限定して選ぶのは難しいのだが、例を挙げると…パッと下手側を向いた直後の鋭いターン、上半身を倒しながら腹筋で半周回すところ、右腕を天に伸ばして左足を前に滑らせながら(人一倍前に踏み出しているところが良い)思いっきり仰け反るところ(仰け反ったときの喉のあたりが格好良い(笑))、決然とした表情とその際指を閉じていく手の美しさ、両手とも拳で天を仰ぐ振付…etc.。

     ここで終わるかと思いきや闘いはまだまだ終わらない、という構成がとても良い。祈り、全員で力を合わせて困難に立ち向かおうと走り出す振付が大好きだった。京我さんの転び方が本当に上手で(初見の人の中には振付ではなく本当に転んでしまったと思う人もいたらしい)、表情含めてそこも好きポイントである。
     ここから先もずっと「京我さんのダンス大好き!」と思いながら観ていたが、こちらも好きなところを挙げると…アラベスク(?)っぽいポーズで跳んだあとの両手で首筋を撫でるときの右膝の上げっぷり、両拳を握って上体を回す動き、舞台上手向きの状態から顔を左手で正面に向けさせてからの後ろジャンプ…etc.

     そして最後に、中央に再び祈りのダンサーたちが集まりパッと正面へ振り向いたとき、毎回、分け目はきっちりしつつ自然と乱れたウェービーな髪が、この場面のシチュエーションに完璧に合っていた。
     天に祈るようだったり、太陽が昇るような動き、最後の最後まで足掻き続けるかのような足踏み、そして本当の最後、祈るポーズではなく胸に手を当てるところが肝なのかなと思った。神に頼るのではなくて、人々が自らを省みて己の心を(パンフレットの椿さんのお言葉を借りると)『浄化』しているさま、このあとの歌詞に出てくるが、心に愛の花を咲かせよう、「心に花を!」を示唆しているのかなと…
     そして、祈りのダンサーたちが胸に手を当てたときの華蓮さんの動きは、今まさに心に花が咲いた瞬間を表しているように見えた。

     椿さんがソロで歌っていらっしゃる間、皆さんそれぞれの表情が興味深いが、京我さんの、これまでが壮絶すぎてまだ『冬』を乗り越えたことを実感しきれていないというような(恐らくもっと深い心の動きがおありだったのであろうが)独特の表情が好きだった。
     メッセージを一言一言噛み締め客席に語りかけるような椿さんの歌い方が印象的で、そこに続く皆さんのコーラスは毎公演、舞台から放たれるエネルギーが凄くて圧巻だった。
     とても重厚感があり、『心に花を!』という公演のテーマを現実の問題とも絡めて訴えかけるような、素晴らしくそして胸に迫る大ナンバーだった。

    7章 Spring is in full bloom

     春の花の象徴としてOSKの象徴でもある桜が用いられ、琴海さんの歌に合わせて娘役さんたちが桜吹雪と共に出てこられる冒頭の演出がとても素敵だった。
     娘役さんの場面が終わり、曲調が変わって(ロック調のくるみ割り人形)出てくるときの京我さんは、これまでのどの場面とも全く違う表情で、登場からオス味全開でゾクッとさせられた。
     緩急が激し目なダンスだが、細かいところで瞬間瞬間のポージングが綺麗で、コンパクトでかつシャープな動きがとても良かった。

     琴海さんと椿さんのために花道を開けるような演出と荘厳な音楽が素敵で、ここで一気に引き締まった表情になられて、椿さんの周りでビシッと各ポーズを決めるお姿が綺麗だった。
     群舞が始まってからは、一番に椿さんに加わって踊りだす京我さんに、これが2番手なんだな…と感無量だった。
     群舞の京我さんは、ポーズ毎のメリハリや細かいところまで美しくてシャープな踊り方がとても良かった。ミュージカル『三銃士』の黒燕尾にもあった振付だが、背中を張って弧を描くようにステップするときの背中の表情と顔の角度と、重心というか足運びのニュアンス…それらが特に好きだった。
     キリッとした表情が、娘役さんたちの再登場とともに、満開の桜を見上げるような優しい表情に変わるのも素敵。
     最後に椿さん・琴海さんの周りで踊られるときは、とても嬉しそうで幸せそうな表情をされていたのが印象的で、こちらも温かい気持ちになった。
     四季が巡り、再び花咲き乱れる美しく幸せな春を迎える…とても素敵なストーリーだった。

    おわりに

     『Blooming!』は記憶にも心にも残る、本当に素晴らしい公演だった。
     大好きな公演・記念すべき公演だったにもかかわらずなかなかnoteが書けず、千穐楽からこんなにも間が空いてしまったが、どうにか京我さん主演BP公演『Revue Cruise』開幕前に記録が纏められて良かった。
     しかしまだ『梅雨将軍信長』も書けていないので、こちらも早めに書きたいところ…
     なにはともあれ、まずは本日開幕の『Revue Cruise』が大成功を収められますように!そして、京我さんが今後も健康第一でますます舞台上で輝かれますように!

     
     
    2014年6月からざっくり2021年4月まで、割と熱心な宝塚ファン(主に雪組)でした。 その後、2023年度下期のNHK朝ドラ「ブギウギ」をきっかけにOSK観劇デビュー(2023年11月・レビューin Kyoto)し、一発でファンに。OSKの公演の感想などを気ままに綴ります。

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