
不良がいる街、いない街——同じ中学生でも世界は違った
私は、不良がいる街と、いない街の両方を知っている。
小学校の終わり、別の街へ転校した。
そこで最初に見たのは、いわゆる学級崩壊だった。
授業中に生徒たちが教室に鍵をかけて担任を締め出す。ドアの向こうで女の先生が「先生入れて」と叩き続けていた。その先生に飛び蹴りを入れている生徒も見た。
給食の時間にはパン投げ合戦が起きて、床がパン屑まみれになった。それは一度きりではなかった。家庭科の日には、両手に包丁を持って走り回る子もいた。
前の学校も荒れていると言われていたが、せいぜい担任をからかう程度だった。規模も、質も違った。カルチャーショックだった。
それでも、その街の子どもたちは私には優しかった。
そのまま、その街の中学へ進学した。
金髪、茶髪の上級生があちこちにいた。短ラン、ルーズソックス、セーラー服の胸当てを外して谷間を見せている女子もいた。見れば分かる、いかにも「不良」という人たちが普通にそこにいた。
正直、怖かった。何もされていないのに、怖かった。
だが彼らは普通に学校に通っていた。教師を気にしている様子もなく、そこにいた。
私は私で友達に恵まれ、放課後は草野球ばかりしていた。その学校には野球部がなかった。いずれ戻る元の地域の中学には野球部があると聞いていたので、それだけを楽しみにしていた。
荒れてはいたが、楽しかった。
そして中学一年の終わり、元の地域へ戻った。
またカルチャーショックを受けた。
静かな学校だった。全員が黒髪で、改造制服の生徒は一人もいない。不良がいないというより、最初から存在していないような空気だった。
転校初日、トイレに行くと同学年の男子たちに囲まれた。黒髪の集団だった。代表格らしい一人に「殺すぞ」と言われた。
まったく怖くなかった。
前の学校の不良たちが放っていたようなものが、そこにはなかった。何だこいつら、とポカンとしていた。
数秒後、その子の表情が和らいだ。「嘘。びびった?」
不良ごっこ、という言葉が浮かんだ。
その後、野球部に入った。楽しみにしていた場所だった。
後に、この学校の空気を「陰湿だ」と感じるようになる。それはまた別の話だ。
二年生になる頃、隣の中学の不良たちがこの地域に現れるようになった。金髪、ピアス。いかにも、という容貌だった。ただ、彼らは学校に来ていなかった。
そういう格好をするなら、学校には行けない。そういう空気の学校だったのだと思う。
実際、二年の時に隣の中学から転校してきた生徒がいた。違うクラスだったが、その生徒に気に入られた同級生がいた。どういう経緯だったのか、未だに謎のままだが、その子は冬休みの間に金髪になり、そのまま学校に来なくなった。
この学校に金髪で登校するという選択肢は、最初からなかった。そういう空気だった。
前の学校では、不良は学校の中にいた。この学校では、不良になるなら外に出るしかなかった。
悪さの種類に大きな差はなかったように思う。だが、存在の仕方が違った。
不良がいる街。不良がいない街。
いや、正確には——
不良が学校にいられる街と、いられない街。
私は、その両方を知っている。