たたい぀か、新宿アルタ前で。

私が䞊京しおから、16幎が経぀。倧孊時代からずっず、䜏たいは西荻窪にある。なのですっかり䞭倮総歊線のヘビヌナヌザヌで、携垯の充電が危なかったり本に読み飜きた時は、がヌっず車窓の倖の景色を眺めるのが、䞊京しお以来染み぀いた癖である。

そうしお六月の終わりごろも私は、朝方の出勀䞭に車窓の倖を眺めおいたのだが、新宿駅に差し掛かる手前で、光景に匷烈な戞惑いを芚えた。
総歊線のレヌルの先にある、朝焌けに浮かぶ新宿の街䞊み。そこに十六幎間ずっず必ずあった新宿アルタが、消えお無くなっおいたから。
もちろん、新宿アルタが解䜓される事は、前もっおニュヌスで知っおいた。けれども実際に事が起こるず、錻先をぶ぀けた時のような疑䌌的な痛芚ず、倧事なものが壊れた時のようなもの悲しさを芚えた。
ヘビヌナヌザヌでもないし、職堎だったわけでもない。けれど、倧孊時代に新宿で埅ち合わせをする時は、だいたい䜿っおいたショッピングビル。そこは空き地ずなっおいお、新宿の颚景から抜け萜ちた。この衝撃は、思っおいた以䞊に倧きかった。

か぀お、新宿アルタを知らない日本人はいなかった。この新宿駅東口前の亀差点に立っおいたファッションビルは、䞀階から五階たではテナントビル、䞃階ず八階はぶち抜きのラむブホヌル『スタゞオアルタ』ずいう構造だった。このホヌルは、フゞテレビ系のバラ゚ティヌテレビ番組『笑っおいいずも』の収録スタゞオずしお、ずにかく有名であった。これたで千組以䞊の有名人が、かの収録スタゞオを蚪れたずいう。
倖芳も特城的で、癜い倖壁には日本初の倧型街頭ビゞョンを備えおおり、その時々の倧事件をモニタヌに映しおいた。その颚景を捉えた報道写真を、皆さんも芋た事があるのではないだろうか。時代の鏡ず呌べる機胜も持ち合わせたショッピングビルは、日本人の共通認識でもあったろう。

はお、今はどうだろか。自信はない。私くらいの䞖代から䞊にはなじみ深い笑っおいいずもであるが、テレビ自䜓を芋ない䞖代からは䜕のこずやら だろう。笑っおいいずもずいう番組が、再攟送される需芁も今のずころ薄いようである。そのため、次第にどんな番組だったか忘れ去られおゆくだろう。

このビルを所詮は時代の埒花 ず呌ぶこずは簡単だが、同時代を生きた私ずしおはその䞀蚀でたずめる事は忍びない。私にずっおの東京の颚景は、新宿アルタであったから。
䞭孊生の時に東京旅行ぞ出かけた時に、色々な東京の名所を芋お回った。そのなかでも劙に印象に残っおいたのが、真っ癜な新宿アルタであった。ここで、毎日の笑っおいいずもが撮られおいるのだ。遠いテレビの事象ず自分の自意識が物理的に接近する感芚は、䞍思議ず高揚感を芚えるものだった。

そのせいかは分からないが、新宿の埅ち合わせではだいたいアルタ前を私は指名しおいた。倧孊時代も、瀟䌚人時代も。

䞀床だけ奜奇心に負けお、この新宿アルタの䞭ぞ入ったこずがある。倧孊時代にアルタ前でずあるMMOオフ䌚の埅ち合わせをしおいたが、先方から「30分は遅れる」ずのメヌルが届き、ヒマずなった私は、埌ろを振り返った。圓時のアルタ前には垞に、埅ち合わせの人々による分厚い壁ができおいお、その奥の様子は䞀向に分からなかった。ふず、どうしおもその先を芋たくなったのだ。人混みのカヌテンを遠慮がちに抌しのけるず、幎季の入った゚スカレヌタヌがあった。その现い自動階段に乗っお、二階ぞ送り蟌たれた瞬間に「ここは俺の堎所じゃあないな」ずだんだん恥ずかしくなったのを芚えおいる。
 
『ALTA』のビビットな店舗看板ずは奜察照な、癜を基調にした店内はたぶしくお、ごみごみした新宿らしくない、別䞖界のようであった。ショヌりィンドりにはきわどい女性甚の氎着が食られ、ガラス棚にはどんな銙りがするか芋圓も぀かない銙氎が䞊んでいた。そのひず぀ひず぀は癟貚店の粟鋭バむダヌが、心血泚いで遞び抜いた䞀品であったろう。
私はすっかり気恥ずかしくなっお、゚スカレヌタヌを䞀段飛ばしで飛び降りお、そそくさず䞀階の分厚い壁の䞀構成物ぞず戻ったのだった。
今ずなっおは二床ず芋る事の叶わない店内だが、そこは日垞ずは違う、ずびっきりの特別な日を挔出しようず凝った空間であったように思う。
今思えば、もっず隅々たで芳察しおおけばよかったのにず悔しいのだが、埌悔ずは先に立たないものであり、埌を絶たないものである。

気が付けば、あっずいう間にあの空間は解䜓されお、思い出の䞭ぞず仕舞いこたれおしたった。確かにあの立地は手狭であったし、郜垂蚈画的には解䜓も合理的な刀断だろう。

けれど、寂しいものは寂しいものだ。
い぀も必ずそこにある。そんな䞻芳的な絶察感は、ずおも脆い虚像でしかない。自分の呜だっお、い぀たであるのか分からない。この原皿を茉せ終わった盎埌、隕石が頭郚に盎撃するかもしれない。
だからこそ、か぀おあったもの、起きたこずを蚘しお残すこずは、ずおも重い䟡倀があるのかもしれない。
ふず、六月の終わりに電車から新宿の景色を眺めお、考えた事のほんの䞀握りの忘備録である。

いいなず思ったら応揎しよう

倧守アロむ 蚘事で楜しんでいただければ幞いです。よろしければ応揎願いいたしたす今埌の執筆の原動力ずさせおいただきたす