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息子の耳はいつ聞こえなくなったのか

息子は小学1年生の1月に突然耳が聞こえなくなった、と私は認識していたのだが、最近になって本人がこんなことを口にした。

「トーマスの映画のとき、聞こえ方がヘンだった」

トーマスの映画というのは、息子が年中さんだった年の3月に家族で観に行ったものだ。すなわち、難聴発覚の約2年前に、息子の耳はすでに聞こえなくなっていた(今のようにまったく聞こえない状態ではないにせよ、少なくとも聞こえにくい状態になっていた)ということになる。

まさか。しかし、そういう目で振り返ると、思い当たる節がある。

息子は保育園の2歳児クラスのころ、歌を歌っていた。保育士さんからそういう話を聞いたことがある(「きらきらぼし」を気分よさげに歌っていたそうだ)し、私のスマホにも家で歌っているところの動画が残っている(「パプリカ」を振りつきで歌っていた)。

ところが、年中・年長クラスのころは歌っていなかった。発表会で合唱をしたとき、明らかに周りの子と口の動きが合っておらず、息継ぎをしている様子もなく、歌っているふうに装いつつ、その場に立っているだけなのが見てとれた。

(年少さんの年は新型コロナが流行っていたので、発表会で合唱をやらず、代わりに音楽に合わせてタンブリンを持って踊るお遊戯が披露されたため、息子が歌う状況を確認できず。私のスマホにもそのころの息子の歌を撮った動画は残っていない)

つまり、息子は2歳から年中さんまでの間のどこかのタイミングで、歌を歌わなくなった。私は歌わない息子を見て、これは発達特性の問題で、本人が歌う必要性を感じていないから歌わないのではないかと考えていた。でも、そうではなかったのかもしれない。

ほかにも、年中さんのときにこんなことがあった。

「はやとくんとはやとくんと、よくにたなまえのこがふたりいるんだけど、ぼくははやとくんしかいえない」

ある日息子がこう訴えてきた。「はやとくん」だらけで意味がよくわからない。クラス名簿を見て、「はやとくん」と「あやとくん」がいるのを突き止めた。この2人の区別がつかないということか。息子の「いえない」という言葉から、区別して発音することができないのだと判断した。

息子の発音の不明瞭さについては、それ以前から保育園や療育センターで指摘されており、私もずっと気になっていた。たとえば、「しろ」と「くろ」という単語が同じような音で発せられていた。ただし、息子が「しろ」のつもりで発音したものを私が判別できずに「くろ?」と聞き返すと、すぐに「ちがう、しろだよ」と訂正してくれた(けれど、やっぱり私には「しろ」なのか「くろ」なのか判別できなかった)。私はそんな息子の様子を見て、これは音が聞き分けられていないのではなく、運動発達の問題で、唇や舌の動かし方が下手だから発音できないのではないかと考えていた。でも、そうではなかったのかもしれない。

歌を歌わなかったのは、周りの音が聞こえなかったから。友達の名前を区別して発音できなかったのは、聞き分けられていなかったから。今まで発達の問題だと思っていたものが、難聴のせいだった可能性が出てきた。

しかし、息子は1年生の1月に難聴になるまで、聞こえないなどと口に出したことがなかったし、私が息子を見ていて、聞こえていないと感じたこともなかった。息子にとっては聞こえないのが当たり前の状態で、わざわざ言葉にするようなことではなく、それによって行動が変わることもなかったのだろうか。実際のところは息子にしかわからない。息子がいつから聞こえていなかったのか、私は真相が知りたい。

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