婚パでマッチング①好きになってしまった理系研究職さん その1
友達との予定も入れず、毎週土日は婚活パーティーに参加する日々を送っていた。
マッチングしてもいいようにパーティーの後にも予定を入れず、ごはんに誘われてもいいように食事のタイミングも調整した。
マッチングしたり、しなかったり、誰にも投票せずに終わったり。
マッチングした方とパーティーの後にお茶をしたり飲みに行ったりしたけれど、盛り上がらずに次に繋がらないことが続いた。
それでも本人が目の前にいて空気感や雰囲気が直に感じられる婚活パーティーはマッチングアプリより手っ取り早いと思い、アプリと並行してパーティーに休みなく参加していた。
とあるパーティーで、初めて惹かれる方と出会う。
馴染みの会場でいつものように15分前に到着し、席に着くと身だしなみやプロフィールのチェックをしていた。
専用アプリを使ったパーティーでは、パーティー開始前に参加者のプロフィールを見ることができる。
いざ対面した時にスムーズに会話ができるように、男性陣全員のプロフィールを読み込んで頭に入れていた。
しばらくすると、隣の席に参加者の男性が通された。ぺこりと会釈をして、席に腰掛ける男性。
私はプロフィールのチェックを黙々と続けていると、隣の男性からひそひそ声で、
「緊張しますね」と話しかけられた。
パーティー前にお隣の男性と話をするのはこの時が初めてだった。
驚きつつも「そうですね」と返すと、そこから自然と会話が続いた。
静かな会場で、声をひそめてひそひそと小声で話した。
小声なので、私の口元に度々顔を近づけてくる男性。
コミュ強の予感。
パーティーが始まる前にひとしきり談笑してしまい、いざ開始の合図があると自己紹介もしていないことに気づいて2人で笑った。
一つ年上の理系研究職の方。
プロフィールに表示されているお名前が、いわゆる女の子の名前のようで、あだ名ですか?と尋ねると、苗字だそうだ。珍しいお名前。
今までの婚活パーティーではプロフィールに書いてあることをなぞりながら懸命に話していたけど、その男性とはプロフィールを見るというよりは自然と会話ができていた。
あっという間に座席移動の時間。
「ちょっと行ってきますね」と笑顔で私に告げて席を立つ男性。
なんか、それって、「待っててね」みたいなニュアンスで、勝手にキュンとしてしまった。
他の参加者の方と対面し、一周すると彼が隣の席に戻ってきた。
「ただいま」と笑顔で一言。
やはりコミュ強、タメ口!
そこから2人ともタメ口になり、投票、マッチングまでもずっと小声でひそひそと話していた。
本投票の前に、仮投票みたいな段階がある。
いいなと思ってる方にいいねを送る。
私も彼もお互いにいいねを送り合ったことがアプリに表示されて、にこりと笑顔で会釈する彼。
そして本投票。
見事マッチング成立。
こんなに無理なくスムーズに話したパーティーは初めてだった。コミュ強の話術のおかげ。
マッチングできて嬉しかった。
マッチングした方とはパーティー会場内で改めて再会する。今回はお隣の席なのでそのまま、お互いに「マッチングありがとうございます」とペコペコと挨拶。
会場を出て、近くのカフェでお茶をすることに。
カフェに移動中に通ったお店を指さして、「ここの焼き鳥屋さん美味しいんですよ」と彼。(ちょっと敬語に戻る)
「そうなんだ、今度行ってみます」と返すと、
「そこは一緒に行かせてくださいよ!」と彼。
コミュ強というか上手というか手練れというか。
この感じ、この人はこれまで女性に困ったこととかないんだろうな。
カフェに到着してからも、手練れに不覚にも私はどきどきとしてしまうのだ。
ソファー席に私を通し、寒くないか確認してくれたり、メニュー選びまで私に気を遣わせない配慮が感じられた。
会話は気になっていた彼の珍しい苗字について。
例えば、「ゆき」さんとする。
“女の子の名前みたいな苗字”、と彼は自称していた。そして、
「ささめちゃんのお名前がゆきちゃんだったとして、俺と結婚したらゆきゆきちゃんになっちゃうんだよ」
と言われた。
ちゃん付け…!
結婚…!!
手練れすぎる、降参…
例えばの話だなんて分かってる、でも今日お互いに友達探しではなくパートナー探しの場で出会った相手に例え話だったとしても結婚て…
本当に私はチョロい、ほんの数時間前に会ったばかりのよく知らない人にどぎまぎしてしまっている。
2時間くらいお茶をして、お店を出て駅まで一緒に歩いて解散した。
彼が、新しくできたスパが気になると話していて、「男一人では行きづらいから、付き合ってもらえませんか?」と、次回のデートにもスマートに誘われた。
私は喜んで承諾して、連絡先を交換した。
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