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はじめおお金を皌いだ話は正盎忘れおしたったけれど、はじめおのお金が皌げなかったずきの話はよく芚えおいる

    らいおん🊁



     倧孊生になるたで、アルバむトをしたこずがなかった。


     ぀たり、高校を卒業するたで、お金を皌いだこずがなかった。


     高校のずきは、郚掻や受隓で、アルバむトをしようずいう考えがあたりなかった。お金がそんなに必芁だず感じおいなかった。

     倧孊に入孊しおもしばらくはアルバむトをしなかった。

     かずいっお、倧孊でサヌクルや勉匷に熱心に打ち蟌んだりしたわけでもなかった。なんずなく過ごしおいたら、い぀の間にか、倧孊幎の前期課皋は終わり、倏䌑みが終わっおしたった。

     このたたで倧䞈倫なのだろうか。このたた党く瀟䌚経隓を積たないたた、なんずなく倧孊を卒業しお、瀟䌚の荒波の䞭で生きおいけるのだろうか。

     挠然ずした䞍安。


     はじめおアルバむトを探したのはそんな理由だった。

     探すポむントは、生きるための瀟䌚経隓が積めるかどうか。

     圓時の私は、䞀歩間違えれば瀟䌚䞍適合者ずしお瀟䌚から排陀されかねない存圚だった。その状態を解消しなければ、このたた䞀生を終えおしたいかねない。今が適合者なのかはわからないけれど。


     アルバむトを探しおいるこずは、誰にも蚀わなかった。
     䞡芪にも䌝えなかった。
     ずいうか、蚀えなかった。

     それくらいコミュ障で、瀟䌚䞍適合者だったのである。


     アルバむト先は、圓時の通信速床も早くない携垯で、怜玢した。

     なかなか芋぀からない。

     コンビニずかはどうだろうでも、あんなたくさんの商品を取り扱えるのだろうか。

     居酒屋はでも、接客なんお無理そうだ  。

     スタバでも、スタヌバックスなんおおしゃれすぎお入るのすら勇気がいる。
     ドトヌルコヌヒヌでも、入ろうかどうか店の前で悩んでしたっお、同じ堎所をぐるぐるず廻っお入ろうか入るたいかりロりロしおしたう。

     安心しお入れるのは吉野家ずマクドナルドくらい。ちょっずこだわっおるラヌメン屋ですら、自分みたいな人間が果たしお入っおいいのか躊躇しおしたう。

     じゃあ、匕っ越し屋でも、䜓力がないからたぶん無理  

     倧孊の講矩があるから働ける時間も限られちゃうし  

     そんな絶望的な調子だったので、誰にも告げないバむト先探しは難航した。

     倧通り沿いだずだれかに芋぀かっおしたいそうだ  できる限り目立たない堎所にしよう。でも、倧孊からあたり遠すぎない方がいい。できれば埒歩圏内で  

     そんななか芋぀けた求人が、倧孊の裏手の䜏宅街の䞭にある宅配匁圓屋であった。

     うん、ここにしおみよう。ここだったらたぶん芋぀からない  週からでもできそうだ。

     いた思えば、䜕を恐れおいるのかさっぱりわからないが、ここにしようずいう目途を぀けた。

     しかし、決められない。ずりあえず、䞀晩おいおみよう。

     翌朝。再び求人サむトを芋る。良かった。ただ募集䞭だ。さお、電話をするか。いや、どうしよう。いきなり電話をしお倧䞈倫だろうか。そもそも、時間が早すぎないだろうか。そうするず適切な時間垯はい぀なんだろう。ただ早いか。いやしかし、このたたでは求人が埋たっおしたう。ええい  


     結局、電話を掛けたのは翌々日の昌だった。

     簡単に名前ず幎霢、倧孊生であるこず、宅配匁圓屋の経隓、ずいうかバむト未経隓であるこずを䌝える。
     そしお、たずは䞀床来おくださいずいう話に。

     
     

     
     玄束の日。

     倧孊の講矩のない時間垯。倧孊の友人からの遊びの誘いを断り、䞀人。倧通りずは反察方向の人気のない䜏宅街ぞ。

     歩いお15分ほどしたずころに、その匁圓屋はあった。

     「あ、来たしたよ」

     若くお爜やかな男性が、埌ろでフラむパンを振っおいる䞭幎男性に声を曞ける。

     「  あ、倱瀌したす」

     おそるおそる宅配匁圓屋のなかぞ。

     15㎡くらいの狭い郚屋の奥に、倧きな呚蟺地図が匵られおいる。真ん䞭には銀色の幎季の入った卓があり、お匁圓の箱が綺麗に䞊べられおいる。角にはキッチン。フラむパンを持った男性は手際よく䞭に入った炒め物を倧皿に移し、それず瀺し合わせたタむミングで、若いほうの男性が䞀連に䞊べられた匁圓箱に慣れた手぀きで盛り付けおいく。


     たるで空間党䜓が生きおいるような波動を感じる。


     「どうぞ、そこに座っお」

     䞭幎の男性の名前は忘れおしたったが、「高なんずか」だったず思うので、「高橋さん」ず呌ぶこずにする。
     髙橋さんは、フラむパンを慣れた手぀きで掗うず゚プロンを倖しながら私の向かいに座った。

     「君、はじめおなんだよね」

     「  はい。」

     「どうしおりチなんかで働こうず思ったのかな」

     「  え、いや。倧孊にも入っおいるのにぜんぜん働いたこずがないのはたずいかなず思っお」

     「倧孊はどこ」

     「〇〇倧孊です。」

     「え〇〇倧孊の倧孊生なのじゃあ、わざわざりチなんかで働かなくたっおいいじゃん。」

     「え〇〇倧孊なのキミ」

     若い男性が口を挟む。名前は忘れおしたったが、「わ」で始たった気がするので「若林さん」ず呌ぶこずにする。

     「すごいじゃん。いく぀なのあ、じゃあ同い幎だね」

     「あ、そうなんですね。若林さんは、どこ倧孊なんですか」

     「俺俺は倧孊なんお頭のいいずころにはいけないよ。もう、ここで働いお幎目になる」

     「え、そうなんですか。すごいですね」

     「䜕蚀っおんの。君の方が党然すごいよ。君みたいな倧孊生はこんなちんけな匁圓屋なんかで働かなくたっお倧䞈倫だよ」

     倧䞈倫。の意味が理解できなかったが、「君はここで働くような人間ではない」ずいうオヌラを人から出されたような気がした。

     「君、今日時間倧䞈倫」ず高橋さん。

     「あ、〇時たでだったら、倧䞈倫です。そのあず時限目があるので。」

     「あそうなんだ。じゃあ、それたでずりあえず圌ず䞀緒に行っおどんな仕事か芋おきおよ」

     「え今日ですか」

     私はあっけにずられおいたが、匁圓は次々に䜜られる。

     電話音。

     すかさず若林さんが電話を取る。

     若林さんは、泚文を聞き、䜏所・氏名をスムヌズに聞き取る。慣れた問答。配達予想時間もスムヌズに答える。堅苊しい感じもなく、かずいっお倱瀌さも感じさせない語り口。嫌味な感じも䞀切せず、ずおも同じ幎霢ずは思えなかった。

     ず思った瞬間。若林さんは、酢豚匁圓぀、生姜焌き぀ずいったようにスムヌズに発声し、髙橋さんはほが同時に既に材料の入ったタッパヌを取り出しおいる。

     「✕✕町のほうに行っおから、△△マンションにいっお、こっちのルヌトから線路わたっお、〇〇時には垰っおくるので、次は●件行けたすね」

     流れるような連動性。がヌっずしおいたら、おいおいかれそうだ。

     「じゃあ、lion仮名くん、行く」

     「  あ、はいお願いしたす  」

     「原付の免蚱は持っおる」

     「  あ、このたえ普通免蚱ずったばっかりで、原付ちゃんず運転したこずはないです  」

     「え倧䞈倫かなあ。ずりあえず、これね。乗っおみお」

     慣れない手぀きで゚ンゞンを掛ける。おそるおそるではあるが、先導しお運転する若林さんの挙動を芋ながら、それに぀いおいくこずにした。


     ✕✕町のアパヌト。䞀人暮らしの男性だ。むンタヌホンを鳎らす。

     「こんにちは〇〇匁圓でヌすはい、酢豚匁圓。〇円です。じゃあこちらポむントですね。ありがずうございたヌす」

     若林さんは、党く躊躇するこずなく、しかもスムヌズに接客ず匁圓の匕き枡し、お金を受け取っおからのお釣りの蚈算、お釣りを枡すずころたでをさらりず遂行しおいく。

     「じゃあ、次はlion君が接客やっおみお」

     「え  自分がですか」

     「うん、埌ろで芋おるからさ」

     たさか、いきなり接客をするこずになるずは思わず、慣れない運転の手぀きのたたで、次の△△マンションぞ。むンタヌホンをならす。

     「あ  あの  すいたせん。え  っず。あ、はい。〇〇匁圓です。はい。すいたせん。お匁圓が個。え酢豚匁圓ですよね  はい、はい  すいたせん」
     䜕ずか匁圓を枡す。お客さんからは円札を数枚枡される。え  っず、お぀りはいくらなんだ  。蚈算機  

     「お぀りは円ですね。ありがずうございたす」

     埌ろから若林さんが声をかける。円  円  小銭をたずもに数えるこずすらできないのか自分は  あ  

     チャリヌン

     「あ、す、すいたせん  」

     お金を拟いながら、若林さんも苊笑いで、萜ずしたお金を枡すわけにもいかず、結局、若林さんがお釣りの察応をしおくれる始末。

     そしお、匁圓屋ぞ垰還。

     「どうだった」ず高橋さん。

     「  いや  すごく難しかったです」

     「そっか  」

     高橋さんも若林さんも、さすがに君はちょっず厳しいかなずいうオヌラをそこはかずなく攟っおいた。

     電話音。

     「はいヌはいヌ。ありがずうございたヌす」

     次の瞬間。二人は、次の調理ず宅配の準備ぞ移りだす。

     「lionくんは、授業なんだよね。じゃあ、こっから先は倧䞈倫だから。お疲れさた」

     この人たち、凄い  。自分、こんな感じにならないず瀟䌚で生きおいけないのか  。


     その日は、絶望に打ちひしがれるように垰宅した。

     

     埌日。高橋さんから、電話。

     「あ、lionくん。この前はお疲れ様。実はね、経隓のある人が別で求人に入っおお、申し蚳ないけど、そっちの人にアルバむトは頌むこずにしたわ。たあ、今回は悪いけど、そういうこずでいいよね」

     ぐうの音も出なかった。いや、むしろもう続けるのは無理だず思っおいたので、次来おくださいず蚀われなかったこずに少しほっずしたくらいであった。

     「倧䞈倫です。  すいたせんでした。」

     「いいの、いいの勉匷頑匵っおね」


     こうしお、私のはじめおのお金皌ぎはあえなく倱敗した。



     「お金を皌ぐ」ずいうのは、こんなにも難しいものなのか。


     圌らは、「◯◯倧孊に行っおいるんだから、りチみたいなずころで働く必芁はない」ず蚀っおいた。
     いわゆるテスト勉匷みたいなものはもしかしたら自分のほうができるかもしれない。でも、そんなものは、あの波動空間では䜕の圹にも立たない。そんなふうに感じおしたった。

     お匁圓は、お客さんにずっおは䞀食分のささやかな䟡倀なのかもしれない。
     でも、圌らは、間違いなく町のニヌズに応え、䟡倀をもたらしおいた。あそこのお匁圓はおいしいのだ。

     䟡倀をもたらしおいるからこそ、お金がもらえる、お金が皌げる  


     だずしたら、わたしにはいったいどんな䟡倀をもたらすこずができるのだろう  そんなこずを考えるず、ただ䜕にもできおいない気がしおきおしたう。


     私なんかがお金をもらっおいいのだろうか  


     お金をもらう前に、そもそも  


     「お金を皌ぐ」「収益化する」そんな蚀葉を聞くたびに、私はこの無限ルヌプのなかに取り蟌たれおしたう。

     今は、なんずか仕事をしながら生掻をしおいるけれど、未だに「お金をもらうために䜕かをする」ずいうのが難しい。倀付けをするのが難しい。できれば倀段は自分で決めたくない。お金は欲しいけど、請求したくない。「䜕かをしおいたら、い぀の間にかお金を頂いおいる」ずいう感芚。

     そんな感じなので、呚りからはお金を皌ぐのが䞋手だず蚀われる。

     そうだずしたら、その原因は、もしかしたら、あの宅配匁圓屋さんにあるのかもしれない。


     損な人生だ。


     でも、今でも心のどこかであの宅配匁圓屋さんのようになっおみたいず思っおしたう自分がいる。


     誰かのためになる波動空間。



     そういうわけで、はじめおのお金が皌げなかったずきの話は、匷烈に芚えおいる。



     そしお、そのあずにあったはずのはじめおお金を皌いだずきの話は、䞍思議なこずにあたりうたく思い出すこずができないのである。







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