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Photo bykazumaogiso

20260414 レトロなカメラ屋でミステリー小説を買う

     近所のフィルムカメラ屋の店主は、どうやら大変な読書家のようだ。ガラスのショーケースには高価なレトロなフィルムカメラが飾られているが、そこに交じって古いカメラ雑誌と、真新しい小説の単行本が10冊程度、置かれている。本には白紙の帯が巻かれており、背表紙部分に赤字で「300」「500」「800」などと走り書きが。意外と人気もあるようで、ラインナップがころころと入れ替わり、本好きの私にはとっては、正味、古本屋のくくりである。

     小説はほぼといっていいほど国内小説、中でも軽めのエンタメミステリーだ。店は開いているが、客が多く訪れる店でもない。店番の最中に時間を持て余した店主が、好みで読んだ新刊本を、その場で販売しているのだろう。すると、本の値段は大抵が1500円弱だから、売値価格の差はその本の状態ではなくて、ある意味、店主の評価なのではないかとうかがえる。あくまでフリーマーケット感覚だから、「300円本」はイマイチだったのか、「800円本」は、面白いのか、その判断はつかないのだけど…。

     そんなある日、長岡弘樹著『つながりません スクリプター事件File』を購入した。出かけに読もうと電車の中で取り出して、うっかりに気が付いた。そうだった、店主はミステリー小説が好きなんだ。それは、十分に分かっていたのだけど、私は、実際の映画の撮影現場で起こったトラブルエピソードを集めたものかと思っていたのだった。長岡氏もミステリー作家のひとりで、完全に知識不足ゆえの…なのだけど、この日は、都筑道夫著『チャンバラもどき』があるやんけ~!!という興奮のほうが勝っていたので、会計でもその勘違いに気づいたのは後々。

     さて、そんな勘違いで出会った一冊。移動中にサクッと読んでしまったが、ちゃんと(?)殺人事件が起こる短編ミステリーだった。記録係として、たばこの長さがどうとか、衣装の色がどうとかある種、助監督的な立ち位置で現場を見守っていた様子が描かれていて。著者インタビューによれば、スクリプターが主人公というのは角川春樹氏のアイデアだと語られており、なんだか、なぜそんなアイデアを投げたのか、過去にスクリプターから何を指摘されたのかとか、そっちほうが面白そうな話な気もする。言及あったか定かじゃないけど、思い返せば作中のクローズドな雰囲気はどこかフィルム時代の話の気配も漂っていた。

     今のご時世、スクリプターだけのポジションが入ることはけっこう恵まれた現場という気もするが、現在のスクリプター話を読むと、監督としても、現場としても、いてくれたらかなり有難い存在だよねと感じたり。ちなみに、記録をつけていなかったので、この本はいくらで売られていたのか、まったく思い出せないところ。


     


     
     
     
    フリーの文筆家です。シナリオや取材記事、映画エッセイや短編小説などを書きます。最近、映画監督に挑戦しながら映像シナリオも勉強中です。一箱古本市や本棚オーナー、まちライブラリーとして「ひかり堂」も運営中です。とりあえず書いていきます!

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