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Z

    目が覚めると何もない部屋にいた。

    何故ここにいるのか、
    何故こうなったのかは思い出せない。
    自分がどこの誰かすらも……

    手がかりを求めて部屋の中を見る。

    よく見るとドアノブのようなものがあった。
    近づいてみると扉があった。
    壁と同じ色で塗装されていたので、
    近づかなければ分からなかった。

    ……何故、そんな事を?

    何度かドアノブを回したが扉は開かなかった。
    外から鍵がかかっているらしい。
    つまり、閉じ込められているということだ。

    なんとかこじ開けられないかと、
    力を込めて思い切り扉を揺さぶっていると
    バタンと音がした。

    音がした方を見ると、
    板が床に落ちていた。
    扉から落ちてきたようだ。

    もともと取り外せるようになっていたのが、
    揺さぶった衝撃で外れたのだろう。
    ……なんでもやってみるものだな。

    その板には

    『あなたは誰ですか?』

    と書かれており、
    板が外れてできた窪みには、
    文字を入力する画面が映し出された
    タブレット端末があった。

    ーーこれに答えればいいのか?

    ……これを作った者は、閉じ込められたものがショックで記憶がなくなる想定をしなかったのだろうか?
    ……まったく腹立たしい。

    だが、他に方法が見当たらないので、
    しばらく付き合ってやることにした。

    「わたし」

    そう答えるしかないだろう。
    タブレットにそう入力した。
    だが何も起こらなかった。
    そんな簡単なものではないか……

    「人間」

    そう入力した。反応はなかった。
    人間でない可能性もあるのか……
    それは盲点だった。
    と、ふざけてる場合ではないか……
    いや、そうでなければやってられない。

    「名無し」

    そう入力した。反応はなかった。
    名前はあったということかもしれない。
    ……変な名前だったらどうしよう。
    今の好みと合えばいいが……

    「分からない」

    そう入力した。反応はなかった。
    正直に答えるパターンでもなかったか……
    記憶を失う前提ならこれだろうと思ったんだが……

    「あなたこそ誰ですか?」

    そう入力した。反応はなかった。
    対話に応じる気はないらしい。

    「あなた」

    そう入力した。反応はなかった。
    少し踏み込みすぎたか……

    ……ここまでだな。
    もうネタが尽きた。
    諦める時が来たようだ。

    この後は、外れた板で扉を破壊する力仕事が待っている。もっとも、こちらが先に壊れるかもしれないが……

    さて、腕が動く内に一度文句でも言っておくか……

    「誰だっていいだろ」

    そう入力した。
    カチャリと音がした。

    …………

    ……

    なんだ、文句を書けばよかったのか……

    ……

    ……嘘だろ?そんなことあるのか?

    何か腑に落ちない気持ちで、
    扉を開けて部屋から出た。

    扉の先はただただ廊下が続いていた。

    進んでいくと、十字路に出た。

    どの先にも扉があるようだった。
    外に出るにはどこかの扉に入る必要があるらしい。

    さて、どれが正解なんだろうな……


     
     
    ネコとキツネが暴れて、タコが後始末するのをカラスが見てる。頭の中はそんな感じです。 気ままにやってます。

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