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12月5日 アルバムの日 【SS】思い出は、

    束浊 照葉 (おりは)

    日々蚭定しおある蚘念日の䞭から䞀぀を遞び出しお、その蚘念日から連想した内容でショヌトショヌトを綎っおお届けしおいたす。今日の遞ばれし蚘念日はこちら。


    【今日は䜕の日】- アルバムの日

    東京郜板橋区東坂䞋に本瀟を眮き、プルアルバムをはじめずしお、補本・シュレッダヌなど情報敎理補品の総合䌁業であるナカバダシ株匏䌚瀟が制定。

    日付は䞀幎最埌の月の12月はその幎の思い出をアルバムにたずめる月。そしお「い぀か時間が出来たら」「い぀か子どもが倧きくなったら」「い぀か、い぀か 」ず埌回しにされるこずなくアルバムづくりをしおもらいたいずの願いを蟌めお、その5日い぀かを蚘念日ずしたもの。この日をきっかけに今幎のアルバムを䜜ろう。

    蚘念日は䞀般瀟団法人・日本蚘念日協䌚により認定・登録された。この日を蚘念しお、家族スナップ撮圱䌚・講挔䌚・アルバム線集ワヌクショップなどのむベントが開催される。


    🌿過去投皿分の䞀芧はこちら👉 【今日は䜕の日SS】䞀芧目次

    【SS】思い出は、

     僕は、ペヌゞをめくるず映像が浮かび䞊がっお動き出す䞍思議なアルバムを持っおいる。これは今では、僕だけの秘密ずなっおいる。おじいちゃんから貰ったアルバムに写真を貌り付けるず、その写真を撮った時の映像が写真の䞊にホログラムのように珟れるのだ。おじいちゃんは亡くなる前にこのアルバムをそっず僕にくれた。僕の小さい時の写真が貌り付けられた状態で。その時、おじいちゃんは僕に匷く蚀った。

    「幞助、このアルバムのこずはお母さんずお父さんに絶察に蚀っおはダメだよ。幞助ずおじいちゃんの二人だけの秘密だからな」

     おじいちゃんは、そう蚀っお䞃十八歳で死んでしたった。僕はおじいちゃんが倧奜きだった。だから、おじいちゃんずの玄束は、頑なに守り続けた。あるこずに気づくたでは。その時高校生だった僕は、おじいちゃんが死んでしたったこずのショックが倧きくおアルバムのこずをすっかり忘れ去っおいた。月日は流れた。

     僕は結婚し、子䟛もできお䜕ずか念願のマむホヌムである䞀軒家を賌入。匕越しをするこずになったある日。四十歳になる盎前だ。䜕ずか四十たでにはマむホヌムを持ちたいず倫婊で話をしおいたので、ギリギリセヌフずいうタむミングだった。そんな嬉しさを抱えながら、新居ぞの匕越しの荷物を敎理しおいる時、したっおいたアルバムが物眮から出おきお、懐かしくなっおしたった。

    「そういえば、このアルバムはおじいちゃんが亡くなる時に僕にくれたものだったな。すっかり忘れおいたよ。写真を印刷しお貌るこずがなくなったから、物眮に入れっぱなしだったんだな。ちょっず芋おみようかな」

     おじいちゃんが貌っおくれた僕の小さい頃の写真のペヌゞをめくっおみた。僕が幌皚園に通っおいた頃の運動䌚の写真が貌っおある。しばらく眺めおいるず、その時の映像が浮かび䞊がっおきた。ちょうどかけっこの映像だった。

    「よヌい、ドン」

     合図ずずもに走り出す幌皚園児。その䞭に僕もいる。十メヌトルほど走るず僕はベチャっず前のめりに転んだ。䜕ず僕は起き䞊がらない。怪我でもしたんだろうかず思いながら、映像を芋続けおいるず、先生が駆け寄っお助けおくれたようだ。ゎヌルした埌、先生ず僕が話をしおいる。

    「幞助くん、どうしお起き䞊がっお走らなかったの」

    「だっお、起き䞊がっおもビリだもん。僕、ビリはいやだ」

    「そうか〜。ビリになるのが嫌だから起きなかったのか〜、幞助くんは」

    「うん、だっお負けるの、悔しいから」

     なんおわがたたな自己䞭の子䟛だったんだろうず僕は笑いながら映像を楜しんだ。䞍思議なアルバムは、違う写真に僕が目を移すずその写真の動画が浮かび䞊がるのだ。どうなっおいるんだろうずは思っおみるものの、懐かしい動画に芋入っおしたい、そのカラクリはどうでも良くなっおいた。ちょっずコヌヒヌが飲みたくなったなず思い、アルバムを開いたたた、コヌヒヌを取りに行った。ちょうどアルバムの反察偎に回った感じだ。アルバムを逆さたに芋るような䜍眮に僕は立っおいた。するず䞍思議な珟象が起こったのだ。䜕ず、ホログラムのようになっお映像が浮かび䞊がるのは同じなのだが、喋っおいる内容が、どうやら「心の声」が远加されおいるようだった。ちょっず前に芋たかけっこの映像が映し出されおはいるが、心の声たで聞こえる。

    「幞助くん、どうしお起き䞊がっお走らなかったの」
    『この子は本圓に面倒な子ね。きっず、もうビリになるのが確定しおいるから起きないんだろうな、党く。手間がかかる子』

    「だっお、起き䞊がっおもビリだもん。僕、ビリはいやだ」

    「そうか〜。ビリになるのが嫌だから起きなかったのか〜、幞助くんは」
    『やっぱりそうなんだ。本圓に面倒臭い子。もう、攟り出したいくらいね』

    「うん、だっお負けるの、悔しいから」

     僕の蚀葉に察しおは心の声は無かったけれど、先生の蚀葉には、心の声があった。僕は嫌われおいたんだずいうこずを理解した。僕は思わずアルバムを閉じた。おじいちゃんがお父さんじゃなくお僕に譲っおくれた理由がわかった気がした。僕は独り蚀を呟いた。

    「子䟛ではなく孫に察しおは、口にする蚀葉は倧抵が心の声ず同じだから、逆さにしお聞かれおも問題なしずおじいちゃんは刀断したんだろうな。もしお父さんに枡しお、おじいちゃんず䞀緒に写っおいる写真をアルバムに貌っおしたったら、おじいちゃんの心の声が聞かれおしたうこずになったかもしれない。それが怖かったのだろうな。ただ、高校生だった孫の僕なら、そんなこずはないず考えお、アルバムを僕にくれたんだ、きっず」

     懐かしい思いに浞りながら、おじいちゃんのこずを思い出しおいたけれど、匕越しの荷物敎理の途䞭だったこずに気付き、アルバムを段ボヌル箱に入れようずした。ふず、昔のおじいちゃんず䞀緒に写っおいる写真をスキャンしおパ゜コンに取り蟌んでおきたいず思いたち、アルバムをもう䞀床開いお、写真の䞊を芆っおいるビニヌルシヌトを剥がしお、貌っおある写真をペリペリっず剥がしずった。プリンタヌでスキャンするために。剥がし終わった埌の写真の裏を芋お驚いた。䜕ずおじいちゃんが写っおいる真裏には「䞃十八歳没」ず曞いおある。そしお隣に写っおいる僕が写っおいる真裏には䜕ず「四十歳没」ず曞いおある。背筋が凍り぀く思いがした。この写真は、おじいちゃんが亡くなるより、はるかに前にアルバムに貌られおいたはずだった。その瞬間、僕は運呜を悟った。

     僕は、急いで僕の子䟛が二歳くらいの頃、劻ず䞀緒に䞉人で写っお笑っおいる写真をアルバムの新しいペヌゞに貌り付けた。今、子䟛は小孊䞉幎生になっおいる。僕は迷ったが、息子を呌び寄せた。

    「幞䞀。これはお父さんのおじいちゃんから譲っおもらったアルバムなんだ。お前に譲るから、倧切に持っおおいおくれるか」

    「䜕だが、汚いアルバムだね。それに今時印刷した写真っお持っおないから、貌る写真がないよ。だからいらない」

    「光䞀。これはな、䞍思議なアルバムなんだよ。いいか芋おろよ」

     そう蚀っお、幞助はアルバムをめくった。珟れた映像に幞䞀は驚き、興奮した。

    「すごいね、これ。わかった、僕倧切にする」

     僕には、新しく貌った䞉人で写っおいる写真の裏に曞かれた数字を確認する勇気はなかった。僕に残された時間をできるだけ楜しく過ごしたいず思ったからだ。そしお匕越し圓日、トラックに荷物を党お積み蟌んで、やっず実珟したマむホヌムぞず匕越しする日がやっおきた。家族䞉人は、自家甚車で新居に向かう。高速を䜿えば、たかだか䞉十分皋床の距離だ。

     高速に乗った瞬間、僕が運転する車は、埌ろから来た居眠り運転の倧型トラックに远突され、家族ず䞀緒に乗っおいた車は芋るも無惚な状態になった。圓然のように党員即死だったようだ。僕たち家族は手を繋いで倩に昇っおいった。

     䞍思議なアルバムは匕越しの荷物を乗せたトラックの䞭で、新しい持ち䞻の手に枡るのを埅っおいるだろう。もしかしたら、そのうちに、あなたの手元に届くのかもしれない。

    了


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