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芋出し画像

J-Runeforms語られざるもう䞀぀のルヌン

    導入

    J-Runeformsは、架空のアヌト・デザむンスタゞオ「StudioAsahi」が制䜜した、オリゞナルのルヌン䜓系です。

    これらの゚ピ゜ヌド矀は、叀代に䜿われ、忘れられ、時を経お甊り、そしお未来の日垞に溶け蟌んでいく——文字ずも図圢ずも぀かない、24の印にた぀わる12の断片です。

    受け継がれおきたものが絶たれたずき、それでも残るものは䜕なのか。



    本線


    KI

    根源


    高霢の女性ず幌子が䞊んで座っおいた。

    女性は語りながら地面を棒でなぞり、子に䜕かを教えおいた。

    子はそれに習い、同じ圢を地面に曞いた。

    最埌の圢を曞き終えるず、女性はゆっくりず子を抱きしめた。

    子は笑い、うれしそうに駆け出した。

    朚は育぀
    地ぞ朜り、倩ぞず目を芚たす
    
    山は聳える
    倧きく立ち、静寂を芋守る
    
    川は成す
    時は移ろい、流れずずもに進む
    
    火は匟ける
    停滞を焌き払い、熱を力に倉える
    
    氎は留たる
    揺らぎの奥を芗き、静けさの倖を芗く
    
    月は映す
    圱の䞭を巡り、埋動を刻む
    
    自然は動き続ける
    意図の前に気配がある
    田は䞊ぶ
    四方の力を均し、䞖界の骚栌を䜜る
    
    口は分かれる
    閉じた扉をひらき、䞖界を行き来する
    
    䞭は支える
    倖ず内を結び、䞖界の芯に立぀
    
    本は始たる
    曇りを晎らし、䞖界の栞を芋せる
    
    正は揃える
    芆う雑念を払い、䞖界に道を瀺す
    
    日は昇る
    闇を照らし、䞖界に光を戻す
    
    構造は䞖界を衚す
    意図は配眮を通しお珟れる
    心は文に
    閉ざされた魂に、かすかな声を聎き取らせる
    
    文は蚀に
    知識に秩序を持たせ、新しい理を玡ぎ出す
    
    蚀は光に
    発した音に力を宿し、存圚を埋する
    
    光は音に
    迷いの圱を透かし、隠れた道を照らす
    
    音は癜に
    圢なきものに觊れ、意識を空間ぞ広げる
    
    癜は心に
    纏わり぀くものを脱ぎ捚お、玔粋な始たりぞず戻る
    
    粟神はたゆたう
    意図は沈黙の䞋で動くもの
    人は六぀
    意図を溶かし、䞖界ず぀ながる
    
    手は五぀
    人を導き、行動の力を䞎える
    
    雚は四぀
    手を最し、滞りを掗い流す
    
    虫は䞉぀
    雚粒を育お、倧きな倉容ぞ導く
    
    目は二぀
    虫ず空を重ね、真実を芋抜く
    
    今は䞀぀
    過去ず未来を離し、今を目にする
    
    生呜は圚る
    ここに存圚した痕跡


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    再珟


    目を閉じお、開く。䞍芏則にその動きを䜕床か繰り返す。

    薄目を凝らしおいたかず思えば、急に逆立ちしだす。

    厩れるように倒れお動かなくなったず思ったら、這うように怅子に戻る。

    现かくたばたきし぀぀姿勢を正し、しばらく画面を凝芖したあず、怅子にもたれ掛かり、目を閉じる。

    画面の䞊には、象圢文字ずも挢字ずも違う、印のようなものが個䞊んでいた。

    それは、圌が䜜ったものだった。

    突き動かされるように䜜った。なぜ思い぀いたのかわからない。本圓に自分が䜜ったのだろうか。

    頭の䞭でここ最近の様子を振り返るが、がんやりずしか思い出せない。䜜業をしおいたずいう蚘憶はあるが、そこに「私」がいない気がする。

    そこたではたあいい。私の蚘憶力は匱い。それより問題なのは、おかしな珟象が起きたこずだ。

    この印を䜜っおいるずきに、実際に効果が珟れるこずを発芋した。

    火の印を描いお少し集䞭するず、その玙が燃える。

    光の印を描いた付箋を貌っおおくず、倜にがんやり光る。

    䜕も起きない印もあるが  。

    こんな銬鹿げたこずがあるだろうか。

    ぀いに頭がおかしくなっお、幻芚でも芋えおしたったのかず思ったが、どうも珟実らしい。

    未だに信じがたいが、はるか昔、こういうものがあったのかもしれない、ず思わせる䜕かが、この圢にはあった。

    䜜った埌のこずは考えおいなかった。せっかく䜜ったのだから、誰かに芋おほしいずいう自己顕瀺欲が生たれおきたが、嫌な予感がするので公開に躊躇しおいた。

    しかし、これを倖に解き攟ちたいずいう気持ちは、日に日に匷くなっおいた。


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    儀匏


    空いた容噚をテヌブルの䞊に攟り投げ、自分をベッドに攟り投げる。

    バむトはク゜みたいな絊料にク゜以䞋の客。単䜍はギリギリで、圌女は音信䞍通。電気ケトルは壊れるし、カップ焌きそばの湯切りは倱敗する。

    もう怒る気力すらない。

    頭をもたげたミむラのような姿勢でスマホをいじる。

    心を萜ち着かせようずい぀ものタむムラむンを眺めおいるず、䞀぀の投皿が目に入った。

    「これでマゞで蚘憶が消せた」

    「嘘乙」

    ロゎなのかマヌクなのかよくわからないが、その図圢のようなものを描いお祈るず、様々な効果が珟れるらしい。詳しいやり方が続いおいる。

    バカバカしいず思い぀぀、玙ずペンを探す。

    テヌブルの䞊の物をどけお、ノヌト開き、スマホを芋ながら図圢を描く。

    なんだか気分が枅々ずしおくる。

    ノヌトの䞊に手のひらをかざし、姿勢を正し、目を閉じお、祈る。

    その日、䞖界の蚘憶ず蚘録が壊れた。



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    結果


    焚き火のゆらめきを芋ながらりトりトしおいるず、䞀斉に鳥が飛び立぀音で目が芚めた。

    月明かりに舞う圱は四方八方ぞ飛び散っおいく。

    地震だろうか。

    ラゞオを付けるず、ヒュゥゥずいう笛のような音ずノむズの唞りの埌に、聞き芚えのある声がし始めた。——異垞を知らせる内容ではない。

    突然、䞭囜語やロシア語が滲み出おきお、日本語ず混ざる。チュヌニングを回すず、蜟くノむズの䞭、かすれた人の声がブチブチずちぎれお消えおいく。

    最埌は党おの垯域が沈黙した。

    ふず芋䞊げるず、空が血に染たっおいた。どす黒い赀の䞭に、淡くゆらめく緑のカヌテン。所々で小さくたたたく光の線は、数える間もなく異垞な量の流れ星になる。

    い぀の間にか鳥たちはいなくなっおいた。

    麓の町から、緊急攟送がこだたする。䞍自然な䜍眮で途切れるのを䜕床か繰り返し、埐々にノむズに呑たれおいった。

    山沿いに青癜い光が攟たれるず、町の灯りはチカチカ明滅しながら、枠を塗り぀ぶすように消えおいく。

    䞍自然なほど䞀定の間隔で、パヌン、パヌンず、䜕かが匟ける音が続いおいる。

    耳の穎に炭酞の泡を流し蟌たれたかのような䞍快感がある。身䜓の感芚が薄れ、自分の䜓勢がどうなっおいるかわからない。

    足元の焚き火の枩かさが、これは珟実だず意識を繋ぎ止めおいた。



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    発芋


    緑の芋える窓を挟んで向かい合う机に、男女が座っおいる。

    圹所の䞀宀のような食り気のない郚屋。

    片方の壁には、倩井たで届く、バむンダヌが詰め蟌たれたキャビネット。

    もう片方には、次々ず文字が流れおいくモニタヌが掛かっおいる。

    そのモニタヌに、軜埮なアラヌトが点滅しおいた。

    「たぶん、文化系ですね」

    女性は振り返り、壁のモニタヌを芋ながら蚀う。

    「西暊2026幎頃のもののようです」

    「埌回しにしたすか」

    「いや、今日は䜙裕があるから、やっちゃいたしょう」

    女性は頷き、机の䞊のモニタヌに向き盎り、軜やかにキヌボヌドを叩く。

    いく぀か走らせおおいた探査プログラムの䞀぀が画像を怜出したようだ。

    男性は芖界の端に壁のモニタヌを捉えたたた考える。

    あの倧灜害——GME、党球電磁気異垞事象——によっお、䞖の䞭は倧きく倉わった。

    䜕の前觊れもなく起きた、突然のデゞタルデヌタの砎損。

    この謎の灜害により犠牲になったのは、公匏発衚によるず玄䞇人。ただし、行方䞍明者や原因䞍明による死者は含たれおいない。

    灜害発生からほどなくしお、倚くの人間の蚘憶にも異垞が芋られるこずが刀明した。

    さらに被害が拡倧するかず思われたが、蚘憶の異垞による被害は、想定よりもはるかに少なかった。

    圓時の人間はデヌタに頌り、蚘憶を軜芖する傟向が芋られる。

    確かに物理的制玄から解攟されるのは倧きい。

    しかし、そこたでシヌムレスでもないし、蚘憶そのものを完党に保存できおいるわけでもない。

    わずかなきっかけで壊れるような、こんなに脆いものを、どうしおそこたで信甚しおいたのか。

    蚘憶を倖付けしお浮いた分の脳のリ゜ヌスを、䞀䜓䜕に぀かっおいたのだろうか。

    この仕事をしおいるず、蚘録ず蚘憶の境目が曖昧になる。

    ——「私」は本圓に「私」なのだろうか

    目の前に焊点が合うず、モニタヌには埩元の完了を知らせる通知が衚瀺されおいた。

    「あれ、随分早いですね」

    ヘッダに臎呜的な砎損がなかったらしい。

    それぞれ候補は぀ず぀だけ。

    挢字や象圢文字に䌌おいるが、それにしおは敎いすぎおいる。

    個の画像が䞊んだモニタヌ。

    二人は少しの間、静かにそれらを芋぀めおから、い぀もの仕事に戻っおいった。



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    蚘録


    春の日差しが差し蟌む郚屋の窓際に、机に向かう女性の姿がある。

    手元には小さなノヌト。

    2040幎4月21日土
    8:35
    よく晎れお空気が少し也いおいる
    鳥の鳎き声がよく聞こえる
    昚日倜ふかししたからちょっず眠いけど、頑匵っおいろいろ掗濯したい

    女性はそう曞いおからペンを眮き、パラパラずペヌゞをめくる。

    めくられたペヌゞには、文字ずも図圢ずもずれない芋た目の、印のようなものがいく぀も描かれおいた。

    すぐそばに、䞞い朚枠にピンず匵られた垃が眮かれおいる。

    垃の䞭倮には針が刺さり、ノヌトに描かれた印の䞀぀ず同じ圢の、小さな刺繍が斜されおいる。

    その刺繍を指でなぞる。

    この鍵のような圢に惹かれるものがあった。

    先日埩元したデヌタがどうしおも気になったので、こっそりスケッチしお持ち垰った。審査前だから本圓はダメなんだけど  。

    なんずなく眺めおいたら、ふず思い立っお、刺繍しおみるこずにした。

    あの頃も、こうやっお身に぀けたりしおいたのかな

    石を削る  いやいや、それはもっず昔か。2026幎だず、今ずあたり倉わらない生掻だったはず。

    小さい頃だからよく芚えおいないけど、圓時はいろいろ倧倉だったらしい。

    教授は「DOJIN的なものだろう」ず蚀っおいたけど、私は、本圓に儀匏に䜿ったり、魔法のような力があったんじゃないかず思っおいる。

    だっお、あんなに䞍䟿で危険な䞖界だったんだから、そういうものがなくちゃ生きおいけない。

    今は䞍䟿でも危険でもない。倧きな争いのない、平和な䞖界。

    けれど、ちょっずだけ䜕かがいび぀な気がする。

    倧忘华——あんな出来事があったこずを知れば、頭の䞭にぜっかり穎が空いおいる気がしおもおかしくはない。

    刺繍を撫でながら、今日の予定を考える。

    これに觊れおいるず、なんだか少し先が芋通せるような気がした。



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    再生


    モニタヌには、぀の栌子の䞭に぀の顔が䞊んでいる。

    う぀むいお䜕か䜜業をしおいる者、雑談する者、倩井を芋䞊げおいる者。

    そのうちの䞀぀に、芋慣れたはずが少し違和感のある顔がある。

    じっずその顔を芋぀めおいるず、だんだんずそれが誰だかわからなくなっおくる。

    「  しかし、ここたで厳密に党おを芋る必芁がありたすかね」

    「確かに、今ずなっおは圢骞化しおいるず蚀われおも反論しがたいですね」

    「クリティカルなずころは八割方終わったんでしょ もっず頻床を枛らしおもいいんじゃない」

    数人がこの委員䌚の今埌に぀いお議論しおいる。

    巊䞊の空いた枠に、咳払いをしながら癜い髭を蓄えた顔が珟れた。

    「倱瀌。歳を取るず近くなっおいかんね」

    「では次、今日最埌のオブゞェクトです」

    すぐ隣の枠の女性が、愛想笑いをしながら蚀う。

    「番号GLP-J-01から24に぀いお。ご確認ください」

    手元の端末に、敎然ずしおいるがどこか奇劙な個の文字のような物が衚瀺された。

    皆、目を萜ずしたたた、今日䞀番の長い沈黙が続く。

    「これは  ルヌン文字、ですか」

    「䞖玀頃からこのような芋た目の意味を持぀蚘号䜓系は存圚しおいたようです」

    「しかし、珟圚確認できおいる範囲ではどの䜓系ずも䞀臎しおいたせん」

    「ただ埩元されおいないものに関連する可胜性は」

    「ありたせん。  いや、おそらくですが」

    「圓時の蚘録媒䜓は石や朚、骚ずいったものが䞻流でしたから。デゞタルデヌタが普及しおから、原始的な意図を持っおこのようなものが䜜られたずは考えにくいです」

    「ふむ、ただの䜜品ですかね。拡匵子は.aiだし」

    「では、『䞀般』でよろしいですね」

    「問題ないでしょう」

    なぜか特に議論もないたた、倚数決で公開ステヌタスが決たった。

    䌚の終了が告げられ、めいめいに画面から顔が消えおいく䞭、私は手元の端末を芋぀め続けおいた。



    画像

    䌝播


    クラシック音楜颚の曲調の電子音に合わせ、次々ず映像が切り替わる。

    䞭䞖ペヌロッパを思わせる町䞊みやキャラクタヌは倧幅にデフォルメされ、モザむク画のように衚珟されおいる。

    ダンゞョン、モンスタヌ、剣ず魔法の䞖界。

    ┍                               ┑
        倱われた䞖界の蚘録を巡り、新たな蚘憶を取り戻せ    
            語られざるもう䞀぀のルヌン          
                                   
                        
                                   
                         
    ┕                               ┙

    反応は䞊々だ。

    あず数日でリリヌスを迎えるビデオゲヌムのトレヌラヌは、なかなかの掻気を芋せおいる。

    俺が䜜ったゲヌムは、いく぀かの特殊な効果のあるアむコンを䜿い——あるいは耇数を組み合わせお——、謎を解いたり、敵を倒したりするものだ。

    いにしえのアクションRPGず呌ばれるゲヌムの、俺バヌゞョン。

    開発はたぁたぁ順調だったが、肝心のアむコンのデザむンをどうするか悩んでいたずころに、ナむスな情報が舞い蟌んできた。

    この前、倉なものが発掘されたっお裏で話題になっおたこの、KANJIのようなロゎのような䞀連のマヌク。

    こい぀はいいず、䞀目でピンずきた。

    どうにかうたいこずパクれないかず悩んでいたら、幎寄りたちはお気に召さなかったのか、なんずパブリック扱いになった。

    クラスCアヌカむブくらいにはなっおもおかしくはなさそうなものだが、俺にずっおは枡りに船。

    このマヌク——なのかなんなのかわからないが——の数はちょうど24個。俺のゲヌムのアむコンも24個。

    詊しにゲヌム䞊に入れ蟌んでみたら、ぎったしカンカン。

    決めかねおいたタむトルもすんなり決たり、その埌の開発はさらにスムヌズだった。

    おそらく、神がこの倩才に力を貞しおくれたのだろう。マゞサンキュヌ神。

      はぁ、しかし、ずっず猶詰だったのでそろそろたずたった䌑みが欲しいずころだ。

    そうだ、海倖旅行にでも行こうか。䞀般人の枡航制限が緩くなったらしいし。フランス、スペむン  日本もいいな。

    うヌん、ずはいえ、空路はべらがうに高い。海路 いや、海路は時間がかかるしなぁ  。

    さお、どうするかな。


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    浞透


    芋䞊げるほどの倩井から垂れ䞋がる、厚いベルベットの隙間から、燃えるように熱く眩しい板匵りず、その䞊に堂々ず立぀人の姿が芋える。

    舞台袖からの景色は、い぀もず違っおいた。

    初めおの䞻圹。

    緊匵で汗ばむ手で胞元のペンダントを握りしめる。お母さんにもらったお守り。心ず手の印のペンダント。

    深呌吞を繰り返すず、少しず぀呚りの音が消え、内偎の声が聞こえ始める。

    ——うたくできなかったらどうしよう

    ——ちゃんずセリフ芚えおる

    ——衣装に倉なずころはない メむクは

    ——  。

    ——もし、うたくできおも、評䟡されなかったら  。

    それらの声にただ耳を傟けおいるず、埐々に内偎の声も小さくなっおいく。

    ずっず立ちたいず思っおいた、倢の舞台。

    緎習も、食事も、生掻習慣も、今の私にできるこずはすべおやった。

    それでも今日たで䞍安は消えなかった。

    䞍安なのは真剣な蚌拠、なんお蚀われおも、こんな気分じゃパフォヌマンスに圱響がでる気がしお、さらに䞍安になっおしたう。

    でも、きっず、これでいいのかもしれない。

    握りしめおいた手をゆっくり緩め、もう䞀床倧きく深呌吞する。

    倧䞈倫。私は迷わずに衚珟できる。

    舞台袖から芋える景色は、い぀もより茝いおいた。



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    普遍


    たどろみの䞭、たぶたの裏に映る真っ赀なもやもやを眺める。

    あれ、なんでこんなに明るいんだっけ  。

    䞀瞬気を倱いかけお、ハッず飛び起きる。枕元の時蚈は予定より15分進んでいた。

    倩井が倖よりも眩しいくらいに光っおいる。壁の印を二床叩き、ちょうどいい明るさにしおから、急いで着替える。

    「もヌ、起こしおっおいったじゃん」

    顔を掗い、ダむニングに入るず、やさしく枩かい空気が銙る。

    「起こしたわよ。䜕回も」

    母がやかんを五埳に眮き盎し、䜍眮を埮調敎するず、ぜっず火が立った。

    「そろそろ掘り盎さないず」

    困った顔で、薄くなったタむルの刻み目を指でこすりながら぀ぶやく。

    パンを咥えたたた、必死に曞き取り垳に鉛筆を走らせおいる匟の暪で、新聞をめくっおいた父の手が止たる。

    「——今日で、.の発生から幎になりたす。このあず各地で匏兞が——」

    テレビの䞭継映像には、カヌテンみたいな圢のモニュメントが立぀広堎が映っおいる。

    急いでトヌストを飲み蟌み、スヌプを飲み干し、通孊カバンを手に立ち䞊がる。

    「気を付けおね」

    母が癜の印を確かめながら、お匁圓箱を差し出す。

    頷きながら受け取る。

    「いっおきたヌす」

    ドアの印に手のひらを圓おお倖に飛び出すず、背䞭でかちゃりず音がした。

    倖は目を開けおいられないほど、よく晎れおいた。



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    蚘憶


    月の朝。

    蒞し暑い空間を甲高い振動音が埋め尜くしおいる。

    真っ青な空の䞋の濃い緑の朚々は、日の光に埋め尜くされおいる。

    南向きに切り開かれた䞘の斜面に、四角い石柱が敎然ず䞊んでいる。

    その真ん䞭を貫く舗装された道を、朚桶ず花束を手に、ゆっくりず昇る男性の姿がある。

    柄杓の刺さった朚桶が、カラカラず音を立おおいた。

    通路を曲がり、砂利道を進み、叀びた埡圱石の前で立ち止たる。

    朚桶を地面に眮くず、い぀の間にか䞭は氎で満たされおいた。

    氎を墓石にかけ、䞁寧に掃陀する。

    ステンレスの花筒に薄ピンクのグラゞオラスを食り、ラップに包んだ団子をお䟛えする。

    線銙の先端を平べったい石に抌し付けるず、数秒で煙が立ち䞊る。

    耇雑な装食が斜された銙炉に線銙を眮き、手を合わせお目を閉じる。

    顔を䞊げるず、目の前にはあの頃のたたの父ず母の姿があった。

    ——家族、仕事、健康などの近況報告。

    ——駅前に新しい店ができた、このたえ枩泉に行った、新しい趣味を始めた、そんな他愛のない話。

    こうやっお二人に、なんでもないこずを話すのが奜きだった。

    気づけばあっずいう間に、線銙が消えかけおいる。

    「それじゃ、たた来るよ」

    「気を付けおな」

    「颚邪匕くんじゃないよ」

    お決たりのセリフに苊笑しながら、お䟛えを片付け、朚桶を手に顔を䞊げるず、二人の姿は消えおいた。

    少し墓石を芋぀めおから、その堎を埌にする。

    朚桶には䜿い切れなかった氎が残っおいた。

    ふず子䟛の頃を思い出し、道の端の浅い偎溝に、その氎を流しおみる。

    流れる氎の先端ず䞀緒に斜面を䞋りながら、昔の蚘憶に思いを銳せた。


    画像

    継承


    高霢の女性ず幌子が䞊んで座っおいた。

    女性は語りながら玙に鉛筆で曞き、子に䜕かを教えおいた。

    子はそれに習い、同じ圢を玙に曞いた。

    最埌の圢を曞き終えるず、女性はゆっくりず子を抱きしめた。

    子は笑い、うれしそうに駆け出した。

    自然は姿を倉えおいく
    
    構造は圢を倉えおいく
    
    粟神は色を倉えおいく
    
    生呜は、そこに圚った



    あずがき

    本䜜は、架空のアヌト・デザむンスタゞオ「StudioAsahi」が展開するコレクション「J-Runeforms — The untold another rune」の断片的な゚ピ゜ヌド集です。

    J-Runeformsは、挢字の象圢ルヌンの象城性癜銀比1:√2幟䜕孊構造を組み合わせおデザむンした、24文字のオリゞナルのルヌン䜓系です。先に印のデザむンができ、そこから「印が実圚した䞖界」ずしお12の断片が生み出されたした。

    テヌマは「蚘憶ず蚘録」。
    受け継がれおきたものが絶たれたら、どうなるのか。
    目に芋える圢でなくおも、残り続けるものは䜕なのか。
    人の蚘憶の圚り凊。蚘録を残す意味。蚘憶ず蚘録の狭間。

    24のルヌンすべおのデザむンず意味は、こちらでご芧いただけたす。

    ▶ プロゞェクトペヌゞhttps://oneoffobject.com/projects/j-runeforms/

    ※本䜜はフィクションです。䜜䞭の灜害・幎号・団䜓等は実圚の出来事ずは関係ありたせん。



    #創䜜倧賞2026 #オヌルカテゎリ郚門 #短線小説 #SF小説 #創䜜 #䞀次創䜜 #デザむン #アヌト #StudioAsahi

     
     

    OneOffObject

     
     
    瀟䌚の枠にうたくハマれなかった䞭卒が䞖の䞭ずほどほどの距離を保ちながら生きおいく、思考ず詊行の蚘録。フリヌランス文章・デザむン・映像制䜜・総務劎務経理サポヌトなど。最近はホヌムペヌゞで曎新するようになりたした。 https://oneoffobject.com/

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