メインコンテンツへスキップ
見出し画像

レシプロ機とプロペラ機。何がどう違う?

    ワンモア@航空エッセイ
    画像
    富士重工のFA-200

     ニュースや記事などを見ていると、プロペラ機って言い方をよくしているようですね。ジェット機に対してプロペラ機という使い方ですね。分かりやすいとは思います。
     かたや、レシプロ機という言い方もあるのですがご存知でしょうか。これは「レシプロエンジン」を搭載した飛行機を指します。
     このプロペラ機とレシプロ機ってよく混同されて使われているようなので、今回はその違いについて調べてみました。

    ◆レシプロエンジンは生活に最も身近なエンジン

     レシプロエンジンは、自動車、バイク、船舶、発電機、ポンプなど、私たちの生活の中でも最も身近なエンジンだと思います。
     エンジンの歴史の中でも最も古く、ピストンエンジンとも言われているので、こっちの方がピンとくるかもしれませんね。
                  動作の仕組みはこんな感じ。

    画像
    1.吸入 2.圧縮 3.燃焼・膨張 4.排気

     シリンダーの中のピストンが往復することで、ガソリンなどの燃料と、それに対して適量な空気を外部から取り入れてます。
     そこからピストンで圧縮した燃料と空気を何らかの方法で着火し、爆発的に燃焼させます。このエネルギーがシャフトにかかり、回転運動になります。この回転運動がプロペラを回す原動力になる訳です。

     また燃焼ガスは排気されるのですが、これもまた推進力に変える方法もあります。
     飛行機のエンジンの場合は、空気抵抗も考慮して、この上の図の気筒をいくつ、どのように配置するかが鍵となってきます。

     星形にグルっと回すように配置すると、空冷星形エンジンに、横に配置すると水平対向エンジンにという感じですね。

    画像
    (左)星形エンジンと(右)液冷エンジン
    搭載する機体のフォルムもそれによって大きく変わります。

     エンジンは非常に高温になるので、冷やすための方法として空冷式と液冷式とにも分かれます。初期の航空機には、エンジンとプロペラとエンジン本体が一緒に回転するロータリーエンジンもありました。マツダのロータリーエンジンとかも知られています。

     エンジン自体が回るなんて凄い発想ですよね。第一次世界大戦のイギリスの戦闘機、ソッピースキャメルという戦闘機はこれです。

    画像
    エンジンが回る回る

     下はマツダのロータリーエンジンの構造。

    画像

     第二次世界大戦あたりまでは、このようなレシプロエンジンしかありませんでしたので、プロペラ機といえばレシプロ機だったのです。

    ◆ジェットエンジンの登場

     しかし、プロペラを使わないジェットエンジンが開発されてくるとちょっと事情が変わってきます。
     これはガスタービンエンジンの一種で、その理論の歴史は結構古くて、なんと、レオナルド・ダ・ビンチの頃からアイデアは出ていました。
     原理的にはピストンエンジンより優れて構造も簡単なのですが、耐熱合金の開発や色々な技術的な問題があって1930年までその開発は遅れに遅れています。 

     上の画像でもお分かりのようにレシプロエンジン(ピストン)は往復運動なのに対してガスタービンは回転運動なのです。
     このガスタービンエンジンの排気をそのまま推進力にしたのがジェットエンジンと呼ばれるものです。 
     ジェットエンジンもピストン・エンジンと同じく、吸気→圧縮→燃焼→排気の4つの作業を行っています。これ大事で、吸気、圧縮、燃焼、排気は呪文のように1セットになっています。学生時代は覚えさせられました(笑)

     ピストン・エンジンが、1つの部屋(シリンダー)で4つの作業を順番に行うため、力を出す「燃焼」は4回に1回しかできませんが、ジェットエンジンでは、それぞれ専用の4つの部屋で同時に各々決められた作業を連続的に行うことができるため、力を出す「燃焼」も連続して行われ、小型でも高出力が得られるという利点があるのです。

    画像
    吸気、圧縮、燃焼、排気を同時に行えるので効率が良い。

     ドイツのメッサーシュミットMe262は、世界で初めての実用化されたジェット戦闘機ですが、これ以降、実に様々な種類のジェットエンジンが開発されてきます。

     ターボジェット(初期のエンジン)を初めとして、ターボファン(現在の主流)、ターボプロップ(プロペラがある旅客機)、ターボシャフト(主にヘリコプター)、さらにはラムジェット、パルスジェット等など。
     ちなみに空気を利用しないのがロケットエンジンです。これは空気に影響を受けないので、高々度から宇宙までも行けちゃいます。 
     その種類の違いはまたの機会にして、レシプロ機=プロペラ機が通用しなくなったのは、この中のターボプロップエンジンが出来てからなのです。段々ややこしくなってきましたか(笑)?

    ◆ターボプロップエンジンとプロペラ機

     ターボプロップエンジンとは、ガスタービンエンジンの一種で、そのエネルギーの大部分をプロペラを回すのに使われます。
     排気を推進力とするジェットエンジンと違い、燃焼のエネルギーを全てタービンで回収して軸を回す力にするエンジンなのです。
     なので、ジェットエンジンはガスタービンエンジンの一種なのですが、ジェットエンジン=ガスタービンエンジンではないのです^^;  
    要はこういうことなのです。

    画像

     ガスタービンエンジンは現在のヘリコプターのエンジンから、船舶、陸上車輌、発電用など様々な用途で使われています。
     ターボジェットエンジンの構造はこんな感じ。

    画像

     同じプロペラ機でも、エンジンの構造が全然違いますね、 
     航空機の世界では、プロペラを持つ飛行機は、このターボプロップエンジンに切り替わりつつあります。
     ターボプロップエンジン搭載の飛行機で有名なのが、P-3オライオンやYS-11、US-2などがそれですね。

    画像

     ですので、現在では、プロペラ機と呼ぶと、それが、レシプロエンジンのプロペラ機なのか、ターボプロップエンジンのプロペラ機なのかが分からなくなってしまい、今はあまり使われていない呼称なのです。 
     要はプロペラ機=レシプロ機ではなくなってしまったということなのですね。

    画像
    見かけはプロペラ機でもエンジンは全然違います。

    ◆なぜ、わざわざプロペラを回すの?=燃費効率のため

     では何故、排気がそのまま推進力となるジェットエンジンではなくて、わざわざプロペラを搭載した理由ですが、実はジェットエンジンは低速になるにつれ、燃費効率が悪くなるという欠点があります。
     ですので、あまり速度を出す必要のない飛行機では、プロペラを使用するターボプロップのエンジンの方が燃費効率が良いという訳です。
     さらにレシプロエンジンとの違いは、小型&軽量で高出力が発揮でき、空気の薄い上空でも出力が落ちにくいというメリットがあります。
     セスナ機などは、そこまでの性能を求められていないので、未だにレシプロエンジンが主流という訳ですね。
       
     ざっと大雑把な説明になりましたが、こんな感じで、航空機はその用途と目的によって実に様々なエンジンを使って大空を飛行しています。
    今回の記事をかいつまんで言うと
    ①吸気→圧縮→燃焼→排気は1セット、プロペラもジェットも同じ。
    ②用途に応じて、色んなエンジンがあるんだな
    そこだけ知ってもらえればOK(^^)

     今後もより安全でエコなエンジンを開発して欲しいですね。少しでも、ためになれば幸いです。


     
     
     
    もと航空エンジニア。宇都宮市に家族がおり、今は成田空港のそばに単身赴任中。飛行機や空の世界が大好きです。軍用機中心ですが、ヒコーキたちのエピソードをエッセイ風に紹介していきたいと思います。

    あなたへのおすすめ