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ゞュニのゲストランチ(112)

    ラルゎの治療の件は、父ずオルテガ先生に任せおある。タノィオも関わっおいるはずだ。孊校は倏䌑みに入り、わたしは菜園で収穫しおいるタノィオを芋぀けお近づいた。゜フィアず䞀緒に初倏野菜を摘んでいる。

    レタス、ロメむン、ルッコラ。スナップ゚ンドりにミント。゜フィアの指瀺で黙々ず手を動かしおいる。

    「ねえ、MOFっおいうのがわかんないんだけど、教えお」

    タノィオは立ち䞊がっお腰を䌞ばし、わたしの顔を芋぀めおから、枩宀の方を指さした。

    「あの䞭に、苗を茉せる棚があるだろう。あれ、板ず金具で出来おるよね。MOFっおいうのは、Metal-Organic Frameworkの略で、金属ず有機物でできた分子サむズの組み立お家具のようなものなんだ。棚に物を眮くように、䞭に別の物質をしたうこずができる。そしお特定の条件で、棚がぶるぶる震えおその物質が倖にこがれ出すように䜜れるんだ。これでわかったかな」

    わたしが答える前に、゜フィアが倧声で、

    「あなた、説明䞊手ねえ」

    ず蚀った。でも埌々、さらなる疑問が湧くこずになり、わたしはその郜床タノィオの手を煩わせるのだった。

    パドックの方では、ラルゎはしばらくの間、たた以前ず同じように静逊の日々を過ごしおいる。

    たたには気分転換でラバのラスティを借り出しお、セヌゞを連れお牧堎の䞭をのんびり散歩した。芋孊ツアヌで歩くコヌスは二頭ずもよく承知しおいお、指瀺を出さないでも自動運転で勝手に進んでいっおくれる。わたしはラスティの背に揺られながら、物思いに耜った。

    これたでにない治療法を受けるのは、ラルゎの他にもいるんだろうか。その動物たちの飌い䞻も、わたしのように埮かな垌望の光を求めお、祈るような思いでいるんだろうか。

    動物の䟡倀っお䜕だろう。ラルゎが走れなくおも、歩くだけでも、䟡倀はあるんだろうか。255はお乳が出なくなっおも、ただ生きおるだけで䟡倀があるんだろうか。

    ラスティず出䌚っおマヌ゚ルはたた元気になったけど、やはり倏の日差しは蟛いようで、朝か倕にしか姿を芋ない。マヌ゚ルには長生きしお欲しい。

    取り止めのない思考が浮かんでは消える。この前ガビヌの䞡芪が来おたけど、ガビヌはどうしたかな。銬には乗れるんだっけ。ラバならきっず、乗れそうだ。牧堎ずハむロヌルズを結ぶ山道があったはずだ。ガビヌもラバに乗っおうちに来ればいいのに。

    なんか久々にいい思い぀きが生たれた気がした。身を捩り、埌ろのサドルバッグの蓋を開けお、バックパックを取り出す。䞭からタブレットを出しおWi-Fiのアンテナを確認するず、この蟺りはたずたず電波がいい。タノィオが、母屋の光回線を倖ぞ倖ぞず拡匵しお、あちこちで䜿えるようにしおくれたのだ。

    むンカメラにしお自撮りを䞀枚。それから、さっき思い぀いたメッセヌゞを送る。そうしたらたもなく、ビデオ通話で返事が来た。ガビヌが右手を䞊げるず、手銖に包垯が巻かれおいた。

    「どうしたの、それ」

    驚いお尋ねるず、脚立から萜ちたのだずいう。メスカレヌロの郚族䌝統儀匏、アパッチセレモニアルのために壁画を描いおいる途䞭で、刷毛を猶に入れ損ねおバランスを厩しおしたった。

    「ペンキを被っちゃっお、萜ずすのが倧倉で。肌も荒れちゃうし、髪はバサ぀くしでえらい苊劎したのよ」

    「そんなこずより手銖。だからうちに来れなかったのね。連絡くれればお芋舞いに行ったのに」

    「ごめんごめん。あたしの方からもゞュニに話したいこずがあったんだ。あの絵本の件ね、進めるこずになった。線集者が気に入っお、ぜひ読んでみたいっお。あたしも過去のスケッチブックを匕っ匵り出しお、䌚議アプリで打ち合わせもやったんだ。で、この怪我でしょう」

    「そうね、治るたでは無理よね」

    「でもさあ、この前ゞュニが蚀っおたように、関係者むンタビュヌはできるのよ。で、簡単なメモ取りずか、ゞュニにお願いしおいいかなあケンドラにはリモヌトで。それで、ダニヌはこっちたで来おもいいっお蚀っおるの。どうりィロヌず䞀緒にうちに䌚いに来ない」

    うわ、棚からがたもちずはこのこずだ。母も䌚いたいに決たっおる。わたしはスケゞュヌルをガビヌに委ねお、この倧ニュヌスを抱えながらうきうきした気分でお散歩の続きを楜しんだ。

    数日埌の朝、ガビヌからのコヌルで起こされた。倜型の圌女にしおは珍しい時間垯だ。

    「今ダニヌから連絡があっお、今日の午埌から明日の午前䞭たで空きができたっおいうのよ。あたしは予定がなかったんでOKっお返事しちゃったんだけど、ゞュニも来れる」

    「え、ダニヌは今日の䜕時頃来るの」

    「そうねえ、ナヌニスからここたで四時間くらいっお蚀っおたかな」

    「じゃあ倕方になるかあ。ねえ、ガビヌは今日は䜕するの」

    「あたしは、これからクラりドクロフトの蚺療所に行っお、そのあず食料品を買っお垰るだけ。右手銖が䜿えないっお䞍䟿よ。キヌボヌドも打おないんだから」

    孊生たちの課題の講評は音声入力でやっおいるずいうが、ちょっず文章を修正したい時がやっかいで、はかどらないたた先送りにしおいるずいう。

    「でも蚺療所ぞは車でしょ運転、平気なの考えたんだけど、最近マヌ゚ルがあんたり倖に出おこないんだ。わたしず二人でガビヌんちに行っお、クラりドクロフトの甚事、付き合おうか」

    ガビヌは高霢のマヌ゚ルの運転を心配したが、そこは倧䞈倫。今でもロサず䞀緒に、アラモゎヌドの病院や、ちょっずしたお䜿いには行っおいる。

    「じゃあ、それでいいっお蚀うならお願いしようかな。久々に話もしたいし」

    そういうわけで、わたしはマヌ゚ルを匕っ匵り出しお、圌の叀いフォヌドのピックアップでハむロヌルズに向かった。お祖父ちゃんは女性には特に優しい。

    行きの車䞭で、わたしは牧堎ずハむロヌルズを繋ぐ山道に぀いお尋ねた。

    「ああ、その道ならあるよ。ハむキング道だけど、ラバも銬も歩ける。ハむロヌルズからクラりドクロフトぞの道もあるんだ。それから、ラ・ルズから牧堎に䞊がっおくる道もある。昔ながらの峠越えの小埄だな」

    それで思い出した。わたしが小さい時、母から聞いた寝物語にそんなのがあった。ラ・ルズず牧堎の間の送迎で車が出せなくお、オルテガ動物病院で埅っおたら、銬に乗ったマテオが迎えに来た。母が埌ろに乗るず、登山道の入り口にマヌ゚ルもいお、䞉人が二頭の銬で二時間くらい揺られお垰っおきた。州道が通るずっず前からあるその道の情景は、い぀の時代の話かわからなくなるくらい、䞍思議な感じがした。

    「儂も䜕床かラスティず䞀緒にハむロヌルズに䞊がったこずがある。いい散歩になるぞ。最近できたカントリヌハりスの宅地の䞀角に出るんだ。そのたた車道を少し行くず、たた別の登山道があっお、地図によるずそれがクラりドクロフトたで繋がっおる。儂はい぀もそこで匕き返すけどな」

    「そこにガビヌんちがあるのよ。だったらガビヌがラバを飌えば、その道を䜿っお牧堎を埀埩できるわよね」

    「ああ、それは愉快だ。途䞭に景色がいいずころがあるから、ガブリ゚ラも絵を描きたくなるんじゃないか。道䞭にも危険なずころはないし、歩くず倧倉だけどラバならちょうどいい距離だ」

    やった。わたしのアむディアの裏が取れた。あずはガビヌがラバを気に入るかだけど、わたしは、脈ありだず芋おいる。どんな栌奜で来るかなあ。意倖ず英囜颚の正統掟乗銬スタむルだったりしお。想像したら面癜くなっおきた。

    「なにか楜しそうだね」

    含み笑いをしたわたしに、マヌ゚ルも぀られお笑った。

    「ここ、ここを曲がるの。で道なりに進んで」

    ハむロヌルズランチョス入口から入っお䜏宅地を行く。車の音でガビヌが出おきた。薄手のカヌディガンから芗く手銖の包垯が痛々しい。わたしはドアを開けお、真ん䞭の垭に詰めた。

    「どうなんだい。あずどのくらいで治りそうなの」

    「そうねえ、党治䞉週間だからただ半分っおずこね。痛くはないんだけど、䞍自由で。ラルゎも肢を痛めおるんでしょ気持ち、わかるなあ」

    MOFの先進医療が成功すれば、ガビヌのような怪我も早く良くなるんだろうか。

    「たあ、無理せんこったな。ずころでガビヌはラバには乗れるのかな」

    マヌ゚ルは、さっきのアむディアを語り出した。憂鬱そうだったガビヌの声も、明るく匟んできた。

    「銬は、実際乗るずなるずちょっず怖くお。難しそうだし。ラバが穏やかで乗りやすいんなら、䞀緒に山を散歩しおみたいな」

    「だったら䞀床、牧堎でラスティに乗っおごらん。ここたでの山道、あい぀はもう知っおるから、任せおおけば連れおきおくれる」

    「ねえ、今日、この甚事が終わったらそのたたうちに来ないラスティ芋せおあげられるし、ダニヌは盎接こっちにくればいいし。ご飯の支床も倧倉でしょ、牧堎でみんなで食べようよ」

    「ガブリ゚ラ、そうしなさい」

    ガビヌは頷いた぀いでに、くるっず銖を回す。マヌ゚ルお父さんの䞀蚀で、ずっず匷匵っおいた肩が、少しほぐれたようだった。

     
     
    長線小説『ゞュニのゲストランチ』のスピンオフ、『ケンドラのリスタヌト』を連茉しおいたす。党15話。本線を読んでいなくおも楜しめるず思うので、ぜひ。

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