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【小説】ラプ゜ディ・むン・ブルヌ⑀「#創䜜倧賞」参加䜜品

    「至急、至急銭凜の海岞に出珟のクマは頭に増加。応揎ず、銃噚の䜿甚蚱可願いたす」
    若手の譊察官が無線でがなり立おる䞭、ベテラン譊官は右手を腰の拳銃ホルダヌにあおながら通告する。
    「はい、今すぐ出お。この海岞にくる入り口道路より向こうに䞋がっお。すぐ応揎も来お、非垞線匵るから」
    「あのヌ、分だけ時間もらえたせんか」
    「ダメダメ、すぐ出お」
    「いたちょっず、車がすぐに動かせなくおですね  機材がぁヌ  」
    無理を承知で菊地原が食い䞋がるのは、時間皌ぎのためだった。
    ロケ車の䞭では倧厎が撮圱し、橿原がリポヌト収録を続けおいるはずだ。
    他局のメディアがただ嗅ぎ぀けおいない今、クマ頭の様子を分でも秒でも長く撮るこずができれば、それだけ差を぀けるこずができる。
    「気持ちはわかるけど、非垞事態だからこれ以䞊、いうこずを聞かないず、公務執行劚害になるよ」
    脅しずはわかっおいおも、そういわれれば退かざるを埗ない。
    「わかりたしたっいたすぐ移動したす」
    車内にも聞こえるように倧声で叫ぶず、リポヌトを続けおいた橿原が菊地原に目を向け、「わかった」ずいうように頷いた。
    それを合図に倧厎がカメラを䞋ろし、盛本は機材を怅子においお運転垭ぞず移動する。

    譊察官らの泚意ず関心は頭のクマに集䞭し始めおいた。
    最初に海岞で魚を食べ始めた頭は䜓調メヌトルに及がうかずいう成獣。
    埌から来た頭のうち頭は、最初の䞀頭には及ばないが䜓躯は成獣らしく芋える。そしおさらに小柄なクマが頭。
    「最初の頭がオスで、そのあずの頭はメス頭、子グマ頭でしょうかね」
    若手譊官の぀ぶやきに、ベテラン譊官が応える。
    「だずしおも、珍しい組み合わせだ」
    「ですね。せいぜい芪子グマ頭たでは芋たこずありたしたが」
    「わたしは頭たでですね。それもオス・メス頭だったんですよ知床を車で走っおいた時に  」
    「君はいたすぐ海岞から出お逮捕するよ」

    剣幕に抌されお、取材クルヌ䞀同が撀収䜜業をはじめようずしたその時、䞀台のバむクが軜快な゚ンゞン音を立おおパトカヌの暪に滑り蟌んできた。
    乗っおいたのは銀色のヘルメットをかぶった䞭幎の男。
    バむクから降りるず慣れた手぀きでバッグから取り出したスマホを自撮り棒に装着し、手元で䜕やら操䜜をはじめおいる。
    「ちょっず、そこの人ここはいたから立ち入り犁止になるから。すぐでお」
    幎配の譊察官が近寄り、䞭幎男性を远い返すべく声をかける。
    男はその呌びかけに返事をせず、スマホを掲げるず倧声で䜕やら喚き始めた。
    「ここは小暜垂銭凜の海岞です。打ちげられた魚を目圓おに、ヒグマがこの堎所にやっおきたずいうので、わたし、ヒノデアキラはその珟堎をいち早く確認しにたいりたした。本来、クマは人里近い海岞たで降りおくる習性はないはずです。しかし、昚今のクマはヒトを恐れない䞖代に倉わっおいる。ダマのドングリが䞍䜜ずいう幎になった堎合、クマはこれたでの境界をやすやすず超えおくる存圚になっおいるのです」
    男はしゃべりながら、ずかずかず海岞に向かっお歩を進めおいく。
    「ちょっずアンタ」
    「埅ちなさい」
    譊官が二人がかりで男を止めようずしおもみ合いになる。
    その様子に、すばやくロケ車から降りた倧厎がカメラを向け、橿原が阿吜の呌吞でリポヌトを぀け始める。
    「クマが出没した海岞です。クマからメヌトルほど離れたこの堎所に、自然保護の掻動家でしょうか、スマホを持った男性が珟れ、譊察官ずもみあいになっおいたす」
    ヒノデアキラ、ず名乗った男は譊察官を振り切ろうずしながら、しゃべり぀づける。
    「そもそもクマが䜏んでいる゚リアに人間が入り蟌んだこずで、生態系は混乱しおしたった。その結果が、あそこに芋えおいる五頭のクマです。  五頭増えおるやんなんでやねん」

    その混乱の最䞭に、二台の軜トラックがパトカヌの埌ろに぀けお停車し、人ず぀、あわせお人が降りお慌ただしく駆け寄る。
    幎のころは代埌半から代に芋える圌らは、それぞれ右肩に猟銃を背負い、そろいの赀い垜子をかぶっおいた。
    人は男ずもみ合う譊官らの前で立ち止たったが、䞭でも最幎長ず芋える顎に癜い髭を蓄えた男がずいず前に出る。

    「クマが増えずるじゃないかぁそんな時にオマ゚ら、䜕をやっずるんじゃあ」

    虎の咆哮のように鳎り響くダミ声に、呚囲の人間は党員凍り付いたように固たった。

    「譊察が垂民の安党を守らんでどうするそしお、誰だか知らんがお前も邪魔をするなぁ」

    その迫力に気おされお、ヒノデアキラも譊官もさっきたでの勢いはどこぞやら、スゎスゎずパトカヌのある䜍眮たで埌退する。

    「  アンタらもさがれぃ」
    こうした圧には匱いらしい橿原は、おびえた衚情でそろそろず䞋がり始める。
    「わ、わたしは、私たちは垂民の安党のために、報道する矩務がありたす。だから、䞋がれたせん」
    声を䞊げたのは菊地原だった」
    「ダメダメ、道テレさん、䞋がっお。オタクだけ非垞線の䞭に残すわけにはいかないんだから。あずで蚘者クラブでも面倒なこずに  」
    ベテラン譊官が声をかけながら、菊地原の肩に手をかける。
    「も、桃ちゃんここは䞋がろう」
    「やむをえんな」
    橿原ず倧厎は、譊察ずもめるこずのリスクを気にしおいる。
    「気に入ったぁ」
    癜髭の長老は、たた吠えるように蚀い攟぀。
    「嬢ちゃんは残っおよし」
    「ダメですよ、暩田さん。メディアは倖に出したすよ」
    「では、こうしたせんか」
    菊地原は癜髭に察抗するように声を匵り䞊げる。
    「アナりンサヌずカメラクルヌは倖に出したす。その代わり、こちらのヒノデさんず私を残しおください」

    ☆☆☆☆☆

    道郜テレビの報道フロアヌではニュヌスデスクの有村ず、早朝の情報ワむド番組「なたら早起きワむド」のプロデュヌサヌ・坂本がテレビ画面を芋぀めおいた。
    「なたはや」がむワシ打ち寄せの䞀報を䌝えたのが午前時。ずいっおも、その時にクマが珟れたため、その埌はクマの出珟に軞足を眮く圢で抂芁を䌝える「本蚘ニュヌス」ず橿原アナが送っおきた「珟堎リポヌト」のを床ほど繰り返しおいた時に、『クマが頭に増えた』ず収録を続けおいたから連絡が入った。
    「マゞかおいおい、こりゃ倧倉だ。ヘリはどうしおる」
    有村はブツブツず蚀いながら、デスク垭に蚭眮されおいるヘリずの無線連絡のトヌクバックをオンにする。
    「本瀟から・ヘリ、感床ありたすか」
    「  こちら・ヘリです。音声・山根です。いた離陞したした」
    は灜害などの緊急事態に備えお、幎間契玄で垂内の䞘珠空枯にチャヌタヌヘリを埅機させおいる。泊たり勀務のカメラマン・田䞭ず呌び出しを受けた山根が急遜空枯に向かい、ヘリ操瞊士ずずもに飛び立ったのだ。
    ヘリにはリモヌトカメラシステム「り゚スカム」が搭茉されおいお、映像をマむクロ波で手皲山の電波塔に送るこずで、リアルタむムで送信するこずができる。
    䞘珠空枯を飛び立ったヘリのカメラは北偎の平野郚分を映し出しおいたが、やがお倧きく巊に旋回し、県䞋には早くも海が芋え始めおいる。
    「銭凜の海岞だったら、最短分で぀くそうです」
    「了解。そのたた生テむクする可胜性ありたす。田䞭さん、堎合によっおはリポヌトお願いしたすね」
    有村は自分より幎䞊のカメラマン、田䞭にも呌び掛ける。
    「田䞭さん、いたちょっずしゃべれないそうですヌ」
    朎蚥な人柄の田䞭が抵抗の意志を瀺しおいるのか、山根が代わりに返事をかえしおきた。
    ヘリはあっずいう間に手皲山の北偎を通り過ぎ、目的地ぞず近づいおいる。
    「早っこれ、生乗りしおいいんっすよね」
    デスク垭のモニタヌを芗き蟌み、ヘリからの映像を確認しながら坂本は有原に問いかけた。
    「倧䞈倫。乗るずきに蚀っお。ヘリに䌝えるから」
    「もう、いた乗りたすよ。だっおもう着きそうじゃないですか」
    「おお、じゃあテむクしよう」
    有村はそのたた無線のトヌクバックに向かっおしゃべる。
    「本瀟から、たもなく生テむクしたすのでその぀もりで。広めで構えおじわズヌで寄っおく感じでお願いしたす。ヘリは良きずころで旋回たかせたす」
    「  ヘリ了解」
    スピヌカヌからのヘリの応答を聞いおいた坂本は、無蚀で頷くずフロアヌに向かっお早足で去った。
    およそ十秒埌、オン゚アモニタヌの画像が空撮映像に切り替わる。

    ご芧いただいおいるのは小暜垂銭凜の海岞です。
    今朝䞀番のニュヌスの䞭で海岞にむワシず芋られる魚が倧量に打ち寄せられおいるずいう状況の䞀報を生䞭継でお䌝えしたした。
    その際、その魚を目圓おず芋られるクマが䞀頭出珟し、䞭継スタッフは譊察に通報する䞀方、距離を取っお埅機し、番組は呚蟺䜏民の方に泚意を呌び掛けおきたした。
    いた映像に映っおいる海ず陞地の境目の銀色に茝く垯のようなものが、打ち䞊げられた魚ず芋られたす。数癟メヌトルに枡っおこの垯が続いおいたすが、その䞭倮郚でしょうか、動いおいる黒い生き物の姿が芋えたす。䞀ニ䞉、四、五。五頭。最初は䞀頭だったクマが、分ほど前から頭に増えおしたっおいたす。

    経隓豊富なメむンキャスタヌ・宮沢はこれたでの情報をおさらいしながらよどみなく情景を描写しおいく。ベテランならではの萜ち着きは番組にずっお埗難い財産だ、ず有村は感じ入った。

    「有村さん、なんか珟堎で譊官ず猟友䌚がもめおるみたいけどこれは䞋カメ、生でテむクしおいいのかな」
    「え、なになに、なんだっお」
    ヘリずの連絡で頭がいっぱいだった有村は、この時たで珟堎取材クルヌの動向を確認しおいなかったこずを思い出した。
    あわおお珟地からのヌ映像をモニタヌで確認する。
    倧厎のカメラは猟友䌚らしき男たちの前で譊察官が菊地原に詰め寄り、蚀い争っおいるような様子を映し出しおいる。
    「ダメダメなんだかわかんないけど、生はダメだよ。もめおるじゃん。りチ、怒られおるのかも」
    そういった瞬間、ヘリの映像がパトカヌずその呚蟺が芋えるサむズの映像を映し出す。
    「おいおい」
    有原はあわおおトヌクバックに飛び぀く。
    「、その蟺のいざこざは入れ蟌たないで」
    ヘリの映像は速やかにサむズを倉え、䜕事もなかったかのようにクマぞずズヌムする。
    宮沢キャスタヌも䜕かを感じ取ったのか、珟堎呚蟺での䞍審な動きには䞀切觊れぬたた、

    「打ち䞊げられた魚ず、クマの状況に぀いおは新しい情報が入り次第、匕き続きお䌝えしたす」

    ず、いったん締めた。
    「いっおヌ」
    フロアマネヌゞャヌがむンカム越しに小さく叫び、オン゚ア画面はに切り替わる。ず、その画面いっぱいにヒグマの映像が映り、フロアにいるメンバヌ党員がギョッずした衚情で手を止める。

    元気いっぱいヒカリベツ・クマ牧堎

    賑やかな音楜ずずもに攟送されたのは、クマ牧堎のだった。

    「あヌ、事故ったかず思ったヌ勘匁しおくれよヌ」
    プロデュヌサヌの坂本は、近くの怅子にドスンず腰を萜ずし、そのたた頭を抱えた。


     
     
     
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