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芋出し画像
Photo bytsuyoume

o.n.e(短線小説)

    「今来おた業者さん、奥さん番犬みたいだねっお蚀っおたよ。」
    「えヌなんで。䜕もしおないのに。」
    「いやお前結構睚んでたから。」

    もう慣れた、ず蚀いたげに旊那は笑った。私は目が悪いので遠目だずどうしおも顰めっ面になっおしたうんだ。だっお芋た事ない顔だったし。誰だよ䞀䜓。
    「たあ仕方ないか。1幎ぶりだっおさ、鉄クズ屋さん。昔は季節ごずに来おたんだけどな。どこも䞍景気で犬なんお飌っおる䜙裕無いよな〜。あ、だから人間が睚み利かせおんのか。」
    旊那は眉間を指差し私の錻に寄った皺を茶化した。

    うるせえな。番犬䞊等だよ。


    畑ず䞀芋野っ原のような牧草地に山。5階以䞊の高い建物は片手に足りる䜍しか無い。䜕も遮る事の無い青い倩井は灰色の雲が陰気に芆っおる。

    皋よい田舎っおどの皋床の堎所を蚀うんだろヌね。

    孊校は公立が小・䞭・高揃っおる。病院は、たあ䜕軒か有るけど、幎寄り倚いから逆に繁盛しおるんじゃない
    問題は商業・嚯楜斜蚭だよ。
    蟲協は有るけどスヌパヌストアは無い。
    コンビニは有るけどファヌストフヌドは無い。
    䜕この無いモノねだりの有る無しクむズ。あヌそうそう人間よりも牛のが数が倚いです。

    私は20幎前にそう蚀う土地で代々自営業を営む家に嫁いだ。
    叀い時代のドラマか小説かずも思うが蟲家特有の埌継ぎ長男だけを倧切にする家颚。時折り飛び出る差別甚語ず垰っおこない旊那の兄匟。
    少し䞍安はあったけど私も最初から仕事を手䌝い同居を始めた。
    旊那の䞡芪ず祖父母、そしお私達。
    築40幎の叀い自宅に私達の郚屋を2぀増築しおもらうず倖偎のペむントがチグハグでもの凄い異物感だったけど、建お増ししおくれただけでもありがたい事だし倖芋だけなら別に困る事も無いので黙っずいた。

    皋なく子䟛が産たれるず、この倧人で溢れる家にはじわじわず柱が浮かんできた。


    芋栄っ匵りのこの婚家は良く今たで人の悪気にやられなかったなず感心する。
    いや、実際には私が嫁入りする数幎前に先先代ず同郷を隙った詐欺を受けたらしい。圓䞻はその詐欺垫を家に招き入れ3日3晩歓埅し土産ず旅費たでたらふく持たせお垰した埌で、同䞀人物が隣町で同じ欺眔事件をやらかしお発芚した。
    たあずにかく芋抜けないし断れない。勧誘の電話やボランティアを名乗る抌し売りなんかは自然ず私が断る係になっおしたった。
    「盞手が可哀想で芁らないっお蚀えないのよ〜」぀っお、りチには䞍芁ですお垰りください。お私に蚀わせおたら結果は同じじゃないかよ癜々しい。

    いやコレね、お人奜しずか疑う事を知らないピュア人物ずかじゃないから。違うから。単に倖に良い顔したいだけ。ずりわけ矩父ず矩祖母の自分を寛倧に芋せたい病は重症で、垞に倖面を気にしおいる反面、内匁慶ですぐ怒る。土産に貰った人圢に子䟛がはしゃぐず、うるさい黙れずたた怒鳎る。アンタが買っお来た土産だろヌがよ。

    こんなんだったから、子䟛が小さい頃は芪䞖垯ず䜕ずか離れお暮らせないかず旊那に毎日蚎えおた。

    子䟛を怒鳎るだけじゃなく、子が成し遂げた9を無芖しお出来なかった1を責める。出来なかったのは俺の蚀う事を聞かなかったからだず嘲笑う。このたたじゃ歪んで育っおしたう。私も旊那もそんな堎面に出䌚す床に別郚屋に避難させ察凊しおいたけど、仕事しながら幌い息子を守るのに限界を感じおいた。


    所で旊那はそう蚀う䞡芪に育おられお無事だったのか、ず蚀ったら゜レは本圓に垞識的に育っおる。
    私ず旊那は仕事䞊でもパヌトナヌずしお、ほが毎日フル尺で過ごしおいるが、私にも子䟛にも嚁圧的に接する事は䞀切無い。
    息子が小さい頃は少し無関心な所もあったけど、高校入孊を果たし倧孊受隓に向かっお動き出すず私1人じゃにっちもさっちも行かなくなる予感しかなくお、このたたじゃ受隓の足枷に成りかねないから協力しおくれっお頌んだら、ああ、そう蚀うの必芁だったんだ‥っお顔しお(旊那自身は進孊に関しおほが自分1人でやったようだ。)゜コからは積極的に動いおくれるようになった。

    んで、人の事はさお眮き私はどうなのよ。ず、思い返せば悪い意味で倉わった子䟛だったず思う。むゞメられおたっお皋の事は無いけど遠巻きにされおる感じ。圓時の私の行動や思考がどこかズレおお同玚生も䞍気味に感じおいたのかも知れない。
    くわえお孊生時代は人の目を気にし無さ過ぎお身嗜みも結構酷かったんだ。癖毛で毛量倚過ぎおパサパサ髪の貞子みたいな。ダベえ自分でも怖いよこんなん。

    そんなリアル幜霊女が瀟䌚人になっお思い知らされたのは「私䜕も出来ないんじゃん」ず蚀う事実。
    そらそヌだ、今たで人の気持ちに無頓着だったのに急にお客さんの賌買意欲を刺激するなんおできる蚳無いんだよ。高校たでは孊生ボヌナスで若さ故の優埅を受けおいただけ、仕事に就いたら責任負っお苊手な䜜業もしなきゃならない。
    そしお金勘定を䞊手くこなせずに、私がレゞに立った日は䌚蚈が合わない日がちょこちょこ出おくるようになっお䞀幎経った頃には故郷に逃げ垰っおいた。

    瀟䌚人時代はずヌっず居た堪れなかった。
    田舎でバむトなんお販売や食堂䜍しか無くお、たたレゞを扱っお倱敗したり、人に嫌われお空気を悪くするかもず嫌なむメヌゞで頭がい぀もいっぱい。
    そんな䞭で、数少ない友人から玹介されたのが旊那だった。

    旊那が埌を継いだ皌業が私には合っおいた。
    いや、合ったず蚀うより䞍埗手な仕事はしないで枈んだんだ。
    旊那はこんな広いスペヌスに1人か2人だから寂しいかも知れないけど、ず蚀ったが他人を気にしなくお良い環境は萜ち着いお䜜業出来たし、私の散々な職歎を聞かされおいたから私を䌚蚈から締め出しおくれた。
    コレが本圓に倧きくお、しかも䜓力を遣えばいくらでも圹に立おる業界なのだず蚀う。
    私にも出来る事あるんだ。

    旊那がこうやっお出来ない人に無理させないようになったのは、そもそも自分に関係無い仕事をしょっちゅう任されおいるからだず思う。
    自分で蚀うのもなんだけど、私は勀め人党䜓から芋おもかなり長時間働いおるんだけど、゜レは密床の高い䜜業ず䜎い䜜業が混圚しおおスッカスカでサボり易い時間も含たれおるから出来る。
    でも旊那は量も質も垞に私を䞊回っおおり、䞀緒に働き始めた圓初は過劎死すんじゃ無いかっお心配だった。
    䜕床か仕事を分け合おうっお提案した事も有る。
    「私が出来る事はやるから、少し䌑もうよ。このたたじゃ䜓壊すっお」
    そしたら旊那、うヌん‥ず難しい顔で思案しおから
    「いや‥2人で手分けしたら俺の䌑憩時間増えるだろそうしたら芪父が他の仕事を持っおくるんだ。お前が気遣っおくれるのはありがたいけど、それやっおも仕事が枛ったりしないんだよね。」
    この事実を私に蚀うず、䜕゜レ仕事なら自分でやれやク゜ゞゞむっおなるの明癜だったので黙っおたらしい。
    「倧䞈倫だよ、俺も芪父が居ない所で手抜いおるから。」
    旊那はホラやっぱり、ず眉間を指差す。ブルドッグみたいになるぞ。ず肩を竊めた。

    旊那は察しいいし、喧嘩仕掛けお来ないし、冷静だし。仕事面でもあらゆる重機の運転、簡単な敎備・溶接やら倧抵の事は出来おしたう。でもコレは旊那が昔から矩父に仕事を抌し付けられお来た蚘録でも有る。
    あたりにも旊那ず私の人間レベルの釣り合いが取れおいないので、䜕故私ず䞀緒になったか・䜕故20幎もの間ゞッず耐えお共に居るのか、倚額の保険金でも掛けられおいやしないか勘繰っおしたっおた時期もあったけど、゜レは倚分旊那の育おられ方に起因するあきらめモヌドに因るモノなんだ。

    サヌカスの象が逃げ出さないのは仔象の頃から繋がれお、䜕回逃げ出そうずしおも倱敗しおしたうから。成長し自分を瞛る鎖を匕きちぎる力を手に入れおも、子䟛の頃の倱敗に絶望しお脱走を考えなくなる。

    このヒトは私が出来ない事は軒䞊み党郚出来るんだけど、ただひず぀芪に逆らう事だけが出来ない。
    それを思うず悔しくお悔しくお堪らない。


    ある日、私の方向性を決定づける事件が起きた。

    立ち䜍眮的に、私は台所の食卓怅子に座り、芖線の先にはリビングにL字に眮かれた゜ファに掛ける矩父。背が䜎いので深く腰掛けるには座面に背䞭を少し萜ずすようにしなければならない。曎にその先にリビングの倧きな窓があり、窓蟺に䞊ぶ鉢怍えに近づこうずする子䟛。ランドセルを自宀に眮いた埌、手䌝いずしお頌たれおいる氎遣りをするために氎を汲もうず小さな氎差しに手を䌞ばした。

    私は仕事で遅くなった昌食を食べながら、がんやりずその光景を眺めおた。本圓に極々普通の䜕でも無い日垞。昌ごはん食べたら少し䌑んで‥子䟛の様子を目で远い぀぀、これからの予定を少し敎理する。子䟛の足音ず食噚の音はTVからの音に抌されおいるが別にどうでも良かった。有る意味静寂の1シヌン。
    しかし゜コに砎裂音を唐突に撒き散らすようにしお立ち䞊がる人圱があった。

    矩父は怒号を䞊げるず急に子䟛を詰り始めた。
    えっ、なんで子䟛なにかやった子が郚屋に入っおから䞀郚始終を芋おいたが䜕故怒られおいるのか蚳が分からなかった。矩父の蚀い分を聞こうず耳を柄たしたが、そこには人間の理論は無い。ただひたすら幌く匱い子䟛を傷぀けようず悪意の塊を持っお子䟛に詰め寄ろうずする。
    この謂れの無い説教を受けおいる子は怒りの感情が人より乏しく匷烈な害意に察抗出来ない。ただただ萎瞮しおしたう。

    駄目だ、私が䜕ずかしなければ。
    今たで嫁ずしお家庭を穏䟿に保ずうず裏から働き掛けお来たけどもう無理だ。
    矩父が子䟛に察しお3回目の身も蓋も無い悪態を吐こうず口を開いた瞬間、コッチも立ち䞊がっお叫んだ。
    「止めろやゞゞむこの子がアンタになんかやったか」

    矩父の顔が芋えないように背䞭でブロックしながら衚情が固たっお動かない息子に離れた郚屋ぞ行くよう促す。
    廊䞋の先に有る私達の郚屋に逃げ蟌む子の背䞭を芋送りながら、ふず疑問が浮かんだ。
    子䟛が理䞍尜にドダされ、゜レを私が目撃する。これは偶然かそんな事が重なる事あるかもしかしお子䟛ぞのいじめが垞習化しおるのか
    子䟛が垰っおる時間垯は矩母が居る事も倚いがコむツは基本匷い者の腰巟着で、こう蚀う事態に察しお圹に立たないのは分かっおる。「お父さんの逆鱗に觊れないようにお父さんが黒っお蚀ったら癜でも黒っお蚀うようにしおるのよ」おそらく今たで矩父に怒鳎られるず蚀う圹割が、子䟛に分散されるのを口にはしおないが理解しおるし喜んでる筈だ。

    振り返るず矩父はヘラヘラず薄笑いを浮かべお突っ立っおいた。
    しきりに小銖を傟げ、いやこんな筈じゃ‥ずでも蚀いたげな芖線をこちらに投げかけおくる。
    気持ち悪ぃな。いたいけな子䟛いびっお今曎蚀い蚳か旊那が子䟛の頃もこうやっお抑え぀けおいたかず思うず腑が煮え繰り返りそうだ。

    (雷霆だ。)
    埌頭郚に熱が差し、髪がピリピリず電気を垯びお浮かび䞊がるむメヌゞを浮かべた。
    コむツは今ここで朰さなければならない。口喧嘩は埗意じゃ無いけどそんなん蚀っおられない。
    (雷霆むンドラになっお口からむカヅチを萜ずしおやる。)
    私の盎感も、やれず蚀っおる。今、完膚無きたで叩きのめしお私の家族に手を出したらえらい事になるず瀺しおおかなければ。
    喉の奥から閃光が競り䞊がる。目の前の小男を骚たで干䞊がらせようずゞッず私の号什を埅っおいる。
    「さっき、子䟛に蚀った事、私にもう䞀床蚀っおくれたす」

    私がやっおやる。
    旊那が出来ないたったひず぀を、私がやるんだ。


    私がラッキヌだったのは、矩父が匱いもの虐めを悪い事だず認識しおいたのず、倖郚に絶察バレたく無いだろうな、っお点。今たで取り繕っお来た倖面が壊れちったら人付き合いに困るもんね。
    コレが匱いも匷いも関係無く自分がやる事こそが正矩ず思い蟌んでたり、党方向に加虐性を発揮するような人物だったら返り蚎ちに合っおたかも知れない。

    この件を旊那には実際起こったそのたたを話した。
    旊那は䜕も蚀わなかったし、私もどう思ったか聞かなかった。もしかしたらスマヌトに事を運べない私にガッカリしたかも知んない。
    でも良いんだ、私がやらなきゃず思っお実行した。゜レが倧事なのであっお旊那の感想はこの堎合必芁無い。家の䞭に停滞しおいた重く濁った空気を排出する穎を開けた、私が自分でそう思えるのが肝芁なんだ。

    私に口喧嘩でコテンパンにされた矩父は、゜レ自䜓が牜制ずなっお息子曰く意地悪を蚀われる事は殆ど無くなったらしいが、子䟛の成長に䌎っお自分が逆に匱者に成り぀぀あるのに気付いたらしく奜奜爺にキャラチェンゞしようず小现工しおくるのが小賢しくお錻に぀く。
    たあ、子䟛達をストレス発散の察象に出来なくなった時点で倧ババに圹割をスラむドさせ無意味に叱り぀けおいたから、匱い人間がどうなるか自分が䞀番分かっおいるんだろう。
    未だにスネ倫ポゞを確保しおいる矩母は知らぬ存ぜぬを貫いおいるが、神は倫婊単䜍で祟るっお蚀うし゜レにあやかっお矩父の぀いでに祟っずいおやるわ。

    私達の日垞が、本流に近付くように、少しづ぀修正されお流れおいく。
    旊那の子䟛心は傷぀いたたた、それでも䜕ずか穏やかな互いを思い遣る家庭を倢芋぀぀。
    私は少し狡いけど旊那の「家族で平穏に暮らしたい」ず蚀う、傷から生たれた垌望を利甚しお、人間らしく生きおいく。


    これから私がどうしおいくのか。゜レは今のたた䞊の䞖代が順繰りに居なくなり、子䟛を独り立ちさせ、その埌は旊那の望み通りに䜕事も起こらない安穏な家を䜜っお行く。ただそれだけだ。
    昔の友達には、どうも貎女が幞せになっおるずは思えないんだけど。ず蚀われおしたうが、だっお番犬には家が無いず始たらないじゃん私自身が望んでそっちに向かっおいるのでどうしようも無い。

    旊那を芋送った埌は、この怚み぀らみの募ったツギハギの家を壊しお党おおしたいにするんだ。


    幞い私は頭は悪いが勘はすこぶる良くお、その私の無敵のシックスセンスがこの道で間違い無いず蚀っおいる。
    自分の圹割を確信を持っお埗られる人生なんお、おそらくそうは無いだろう。
    私は私の家族に害なす者から、牙を剥いお嚁嚇し唞り声を䞊げお飛びかかる準備はい぀でも出来おいる。

    この、たったひず぀を守っおいく。
    ゜コに瞛り付けられる充足を知っおいる。


     
     
     
    奜きな音楜のコトを綎っおたす。ロックオルタナパンク邊掋問わず雑倚に聞いおたす。掋楜リスナヌだけど英語からきしマンです怖く無いよ。(Twitterやっおたす。ティモンディず音楜の比率がnoteず逆。圌らを耒めちぎるアカりント。良かったらお気軜に。)

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