
深くて暗い 怒りの海の 奥の奥
その深海の果てに
どんな恐ろしい魔物が
住んでいるのかと思ったら
それは小さな女の子だった
こんな恐ろしいところに
いてはいけないよと
連れ帰ろうとするも
するり ひらり
仕方なく無理やり
網で捕獲し
泳いで泳いで
さあ いよいよ水面
と思った その時
彼女はドロドロに溶けて
網の隙間から また 海の底へと
沈んでいってしまった
私は どんなに恐ろしくても
あの一抹の光すら届かない
暗く冷たい深海の果てにとどまって
どんなに時間がかかっても あの場所で
彼女の話を 聞くべきだったのだ