メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo byryoko_pt

【療育探偵03】「無理」と言えるのは信頼の証。語彙の多さより大切な「助けを求める力」

    はじめまして、emcOmi_in_progress です。

    ​このページに立ち寄っていただき、ありがとうございます。

    このnoteでは、
    家族を守るために「仕組み」で戦ってきた
    私の実体験を綴っています。

    ​前回の記事では、
    児童発達支援(療育)のモニタリング期間を経て、
    最初の支援計画書ができてからのお話を
    綴りました。(療育4ヶ月目〜6ヶ月目)

    ​今回は、
    その計画に基づいたレッスンが深まってきた、
    療育7ヶ月目〜9ヶ月目のお話です。

    ​「言葉が増えない」と悩み、つい子どもに
    「正解」を選ばせようしてしまう。

    ​「青はどっち?」「ゾウさんはどっち?」

    ​4年前の私も、クイズの正解が返ってこない時は、
    まだなのか……と、どこか出口の遠いトンネルを
    歩いているような焦りを感じていました。


    ​しかし、この3ヶ月間のレッスンを通じて、
    私はもっと大切な「対話の土台」に
    気づかされることになります。

    ​「息子が言葉を記憶するためではない。
     世界とつながるための『武器』を
     手に入れ始めたんだ」

    単なる語彙の獲得ではなく、
    息子が、社会の中で「助けて」と
    手を挙げるための、
    静かな、でも力強い一歩でした。

    ​今回は、彼の「好き」をテコにして、
    『意思を伝える仕組み』を築き始めた時期を
    振り返ります。



    1. 「答え」ではなく「重り」を減らす

    療育開始から半年。
    レッスンはより能動的なフェーズへと進みました。

    これまでは
    先生の真似をする「模倣」が中心でしたが、

    この時期から
    「これは何?(想起)」という、
    自分の中から言葉を探し出す練習に
    変わったのです。

    ​画面越しの彼は、目の前の絵本を見て、
    知っている言葉をぽつぽつと
    発話することが増えてきました。

    ​「……ねこ」

    言葉​が出るまでの時間が、
    少しずつ短くなっていく。

    これまで、ジェスチャーで反応していた息子が
    「言葉」で反応できるまで、
    「重り」がひとつ、またひとつと
    外れてきた証でした。





    ​2. 「SCP」が繋いだ、先生と息子の特別なセッション


    ​息子は、ハロウィンのドクロやオバケなどの
    キャラクターがきっかけで、
    ホラー系のキャラクターが好きになりました。

    この頃には、
    ホラーというか、グロテスクというか。

    幼稚園で、
    息子が好きなキャラクターを
    一緒に分かち合える子はいないだろうと言えるほど
    ホラー系が好きでした。

    SCPのキャラクターを知る方なら、
    幼稚園児とそのキャラクターのギャップを
    想像できるのではないでしょうか?

    ​

    療育の先生は、
    わざわざSCPについて調べ、息子のために、
    世界に一つだけの「特製SCPパズルシート」を
    作ってくれたのです。

    それは先生と息子をつなぐ
    特別な療育ツールになりました。

    ​このシートにSCPのキャラクターが
    いくつか描いてあり、
    また別のツール、カード1枚1枚に
    SCPのキャラクターが1体ずつ描いてある。

    シートのキャラと
    カードのキャラを照合するパズル。

    レッスン中、
    ​あえてカードが足りない状況が作られていました。

    ​大好きなSCPが足りない。
    SCPが好きな息子から

    「ここ、ない」

    「もっと」

    「ちょうだい」

    と言葉が引き出されるのです。


    ​言わせるのではなく、遊びながら、
    言いたくなる「環境」を設計する。


    息子の「好き」をテコにして、
    コミュニケーションの必然性を生み出す。
    まさにプロの技でした。


    なにより息子のことを考えて準備してくれたことが
    本当にありがたく、うれしかった。




    ​​3. 「無理」と言える勇気、助けを求める力

    療育で、息子が「難しい」と感じた際に
    言葉がでるようになりました。

    ​「無理」「わかんない」「できない」「むずい」

    ​一見すると、
    ネガティブな拒絶に聞こえるかもしれません。

    しかし、私にとっては、
    安心する「成長のサイン」でした。

    ​言葉が少ない息子が「困っている」と
    自分から発信できるようになった証拠。

    周囲に彼の成長を支えてもらうために必要な言葉。

    その言葉を聞いてとても安心出来たのです。


    助けを求める力をより高めるため、療育では

    「ねえ、先生」と

    相手の視線を確保してから
    要求を伝える練習が始まりました。

    先生を呼ぶときは「先生」って教えてね

    事前にルールを伝えてから

    先生がわざと工作や片付けに
    集中しているふりをして、
    本人からのアプローチを待つ。

    息子は、
    なかなか気づいてもらえないもどかしさからか

    「ねぇ」

    「先生」

    などの呼びかけが徐々に溢れてくる。

    「意図的な空白」によって
    息子から言葉が引き出されていきました。





    ​4. 言葉の先にある、饒舌な「背中」

    ​幼稚園では言葉以上に「身体」で語っていました。

    ​周りの子が帽子を被るのを見て、
    自分の頭を触り「ない」と先生に報告する。

    他の子が先生におでこを触ってもらって
    熱を測ってもらう様子を見て、
    やってもらいたくなった息子は先生に近づき、
    自ら前髪を上げて待つ。

    言葉がほとんどなくても、伝えられる。

    ​言葉が完璧でなくても、
    ​圧倒的な視覚優位を活かし、
    他児の動きを「手本」に行動に移す。

    療育での、
    自分の言葉が相手にちゃんと伝わる経験が、
    自分から世界に関わる積極さを生んだように思う。





    ​5. 言葉の「本意」を研ぎ澄ます

    療育の部屋で、
    ​小さな粘着ゴムボールを複数壁に貼り、
    壁の下の方を指差して
    「先生、ゴール!」と
    自らルールを提案して先生を遊びに巻き込む姿。
    (複数のボールが壁伝いに下に転がっていくレース)

    少ない言葉とジェスチャーで本意を伝え、
    自分が考えたルールで先生と遊んでいる。

    大人は往々にして、
    簡単なことを難しく説明し、
    同じ話を何度も繰り返してしまう。

    それに比べ、息子の言葉は、
    最短距離でズバッと本意が伝わってくる。

    ​語彙の多少に目を奪われがちですが、
    息子は手持ちの数少ない「言葉」と、
    その小さな身体をフルに使って、
    世界と「対話」していました。


    我が子の振り見て 我が振りなおす。


    当時の彼の背中は、
    私に問いかけているようでした。


    「パパ、言葉ってそんなにたくさん必要?」


    必要だから親子一緒に療育を頑張るのでした。





    ​6. 結びに


    ​もし今、お子さんが
    「できない」と投げ出す姿に悩んでいるなら。

    「無理」という言葉に、
    がっかりしてしまっているなら。

    ​それは、
    お子さんが「助けて」とあなたを信頼し始めた
    素晴らしい一歩かもしれません。

    ​次回は、
    療育も1年が経過しようとする頃のお話です。



    ​私の言葉が、
     日々、大切な人を支えるため
      不安と闘っている誰かの、
       足下を照らす小さな灯火になりますように。


    emcOmi_in_progress


    ✔あわせて読んでいただきたい記事
    🔍️【療育探偵】シリーズを追う
    小学校進学に向け、この先どんな成長があったのか、療育探偵シリーズをまとめてご覧になれます


    ・【02】言葉が溢れだした鍵(前回)

    ・【04】「自分の意志で動いている」感覚を持てるように環境を設計する。


    🖊️筆者の歩み
    ・パパの願い

    ・パパの心の拠り所

     
     
     
    ​家族を守る防波堤。発達凸凹長男、癇癪次男、鬱と依存を抱える妻。戦場からの帰還を目指し、育児の悩みを偵察する【探偵】であり、負の感情と戦う【兵士】。親の物差しを捨て【愛を仕組みに、日常を自伝に】家族の世界を彩る。いつか大人になった息子たちが誇れる足跡を残す。固定記事・マガジンへ⇩

    あなたへのおすすめ