見出し画像

​【療育探偵:完結編】さようなら、また今度|戦友との絆を垣間見た卒園式

​​はじめまして、emcOmi_in_progress と申します。

​このnoteでは、療育を通じて、
息子の「個性」を紐解き、
家族の平穏を取り戻すため「仕組み」で戦ってきた
探偵(父)の記録を綴っています。


この記事は、
2年間にわたる療育の最終章「終幕」です。

​前回(第13話)は、
息子と通った2年間の療育の末に辿り着いた
「平穏な日常」について綴りました。

実はこの裏で、息子の門出に向けた
1年がかりのプロジェクトが並走していたのです。


​小学校就学相談プロジェクト

​普通級か、支援級か。

行政のスケジュールに流されるのではなく、
「父」として、
息子の未来の環境を納得して選び取るために、
先回りして仕掛けた
プロジェクトリーディングの記録から、
この終幕を始めたいと思います。




​1. 就学相談のロードマップ

​発達凸凹を抱える子どもの就学先選定は、
多くの親にとってブラックボックスありながら、
重大な判断を迫られる機会です。

いつ、何をすればいいのか、
まだ先の小学1年生の我が子の姿を想像し、
我が子らしく成長できるのはどちらの環境なのか、

親が迷子になりがちなプロジェクトだからこそ、
私は先手で「ロードマップ」を描きました。

■プロジェクトのゴール
「息子の成長を促すために適切な環境だと
 納得した状態で進学先を決める」

■制約
息子の年長生活が十分残っている時期から、
「卒園時点の息子の成長度が不確定の状態で
 プロジェクトを進めなくてはならない」

■プロジェクトの最重要ターゲット
「相談先である教育センター」

■プロジェクトの最重要目標
納得した状態で進学先を決定するために
「初めて息子を見る教育センターの担当者に、
 たった1回の面談で息子の個性を
 誤解なく理解してもらう」


最重要目標の達成のため、
私が動いたタイムラインがこちらです。

​■ 就学相談タイムライン

​✔年中・冬
・療育教室と園の担任に、それぞれの目線で
 息子の「得意・苦手・支援法」のまとめを依頼

✔​年長・春
・療育、園の担任から、まとめ資料をいただく
・息子を連れて小学校見学

✔​年長・6月
・教育センターに就学相談申込書類を郵送

​✔年長・夏
・教育センターで、親子分離の面談・発達検査
・教育センターの見解は後日電話回答

​✔年長・秋
・進学先小学校の校長先生と面談

​✔年長・1月
・「進学先の決定通知」を受領


年中・冬|就学相談準備

​始まりは年中の冬。

療育教室から
例年の就学相談スケジュールを早めに仕入れた後、

療育で、
通常は進学先が決まってから作成してくれる
小学校への引継書を、
6月の就学相談用にも作成してくれないかと
相談しました。

療育には、
親が子どもの特性を関係者に共有するための
サポートブックのフォーマットがあり、

生活面、学習面、感情コントロール等、
様々な切り口で
「得意」「不得意」「不得意の支援法」を
記入できるようになっていました。

療育からのご提案で、このサポートブックに
療育の先生から見た息子の特徴をまとめ
「簡易版引継書」を作成していただけることになりました。


その後、​
年中の息子の担任にも相談しました。

年中の冬、年長の担任は未定。
年長の新担任が決まった後、
就学相談申込期限6月の年長クラスは、
担任の先生含め、
全員が関係を築き始めている段階であろうと予想。

だからこそ、
年少・年中と連続して息子の担任だった先生に、
相談したのです。

「息子の就学相談のため、
 ずっと息子を見てくださっている先生から見た
 息子の特徴をここにメモしてほしい」

担任に手渡したメモの​フォーマットは、
療育のサポートブックと揃えました。

最重要ターゲットである教育センターの担当に、
療育の先生から見た息子の特徴と、
園の担任から見た息子の特徴を、
並べて読んでもらい、
息子の姿を具体的に想像してもらうことを目的に
仕込んだ準備でした。


​年長・春|小学校見学

​年長に進級した春、
息子を連れて小学校見学に向かいました。

この見学は、以下を目的に参加しました。

  • 息子に「小学校の中」を知ってもらうこと

  • 説明中に息子が座って待っていられるか

  • 普通級と支援級、それぞれの授業を見た時の息子の反応を観察する


説明会では、まず、当日のスケジュールの説明と
校長先生からのご挨拶。

教室に座ってから説明が終わるまで20分くらい。
息子は静かに椅子に座ってはいましたが、
後ろ向きに座ったりして遊んでいました。


続いて、支援級と普通級の授業を見学しました。

支援級の教室から。

少人数クラスでスペースが広く、
隣のリラックスルームとつながっていました。

息子はすんなりと教室に入り、
リラックスルームの遊具で遊ぶ余裕もありました。


​次に、普通級の教室へ向かいました。


​小学校の教室って、
こんなにキツキツだったか……?


私が子供の頃も30〜40人程のクラスでしたが、
​親になってから見る教室は、私の記憶とは違い、
子どもたちが教室にところ狭しと並んで、
移動するのも大変な空間に思えました。


案内の先生が授業をよく見てもらおうと
教室に入るよう促してくれた時、
息子は少したじろぎました。

私たちは、そのまま、
廊下から授業を見学することにしました。


​普通級の見学で見せた息子の反応。

それは「少しの躊躇」ではなく、
息子からの「大切なSOS」として受け止めました。

​毎日過ごす場所として、
どちらのクラスが息子に合っているか。

療育の意見。園の担任の意見。
そして何より小学校見学で見た息子の反応。
すべてを重ね合わせたとき、
私の中で「支援級」の選択に傾きました。


​年長・夏|就学相談当日

​夏、就学相談当日。
息子と2人、教育センターの待合スペースで、
夏の日差しでくたびれた体を休めていました。

予定の時間、先方の担当が2名。
事前に聞いていた通り、親子分離で相談が進む。

検査担当が息子を優しく検査の部屋へ案内。
私は相談のため別室に向かう。

私は、今日のため準備した
療育、園の担任から見た息子の特徴を纏めた書類、
療育の支援目標とその進捗を示す書類を、
教育センターの担当者に差し出し、
私の思いを伝えました。


​「子どもの進学先を決めるのは、
 親として初めてのことです。
 私としては支援級が良いのかなと思っています。
 今まで息子と関わってきてくれている
 療育と園の担任の先生から見た息子の特徴を、
 ここにまとめてきました。
 息子にとって本当によい環境を選びたいので、
 教育センターからも助言をいただきたいです。」


​この日のために十分な準備をしたことで、
当日の限られた相談時間は、
書類に書かれていない親の思いと、
親から見た息子の特徴を伝えることに注力できました。

教育センターの見解は、
親の希望と息子の検査の結果を踏まえて、
後日電話回答。


後日、教育センターからの電話で、
以下の内容が伝えられました。

・検査中の息子の様子の詳細説明
・検査で見えた息子の得意、不得意
・進学先(支援級)の助言
・小学校で必要と思われる支援の内容


「支援級が望ましいと考えます。必要な支援は〜」

小学校見学で見た息子の反応から
「支援級かな」
何となくのパパの直感をサポートしてくれる意見をもらえたことで、
「支援級」の選択がより濃厚になりました。


年長・秋|希望する進学先の宣言

「普通級」への進学が普通。
そんな周囲の目を気にした声が、
頭の中に湧いてくることもありました。


「息子に合っている環境はどちらか」


すぐに親の物差しを切り替えて、
小学校と教育センターに進学先を回答しました。


「支援級を希望します。」


​こうして私たちは、
知恵と社会資源を使い、自信を持って
息子を小学校に送り出す心積もりができたのです。





​2. 園の優しさと戦友からの手紙

​就学相談プロジェクトを進めている中で
園からの優しさに感謝してもしきれない、
予想外の出来事がありました。

年少の頃から進級の時期に、ママから担任に、
進級しても担任でいてほしいと伝えていました。

その都度、担任からは、
園全体で子どもたちを支えられるように、
担任が連続しないよう運営している、
先生たちも進級してから担任を任命されるので、
今は先生自身もわからない、という主旨のお返事。

年少、年中と同じ担任だったので、
さすがに年長の担任は変わるだろう。


​4月、年長最初の登園日にクラスに向かい、
待っていたのは、
年少・年中を共に過ごしてくれた、
就学相談の準備にも協力してくれた、
あの先生でした。

3年間、どの先生よりも息子の凸凹に付き添い、
理解してくれた担任の先生。
私と同じように息子の個性を紐解き続けてくれた、
唯一無二の息子の戦友のような先生。

園は、年少の頃に、
行き渋りが強かった息子を知っています。
新しいクラスでも「いつもの先生がいる安心」を
息子に与えようと、担任を選んでくれたのだと、
今振り返って思います。


​園では、生活の節目(進級・卒園)に、
その時の担任がクラスの園児一人一人に向けて
手紙を贈ってくれました。

手元にある、
一人の先生から3度もらった手紙を
時系列で並べたとき、
園と、この担任の先生からの優しさに
感謝の想いでいっぱいになりました。


ブロックや砂場遊びなど好きなことをたくさん見つけて笑顔で過ごしていたね。「先生」と呼んでくれると、とてもうれしい気持ちになりました。ありがとう。

年少から年中に進級する時


お片付けをしたり、お話が上手になったり、できることが増えてお兄さんになりましたね。ほめられた時の、うれしそうな笑顔がとてもかわいくて大好きです。これからも応援しているよ。

年中から年長に進級する時


​そして、卒園式当日にいただいた、
最後の贈る言葉です。

幼稚園で過ごした3年間で、できることがたくさん増えて立派なお兄さんになりましたね。かわいい笑顔が大好きです。ずっと応援しています。

卒園式の贈る言葉


​「先生」と呼ぶだけで精一杯だった年少の頃から、
お話が上手になった年中を経て、
立派なお兄さんになった卒園式。

戦友が残してくれた3年分の手紙は、
園、療育、息子、
チームで積み上げてきた仕組みが、
息子の可能性を広げてきたことの証明でした。





​3. 最後のクラス会と戦友と交わすアイコンタクト

​​卒園式が終わり、
クラスの園児、親御さん、担任が集まり、
最後のクラス会。

親御さんから担任の先生にお礼の品が贈呈され、
担任からお礼の挨拶。
そして、その挨拶の終わりに告げられた退職予定。


「まだ1年ありますので、
 引き続きよろしくお願いします。」


最後に、園児一人ひとり並んで順番に先生と
「さようならの握手」

いつものママパパお迎えの時間の恒例の握手。

いつもなら、握手をしながら
「さようなら、また明日」と笑顔でハイタッチ。


今日は「さようなら、また今度」
少し寂しげな握手に変わる。


息子の順番が来る。

「よくがんばったねー」


息子は戦友の手を握り、元気に飛び跳ねながら、

戦友は目に涙を溜めて、

「さようなら、また今度」



いつもの門を抜けて

卒園式の看板の前でパシャリ。



卒園式当日の夕方、
手続きのために、再び園を訪れた息子と私。

手続きを終えて、担任の先生にご挨拶。


私から3年間も担当していただいたことのお礼。
先生からは、
3年間通して担任になったのは初めてだった、
式で息子への贈る言葉を読み上げた時、
泣きそうで声が震えそうだったと。


そんなやさしい時間を過ごしている間、
息子は慣れ親しんだ園庭で遊んでいる。


手洗い場に砂場用のおもちゃが残っていることに気づいた息子が、おもちゃを手に戦友を見つめる。

「あっ残ってた? ありがとう」

先生が笑顔で頷く。

息子はおもちゃを持って
砂場とは違う方向に走り出す。


戦友との絆、習慣がなせるやりとり。


​かつて、言葉がうまく出なくて
ジェスチャーでしか意思表示ができなかった息子。

​戦友との会話に
多くの言葉はいらなかったみたいです。


2人がいつもどんな言葉を交わしていたのか、
私はあえて詳細を聞きませんでした。

それは、3年間を一緒に戦い抜いた「戦友」同士の
神聖な領域だと思ったからです。



夕暮れ時、少し青みがかった園庭で、

最後にもう一度、

砂場の縁でバランスをとって遊ぶ息子をパシャリ。





​4. 結びに

​2年前、
藁をもすがる思いで療育の門を叩いたあの日から、
卒園まで​私が父として立ち続けられたのは、
間違いなく、
息子の個性を尊重し伴走してくれた療育の先生、
そして園の先生方が力強く支えてくれたからです。

本当にありがとうございました。


これで、
2年間にわたる【療育探偵】の偵察の日々は
幕を閉じます。


息子は、小学校の支援級に進みました。


大変で、愛おしい、私たちの育児プロジェクト。
休む間もなくまた新しいステージが始まるのです。



​ーこれから小学校の就学相談に臨むママパパへー

行政のスケジュールに流されるのではなく、「納得のいく環境」を選び取るために、私が動いたこの1年間のタイムラインを綴りました。

皆様とお子様の就学相談プロジェクトが、それぞれのご家庭ならではの成功にたどり着く、その一助になれたなら幸いです。



​5. 編集後記

​本編はここで終幕ですが、
戦友(担任の先生)との間に、
まだ一つの物語が残っています。

​小学校入学式の日、私たちは、
ピカピカのランドセル姿を戦友に見せるために、
もう一度、園に向かいました。

戦友が退職する前に
息子が伝えた「ありがとう」を、
次回の【Epilogue】で綴ります。



​私の言葉が、
 日々、大切な人を支えるため
  不安と闘っている誰かの、
   足下を照らす小さな灯火になりますように。


​emcOmi_in_progress


✔あわせて読んでいただきたい、私たちの軌跡

▼Epilogue∶また今度の約束
​息子の舞台は幼稚園から小学校へ。

放課後等デイサービス選定プロジェクトの全貌と、​入学式を前に、息子が小さな手で戦友に贈った「ありがとう」。

​育児に奮闘するすべてのママパパに捧げます。


▼息子のもう一方のパートナー、療育の先生への感謝を綴った記事です。

​
▼ 親の物差しを捨て、息子の個性を偵察し始めた頃


▼ 療育探偵シリーズを纏めて振り返る


▼大変であっという間に過ぎ去ってしまう育児プロジェクトだからこそ、彩りを。


いいなと思ったら応援しよう!

emcOmi_in_progress|育児に向き合う【療育探偵X感情戦記】 最後までお読みいただきありがとうございます😊よろしければ応援お願いします! いただいたチップは家族や自己研鑽のために使わせていただきます。

この記事が参加している募集