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FIFAワールドカップ2026をオリンピズムから思考する(7)〜アルゼンチンvsカポベルデ、アルゼンチンに挑む緑の岬、攻撃は最大の防御〜

    7月3日マイアミ・スタジアムでは激戦が展開された。メッシ率いる強豪アルゼンチンに小国カボベルデが挑んだ。延長戦でもゴールを奪い合う大激戦の末にアルゼンチンが3−2の勝利を収めて16強へ勝ち進んだ。(FIFA伝)しかし感動を与えたのは勝者以上に敗者だった。

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    日本代表がグループリーグの戦いで世界のサッカーファンを虜にしたように、ノックアウトステージ進出国では史上最小国のカボベルデのラウンド32の戦いは多くの人々の胸を打った。

    オランダ戦で「取られたら取り返す」を体現し、結果として2-2の引き分けに持ち込んだ日本の姿に、私たちは攻撃的な勇気を見ていたはずだ。
     
    日本はあの熱をスウェーデン戦の後半、そしてブラジル戦の後半で手放してしまったが、カボベルデはアルゼンチン相手に最後までその熱を手放さなかった。

    アフリカ大陸の西に位置する10の主要な島々からなるカボベルデの面積は滋賀県ぐらいで約59万人の人口。

    「これこそが世界中で起きてほしい理想の姿。・・・たとえ小さな存在であっても、チャンスさえ与えられれば、世界チャンピオンや世界屈指の選手と並んで最高峰の舞台に立てるということだ。カーボベルデが見せたのはまさに偉業、並外れた興奮だった」
    (イングランド代表OBイアン・ライト)

    「まるで映画『ロッキー』のようだったね。カーボベルデは試合には敗れたが、彼らは勝者だ。勇気、団結、結束、そして自分たちのあり方や能力への揺るぎない信念を示してくれた。アルゼンチンはこの夜、地力を証明して勝利した。だが、主役は間違いなくカーボベルデだ。この大会の主役はカーボベルデだ」
    (スコットランド代表OBジェームズ・マクファデン)

    「これがあるから、俺たちはサッカーを愛する。こういう感動があるからだ。カーボベルデの勝利を楽しもう。素晴らしい物語だった」
    (元スウェーデン代表のズラタン・イブラヒモヴィッチ)

    日本代表のブラジル戦の結果もベスト32で敗退という点では同じだったが、カボベルデ代表のアルゼンチン戦はまるで勝者であるような賞賛を得た。なぜか

    それは、彼らがサッカーの基本中の基本であるゴールを決めることに全身全霊を傾けたからである。日本代表は先制したゴールを守ることに必死になった。しかしカボベルデは、メッシに先制ゴールを奪われながらも直向きに立ち向かった。そして後半に追いつき、延長戦でも先に点を許したが、またも追いついた。アルゼンチンの三点目はオウンゴール。これが決勝点となったが、試合終了のホイッスルを聴くまでカボベルデは攻撃する志を失うことはなかった。

    その攻撃性は、単なる勢いではない。カボベルデはブビスタ監督の下、守備ブロックをコンパクトに保ちながら、ボールを奪った瞬間に一気に前へ出るトランジション型のフットボールを磨いてきた。自陣に引きこもるのではなく、「奪って刺す」ことでしか強豪に対抗できない小国の現実と、欧州で鍛えられたディアスポラのタレントが結びついた必然のスタイルだった。

    勝利を求めるためにゴールを目指すことが感動を呼ぶのだ。勝利という結果のためにゴールを目指すより守ることを選んだ時、人はフットボールを失うのである。

    カボベルデは引いて守りを固めるよりも、前から積極的にボールを取りにいって、奮闘した。W杯予選から日本代表が貫いてきたスタイルであり、オランダ戦で「取られたら取り返す」2-2のドローとして結実した姿でもあった。(今次大会のスウェーデン戦後半やブラジル戦後半で貫けなかったことが悔やまれる)

    だからこそ、アルゼンチン戦のカボベルデには、かつての日本代表の姿を重ねたサポーターも少なくなかったはずだ。

    「これが重要な点だ。彼らはアルゼンチン相手にあと一歩のところまで迫った…。世界中が不可能だと思っていたが、カーボベルデだけがそう思っていた。彼らが帰国すれば、レッドカーペットで温かく迎えられるだろう。彼らの成し遂げたことは歴史に刻まれるだろう。彼らは夢を実現させた。彼らは英雄だ」
    (前出:イブラヒモヴィッチ)

    勝利という結果のためにプレーそのものを置き去りにしたとき、人はフットボールの魅力を手放してしまう。「攻撃は最大の防御」というサッカーの格言は、今もなおピッチの上で証明されている。だからこそ、日本が一点の影に身を潜めたとき、カボベルデは海に向かって突き出す「緑の岬」になった。失点の波に呑まれるたび、なお前へと乗り出していった。その背中にこそ、サッカーが本来向かうべき海原を指し示す、小さな「緑の岬」が見えていた。
     
    (敬称略)
     
    2026年7月6日
     
    明日香 羊
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    編集好奇
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    今、ラウンド16、ブラジルとノルウェーの試合が終わった。
    1−2でノルウェーの勝利。
    日本はブラジルに遠慮なく勝っても良かったかもしれない。
    日本が優勝に至る道は遠い。
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    「サムライブルーと武士道」について論考しました。
    https://note.com/olympism/n/n43f5785f3b0b?from=notice
    note創作大将2026応募作品です。


     
     
    上智大学哲学科卒。体協、JOCを経て、スポーツコンサルティング会社「ゲンキなアトリエ」を設立。同代表。スポーツイベントプロデュース、アスリートサポートを手掛ける。メルマガ「スポーツ思考」を主筆。五輪専門家としてテレビ出演、執筆にも活躍中。

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