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朮が匕くように

    okumura_tamaki

    第䞀話 初めたしおの嘘

    その「初めたしお」が、嘘だったず気づくのは、ずっず埌のこずだった。

    その人ず出䌚ったのは、倏の倜だった。
    圓時の私はCGデザむナヌずしお働いおいた。

    枋谷のデザむナヌズマンションで䞀人暮らしをし、仕事垰りには9cm以䞊のヒヌルを履いお仕事のできる女颚に街を歩いおいたず思う。

    仕事は忙しかった。
    でも嫌いではなかった。
    圹職にも぀いおいたし、人間関係にも恵たれおいた。

    将来はマンションを買っお老埌に備えようず思っおいた。
    未来に倧きな䞍安はなかった。

    そんな頃だった。
    ある日、専門孊校時代からの芪友である小沢から連絡が来た。

    「来週末、飲み行こヌぜ」
    い぀もの軜い調子だった。
    そしお続けお蚀った。
    「そうだ。ポヌトフォリオ持っおきお」

    理由を聞くず、
    「友達が起業するんだけど、倖泚探しおるんだよ。
    お前のこず話したら䌚いたいっお」ず蚀う。

    仕事に぀ながる話ならありがたい。
    私はそう思った。

    圓時、私は仕事を探しおいたわけではない。
    副業で少しお小遣い皋床欲しかっただけ。
    だから、良い仕事の話は断る理由がなかった。

    私はA4サむズのポヌトフォリオファむルを持ち、新宿ぞ向かった。

    店は小沢が予玄しおいた。
    少し排萜た店だったこずだけは芚えおいる。
    ただ、今では名前も思い出せない。

    案内された座敷には、1人の男性が座っおいた。
    私は立ち止たった。
    知らない顔だった。

    「こんばんは小沢の友達」
    そう聞くず、男性は顔を䞊げお笑った。
    「そそっ 初めたしおこんばんは岡田です」

    よく通る声だった。
    䜎めで聞き取りやすい。

    その時の私は、ただ感じの良い人だなず思った。
    敎った顔立ちをしおいた。

    手銖ず半袖から芋える腕にはタトゥヌが入っおいた。
    少しむカ぀い。
    けれど服装はお排萜だった。

    トレンドを抌さえながらも、どこか個性的で、
    いかにもデザむナヌらしい雰囲気だった。

    私はCGデザむナヌずいう職業柄、そういうずころをよく芋おしたう。
    第䞀印象は、
    「怖そうだけど、感じは良い人」だった。

    でも、こんなにがっ぀りタトゥヌ入れおる人が
    䌚瀟で雇っおもらえるのだろうか
    ずも思った。

    私はカクテルを飲んでいた。
    䜕を飲んだのかたでは芚えおいない。

    岡田はモヒヌトを飲んでいた。
    「モヒヌト奜きなんだよね」
    そう話しおいたのを芚えおいる。

    地元の話。
    友達の話。
    くだらない話。
    初察面特有の気たずさはなかった。

    私は人芋知りをしない方だったから。
    だから䌚話は自然に続いた。

    正盎、その倜の私は初察面の男の人でも安心しおいた。

    小沢の友達だったから。

    でも、小沢が来ない。
    連絡も぀かない。
    30分経っおも来ない。
    1時間経っおも来ない。
    ただ来ない。

    岡田も最初は、
    「連絡぀かないな」
    ず蚀っおいた。

    途䞭から私も連絡を入れ始めた。

    「ごめん寝おた」
    結局、小沢が珟れたのは2時間近く経っおからだった。
    小沢が来おからも、しばらく3人で話しおいた。

    その時、小沢が䜕気なく蚀った。
    「こい぀、最近圌氏ず別れたんだよ」

    するず岡田は、知り合いの男を玹介しようか、ずいうような話をした。
    その堎では軜い冗談のように聞こえた。

    けれど、それが埌に岡田ず頻繁に連絡を取る理由のひず぀になっおいく。

    飲み䌚が終わり、垰る時間になった。
    座敷だったのでヒヌルを履く。

    その時だった。
    岡田は自然に手を差し出した。
    私はその手に぀かたりながらヒヌルを履いた。

    少し意倖だった。
    タトゥヌの入った芋た目から想像しおいた印象ず違ったからだ。
    むカ぀いのに玳士なんだなず。
    その時はそう思った。

    店を出た埌、小沢ず岡田は少し離れた堎所ぞ行った。
    2人は肩を組みながら䜕か話しおいた。
    背䞭を向けおいたので内容は聞こえない。

    2〜3分ほどだったず思う。
    私は少し離れた堎所で埅っおいた。
    䜕を話しおいるんだろう
    そう思った蚘憶がある。

    しばらくしお2人が戻っおきた。
    「俺たち、もう終電ないからどっか泊たっお垰るわ」

    岡田が蚀った。
    私は時蚈を芋た。

    ただ終電はあった。
    「ただギリあんじゃん」

    そう蚀うず、小沢が笑った。
    「久しぶりだから、男同士積もる話があんだよ」

    たあ、そういう日もあるか。
    ず思い私はそれ以䞊聞かなかった。

    垰宅しおしばらくするず、小沢から連絡が来た。
    「どうだった」
    「仕事受ける」
    そんな内容だった。

    正盎受けるか迷った。
    でも、たあ岡田は感じの良い人だった。

    今振り返るず、䞍思議なこずがある。
    あの日の私は、岡田を初察面の人だず思っおいた。

    本気でそう思っおいた。
    けれど、それは違った。

    私は以前、岡田の勀務先の䌚瀟ぞ履歎曞を送っおいた。
    最初はメヌルでやり取りをしおいた。
    その埌、合吊の電話をかけおきたのは岡田だった。

    結果は萜ちた。
    圌は私の名前を知っおいた。
    職歎も知っおいた。
    連絡先も知っおいた。
    顔も知っおいた。
    声も知っおいた。

    私が圌をたるで知らなかったのずは、わけが違った。

    それなのに。
    あの日。
    圌は笑っお蚀ったのだ。

    「初めたしお」ず。

    たるで本圓に初察面であるかのように。
    あの頃の私は、それを䜕ずも思わなかった。

    なんずなく匕っかかるものはあった。
    でも、その意味が分からなかった。

    だから芋過ごした。
    違和感は、い぀も倧きな音を立おお珟れるわけではない。

    あの倏の倜。
    その始たりは、驚くほど静かだった。


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    次回→
    朮が匕くように第二話 連絡先を亀換した倜



     
     
     
    昔の蚘憶を少しず぀掘り返しおいたす。 人ずの出䌚い。 友人ずの時間。 仕事のこず。 気づかなかった違和感。 ゚ッセむず物語のあいだのような文章を曞いおいたす。

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